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「Catch up Premier League」~Match week 19~ 2021.12.26-12.27 etc

目次

①マンチェスター・シティ【1位】×レスター【9位】

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■ロングカウンターとセットプレーで撃ち合い

 立ち上がりから勢いよく試合を支配したのはホームのマンチェスター・シティ。押し込んでの攻撃はどこを経由しても強力なのだが、右サイドのユニットがこの日は特に強力。大外に張るマフレズで対面のトーマスの位置を操作。手前に相手を引き出したところで裏を狙う形を使う。デ・ブライネやベルナルドなどのアタッカーがこのスペースに流れる動きを生かしチャンスを狙う。

 トーマスと同サイドのCBのヴェスターゴーアはサイドに積極的にカバーに出ていったとしても機動力には限界があり、シティの選手の抜け出しにはついていけない。右サイドからは奥行きを使った攻めを使えているシティ。ちなみに、左サイドはスターリングの単騎をコンビネーションに織り交ぜつつの突破。サイドに人を集めて多角形を作りながら、クロスには多くの人数の選手をそろえてとびこんでいく。

 プレッシングも積極的で敵陣で回収をしながらすぐにボールを取り返すという流れでシティはすぐに先制。レスターとしてはホルダーに厳しくチェックにいけなかった上に、デ・ブライネに簡単にターンを許したヴェスターゴーアが誤算だったように思う。前に出ていけないのならば、せめて反転は許したくなかったところだ。

 流れに乗れないレスターは再度失点を喫する。今度はセットプレーからのPK判定。相手をティーレマンスが引き倒し、VARのサポートをもとに主審がPKをシティに与える。さらには3点目。こちらは右サイドのユニットから崩しを見せてあっさりと大量リードを奪う。

 しかし、マン・シティが隙なしだったわけではない。特に非保持の試合運びはかなり危うく。前線のプレスに中盤が連動する気が薄く、後追いの守備でラインを下げながらシュートを受けることもしばしばあった。

 さらにもう1点取られたレスターはハーフタイムに選手を交代してシステム変更。ペレスに代えてカスターニュを入れて5-4-1にシフトする。撤退守備を優先して、前半よりも攻守の切り替えの頻度を減らしつつ、トランジッションに舵を切ることにした。

 このやり方は奏功。レスターのロングカウンターはこの日はキレキレ。中でも最高の働きを見せたのがマディソン。攻撃のギアを一気に入れられるマディソンにボールが渡ると一気に攻撃が加速。後半早々にカウンターから2点を奪い、2点差まで追いつくことになる。

 シティのバックラインの出来が少々気掛かり。SBに軽さがみられるのは仕様だとしても、理不尽に相手を止めていたディアスに少々神通力がなくなった感があるのは残念。この日の2点目も狭いコースをカットできずに素通りさせてしまうなどらしくなさが目立った。

 さらにマディソンのゴールから1点差まで詰め寄り、一気に流れを持ってくるレスター。だが、前半のPKを与えたきっかけであるCKから後半も失点。どちらもマンマークのマーカーを外されてしまいあっさりと得点を決められてしまう。

 今のマン・シティ相手に勝ち点を取るならば3点をセットプレーから奪われてしまってはまず難しいだろう。悪い流れを断ち切り、終わってみればダブルスコア。冷や汗をかきながらもさらに連勝を重ねることに成功した。

試合結果
2021.12.26
プレミアリーグ 第19節
マンチェスター・シティ 6-3 レスター
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:5′ デ・ブライネ, 14′(PK) マフレズ, 21′ ギュンドアン, 25′(PK) 87′ スターリング, 69′ ラポルテ
LEI:55′ マディソン, 59′ ルックマン, 65′ イヘアナチョ
主審:クリス・カバナフ

②ノリッジ【20位】×アーセナル【4位】

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■厚みを増した前線をサイドチェンジで生かす

レビューはこちら。

 とりあえず引いて守って攻守の切り替えを減らし、粘り勝負に持ち込むことが多かった監督交代後のノリッジ。だが、この試合は4-4-2でアーセナルのCB相手に積極的なプレッシングを敢行。ボールを奪い返そうという意識が高かった。

