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「Catch up Premier League」~Match week 23~ 2024.2.3-2.5

目次

エバートン【18位】×トッテナム【4位】

前節と同じ逃げ切り策は通用せず

 前線の決定力不足が深刻でなかなか結果を出すことができないエバートン。ホームでのトッテナム相手の一戦は厄介であるとはいえ、降格圏に足を踏み入れてしまった現状を踏まえると是が非でも勝ち点を取り切りたいところだろう。

 そんなチームの状況を表してか、高い位置から追い回すプレスからスタートするエバートン。特に可変が大きいウドジェにヤングをついていかせるように守っていたのが印象的だった。

 だが、ウドジェはヤングをあっさりと振り切ると、左サイドからアシストを決めて先制。リシャルリソンのゴールで早速リードを奪う。

 それ以降もトッテナムはエバートンのハイプレスを外しながら前進。ビハインドとなったエバートンは追い回すしかない状況なので、トッテナムにとってはボールをつなぐ状況ができるという好循環を回せるはずだった。

 しかしながら、エバートンが引き起こすハイテンポな展開になかなか精度がついていなかったトッテナム。少しずつエバートンに押し込まれるような時間が出てくるように。

 一度押し込むことができるようになると、一気にペースはエバートンに流れる。キャルバート=ルーウィンは左右に動きながら裏のスペースにボールを引き出すことができるし、そこから生まれたCKではマクニールがファーのゴールポスト付近にひたすら同じ軌道のキックを連打。この連打が実り、30分にはハリソン(ぱっと見では悲願のキャルバート=ルーウィンのゴールに見えたのだけども)がゴールを仕留める。

 この間のエバートンのバックスのパフォーマンスは見事。すかさず、バックラインの裏を一発で狙うトッテナムのアタッカーに対して、一か八かのタックルを成功させ続けてカウンターを阻止した。

 だが、またしてもウドジェの暗躍からトッテナムは勝ち越し。ボールを運びながら左サイドを押し下げると、最後はマディソンから再びリシャルリソン。古巣相手の2ゴールでグディソン・パークに痛烈な恩返しを見舞う。

 勝ち越された後も左右からのクロス爆撃を続けるエバートン。後半も引き続きクロス中心のアプローチでゴールに迫っていく。

 トッテナムはこれに対してカウンターを中心とした跳ね返しで加勢。左サイドではヴェルナーの裏抜けがチームに徐々になじんでおり、マディソンのスルーパスと噛み合わせると陣地回復の有効な手段に。エバートンのバックラインには後半も引き続き負荷がかかる状況となっていた。

 70分になるとトッテナムは保持で少しずつ落ち着かせるアプローチを見せ始める。エバートンもキャルバート=ルーウィンに見切りをつけて、シェルミティとベトをターゲットに切り替えて最後の最後まで抵抗を見せる。

 前節と同じくドラグシンを使っての逃げ切りを図るトッテナムだったが、エバートンはブライスウェイトのゴールで土壇場に追いつく。押し込まれる展開を凌ぎ切れなかったトッテナムは勝ち点を落とす結末となってしまった。

ひとこと

 終盤の追いつかれてしまうところもそうだけども、トッテナムとしてはゲーム中盤を握り切れなかったのが痛かったと思う。

試合結果

2024.2.3
プレミアリーグ 第23節
エバートン 2-2 トッテナム
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:30‘ ハリソン, 90+4’ ブランスウェイト
TOT:4‘ 41’ リシャルリソン
主審:マイケル・オリバー

ブライトン【9位】×クリスタル・パレス【14位】

モノトーンなプレス回避でブライトンが圧倒

 前節、シェフィールド・ユナイテッドを下して何とか首の皮一枚つながったホジソン。今節はM23ダービー。前節とは異なるタイプのプレッシャーがかかってくる試合となる。

 立ち上がりからボールを持ったのはブライトン。サイドからボールをキャリーし、パレスをあっという間に押し込むとセットプレーからダンクが先制ゴールを奪う。

 以降も一方的に保持はブライトン。パレスは前からのプレスを行っていたが、最前線はマテタ1枚。ブライトンが広がるDFラインから彼をきっちり外すことができているので、パレスがブライトンのポゼッションを誘導することができない。

