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「Catch up Premier League」~Match week 17~ 2021.12.14-12.16 etc

目次

①ノリッジ【20位】×アストンビラ【13位】

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■経過とともにトランジッションで差が

 両チームとも落ち着いた保持を見せたい感が出ていた立ち上がり。ノリッジはIHが降りてビルドアップに人数をかけつつ保持を安定させにかかってくる。ビラもノリッジと同じようにIHが低い位置まで降りて行きながらのビルドアップ。両チームとも保持の局面自体は落ち着いていたものの、なかなか敵陣に進むことは難儀。固めてくる守備ブロックに対しての解決策はなかなか見出せない。

 どちらかといえばプレッシングの圧力が強いのはアストンビラの方。ノリッジは相手をかわすことさえできれば、プレスに出てきた選手が空けたスペースに進むことができるのだが、ビラがスペースを埋めたり、あるいは潰し切るスピードよりも早くボールを繋ぐことができない。

 守備時のライン間のスペースがよりシビアなのはノリッジ。ビラが4-3-3でシャドーが絞り気味の陣形ならば、ノリッジは4-5が比較的のぺっとした形の陣形。ビラは保持でプレスがかかりにくいCBから持ち運びながら、薄いサイドにボールを持ち運び、サイドから押し下げるというやり方も織り交ぜながらゴールに迫る。

 ノリッジとしてはとりあえず下がる選択肢を選びがちなため、中央を破るのが難しかったビラも手薄だった外からラインを押し下げることは容易だった。ビラにはブロックの外からもマッギンのミドルなどゴールマウスを強襲する手段もあったため、ノリッジの方がゴールを脅かされる場面は多かった。

 ビラはシャドーがナローに絞りながらIHが高い位置まで出ていくシステムを組んだのはトランジッションを意識しているからだろう。IHの運動量の豊富さと行動範囲の広さを生かしたビラの守備のシステムは、シャドーが高い位置に残ることを可能にし、カウンター時に優位に立ちやすい。

 徐々にトランジッションで差が出てくる両チーム。優位に立ったアストンビラはカウンターから先制点。独走しシュートを決めたラムジーをまずは誉めるべきだろうが、ノリッジはもう少しなんとかできたのでは?と思ってしまう場面でもある。とりあえず遅らせるというホルダーの選択を阻害することを二の次に考えた守備が呼んでしまった失点といってもいいだろう。

 終盤には途中交代のチュクエメカの左サイドの突破から最後はファーに待ち構えていたワトキンスにクロスを合わせてアストンビラが追加点。似た入りになった両チームだが、持ち味をより前面に出しつつ攻撃することができたビラが順当に勝ち点3を得た。

試合結果
2021.12.14
プレミアリーグ 第17節
ノリッジ 0-2 アストンビラ
キャロウ・ロード
【得点者】
AVL:34′ ラムジー, 87′ ワトキンス
主審:デビット・クーテ

②マンチェスター・シティ【1位】×リーズ【15位】

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■フルコート&11人でリベンジ達成

 昨年のこのカードはリーズの1勝1分。実は昨季のシティはリーズに勝てていないのである。とりわけエティハドでの一戦は鮮烈。10人になったリーズは引きこもりながらPA内に限定したマンマークの受け渡しを徹底し、ワンチャンスからの勝ち越し弾でシティを沈めてみせた。昨季のリーズのハイライトと言ってもいい場面である。

 今季のリーズは陣容が整わないこともあり、なかなか尖ったリーズらしい戦い方を見せることができていない。だが、この試合のリーズはかなり立ち上がりから強気に打って出ており、昨年に見せたらしさを前面に見せようとするものだった。だが、相手はマンチェスター・シティ。高い位置からのプレスの回避に関しては世界一と言ってもいいチームである。むしろリーズが強気で出た分のしっぺ返しを喰らうことになる。

 特にこの日スーパーな出来だったのはロドリ。今までの印象だと少し受ける時のポジションが甘く潰されやすい印象を受けているのだが、最近のロドリはポジションの取り直しの頻度が上がり、だいぶ捕まえにくくなったように思う。