 しかし、アーセナルはこのプレスを意にも介さず。彼らにとっては直近葬ってきたウェストハムもサウサンプトンも4-4-2。ノリッジよりも強度が高いプレッシングを掻い潜ってきた彼らにとってはこのプレスは難なく交わせるもの。そして、開始早々に右サイドのサカがウィリアムズとの1on1を制してあっさりと先制。ノリッジのプランはあっという間に崩壊してしまう。

 アーセナルは相変わらず好調な2列目の面々に加えて、この日はジャカが高い位置をとるというこれまでにはない形を披露。左サイドの攻撃に厚みを加える。左サイドの高い位置に人が増えたことにより、右サイドからボールを引き取ったウーデゴールのサイドチェンジが抜群に刺さるように。

 さらにはラカゼットが組み立てに降りる際でもジャカが前線に張っており人は足りているというなかなか見慣れないやり方でアーセナルは厚みのある攻撃を披露していた。前半の終盤はやや小競り合いの多い乱戦模様になりはしたが、この日のポイントになった右から左のサイドチェンジからティアニーが追加点をとったことで試合はアーセナルペースに。

 後半はややふわふわしたカウンターの応酬になるが、今のアーセナルに自由にカウンターを打たせればノリッジに勝ち目はないだろう。サカのカットインから試合を決定づける3点目が生み出されると、すっかり終盤のギアチェンジャーとしての役割が定着しつつあるスミス・ロウが仕上げを担当。

 縦パスでラカゼットのPKを演出すると、後半追加タイムには自身の得点でこの日5点目をゲット。途中出場で4試合連続得点という凄まじい効率で完勝劇に花を添えた。

 立ち上がりのプラン遂行に失敗したノリッジを絶好調の2列目の中心に飲み込んだアーセナル。苦しんだ昨年とは違い、いい流れで12月の試合を終えた。

試合結果
2021.12.26
プレミアリーグ 第19節
ノリッジ 0-5 アーセナル
キャロウ・ロード
【得点者】
ARS:6’ 67′ サカ,44′ ティアニー, 84′(PK) ラカゼット, 90+1’ スミス・ロウ
主審:グラハム・スコット

③トッテナム【7位】×クリスタル・パレス【11位】

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■決着は5分間で

 プレミアの中でもいち早くコロナ禍見舞われてしまい、前節からようやく復帰したトッテナム。内容としては上々で、コンテらしさが浸透してきた様子が見てとれた。

 この試合でも非常に積極的なスタンスを見せたトッテナム。パレスはいつも通り3-2-5型のビルドアップを行おうとしたが、トッテナムのトップの素早いチェイスに苦戦。アンデルセン以外のバックスはそこまでボール保持のプレス耐性が強いわけではないのでパレスは苦しむこととなった。

 パレスは3-2-5型を解除して、4バックにシフトするなどの変化をつけて見せたが、トッテナムは3トップが同サイドにスライドしながらプレッシングをかけることができていたので、噛み合わせを外される形になってもビルドアップのルートを制限しながらプレッシングをかけることができていた。

 トッテナムのビルドアップはホイビュアが落ちたところから最終ラインを押し上げる形。この試合で言うとタンガンガが持ち運ぶシーンが目立っていた。最終ラインの人数は割と過剰気味で、その分対角のパスを多用することで幅を使いながらの攻撃を駆使することができていた。幅を広げることができるならば、当然空くのは内側。スキップが反転することで前進をしたりなど、攻撃のバリエーションを増やした姿を見せることができていた。

 コンテのトッテナムの旗印となっているWBのオーバーラップも好調。サウサンプトンに対して、トッテナムが優位な状況で試合が推移した。そんな状況が決定的になったのは32分のこと。カウンターから一気にゴールを陥れたトッテナム。パレスはトムキンスのボールロストが痛恨。懸念のバックラインの保持のスキルが完全に仇になってしまった形である。

 このケインが決めた先制点は試合を決定づける流れが始まる合図となった。直後にルーカスが追加点を決めると、その3分後にザハが2枚目の警告を受けて退場することになってしまった。ケインの先制点からザハの退場まではわずか5分。パレスは5分間で1人の数的不利と、2点のビハインドをあっという間に背負うことになってしまった。

 パレスは4-4-1で構えるも前半から状況は変わらず。これまで何度も指摘しているが、仕組みでうまくいかない時にこのチームが頼りたいのはザハ。10人で仕組みがうまくいかなくなってしまった状況で、頼りたい人がすでに退場していると言うのはなんとも皮肉である。