 パレスの中盤がきっちりついていくからこそ、ブライトンの2列目が躍動するスペースが生まれる仕組みになっているのは何とも切ない。中でもジョアン・ペドロは起点として抜群。挟まれないと自陣側にターンして前を向いて仕掛けることができる。リチャーズがきっちりついていっているのだが、なかなか抑止力になっていないのは切なかった。

 ブライトンの2列目はオフザボールでも躍動。グロス、ブオナノッテの前線への飛び出しが起点になっている。直線的に進むことができれば、彼らの飛び出しをそのまま生かすし、難しければ左サイドに展開してファーサイドにクロス。2点目はこの形から。もはやヒンシェルウッドのトレードマークといえる得点パターンである。

 一方のパレスはポゼッションに回ってもボールを前に送ることができず。プレスも一向に改善の余地がみられないまま、無理に縦につけて3失点目。キャプテンのグエイも負傷で失うなど、踏んだり蹴ったりな前半となった。

 後半もハイプレスから勝負を仕掛けていくブライトン。高い位置からパレスを阻害することで引き続き主導権を握っていく。対するクリスタル・パレスはオリーズを投入。わずかな逆転の可能性をかけてエースを入れる。

 しかしながら、そのオリーズが負傷すると一気に試合はトーンダウン。3点のリードに対して前節負傷したエースのセットバックとなれば、パレス側の意気が消沈するのも無理はないだろう。

 試合の動きはこの負傷によりかなり重たくなってしまうことに。ブライトンも無理をせずテンポを落としながら試合をコントロールすることを選択する。

 パレスは後半にマテタが1点を返すが反撃もここまで。最後にジョアン・ペドロにやり返される失点を積みかねてしまい、終わってみれば4失点。フルタイム後は激しく感情をあらわにしながら不満を表現するスタンドのパレスサポーターが印象的だった。

ひとこと

 あまりにもオリーズとグエイの負傷は切ない。ホジソンは今節で見納めかもしれない。

試合結果

2024.2.3
プレミアリーグ 第23節
ブライトン 4-1 クリスタル・パレス
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:3′ ダンク, 33′ ヒンシェルウッド, 34′ ブオナノッテ, 84′ ペドロ
CRY:71’ マテタ
主審:サイモン・フーパー

ニューカッスル【8位】×ルートン・タウン【17位】

意地を見せるもルートンを押し切れず

 前節はビラ・パークを制圧することに成功し、連敗をストップしたニューカッスル。前回対戦ではケニルワース・ロードで強度負けしたルートンにセント・ジェームズ・パークでのリベンジに挑む一戦となる。

 想像通りの高い位置からのトランジッション合戦になった両軍。より優位を見せたのはホームのニューカッスル。前線の機動力ではアドバンテージがあり、ハイラインを破る手段があるのは大きい。深い位置まで相手のプレスを引き込みながら、縦に勝負を仕掛けていく。

 サイドの深い位置を取ることで生まれたスペースからニューカッスルは先制。大外からの折り返しを沈めたのはロングスタッフ。ルートンは中盤CHがついていけずに逃がしてしまう。大きな展開×中盤の走り込みのコンボからニューカッスルは攻撃のパターンを見つける。

 しかしながら、ルートンは設計されたセットプレーから同点。ファーに走りこんだモリスにオショーが合わせる形でおいつく。流れの中では右のオグベネがバーンに走り勝てそうなのは光明である。

 だが、次のゴールを決めたのはニューカッスル。ポジトラから抜け出したのはゴードン。何度もあったハイライン撃破をこのシーンでも見せて、ボールがこぼれたところをロングスタッフが押し込んで勝ち越す。

 優位に立ったニューカッスルだが、試合が進むにつれて強度がポジトラに集約されてきた感がある。即時奪回が利かなくなったところでルートンは反撃。ハイプレスを外したところから一気に攻撃を加速。スイッチ役となったバークリーが自らフィニッシャーとなり、リードを広げる。