 とりわけ敵陣に侵入する方の動きが上達し、際立っている。先制点の場面はその一例だろう。元々降りる動きはできていたが、進撃する動きが直近のロドリの新しい持ち味になったように思う。

 マンマークの相手だと背負う部分で違いを見せたのはグリーリッシュ。セットプレーからの2点目だけでなく、平場でも強靭なフィジカルを生かしたボールの預けどころになり存在感を示した。

 シティは保持だけではなくハイプレスも兼備しているチーム。リーズがボールを繋ごうとしたタイミングでのプレスの出足もシティの方が数段上。CBの距離が遠ざかるように外に追いやられ、ミスを誘発させられるシーンが散見された。SBのフィルポがなんとかギャップで受けようと動き回ってはいるが、受けることができるのは稀。攻守においてリーズはなかなか呼吸をすることができない。

 後半もシティのゴール祭り。マフレズの3点目を皮切りに前半に得点を決めたデ・ブライネが後半ものびのびとプレーしてこの日2得点目を得る。決してメリエのプレーが甘かったわけではなく、枠内シュートが15本襲い掛かったきた中ではできることはやっていたように思う。ストーンズの6点目とかはその象徴だ。止めても止めてもまだシュート飛んでくるというこの試合の彼のプレーをよく表したシーンだった。

 昨年のリベンジは非常にド派手なものに。ハーフコートで10人相手に苦戦した昨季の鬱憤を晴らすかのようにフルコート11人でシティがリーズを完全粉砕して見せた。

試合結果
2021.12.14
プレミアリーグ 第17節
マンチェスター・シティ 7-0 リーズ
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:8′ フォーデン, 13′ グリーリッシュ, 32′ 62′ デ・ブライネ, 49′ マフレズ, 74′ ストーンズ, 78′ アケ
主審:ポール・ティアニー

③ブライトン【11位】×ウォルバーハンプトン【9位】

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■苦しい展開を分けたセットプレーからの先制点

 保持型のチームに対しては大人しくブロックを構えて迎え撃つ姿勢を取ることが多いウルブス。この試合でもブライトン相手にしっかりと構える形でボールを明け渡す。

 ブライトンは保持から敵陣に進みつつ、最終ラインの攻略に挑むことになる。だが、最後の数十mのところで攻撃はノッキングしてしまう。ウルブスの中を閉じる守備のせいで、ブライトンのボールは外回りで循環。なかなかPAに効果的な配球をすることが出来ない。

 むしろ、チャンスになったのは早い攻撃が決まりそうになった時。20分のマーチのシーンなどはその一例といえそう。ウルブスの弱点はワイドのCBの裏。ウルブスのバックスにはスピードがあるわけではないので、ネガトラで最終ラインの裏を取られるパターンが彼らが一番気にする部分である。

 だが、ブライトンも弱みであるシュートチャンスを生かせないという部分が露呈。決定的なシュートを決められなかったのはこの日スタメンに抜擢されたムウェブだった。

 しかし、ウルブスもなかなかシュートまでたどり着けない厳しい展開。早い攻撃を刺すことが出来ず、ボールが外に循環しながらの形が多く、WGが何枚も抜き去らないとどうにもならない!という昨シーズンみたいな形に終始した。

 互いに悪い流れの中で先制点を奪ったのはアウェイのウルブス。セットプレーからの流れで攻め残ったサイスにネベスが裏抜けのラストパスが刺さった形。前半終了間際にウルブスがリードを得ることに。

 後半はトランジッションの局面が増えた両チーム。ブライトンは縦に速い攻撃を繰り出そうにも、一度カウンターが減速する形になってしまうことが多く、先に指摘したようなウルブスのバックラインの機動力に付け込むような速攻を繰り出すことができない。

 速い攻撃により適した人材がいるウルブスはリードしたことも相まって前半よりも楽になった印象。遅攻でもハーフスペースの裏抜けからの攻略を狙い、ブライトンのゴールに迫っていく。