 後半はソンの得点で仕上げを決めたトッテナム。3得点の完勝でロンドンダービーを制した。

試合結果
2021.12.26
プレミアリーグ 第19節
トッテナム 3-0 クリスタル・パレス
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:32′ ケイン, 34′ ルーカス, 74′ ソン
主審:ジョナサン・モス

④ウェストハム【5位】×サウサンプトン【15位】

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■攻撃のバリエーションに幅を見せたセインツ

 普段は4-4-2が基調のサウサンプトンだが、前節のトッテナム相手には5-3-2の形で挑むなどの変化をつけている。今節の形は4-3-3気味の形。いつもならば、ロメウとフラットに並ぶ形の多いウォード=プラウズだが、この日は比較的前方の位置でボール保持に参加することが多かった。

 サウサンプトンが狙っていたのはウェストハムのライン間。エルユヌシとウォード=プラウズがハーフスペースのライン間を占領することによって、ライスとソーチェクは前にプレスに出ていきにくくなる。後方を牽制させることでライスとソーチェクへのプレス参加を制限したサウサンプトンはこれによって保持を安定させる。

 プレスもサウサンプトンは出足が好調。バックスも積極的に押し上げていくことで早い段階でボールを奪い、ペースを手中に収める。特にカイル・ウォーカー=ピータースのプレッシング参加が目についた。

 ウェストハムは長いボールを駆使しながらプレスを脱出したいところだが、純正CF不在の中央では長いボールがなかなか収まらず。WGに入ったヴラシッチが途中からポスト役を買って出ていたが、ボーウェンよりは彼がトップに入った方が役割としてはうまく行ったかもしれない。ウェストハムとしてはバッチリ収まるブロヤの存在が羨ましかったはずである。

 先制点は優勢だったサウサンプトンから。コンパクトに維持できなかったウェストハムに対して、ウォーカー=ピータースの攻撃参加で押し下げると最後はエルユヌシが打ち込んで早々に先制点をあげる。

 内容もスコアも先行されたウェストハムはハーフタイムにアントニオを投入。もちろん、それができるのならばそれが一番いいに決まっているのである。投入の効果は早々に。アントニオが同点ゴールを得るのにかかった時間はわずかに4分だった。

 後半は一転してウェストハムが押し込む局面が増える展開に。ライス、ランシーニが低い位置をとりながらマスアクやソーチェクなどのトリッキーな選手たちを前方に押し上げるやり方でこじ開けようとする。

 だが、ブロヤが収まるサウサンプトンにとってはロングカウンターでも問題なし。重戦車のようにゴリゴリ進むことができるブロヤを止めるにウェストハムは思わずエリア内でファウルを犯してしまう。

 PKを決めてリードしたサウサンプトンだが、すぐにウェストハムはカウンターからベンラーマが得点してやり返す。流動的な展開の中で最終的に試合を決めたのはセットプレー。ウォード=プラウズの美しい放物線に合わせたのはベドナレク。華麗なFKは乱戦を制する決定打に。遅攻よし、速攻よし、セットプレーよしで攻めの幅を見せることができたサウサンプトンが上位を狙うウェストハムを阻む一勝を手にした。

試合結果
2021.12.26
プレミアリーグ 第19節
ウェストハム 2-3 サウサンプトン
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:49′ アントニオ, 64′ ベンラーマ
SOU:8′ エルユヌシ, 61′(PK) ウォード=プラウズ, 70′ ベドナレク
主審:ケビン・フレンド

⑤アストンビラ【10位】×チェルシー【3位】

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■HTのルカク投入が分水嶺に

 どちらもできれば保持で時間が欲しいチーム同士の対戦。より長い時間のボールの保持に成功したのはアウェイのチェルシーの方。落ち着きながらボールを動かしていく。

 ただ、この日のチェルシーは保持で苦戦がみられる。具体的にはボールがやたら外循環になってしまったこと。3トップはなかなかライン間でボールを受けることができず、縦パスを引き出すことができない。

 このチェルシーの難点はアストンビラにとってありがたかった。なぜならビラの守備はできるだけIHが外側に出ていくという原則を守りたいから。最終ラインを動かさないようにしつつ、シャドーを前残りさせてカウンターに備えたいからである。