 後半も強度がバチバチだったこの試合。バックラインをスピードで蹂躙するニューカッスルはカウンターに回れば相変わらず優勢。降りてついてこさせる形からチャンスを作っていく。

 しかしながら3点目を先に手にしたのはルートン。前半の光になっていたオグベネがバーンを交わしてPKを奪取。これをモリスが仕留めて勝ち越し。キャラに似合わずPKはうまいモリス。なぜか審判が笛を吹く前に蹴りこんでいてやり直しさせられていたけども。

 トランジッションの流れにのったルートンはさらに追加点をゲット。ダウティーがトリッピアーを交わしたところからチャンスを作り、最後はアデバヨが仕留める。

 2点差となったニューカッスルはここから奮起。トリッピアーが失点のリベンジを達成する形でゴールを仕留めると、最後は復帰戦となったバーンズが同点ゴールをゲット。

 4-4の時点で残りはまだ20分。正直、ここからさらに得点が入らないのが不思議なくらいオープンな終盤戦となったが、互いに5点目を手にすることはできず。ニューカッスルは今季のルートン戦を未勝利のまま終えることとなった。

ひとこと

 ゴードンが負傷してしまい、前線の台所事情はさらにやばそうなニューカッスル。アルミロン、マーフィー、ウィルソンしか健康な人がいない。

試合結果

2024.2.3
プレミアリーグ 第23節
ニューカッスル 4-4 ルートン・タウン
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:7‘ 23’ ロングスタッフ, 67‘ トリッピアー, 73’ バーンズ
LUT:21‘ オショー, 40‘ オショー, 59‘(PK) モリス, 62‘ アデバヨ
主審:トーマス・ブラモール

バーンリー【19位】×フラム【13位】

5バックにシフトしない決断が明暗を分ける

 内容自体は向上が見られないこともないのだが、勝ち点を積み上げられずに苦しい戦いが続くバーンリー。そろそろ3ポイントを奪う試合が出てこないと、残留の扉は少しずつ閉ざされてしまうこととなる。

 試合の主導権を握ったのはフラム。守備に回ると敵陣から積極的に追い掛け回していく姿勢を見せて、ボールを回収。順調にサイドから押し込むトライを見せていく。この日のバーンリーは非保持に回るとベルゲが最終ラインに入る5バックに変形。前線のプレッシャーが少ないフラムはカジュアルに相手を押し下げることができている。

 ベルゲが最終ラインに入る動き自体は確かにフラムの押し込みをもろに食らう構造的な要因の一つになっていた。その一方でベルゲが最終ラインに入ること自体は多くのピンチの抑制にはなっていた。難しいところではあるが、最低限ほしい要素は体現できたといっていいのではないか。

 押し込むことができていたフラムはセットプレーから先制点をゲット。ニアに入り込んでパリーニャがゴールを決めてフラムが前に出る。

 さらにフラムは追加点をゲット。アクロバティックなロビンソンのクリアが前線のムニョスに繋がってゴール。幸運な形での前線の供給で前半のうちに突き放す。

 バーンリーはトップのフォスターがサイドに流れる形で起点になっていた。だが、フラムは2点のリードを得た時点でプレスをマイルドにして後方をきっちり守り切る方向性にシフト。SHを下げてサイドの人員を増やしバーンリーの起点を封鎖する動きを見せる。

 後半、再びハイプレスをスタートしたフラム。フラットになった主導権を引き戻そうと奮闘する。ハイプレス→敵陣への攻略は非常にスマート。ロビンソンの抜け出しも前半以上に存在感があり、感覚は良好である。

 しかしながら、65分付近から徐々にフラムのプレスは強度が落ちていく。すると、バーンリーは追撃弾をゲット。トランジッションから左サイドから抜けだしたアミニョンのクロスがボックス内を強襲すると、レノが珍しい対応ミスを見せたところでゴールを奪う。

 少しずつ保持の時間が増えるバーンリー。フラムは中盤に代えてテテを入れるが、特に5バックに移行することはせずに布陣をキープ。前線のキャラクターを代えることで手当てをする。