 終盤は左サイドからククレジャを中心にゴールを狙ってきたブライトンだったが、最後までシュートをウルブス側のゴールネットに突き刺すことは出来ず。

 渋い試合運びながらもウルブスがトップハーフの立ち位置を固めることに成功した。

試合結果
2021.12.15
プレミアリーグ 第17節
ブライトン 0-1 ウォルバーハンプトン
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
WOL:45+1′ サイス
主審:トニー・ハリントン

④クリスタル・パレス【12位】×サウサンプトン【16位】

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■外れるシュートと諦めなかったアイェウ

 高い位置からのプレッシングの応酬になり、テンションが立ち上がりから高くなったこの試合。先にミスが生まれたのはアウェイのサウサンプトン。CBに怪我人が多いサウサンプトンはこの日の先発にあまり連携面で成熟していないサリスとリャンコを送り込んでいたのだが、その不安がいきなり露呈。サリスのパスが弱いことがきっかけでパレスにショートカウンターを食らう。

 ボールを奪ったヒューズから最後はザハまでボールをつなぐと開始早々に先制点をゲット。ホームチームが早い時間に先制点を奪う。

 こうなると今季は得意な保持でボールを落ち着かせながら押し上げたいパレスだが、この試合はなかなかテンポを下げることが出来ない。いつもならば3-2-5で前線のギャラガーが自由にピッチを浮遊することで保持を安定させているのだが、この試合はギャラガーが下がってきてもポゼッションは安定せず。

 むしろ早い流れから左サイドのザハ×リヴラメントのマッチアップで一気に攻略するほうが可能性を感じることが出来た。今季のザハはチームがうまくいっていないときほど輝くのが面白い。

 一方のサウサンプトンも保持では苦戦。左サイドのテラ、レドモンド、ウォーカー=ピータースのトライアングルでPAに侵入しようとするが、パレスはIH-SB-SHで十分に対応が可能。多少遅れてもCBがスライドをしてきて問題なく跳ね返すことが出来た。

 したがって、サウサンプトンも速い展開に光明を見出すように。スモールボーンの迎えた決定機のようにパレスの保持をひっくり返すような形で同点ゴールを狙っていく。

 敵陣に攻め込む機会が多かったのはサウサンプトンの方。プレスからのカウンターというトランジッション局面で徐々に優位に立つようになりパレスを追い込む。

 すると、同点弾を決めたのはウォード=プラウズ。久しぶりに抜かれた直接FKという伝家の宝刀が炸裂する。引き続き、プレスでリズムを手にすると、ギャラガーをウォーカー=ピータースが止めてカウンターを発動するとブロヤが逆転弾を決める。

 後半も試合の展開はトランジッション色が強いものに。速攻とセットプレーの機会が多く、チャンスが多いのは引き続きサウサンプトンだった。

 だが、互いに肝心のシュートが決まらない展開。しかし、この決まらない展開をあきらめなかったパレスが同点弾を手にする。エドゥアールのシュート性のボールは枠を逸れたかに思ったが、これをファーのアイェウが決めて同点。決まらないもどかしい展開で粘りを見せたパレスが何とか勝ち点1をもぎ取った。

試合結果
2021.12.15
プレミアリーグ 第17節
クリスタル・パレス 2-2 サウサンプトン
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:2′ ザハ, 65′ アイェウ
SOU:32′ ウォード=プラウズ, 36′ ブロヤ
主審:シモン・フーパー

⑤アーセナル【6位】×ウェストハム【4位】

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■4位争いに向けて前を向ける成功体験

 レビューはこちら。

    遡ること4節前。アーセナルはオールド・トラフォードで敗れ、かつての定位置だった4位浮上のチャンスをフイにしてしまった。そこから2週間、各チームの日程消化の影響もあり、アーセナルは再びミッドウィークに直接対決で勝てば4位浮上のチャンスの機会を得ることとなった。

