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「弱気は敵」~2021.12.11 プレミアリーグ 第16節 アーセナル×サウサンプトン プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第16節
2021.12.11
アーセナル(7位/7勝2分6敗/勝ち点23/得点18 失点22)
×
サウサンプトン(16位/3勝7分5敗/勝ち点16/得点14 失点21)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

図3

 直近10試合の対戦でアーセナルの5勝、サウサンプトンの2勝、引き分けが3回。

アーセナルホームでの対戦

図4

 直近10試合の対戦はアーセナルの5勝、サウサンプトンの2勝、引き分けが3回。

Head-to-head from BBC sport

・直近26試合のホームのリーグ戦のサウサンプトン戦でアーセナルは負けなし。アーセナルの単一チーム相手への連続無敗記録は27試合。1949年までのフルハム戦と2012年までのマンチェスター・シティ戦。
・サウサンプトンは直近22試合のプレミアリーグのアーセナルホームでの試合で勝ちなし。プレミアにおいて最も長い未勝利記録。
・サウサンプトンは直近44試合のアーセナルとのアウェイゲームで2勝。最後の勝利は1987年のハイバリーでの一戦。

スカッド情報

【Arsenal】

・鼠蹊部の怪我をしたエミール・スミス・ロウには復帰の可能性。
・ハムストリングの負傷で途中交代したガブリエル・マルティネッリは起用可能。

【Southampton】

・ハムストリングの負傷をしたアレックス・マッカーシーに代わり、ウィリー・カバジェロにデビューの可能性。フレイザー・フォースターは離脱中。
・オリオウ・ロメウ、モハメド・サリスは出場停止。
・ヤン・ベドナレクは出場可能だが、チェ・アダムスは当日判断。スチュアート・アームストロングは引き続き欠場。

Match facts from BBC sport

【Arsenal】

・先制点を挙げた試合での連敗は5年間で初めて。
・しかし、勝てば1年以上ぶりのホームのリーグ戦4連勝。
・無失点でのホームでのリーグ戦3連勝となれば2017年10月以来。
・直近8試合のホームでの公式戦で7勝。
・土曜15時KOのホームゲームは直近27試合で負けなし。
・12月のリーグ戦は直近17試合で3勝のみ。
・ミケル・アルテタは選手としても監督としてもプレミアでのサウサンプトン戦8試合全てで負けたことがない。
・ピエール=エメリク・オーバメヤンは6試合連続リーグ戦でゴールがない。2014年の14試合連続無得点のドルトムント時代以来のこと。直近16本のシュートを全て決めることができていない。
・マルティン・ウーデゴールが得点すれば自身初のトップリーグ3試合連続得点。

Southampton

・ラルフ・ハーゼンヒュットル政権になって以降、リードしてからの勝ち点を71落としており、同期間で2番目に多いチームより15多い数字。
・直近3試合のリーグ戦の勝利は全て1-0。直近6試合は後半に得点がない。
・2021年はアウェイのリーグ戦で14敗しており、直近17年で最多。
・2021年のプレミア20敗はリーグ最多。
・負ければ4部以上のアウェイのリーグ戦で1000敗目。
・ハーゼンヒュットルの就任後初のプレミア勝利は3-2で勝った2018年12月のアーセナル戦。

予想スタメン

画像3

展望

■強みでもあり、弱みでもある

 マンチェスター・ユナイテッド、エバートンと未勝利で対戦に至った相手に勝利をプレゼントしているここ2試合のアーセナル。今節の相手もリーグ戦4試合勝ちなしできているサウサンプトンである。未勝利ストッパーの称号はここで返上したいところである。

 サウサンプトンのビルドアップはCB、CHの4枚が主体。CHが自由に動き回るのが特徴の一つで、特にウォード=プラウズが非常に広い範囲に動き回る。時には最終ラインに、時にはサイドに流れながらボールを受けて前を向くことで球出しの起点となる。

 守る側からするとどれだけ彼らについていくかをまずは選ぶ必要がある。2-2の形から3-1の形への変形で生じるズレを受け入れるのか、それとも阻害しにいくのかを決めて臨む必要がある。

 出てくる相手に対してズレを作るのに成功し、縦方向にパスを入れられるのであればライン間でのレドモンドで反転して前進。もしくはポストができるFW陣から落としを受けて前を向く形から攻撃を始めることができる。