 しかし、結果的にはフラムにとってこの判断は裏目に。バーンリーが同点ゴールで破ったのはこちらのサイド。いかにも4バックという感じで崩されてしまったフラムだった。

 5バックへのシフト回避が裏目に出てしまったフラム。バーンリーは何とかおいついて1ポイントの確保に成功した。

ひとこと

 マルコ・シウバは確かにフォーメーション変更の腰が重たいタイプの監督ではあるけども、この場面でのこのカードの切り方は5バックシフトでよかったと思う。

試合結果

2024.2.3
プレミアリーグ 第23節
バーンリー 2-2 フラム
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:71‘ 90+1’ フォファナ
FUL:17‘ パリーニャ, 21’ ムニス
主審:ダレン・ボンド

シェフィールド・ユナイテッド【20位】×アストンビラ【5位】

やりたい放題のビラが隙だらけのブレイズを一蹴

 ビラ・パークでは済んでのところでブレイズから勝ち点3を持っていかれるのを防いだビラ。あの日以降、やや調子は停滞気味。ブラモール・レーンでは快勝を狙いたいところである。

 立ち上がり、ブレイズは左サイドからの侵入を増やすスタート。2試合連続ゴールを決めているブレアトンを軸に左サイドからの侵入でビラのブロックを打ちこわしにいく。

 この左サイドの攻撃は可能性がないわけではなかったが、それ以上にビラの鋭いトランジッションがブレイズに刺さりまくる前半に。序盤からファウルを連発するブレイズは相当怪しい部分があったが、ワトキンスの抜け出しから決壊。無人のゴールに放たれたシュートは一度アフメドジッチにクリアされるが、マッギンが再び押し込む。ややGKの飛び出しが早いかなと思ったが、リプレイを見ればホルゲイトがワトキンスに全然寄せれていなかったので、フォデリンガムがダメもとで飛び出すのは仕方ない感じもした。

 2点目は逆サイドからの抜け出し。ドウグラス・ルイスからのスルーパスは見事ではあったが、簡単に列を上げる侵入を彼に許すブレイズの中盤がそもそもの元凶。ブルックスもソウザも大いに反省すべきシーンだ。

 流れに乗ったビラは3点目、4点目とスーパーゴールを連発。安全圏に入ったと確信した故の力が抜けたミドルシュートでさらに得点を重ねていく。

 20分にして帰り始めるサポーターが出てきたブラモール・レーン。そんな雰囲気を察してか、ビラがパス回しであえてトーンダウンをするという気遣いを見せて時計の針を進めることに協力。4点のリードでハーフタイムを迎える。

 後半頭のスタートは「前半は前半ね」という感じでアストンビラがいきなり強襲。右サイドでトラスティ相手に粘りを見せたベイリーがクロスをあげ切ると、最後はモレノが仕留める。後半早々にアストンビラは追加点をゲット。

 以降はビラは着実にプレータイムが多い選手を下げる形でプレータイム管理に奔走。そうした中でブレイズは一矢でも報いたいところだが、決定機をマルティネスに阻まれなかなかゴールに辿り着くことができない。

 最後はソウザがネットを揺らすが、これはオフサイド。そんなに追い打ちをかけなくてもいいのに。ガラガラのスタンドに残ったサポーターはブレイズのゴールを見届けることができず、0-5のまま試合は幕を閉じた。

ひとこと

 まぁ、これじゃ勝ちようがない。

試合結果

2024.2.3
プレミアリーグ 第23節
シェフィールド・ユナイテッド 0-5 アストンビラ
ブラモール・レーン
【得点者】
AVL:12′ マッギン, 16′ ワトキンス, 20′ ベイリー, 30′ ティーレマンス, 47′ モレノ
主審:ポール・ティアニー

マンチェスター・ユナイテッド【7位】×ウェストハム【6位】

トランジッションで勝機を見出した赤い悪魔が5強追走のポールポジションに

 前節はウルブスと豪勢な撃ち合いに興じたマンチェスター・ユナイテッド。今節もそのメンバーの大半をスタメンでキープする形で6位のウェストハムとの勝てば順位が入れ替わる一戦に臨むこととなる。