 IHが外に出ていく守り方をするときにケアしなければいけないのはアンカーとIHの間に縦パスを通されないようにすること。だが、チェルシーはこの縦パスを入れる意識が低かったので、ビラは比較的迷いなくIHが外にプレスに出ていくことができた。

 難しいのはビラのSB。シャドーを見るのか、WBを捕まえに出ていくのか?という判断をひたすら繰り返さないといけない。だが、この部分の判断がビラのSBは非常に冴えていた。特に右サイドのキャッシュは立ち上がりから1人で右サイドを制圧。チェルシーの攻撃の出口を封じることで、外循環の攻撃を終わらせていた。

 攻撃においてはワトキンスを中心に左サイドからのロングカウンターでチェルシーの守備陣を背走。敵陣ゴール付近まで迫ったが、カットインに入りかけるところでチャロバーが見事に封じ込めてこちらも水際での守備が光っていた。

 ギリギリの守備が先に決壊したのはチェルシー。ターゲットのクロスをジェームズが跳ね返そうとしたところ、不運な形でのオウンゴール。しかし、直後にビラも決壊。再三繰り返した外循環のボールについにキャッシュの判断が遅れてしまいPK判定。これをジョルジーニョが決めて追いつく。

 後半、悪くないパフォーマンスだったチャロバーを交代し、システム変更という賭けに出たトゥヘル。この賭けが奏功するのだからお見事。ビルドアップの人数を減らしつつ、サイドから押し上げる。

 ポイントになったのは中央に鎮座できるルカクの存在。相手を背負いながら勝負できるルカクがいるせいで、ビラはサイドへの守備に今までのように出ていくことができず。結果的に押し込む時間帯が増えることになるチェルシー。

 そのルカクが勝ち越し点を奪い、チェルシーは今度は撤退。ビラに攻めさせながらロングカウンター狙いにシフトする。だいぶ落ち着いてみられるブロック守備は流石である。そして仕上げでも活躍したのはルカク。相手を引きちぎりながらの単騎のロングカウンターで、最後はPKを奪取。試合を一気に決めた。

 システム変更とルカクの投入で試合の流れを引き寄せたチェルシー。トゥヘルのHTの采配が吉と出て、苦しいスカッドでの難敵撃破に成功した。

試合結果
2021.12.26
プレミアリーグ 第19節
アストンビラ 1-3 チェルシー
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:28′ ジェームズ(OG)
CHE:34′(PK) 90+3′ (PK) ジョルジーニョ, 56′ ルカク
主審:マーティン・アトキンソン

⑥ブライトン【13位】×ブレントフォード【12位】

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■普段着とは違う優位の取り方

 ブライトンはどちらかといえばボール保持、ブレントフォードはどちらかといえばトランジッション重視。元々のチームカラーで言えばそんなイメージなのだが、この試合ではトランジッションで優位に立っていたのはホームのブライトンの方だった。

 高い位置からハイプレッシングで全てブレントフォードの前進をおさえようと言う積極策に出たブライトン。ボールを奪った後も、そのまま早く縦につけて攻撃を完結させる。

 保持型のチームが急ぎすぎると割と脆さが見えてしまうことがある。だが、この試合のブライトンは急いだ方が効果的な攻撃を見せることができていた。逆にゆっくりボールを進めた場合はブレントフォードのバックスの高さに阻まれてしまい、ゴールの手前で手詰まりになってしまうことに。ブライトンは得意分野よりもトランジッションで活路を見出すようになっていく。

 ブレントフォードは自陣深い位置から一発のカウンターでひっくり返すこと以外は前進の手段が見出せない。開幕時にうまくいっていたトップに当てる→IHが落としたボールを拾う→そこからサイドに展開してクロスというお決まりのパターンが刺さる以外は今季はなかなか前進の手段を見つけることができていない。

 ショートカウンターを発動するためのプレッシングもこの日のブレントフォードは控えめ。ブライトン相手だとプレスが刺さらないのでは?という懸念があったのだろうか。いずれにしてもブライトンペースで試合は推移した。

 優位に立っていたブライトンは前半の内に先制点をゲット。ブレントフォードのロングボールを食い止めたところからカウンターが発動。ムウェプの浮き玉を最後はトロサールがループで沈めて先制する。