 過去の戦績でいえば圧倒的にアーセナルが優位なウェストハムとの一戦はその相性が前面に出るような戦いとなった。アーセナルは早々に攻めのルートを見つけた様子。前節は中央にサイドにあらゆるところのマッチアップでサウサンプトン相手に前進を決めていたが、今節は中央でウーデゴールが降りることで8対6の数的優位を作り出しつつ、右サイドのサカに預けるやり方に偏重した。

 偏重というと聞こえは悪いかもしれないが、それだけアーセナルがサカとマスアクのマッチアップに自信をもっていたということだろう。ウェストハムはここに対してライスやランシーニを当てて1対2で対応していた。すると、自身のマークが空いて時間を得ることが出来た冨安がアタッキングサードの仕上げにトライする。

 冨安は前節のサウサンプトン戦のように逆サイドに振る大きな展開もありつつ、同サイド奥を使うスルーを見せる。切り返して左足も使えるバリエーションの豊富さはこれまでのアーセナルの右サイドバックにはなかったものである。

 サカと冨安で敵陣に押し下げることができた好影響は守備にも波及。全体が押し上げられているため高い位置からプレスに行けるアーセナルはウェストハム得意のロングカウンターをシャットアウト。アントニオや2列目のアタッカーに前を向かせる前に取り切ることで反撃を封じる。

 唯一足りなかった先制点もラカゼットとマルティネッリの連携で後半早々にこじ開けたアーセナル。追加点を得るチャンスだったPKを失敗した直後はやや消極的さが見られたため、無駄に勝ち点を落とすパターンを恐れたファンも多かったかもしれない。だが、それを払拭したのがスミス・ロウ。途中出場でワンチャンスを逃さない決定的な働きを見せて、自身のシーズンハイの得点数をまた一つ更新してみせた。

 追加点を呼んだのは直前の冨安の前向きな守備だろう。とかく消極的になりやすいリードしたアーセナルの悪癖を拭い去るような前にベクトルを向けた守備はこの試合だけでなく、今後の4位争いを見据えた貴重な成功体験になるはずだ。

試合結果
2021.12.15
プレミアリーグ 第16節
アーセナル 2-0 ウェストハム
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:48′ マルティネッリ, 87′ スミス・ロウ
主審:アンソニー・テイラー

⑥チェルシー【3位】×エバートン【14位】

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■ハードなスカッドで粘りのドロー

 ほぼシーズン全休となっているキャルバート=ルーウィンに加えてロンドン、リシャルリソン、グレイ、タウンゼントなど前線の選手が軒並み不在。この日のエバートンのアタッカー陣の編成は非常に苦しいものだった。

 選んだ5-4-1というフォーメーションもチームカラーとしては本意ではないだろう。本来ならばガンガン前に出ながら撃ち合うスタイルが持ち味のチーム。相手がチェルシーということを差し引いても、とりあえずバックスを並べるという形は彼ららしくはない。

 実際、エバートンは5-4-1の特性として顕れやすい堅さを見せることができなかった。2列目が早い段階でホルダーを捕まえにいくため、最終ラインと中盤のギャップができてしまうことがしばしば。したがって、チェルシーはエバートンの1トップであるシムズの周りからCBがボールを運ぶことで簡単に2列目を引き寄せることができた。

 ツィエク、プリシッチ、マウントなど上下左右に動ける前線の機動力を活かしながらチェルシーはエバートンの5バックの裏をかき乱しながら前進する。トランジッション局面でオフザボールが効いていたのはジェームズ。ライン間でボールを受けるのもOK、裏へのボールの引き出しもうまい。一歩先に進むきっかけを作る動き出しでチェルシーの攻撃を前に進めていた。

 だが、フィニッシュワークがボヤけやすいのが最近のチェルシーの悩み。マウントは得点を重ねてはいるものの、他の選手はなかなかフィニッシュワークにうまく絡んで来れない感じは少ししている。