 ウェストハムの4-2-3-1は少し変わった人選のはめ込み。ジョンソンとクファルを併用するので、5バックかなとも思ったのだが、実際はSHにジョンソンが入るという少し変わった形の4バックだった。

 ただし、アプローチとしては同じ。サイドをきっちり埋めながら中盤のスライドと2列目の根性プレスバックで後方の守備の強度を担保するのがウェストハムのプラン。左サイドでは絶好調のガルナチョと1on1で張り合うことができるエメルソンがなかなかに頼もしかった。

 ボールを奪うと縦に鋭いカウンターを見せるウェストハム。左右のアタッカーにボールを預けながら前進をしていく。しかしながら、マンチェスター・ユナイテッドもマグワイアやカゼミーロといったベテラン勢の高い位置でのストッパー役がかなり効いており、なかなかウェストハムに攻撃を加速する機会を与えない。

 そしてマンチェスター・ユナイテッドはそのトランジッションから先制。カゼミーロが高い位置にスライドする形でボールを奪うと、そこから一気に繋いでゴール。ホイルンドの逆足シュートを終点とした切り返しはかなり見事であった。

 先行したことによりマンチェスター・ユナイテッドは少しずつボールを受けるフェーズに。しかしながら、なかなかサイドにギャップができることが少なく苦戦。対するマンチェスター・ユナイテッドも先制点以降は特に大きなチャンスもないまま試合はハーフタイムになる。

 後半の立ち上がりは両チームとも前半と同じスタンス。似た盤面の応酬となった。そうした中で早々にゴールを決めたのはマンチェスター・ユナイテッド。左サイドのライン感で浮くブルーノから逆サイドに展開して、最後はガルナチョが仕留める。直後にも左サイドからチャンスを作られたため、この時間のウェストハムのルーズさは少し前半から気になっているところであった。

 ウェストハムはこのマンチェスター・ユナイテッドのゴールの前後に左サイドからエメルソンが2つのチャンスを決め損ねると以降は沈黙。なかなかアタッキングサードに侵入することができない。

 逆にマンチェスター・ユナイテッドは終盤に追加点をゲット。マクトミネイのボール奪取から一気に攻撃を加速させると、仕上げはガルナチョ。冷静に試合を決める一撃を仕留める。

 ショッキングなリサンドロ・マルティネスの離脱以外は理想的な試合展開でウェストハムを下したマンチェスター・ユナイテッド。連勝で上位5チームを下すポールポジションに立つことに成功した。

ひとこと

 ポジトラは正義なマンチェスター・ユナイテッド。ウェストハムは全体的にルーズ。今季のらしいソリッドさが皆無だった。

試合結果

2024.2.4
プレミアリーグ 第23節
マンチェスター・ユナイテッド 3-0 ウェストハム
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:23′ ホイルンド, 49′ 84′ ガルナチョ
主審:アンディ・マドレー

チェルシー【10位】×ウォルバーハンプトン【11位】

脆すぎるカウンター耐性でトップハーフ入れ替わり

 リバプールに4失点というハードな敗戦を喫してしまったチェルシー。本拠地でのウルブス戦で再起を図る。敗れればウルブスと入れ替わる形でボトムハーフに転じてしまう一戦だ。

 ボールを持つのはチェルシー。バックラインからボールを動かしつつ、ウルブスのナローな3センターの脇から前進を狙っていく。ウルブスの中盤の守備はそこまでコンパクトではなく、特にDF-MF間のスペースは空いてしまっている。したがって、チェルシーは中盤で段差を作りつつ、縦パスの出し入れでブロック内にフリーの選手を作って裏抜けを行う。序盤に迎えたエンクンクの決定機などはこれがハマった形である。

 ウルブスは逆にボールを奪ったら素早く縦にカウンターで出ていく。2CHのスライドとWBの迎撃から中盤よりも前からボールを刈り取る形からポジトラを狙っていく形である。