 前半終了前にさらにブライトンに追加点。こちらも縦への速さはあるものの、どちらかというと崩しに工夫があるブライトンらしい攻撃。ララーナが縦に抜けるランで中央の敵を引きつけたところでバイタルに入り込んだモペイがミドルを叩き込んだ。

 後半はダイレクトの強度を高めたブレントフォードがやや盛り返す形に。体を当てることさえできればある程度戦えるブレントフォードはセットプレーから光を見出すも、ぎりぎりのところでククレジャがクリアして反撃の機会を阻まれてしまう。

 結局、反撃の糸口を見つけられないまま試合は終了。少しいつもとは色の違う形で押し切ったブライトンがボクシングデーに白星を手にした。

試合結果
2021.12.26
プレミアリーグ 第19節
ブライトン 2-0 ブレントフォード
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRI:34′ トロサール, 42′ モペイ
主審:アンディ・マドレー

⑦ニューカッスル【19位】×マンチェスター・ユナイテッド【6位】

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■展開を引き寄せた『引き算』のカバーニ

 2試合中断を挟んでようやくボクシング・デーのリーグ戦再開に漕ぎ着けることができたマンチェスター・ユナイテッド。再開初戦の相手は同じく途中就任の監督の元で再建にトライしているニューカッスルである。

 両チームの現状の力関係を考えれば、明らかにマンチェスター・ユナイテッドに分がありそうなカードだが、この試合においてはホームチームの方が始終優勢に進めていた。

 ボールの保持はむしろマンチェスター・ユナイテッドの方が優勢に進めていたが、なかなか攻撃が相手に刺さらない。中央密集+大外はSBというスタンスは4-2-2-2というラングニック就任後に一貫したスタイルではあった。だが、ライン間のパスはなかなか収まらず、タッチ数が多いままに相手に絡め取られてしまう。

 裏へのパスはピンポイントに1人を目がける精度が要求されるもの。だが、この日のマンチェスター・ユナイテッドはこの長いボールの精度を満たすことができなかった。

 中央密集形のフォーメーションだと割と即時奪回が効くので、多少強引なチャレンジはOKかな?と思っていたのだが、裏への走り込みとセットだと割と中盤中央はスカスカになりやすい。ニューカッスルのカウンターはスペースがある状態でスムーズに前進ができる形からシュートまで行けるように。開始早々、サン=マクシマンのゴールで先行することとなった。

 裏へのボールは引っ掛けてしまう、ライン間のボールはもたついてロスト。攻撃を完結させることができるカウンターを放ち続けているニューカッスルとは対照的に手詰まりな状態が続いていたマンチェスター・ユナイテッドだった。

 後半、マンチェスター・ユナイテッドはカバーニを投入。このカバーニの存在は地味ながら効いていたように思う。ラインの裏に走り出すマンチェスター・ユナイテッドの前線に対して、カバーニはあえてバックステップでマイナス方向のパスを引き出すことで間のスペースでシュートを放てるように。

 マンチェスター・ユナイテッドが得た同点弾はこのニューカッスルのバックラインの下がる動きとカバーニのマイナス方向への動きを掛け合わせたものだった。

 失点こそしたものの、後半も順調にカウンターを放っていたニューカッスルだったが、後半途中にサン=マクシマンが負傷交代。相手チームに流れがいく流れかと思いきや、交代で入ったアルミロンが惜しいシュートを放つなど終盤まで得点のチャンスがあったニューカッスル。ファインセーブをしたデ・ヘアがいなければ、ニューカッスルがこの試合で得た勝ち点は1ではなかったかもしれない。

試合結果
2021.12.27
プレミアリーグ 第19節
ニューカッスル 1-1 マンチェスタ・ユナイテッド
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:7′ サン=マクシマン
Man Utd:71′ カバーニ
主審:クレイグ・ポーソン

今回から節ごとにベスイレを発表します!