 ここ数試合は従来の縦に早い攻撃でカウンターを刺すという動きも見られるようにはなっている。だが、今季のチームの上積みは押し込んだ時の両SBの働きである。左のウォーカー=ピータースは斜め方向のパスも刺すこともできるし、自身が斜め方向に走り込むランもできる。右のリヴラメントは大外レーンを1人で駆け上がることができる馬力も十分。内側にゴリゴリ入ってくる動きも可能で、攻撃の最終局面に絡むことができる選手だ。昨シーズンに比べて、押し込んだ時のプラスアルファはこの軽さが身の上の両SBである。

 一方でこのサイドの2人の選手たちは守備における難にもなりうる。対人の守備に関しては1対1においてもかなり劣勢。晒されてしまうと勝率はかなり低い。特に右を守るリヴラメントはその傾向が顕著。昨シーズンよりも押し込んだ時の威力は高い一方で、押し込まれた時の危うさもアップしている。

 ボックス内での攻撃は模索中。移籍していったイングスの代わりは開幕当初はA.アームストロングが務めていたが、ここに来て頭角をあらわし始めたのはブロヤ。ポストプレーの力強さに加えて、直近では徐々に得点感覚も備わっている感じが出てきている。FW陣のレギュラー争いは未だに継続中だ。

 昨季から威力が弱まった感があるのはウォード=プラウズのプレースキック。直接狙える位置での怖さは健在な一方で、ヴェスターゴーアという合わせる相手を失った合わせる形のキックは昨シーズンと比べるとやや見劣りしてしまうのは否めない。

 ベースはそのままに強みと弱みが微妙に変わり続けているサウサンプトン。展開が向けば強いチームであることには変わりはないだけに自分達の流れでどれだけ長くプレーできるかがポイントとなりそうだ。

■まずはバックラインの保持の駆け引きから

 サウサンプトンについてあーだこーだ述べてきたが、この試合はまずはアーセナル次第である。前節のエバートン戦のような戦い方をしてしまっては、プレミアで勝てる試合など数えるくらいになってしまう。まずはビルドアップ、そして守備での対応はどちらも前節基準ならば大幅にクオリティを上げないといけない。

 サウサンプトンはユナイテッドやエバートンと同じように強気のプレッシングに打って出ることができるチームである。今のアーセナル相手には間違いなくプレッシングを仕掛けてくるのではないだろうか。アーセナルのDFにボール保持の時間を与えなければ、サウサンプトンはおそらく勝利に一気に近づくと考えているだろう。

 まずは前を向いてこのプレスに対応すること。前節のレビューでも指摘した通り、4-4-2のプレッシングを行う相手との対戦の場合はGKを含めたビルドアップから、2トップの幅とトーマスの駆け引きを行う必要がある。

画像4

 まずはトーマスに前を向かせることが重要。4-4ブロックの前に立つことができれば、サウサンプトンのライン間の管理は比較的甘いので、ここに辿り着くことができればある程度トーマスには選択肢が与えられることになるだろう。

 前節できなかったこととしてやるべきことはまずは中盤に前を向かせるための駆け引き。できることならば、下手に列落ちをさせずに前を向くことができれば4-4-2の攻略には一歩近づく。

 そこから先は大外とHSを駆使してサイドから押し下げることができればマイナスのクロスを入れることはそんなに難しいことではない。中盤の守備のカバーの意識はエバートンやユナイテッドほど強くはない。サウサンプトンの弱点である大外からの1on1ならやはりサカ(か使わないけどぺぺ)が筆頭か。

 アーセナルの守備局面においては下がれば下がるほどサウサンプトンの思うツボ。押し込まれた際に両SBがかかってくるのは非常に厄介である。特にここ数試合はアーセナルはリードを奪うと閉じこもりやすく、試合の頭からも消極的な試合運びを選んでしまうことが多い。こうなるとサウサンプトンにペースは渡ることになる。

 サウサンプトンの両SBが出てこないくらいに押し返すことができれば理想。SB裏のカウンターも狙いどころは十分にある。積極的なオーバーラップのデメリットにより、ロングカウンターも武器の一つになりうる。いずれにしても矢印は前。自分達のペースに引き込もうとするサウサンプトンに抵抗し、ここはエミレーツであることを示さなければならない。弱気な姿勢は敵という試合でサウサンプトンを自分のフィールドに引き入れるアーセナルを見てみたいところだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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