 ボールを持つチェルシー、カウンターを狙うウルブスの構図から先制したのはチェルシー。中盤3人のブロック内での段差の作り方は見事。フリーになったカイセドからパルマーにラストパスを送り、これを冷静に沈めて先行する。

 しかし、ウルブスはすぐに反撃。チルウェルからのパスを受けたカイセドを捕まえると、素早く縦に進み幸運なディレクションからボールはネットに吸い込まれていった。

 以降もボールを持ちながらチャンスを伺うチェルシー。だが、ギャラガー、パルマーといった面々がブロックの外に流れてしまいエンクンクが孤立。左サイドもスターリングが起点になることができず、攻め筋から逆算したポゼッションができず。

 そんなチェルシーを尻目にウルブスは勝ち越し。再三繰り返されていた右サイドの裏へのネトの抜け出しから折り返しに合わせたのアイト=ヌーリ。こちらも幸運な跳ね返りからゴールに吸い込まれてリードを奪ってハーフタイムを迎える。

 後半も基本的には前半と同じ流れを踏襲。チェルシーはギャップを作りながらの前進を画策し、右サイドからの横断でスターリングが決定機を迎えるがこれを決め切ることはできない。

 攻撃の強度は問題ないが、非保持では苦しい対応が続くチェルシー。バックスの強度不足は後半も顕著。クーニャのポストによって前向きに攻める機会を得たウルブスの前線に苦しめられることになる。

 右サイドの抜け出しからネトがチェルシーの守備陣を切り裂くとインサイドで待っていたクーニャがゴールをゲット。この場面のようにチルウェルの裏を取られるシーンもあったし、シウバの対応は怪しかったし、グストはクーニャに振り切られてPKを献上するなどウルブスはやりたい放題。クーニャはPKを仕留めてハットトリック達成だ。

 オープンなカウンターでのびのびとプレーを続けるウルブスを咎めることができなかったチェルシー。2試合連続の4失点で連敗。3連勝からボトムハーフに転じることとなった。

ひとこと

 あまりにもポチェッティーノの風当たりが強まりそうな負け方過ぎる。

試合結果

2024.2.4
プレミアリーグ 第23節
チェルシー 2-4 ウォルバーハンプトン
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:19‘ パルマー, 86′ チアゴ・シウバ
WOL:22′ 63′ 82′(PK) クーニャ, 43′ ディザジ(OG)
主審:ティム・ロビンソン

ボーンマス【12位】×ノッティンガム・フォレスト【16位】

数的不利と拙攻で決め手を欠く終盤戦に

 プレッシングの姿勢に関しては両チームでは差があった。高い位置からのボールを奪いきるアクションを見せたのはボーンマス。ハイプレスでスタートし、ハドソン=オドイのような降りていく前線にも強気のプレスで対抗する。

 その一方で人とゾーンとミックスしたような守り方になっていたのはフォレスト。4-4-2ベースのゾーンと人をミックスした形での非保持が基本。中盤に対しては若干枚数合わせ的なニュアンスも見て取れるが、基本的には前から強引に取り切るというよりは誘導して狭いところで詰まらせるイメージだ。

 強気の姿勢を見せたボーンマスはセットプレーからあっという間に先制。前節と同じく相手との差があったプレスの意欲を生かして先制点にこぎつける。

 フォレストは前進の手段探しに苦戦。アウォニイは相変わらず奮闘していたし、エランガとハドソン=オドイというパートナーもスタメンに名を連ねている分、前節よりは楽だろう。しかしながら、決め切るところまでは至らず。セットプレーでチャンスを作るのが精いっぱい。

 プレッシングも先制点以降は高い位置から捕まえるために人数をかけていたが、前後分断気味でボーンマスには刺さらず。しかしながら、ボーンマスもまたロングキックというアバウトな展開に終始し、この時間帯は互いにチャンスが少ない流れになる。

 その流れを断ち切ったのはフォレスト。セットプレーからの二次攻撃をハドソン=オドイがミドルで仕留めて同点。ハーフタイム前に試合を振り出しに戻す。

 追いつかれたボーンマスは後半に強気のプレスで巻き返しを図る。だが、主導権を引き寄せるというよりは全体のテンポが流れることで単にアバウトな展開に転がっていった感じの方が個人的には強いのかなと思った。