今節のベストイレブン

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⑧リバプール【2位】×リーズ【15位】

■悪くはないがこの土俵では・・・

 マンチェスター・ユナイテッドとトッテナムという2週連続の難敵を迎えるリーズ。悲劇は重なるもので、その間に延期分のリバプール戦でのアンフィールド行きがぶちこまれるという悲しみに包まれてしまう日程をこなすことになった。

 この日のリーズのコンディションは特段悪かったかといわれるとそういうわけではないように思う。アンカーのフォーショウに対してはリバプールはマネとIHのチアゴやジョーンズが受け渡すことでマークしていたのだが、このマークがずれた時にはリーズはとてもスムーズに前進することが出来ていた。両サイドからは裏を取ることはできていたし、特に左のハリソンから素早いクロスを上げることでリバプールは背後を突かれる危ういシーンもあった。

 リーズはうまくいっていないわけではなかったのだけども、それはあくまで自分たちの出来にフォーカスをしたとき。リバプールを前にしたときに十分かといわれるとそれは全く別の話である。当たり前の話だが、リバプールはリーズ以上に相手のプレスのズレを見逃さないし、そもそも対面の選手を剥がす能力がリーズよりも高い。縦に速くアタッカーが躍動しやすいこの試合のような展開における殴り合いはリバプールにとってうってつけ。多少リーズにチャンスを与えようと、自分たちがより多くのチャンスを作れれば何の問題もない。

 というわけで暴れまわるリバプールのアタッカー陣。縦横無尽に動き回るマネと左サイドからのカットインで魅せるディアスを中心にゴールに迫る。先制点はリバプール。ファビーニョを逃がしてしまったところで逆サイドに展開を許し、最後は2人に対応する羽目になったダラスがハンドでPKを献上。あっさりと先手を取る。この日はファビーニョが高い位置を取ることに積極的で、リーズはなかなか捕まえるのに苦労していた。

 そして、リバプールの2点目はマティプ。バンフォード不在時のリーズの弱点である2CBの持ち上がりを制限しきれない形からリバプールが攻めあがると、そのままPAまで侵入し流れの中からゴールを奪ってしまった。前節もマンチェスター・ユナイテッドのリンデロフに同じようなことをしてやられているので、リーズとしては仕組みの脆弱性の部分をずいぶんと狙い打たれているなという感じだろう。

 前半にさらに1点追加したリバプール。後半も流れは変わらず。反撃に出ようと無理に縦パスを入れようとするリーズをプレスでしとめ、逆にショートカウンターでチャンスメイクを行う。後半に躍動したのはサラー。右サイドから相手を引きちぎるカットインでリーズのゴールを脅かす。

 いつ入ってもおかしくない4点目がようやく決まったのは80分。ボールをひっかけたサラーからスルーに抜け出したヘンダーソンのラストパスをマネが沈めて試合を完全に終わらせる。リバプールは90分にもマネが追加点を奪うと、ラストプレーではファン・ダイクがセットプレーからこの日の6点目を決める。

 打ち合いに付き合いながら完勝を決めたリバプール。逆転のリーグ優勝に向けてまだまだ望みがある終盤戦になりそうだ。

試合結果
2022.2.23
プレミアリーグ 第19節
リバプール 6-0 リーズ
アンフィールド
【得点者】
LIV:15′(PK) 35′(PK) サラー, 30′ マティプ, 80′ 90′ マネ, 90+3′ ファン・ダイク
主審:マイケル・オリバー

⑨ウォルバーハンプトン【8位】×ワトフォード【19位】

■ドブに捨ててはいけない

 非常に落ち着かない立ち上がりだった。先にバタバタしたのはウルブス。ポデンスが一時的にピッチを退いている間に10人での守備機会が発生。なんの変哲もないクロスに対しての対応が非常にバタバタ。オフサイドに救われてはいたが、クロスをバウンドさせてしまい、アイト=ヌーリはあわやPKを与えてしまうところだった。

 しかし、それ以上にバタバタしていたのがワトフォード。コンパクトな陣形を敷いているのはわかったが、ホルダーにチェックをかけられていないので、ウルブスにあっさりと広げられてしまうのが難点だった。

 ワトフォードはPA内での対応の怪しさもウルブス以上だった。ウルブスの先制点は彼ららしくないショートパスの繋ぎでのPAの攻略。ワトフォードとしては適切に対応さえできれば、問題なく防げる場面だっただけにいくらなんでもあれだけ簡単にヒメネスに行かれてしまうアッサリ感はいただけないだろう。

 ウルブスの2点目は逆に彼ららしい展開をベースにした崩し。中盤でフリーになったネベスから左右に散らしていきながら、大外→大外の展開でアイト=ヌーリの折り返しでオウンゴールを誘発。追加点で突き放していく。

