一瞬の切れ味が両軍の差を分ける
サウジアラビアで行われるスーペルコパの決勝のカードはエル・クラシコ。準決勝のマドリードダービーはかなりソリッドな膠着した展開が印象的だったが、クラシコは非常にオープンな試合展開に。立ち上がりから右サイドからの押し下げでマドリーがボックス内でチャンスを迎えたかと思えば、バルセロナはトーレスとギュンドアンという旧バルセロナコンビで右サイドから決定機を創出。序盤から敵陣迫る機会が多い展開になった。
そうした中で違いを見せたのはマドリー。オープンな中で両チームに違いがあったとすれば一瞬の切れ味だろう。ライン間で前を向いたベリンガムからクンデとの駆け引きを制したヴィニシウスへのパスは通った時点で一点もの。その3分後にはファーサイドのヴィニシウスによって位置を決められたアラウホを利用して抜け出したロドリゴが一瞬の切れ味で決定的なチャンスを作り出している。
バックラインからの一瞬の裏抜けであっという間に2点を手にしたマドリー。以降はボールを持つ機会が多くなったバルセロナは左右のクロスを軸に敵陣に押し込みながらプレーを行う。準決勝と比べるとマドリーはブロックのコンパクトさがかけていたため、バルセロナには十分入り込むチャンスはありそうな展開。レヴァンドフスキのボレーが決まったのはスーパーだが、こうしたシュートを打つために足を振り抜ける隙はマドリーのボックス内には存在した。
それでも再び突き放すマドリー。ボックスの外からのフリーマン×バックラインへ突っかける抜け出しというこの試合の鉄板の得点パターンで加点。アラウホがヴィニシウスを倒してPKを献上。これでヴィニシウスはハットトリックを決める。
後半頭からボールを持つのはバルセロナ。ゆったりとした保持からマドリーの4-4-2を壊しにいく。左SHで守備をしていたヴィニシウスのところはバルセロナからすると狙い目だったように思う。
だが、本来であればマドリーはそもそもこのポジションにベリンガムを置くことが多い。対面がCBのアラウホだからこそヴィニシウスを置いたのであれば、バルセロナがここからボールを運べないことは織り込み済みだったのかもしれない。そして、実際バルセロナはここのサイドの甘さを有効活用することができなかった。
マドリーはカウンターから虎視眈々とチャンスを狙う展開に。すると、64分に追加点をゲット。バルデの背後をとったバルベルデがバルセロナのDFラインを横に広げると、そこから逆サイドに大きく展開し、バルセロナの守備を横に間伸びさせる。隙が出たところに最後はロドリゴが仕留める。
このゴールとその直後のアラウホの退場で試合は完全に終了の様相。したたかに切れ味で圧倒したマドリーがバルセロナを捩じ伏せてスーペルコパのタイトルを手にした。
ひとこと
ホルダーがフリーになった時のできることの質とオフザボールの質。この2点の切れ味がマドリーの勝因ではないだろうか。
試合結果
2024.1.14
スーペルコパ・デ・エスパーニャ
決勝
レアル・マドリー 4-1 バルセロナ
アル・アワール・スタジアム
【得点者】
RMA:7′ 10′ 39′(PK) ヴィニシウス, 64′ ロドリゴ
BAR:33′ レバンドフスキ
主審:ファン・マルティネス・ムヌエラ