 フォレストもその形に乗っかっていく形にはなるが、ボーンマスよりはスタンスが慎重。相対的に重さがある。そういう意味でも早い段階でカンフル剤となりそうなレイナを投入したのだろう。

 アップテンポな展開のあおりを受けたのはビリング。軽率な後方からのチャレンジで一発退場。ボーンマスはきっちりとブロックを組む方向にシフトする。

 フォレストは急にボールを持たされても・・という戸惑いを感じる終盤戦となった。1人多い優位を見せるどころか、逆にカウンターに割り切ったボーンマスにチャンスをなる場面も作られることすらあった。

 終盤は退場者と拙攻で決め手を欠いた両チーム。痛み分けとなるドローで勝ち点は1止まりとなった。

ひとこと

 アバウトな展開になった時に思ったほどボーンマスに流れが転がらなかったなと思った。

試合結果

2024.2.4
プレミアリーグ 第23節
ボーンマス 1-1 ノッティンガム・フォレスト
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:5‘ クライファート
NFO:45+1’ ハドソン=オドイ
主審:レベッカ・ウェルチ

アーセナル【3位】×リバプール【1位】

局面勝負で優位に立ったアーセナルが優勝争いに踏みとどまる

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 アーセナルにとっては上位争いに生き残るための大一番。ホームに勝ち点差5のリバプールを迎えての一戦となる。序盤はアーセナルの保持からのプレス回避が光る立ち上がりとなった。バックラインはしつこいくらいのパス交換を繰り返しながら、リバプールのプレス隊を前に引き出す動きを誘発。この辺りは中盤CHにジョルジーニョを起用した狙いが詰まっているといっていいだろう。

 ジョルジーニョ、ジンチェンコといったスモールスペースのマエストロがいる左サイドはとりわけリバプールとのプレスの駆け引きでは優位が見える。高い位置からのボールを奪いに来させると、その分空いた中盤のスペースを蹂躙するような細かなパスワークで前進。先制点の場面はまさしくアーセナルの狙いが詰まった場面といえるだろう。

 対するリバプールも低い位置からの保持で攻撃を回していくトライを行う。マック=アリスターをフリーにするためのパスワークを見せていくが、ハヴァーツの外切りからジョルジーニョがボールをハントしたり、中盤セントラルに絞る相棒役(ゴメスやジョーンズ)をライスに潰されたりなど思うように起点を作ることができない。

 大外専用機となったアレクサンダー=アーノルドは先制点以降によりマークが厳しくなったマック=アリスター以外の唯一の前進手段。ジンチェンコとマルティネッリの受け渡しが危ういところから、一気に大外を進んでいく。

 それでもチャンスメイクにはかなりの差があった両チーム。だが、そんな状況でも得点を生み出せるのがリバプール。サリバとラヤの連係ミスから生まれたわずかな隙から足先でボールを突っついたディアスがオウンゴールを誘発。諦めの悪いクロップのチームらしいゴールでハーフタイム前に同点に追いつく。

 前半の終盤の勢いそのままに左サイドから進撃していくリバプール。後半の立ち上がりはアーセナルのプレスに細かなミスが見えた時間帯だった。しかし、ジョルジーニョを軸に保持でテンポを整えて応戦。きっちりと敵陣に押し返す機会を確保する。

 すると、今度はリバプールのバックスにミス。風に煽られた影響かアリソンとファン・ダイクがうまく対応できなかったこぼれをマルティネッリが押し込んで勝ち越し。前半のアーセナルのミスとトントンになるエラーでアーセナルが勝ち越しに成功する。

 こうなるとアーセナルは堅さが際立つ。前線のプレスバックをさぼらないアーセナルにリバプールは苦戦。外や裏狙いの一発が刺さらず、なかなか相手を動かしてのスペース創出をすることができない。

 さらにはロングボールからアーセナルはコツコツ反撃。マルティネッリとハヴァーツを軸に左サイドにロングボールをガンガン当てていくと、最終的にはコナテを退場に追い込むことに成功する。