 ワトフォードの3失点目でゲームは完全に終わってしまったと言っていいだろう。バックパスをフォースターがプレゼントパスしてポデンスに決められて終わりである。

 ワトフォードはもったいなかった。この試合はウルブスの最終ラインが結構慌てていたし、ワトフォードの前線も割と動くことができていたので、かなり揺さぶりをかけるところまではいけていた感じ。3点取られたところでもデニスは速攻で可能性を見せていただけに、1失点目を喫してからアッサリとずるずる行ってしまったのが残念だ。

 本来であれば非保持を整備して、攻撃まで手が回らない!というのがホジソンのワトフォードのカラー。だけども、この試合はラニエリ時代がフラッシュバックしたかのような大雑把さ。粘り強く戦うべき残留争いのチームとしてはこうしたドブに捨ててしまうような試合だけはなんとしても避けたいところなのだけども。

試合結果
2022.3.10
プレミアリーグ 第19節
ウォルバーハンプトン 4-0 ワトフォード
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:13′ ヒメネス, 18′ エルナンデス(OG),21′ ポデンス, 85′ ネベス
主審:ダレン・イングランド

⑩バーンリー【19位】×エバートン【17位】

■雨のターフムーアで逆転残留に望みをつなぐ

 立ち上がりは比較的バーンリーが丁寧にポゼッションをしているのが印象的だった。最終ラインにCHが落ちて3枚の形を作るなど、普段はあまり見ないポゼッションのスタイル。エバートンのプレッシングの強度が甘いと感じていたのか、ショートパスで繋げるならばとりあえずやってみよう!という感じで普段よりも蹴り合いになることを避けていた。

 そんな流れで押し込む状況を作っていたバーンリーはセットプレーから先制。コリンズが頭で合わせて早々に点をとる。しかし、エバートンもすぐさまやり返す。パス交換で抜け出したゴードンがウェストウッドに倒されてPKを献上。ウェストウッドは早々に警告を受けるわ、PKを与えるわなどと散々な立ち上がりのパフォーマンスとなってしまった。

 ここからはもはや配置云々とかはどうでも良くなったガチンコ勝負に試合は一変する。奪って攻撃に出てファウルを受けて、リスタートして縦に急いで奪われて・・・・みたいな流れの繰り返し。残留争いをかけたプレミアらしいガチンコ勝負の様相で両チームがぶつかり合う見応えのある展開になった。

 バーンリーが狙い目にしたのは対角のパスを受けたレノンがマイコレンコと1on1をする場面。常に危うさがあるマイコレンコにはイウォビが徹底してお守りをすることでなんとかカバーをする。

 だが撃ち合いに関して言えば流石にエバートンの方が優勢。中でもリシャルリソンは別格で、ドリブルでのボール運びからのチャンスメイクに加え、リア内に自ら迫る動きでバーンリーのゴールを脅かす。

 エバートンやや優勢の中で入った2点目は意外な形。押し込まれていたマイコレンコが今度は逆に攻撃でレノンを押し込んでのPK獲得というものだった。これを再びリシャルリソンが決めてリードを奪う。

 後半も引き続きキックアンドラッシュが続く両チーム。勝たなければいけないバーンリーはもちろん、より得点の匂いがするエバートンもこの展開は望むところだろう。リシャルリソンを軸に追加点まであとわずかというところまで迫っていく。

 だが、得点を決めたのはバーンリー。あまり見たことのないテイラーの大外からの突破からサイドを抉ると最後はロドリゲスのゴールで追いつく。突破を許したケニーは直前のプレーであわやゴールの場面を演出していただけに天国から地獄にといった感じだろうか。

 より勝たなきゃ意味のないバーンリーは攻撃の手を緩めない。するとピックフォードのミスキックにより与えたスローインから、ゴドフリーのクリアミスを見逃さなかったバーンリー。最後はコルネが劇的な決勝ゴールを叩き込むことに成功する。

 雨のターフ・ムーアで最後の最後に歓喜の声を上げたのはバーンリー。逆転残留に向けてライバルを沼に引き摺り込む勝ち点3を手にして見せた。

試合結果
2022.4.6
プレミアリーグ 第19節
バーンリー 3-2 エバートン
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:12′ コリンズ, 57′ ロドリゲス, 85′ コルネ
EVE:18′(PK) 41′(PK) リシャルリソン
主審:マイク・ディーン

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