 エバートンはシムズへ長いボールを当てて背負わせる形以外は前進の形は見出せず。試合のペースとしてはチェルシーが握っているのは明らか。だが、決め手にかけてしまいゴールに迫ることができない。

 後半もペースは変わらずチェルシーのもの。前半からジェームズが躍動していたチェルシーの右サイドがさらに活性化。ロフタス=チークがライン間の右のハーフスペースで起点になることで、チャンスを作ることができていた。

 ようやくこじ開けた先制点はチェルシーの強みだった右サイドのオフザボールがベースになっていた。ドゥクレの攻め上がりを潰したところから、カウンターを発動させると最後はマウントが撃ち抜いて先制する。

 やっと先制点が入ったことで胸を撫で下ろしたチェルシーだったが、直後にセットプレーからエバートンが同点に追いつく。ブランスウェイトのマークを外してしまったのは今季波に乗れていないサウールだった。

 決勝弾を得るためにもう一度襲いかかるところまではいくことができなかったチェルシー。もぎ取った1点を守ることができない詰めの甘さを見せてしまい、エバートンに勝ち点奪取を許してしまった。

試合結果
2021.12.16
プレミアリーグ 第17節
チェルシー 1-1 エバートン
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:70′ マウント
EVE:74′ ブランスウェイト
主審:マイケル・オリバー

⑦リバプール【2位】×ニューカッスル【19位】

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アクシデントとつまらぬミスが先制点を帳消しに

 ボーンマス時代からエディ・ハウのフォーメーションといえば4-4-2がおなじみの形。保持に傾倒しているものの、フォーメーションは4-4-2をベースに変形していくというのが彼のチームの特徴である。

だが、ニューカッスルにおいて直面しているのは保持に傾倒する際のCHの組み合わせだと非保持の時の強度不足が出てきてしまうということ。そのため、ジョエリントンが中盤に降りていく即興の4-3-3が組まれることが多かった。

 なので、この試合のニューカッスルは初めから4-3-3で構える形に変更。相手がリバプールということもあり、初めからジョエリントンは中盤に組み込まれる形で試合に臨んだ。

 ということでニューカッスルの前線のプレス隊はたったの1枚。リバプールはゴールの手前までは簡単にボールを持ち運ぶことができ、ニューカッスルを押し込む。今のリバプールでストロングなのは右サイド。サラーとアレクサンダー=アーノルドのコンビネーションで大外からの打開を狙っていく。

 ニューカッスルにもロングカウンターから迎撃のチャンスはあった。この日はリバプールのポゼッションの要であるチアゴのパスがズレたり、周りの状況認知が不用意なケースが多くカウンターの温床になっており、ポゼッションは不安定。劣勢が予想される中でシェルビーがミドルを突き刺すまでは完璧なゲームプランを遂行していたといえるだろう。

 だが、ニューカッスルの誤算はここから。リバプールの同点弾は思わぬ形。PA内で味方同士の接触で倒れたシェアだったが、これを気に留めずリバプールの面々がプレーを続けると最後はジョッタが仕留めて同点に追いつく。ニューカッスル側は頭部の負傷を主張していたが、マイク・ディーンはゴールを認める判断を下した。

 悪い連鎖は続くニューカッスル。チアゴ以上に不用意なバックパスのミスを犯してしまったのは先制点を決めたシェルビーだった。古巣への決定機の献上はサラーの逆転の一撃を呼び、試合はホームチームがリードする。

 すると、後半は落ち着くながらゲームを進めることが出来たリバプール。60分過ぎからニューカッスルも徐々に反撃ムードを漂わせる形も見せてはいたが、サン=マクシマンの負傷は再びムードは下火に。

 もう一度リバプールが押し込み始めると最後はアレクサンダー=アーノルドが豪快なミドルで試合を締めての完勝。アクシデントとつまらないミスで先制点をフイにしてしまったニューカッスルにとっては悔いの残るゲームマネジメントとなってしまった。