 最後はディアスとエリオットで守ることとなった右サイドをトロサールが制圧して3点目をゲット。リバプールに持っていかれかけた流れを引き戻したアーセナルが首位戦線に踏みとどまる大きな1勝を手にした。

ひとこと

 要素還元的に見てもアーセナルの勝ちは妥当。試合後の大喜び具合が彼らのプランがいかにハマったかを如実に示している。

試合結果

2024.2.4
プレミアリーグ 第23節
アーセナル 3-1 リバプール
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:14‘ サカ, 67’ マルティネッリ, 90+2‘ トロサール
LIV:45+3’ ガブリエウ(OG)
主審:アンソニー・テイラー

ブレントフォード【15位】×マンチェスター・シティ【2位】

曲者2トップのトリックプレーをフォーデンでひっくり返す

 シティがクラブW杯の出場の影響でエティハドでの対戦は延期となったこのカード。つまり、この試合がプレミアにおける今季最後の未対戦カードということとなる。

 立ち上がりはブレントフォードがハイプレスに出ていくスタート。リトリートと使い分けるという聞き分けの良さは見せていたが、強豪相手に3-5-2ハイプレスで立ち向かうブレントフォードはちょっぴり懐かしい。最近はそんなことをする余裕はなかった。

 しかしながら、ブレントフォードが積極的な姿勢を取り戻したこととシティがそれに対応できるかどうかは別問題。ハーランド、アルバレスといった面々が縦パスのレシーバーとなり攻撃は一気に加速。そこからゴール前まで一気に顔を出していく。リトリートよりの姿勢を見せたとしても2トップの脇から3センターの逆サイド脇を取るような横断を見せたり、あるいはアケがドリブルで相手のDFライン付近まで迫っていったりなど、あらゆる手段でブレントフォードの最終ラインに迫っていく。

 ブレントフォードは前を向く機会が少なく苦戦。偶発的にでもカウンターに移行できれば流石の鋭さを見せてはいたが、そうした機会を作ることに頭を悩ませていた印象だ。

 だが、そうした苦境を打破したのがブレントフォードの曲者2トップ。ゴールキックからのリスタートから先手を奪う。フレッケンが放ったロングキックに対して、トニーがアケをスクリーンしたことでモペイがGKと1対1の状況を作り出すと、これを冷静に流し込んで先制。ブレントフォードが2トップの連携で何もないところから得点を作り出してみせた。

 シティはパスミスを掻っ攫ったハーランドの1on1やグバルディオルのミドルなどゴールに迫っていくが、ここはフレッケンがファインセーブの連発で回避。なんとかリードをキープする。

 だが、そんなフレッケンの健闘も虚しく前半終了間際にシティは同点に。デ・ブライネのクロスへの跳ね返しが不十分なところをフォーデンにしたたかに沈められて試合はハーフタイム前に振り出しに戻る。

 後半も構造は同じくシティが保持で、ブレントフォードがカウンターでゴールを奪いにいくスタイル。後半はWBの攻め上がりのタイミングが早くなり、ブレントフォードのファストブレイクにはそれなりに迫力が出てきた。

 しかしながら、後半の主役はフォーデン。デ・ブライネのクロスからマークを外して追加点を奪うと、その後もゴールを仕留めてハットトリック。一気にブレントフォードを突き放す。

 1点差の段階ではトニーをフィニッシャーやチャンスメーカーとしてゴールに迫る機会もあったブレントフォードだが、シティの3点目で完全に勢いは停滞してしまう。

 またしてもモペイの先制ゴールを勝ち点に結びつけられなかったブレントフォード。シティが貫禄の逆転勝利で首位リバプールとの勝ち点を2に縮めた。

ひとこと

 トニーがいるとモペイが生き生きしていて見てて面白い。

試合結果

2024.2.5
プレミアリーグ 第23節
ブレントフォード 1-3 マンチェスター・シティ
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:21′ モペイ
Man City:45+3′ 53′ 70′ フォーデン
主審:ジャレット・ジレット

今節のベストイレブン

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