試合結果
2021.12.16
プレミアリーグ 第17節
リバプール 3-1 ニューカッスル
アンフィールド
【得点者】
LIV:21′ ジョッタ, 25′ サラー, 87′ アレクサンダー=アーノルド
NEW:7′ シェルビー
主審:マイク・ディーン

⑧レスター【10位】×トッテナム【6位】

■最後の最後で結果が内容に追いつく

 バックラインにチョーダリーを入れてまで3バックを採用したレスター、ソンの不在で中盤を増やすシステム変更に舵を切ったトッテナム。どちらのチームも緊急対応感があり、年末年始を越えてなおバタバタしていることを感じ取れるスカッドだった。

 レスターのビルドアップはそこそこ安定はしていた。GKを活用できる際はヴェスターゴーア、ソユンクがシュマイケルを挟むように立つ。ケインが無理にプレスをかけてくることはしなかったので、レスターは落ち着いてボールを運べてはいた。前に進み、GKを活用するのが難しくなったらチョーダリーが最終ラインに加わり3枚に。トッテナムの2トップに対して数的有利で後方からボールを運ぶ。

 彼らの問題はこうして落ち着いてボールを運ぶ機会をうまく確保できなかったことである。撤退時の守備が非常に不安定で、深い位置まで押し込まれる上にPA内の対応が非常に危うかった。自陣の深い位置からのカウンターを強いられてしまい、落ち着いてポゼッションする機会があまりなかった。

    ダカの先制点はタンガンガを引っ張り出して得たワンチャンス。ダカとルックマンの2トップのエキセントリックなつなぎで得点に結びつけた展開とは逆らうもの。余談だけど、この試合のレスターの崩しはこの得点のようにボールから極端に近いプレイヤーが細かくパスをつなぐことを狙うものが多かった。

 レスターが押し込まれた展開に関してはトッテナムの保持がうまくいっていたという見方もできる。5-3-2にフォーメーションを変えたトッテナムはケイン、ルーカス、ホイビュア、スキップの行動範囲を広く設定。前のブロックを3-2で構えて中央封鎖を狙うレスターに対して、上下動や左右にポジションを動かしながら相手がどこまでついてくるかという駆け引きをトッテナムは見事に行っていた。

 WBを活用できなければ始まらない!というこれまでのトッテナムの攻撃からはだいぶテイストが変わった感じ。ケインはもともと裁量が多いほど輝くタイプではあるけど、ホイビュア、ルーカスあたりがマディソンとチョーダリーというレスターの守備が怪しい右のハーフスペース付近をきっちり破壊できたのは上出来。コンテ就任後とは異なるカラーでソンの不在を補ってあまりあるおつりがくる内容といっていいだろう。

 こちらはむしろ、ケインの同点ゴールまでたどり着くまでにやたら時間がかかったなという印象である。このシーンのようにレスターはハイラインになったらなったで、後方のスピード不足がさらされてしまうという苦しい展開。ルーカスとケインにスピードに乗られたらもう詰みであった。撤退しても出ていっても守備は怪しかった。

 後半もトッテナムの優勢は変わらず、相変わらずシュマイケルは忙しい展開。ホイビュアのシュートを止めた選手(多分トーマス)がチームを救ったりなど、シュマイケル以外にもファインセーブを見せる選手が出て来たくらいである。レスターは途中から2トップのルックマンを2列目に落とし、守備にさらに人数を割く修正を施さなくてはいけなかった。

 だが、そんな劣勢でも得点をするのはレスター。1点目と同じく細かいパス交換からマディソンが決めて勝ち越す。しかし、試合はここで終わらず。トッテナムは後半追加タイムに右サイドのドハーティの抜け出しからベルフワインが押し込むと、直後のリスタートから再びベルフワインが加点し、劇的な大逆転。

   ベルフワイン、1点目の直前のプレーでブチギレイエローもらっていたので冷静にシュート決めてるのはなんかおもしろかった。ごセレブレーションでめっちゃ観客席に入ろうとしたのを止められてたのを見る限り冷静ではなかったのかもだけど。誰か知らんが2枚目の警告が出るのを防いだチームメイトに感謝すべきである。

 幕切れは劇的だったが、試合を通してみると97分にようやく内容に結果が追いついたという印象。レスターは試合を通じて見られた脆さが最後の最後で悪い方に傾いてしまった。

試合結果
2022.1.19
プレミアリーグ 第17節
レスター 2-3 トッテナム
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:24′ ダカ, 76′ マディソン
TOT:38′ ケイン, 90+5′ 90+7′ ベルフワイン
主審:ジョナサン・モス

⑨ブレントフォード【14位】×マンチェスター・ユナイテッド【7位】

■前節の悲劇は繰り返さない

 シティ、リバプールと年末から強豪相手のリーグ戦が続いているブレントフォード。次の相手はこの2チームよりは順位は下であるものの、アストンビラ戦で復調気配を見せていたマンチェスター・ユナイテッドである。

 ブレントフォードは勇敢に自分たちのスタイルを見せたことが出来た試合ではあると思う。高い位置にラインを設定し、アタッカー陣に前を向かせないうちに攻撃を跳ね返す。ユナイテッドのSBにもWBが積極的にプレッシングを仕掛けており、前節よりも強気の守備の設定をした感がある。

    ブレントフォードは攻撃では4バックではカバーしきれない大外のWBにボールを配球。クロスを上げてのセカンドボールを拾うことで波状攻撃を仕掛けていた。セットプレーも含めて前半から相手ゴールを脅かす機会はあった。

 ユナイテッドは前節の4-1-4-1ではなくブルーノ・フェルナンデスをトップ下においた4-2-3-1といった方が正しいだろう。SHの意識は4-2-2-2よりは外に向くことが多いため、幅をある程度使うことは出来てはいた。だが、IHがいないため前節のアストンビラ戦のような三角形が頂点を移動させながら入れ替わるみたいな動きを付けることが出来ず。サイドはSHとSBの縦の関係で解決してくれ!という形が多かった。

 ブレントフォードのプレスは強気でユナイテッドは比較的苦しんではいたが、一度深い位置まで入ってしまえばブレントフォードの意識は人のマークよりも自陣を守ることに向く。リバプール戦で見られたブレントフォードの修正を活用したユナイテッドは前進からマイナスにCHに折り返す動きを積極的に挟むことで保持を安定させていた。

 押し込むも決め手を欠いていたユナイテッドがようやく解決策を見つけたのが55分。売り出し中のエランガの斜めの走り込みから先制点をゲットする。横のドリブルで抜け出しを促したフレッジも見事。深さで壁を壊し一歩前に出る。

   さらにグリーンウッドのゴールで加点したユナイテッド。2点リードの中で、前節の反省を生かしロナウドを下げての5バックに移行する。2点リードの展開で下げられて、これだけ不満そうなのだからロナウドのマネジメントは大変である。もっとも、それが彼の強さを作ってきた部分なのだろうけども。

 スネの傷に倣い、ある程度撤退戦略を敷いたユナイテッドだったが、マクトミネイのボール奪取からカウンターを発動し、ラッシュフォードが試合を決める3点目を奪う。終盤にはブレントフォードがセットプレーからのトニーのゴールで意地の1点を返すが、反撃もここまで。

 今季多くの強豪を苦しめてきたブレントフォードのホームスタジアムでもユナイテッドは屈せず。淡々とした試合運びでクオリティの差を見せる3ポイントを勝ち取った。

試合結果
2022.1.19
プレミアリーグ 第17節
ブレントフォード 1-3 マンチェスター・ユナイテッド
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:85′ トニー
Man Utd:55′ エランガ, 62′ グリーンウッド, 77′ ラッシュフォード
主審:アンドレ・マリナー

⑩バーンリー【位】×ワトフォード【位】

試合結果
2022.1.18
プレミアリーグ 第17節
バーンリー – ワトフォード
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:
WAT:
主審:クレイグ・ポーソン

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