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「Catch up FIFA World Cup Qatar 2022 Asia qualifiers」~Group B Match week 5~ 2021.11.11

第4節のハイライトはこちらから。

目次

①中国×オマーン

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■遠さがる3強の背中。緻密さを欠き痛恨のドロー

 立ち上がりにペースを握ったのはオマーン。4-4-2で構えた中国に対して、アンカーの落ちる動きを軸にズレを作りボールを保持する。中国は中国でこの状況を受け入れる構えだった。

 オマーンの方針は相変わらずで、サイドはSB+流れてくる1人の選手くらいで、残りの選手はPA内に集中。エリア内の人数確保を実施し、クロスに飛びこむ選手を複数人準備するという方針で攻撃を行う。

 オマーンの攻撃にはいくつか気になる部分があった。例えば、サイドからクロスをあげるのがやや強引だったところ。以前はもう少しサイドに流れるのが積極的だったり、サイドでの崩しがもう一手、二手多く行われてからクロスを上げるパターンが多かったように思えた。

 この試合ではオマーンが比較的早い段階でのハイクロスを選ぶことが多かった。そうなると、エリア内のフィジカル面で優位を取れるわけではないオマーンはフィニッシュの局面で難を抱えることになる。そういう意味では今までのオマーンと比べて緻密さに欠けているように思う。

 オマーンは狭いスペースを打開する技術の高さや相手を吹き飛ばせるフィジカルの強さを持ち合わせているわけではないので、アバウトさが増してくると帰化選手たちを多く並べた中国に流れが傾く。狭いスペースに無理に通そうとすると、中国のカウンターの餌食になるオマーン。

 先制点を取ったのも中国。セットプレーには特段工夫があったわけではないが、オマーンはデュエルに対して後手を踏み、最後はウー・レイの動き出しに屈した。

 ビハインドに陥ったオマーンはサリーの頻度を増やし、SBが高い位置を取る頻度を増やすことでさらに攻勢を強める。前半は保持のオマーン、非保持の中国で均衡だった感じだけど、後半はややオマーンに流れたイメージ。しかしながら体力が続くうちにおいつくことが出来ず、選手交代で盛り返す中国に攻め返される。

 試合を分けたのはまたしてもセットプレー。点をとったのはオマーンの方。中国はGKが出ていったにも関わらず、触れなかったのが痛恨。ミスに分類してもいいセットプレーだろう。オマーンの猛攻フェーズを乗り切っただけにもったいなかった。

 そこから先はグロッキー気味に戦うことになった両チーム。カウンターの応酬で間延びした陣形で撃ち合いを行うも、最後まで点が入ることはなかった。3強についていきたかったオマーンとしては手痛い引き分け。内容的にも若干割引感が否めず、悲願のW杯はやや遠ざかった感がある。

試合結果
2021.11.11
カタールW杯アジア最終予選 第5節
中国 1-1 オマーン
シャールジャ・スタジアム
【得点者】
CHI:21′ ウー・レイ
OMA:75′ アル・ハルティ
主審:シバコーン・プウドム

②オーストラリア×サウジアラビア

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■3位を意識した手打ち

 日本がぼやぼやしている間に首位争いの主導権は取りこぼさないオーストラリアとサウジアラビアの2チームにゆだねられた感がある。日本を置いていくためにも負けられない両チームの一戦となる。

 試合は立ち上がりから緊張感のある内容だった。共に守備陣は高いラインを敷くが、むやみに高い位置からプレスをかけ続けるのではなく、相手を追い込みながら選択肢を狭めていくような前線のプレスを行っていた。

 このプレスの効き目がよりあったのはオーストラリアの保持の局面。オーストラリアのPA脇まで横幅を取って広がるCB2人とGKの3人のフラットなラインでのビルドアップやその先の選手たちがサウジアラビアの4-4ブロックにつかまっており、なかなか前進のしどころを見つけられない。加えて、オーストラリアは右サイドのセインズベリーを使ったボール循環はあまり行わないことで、大きく横幅を使う形も行われないため、前進のルートも限定的だった。

 その分、ビルドアップの人数調整に幅を持たせていたのはサウジアラビアの方。噛み合っている4-4-2の中でサリーでズレを作り、サイドから押し上げる3-2-5系の変形を実施。アフロでおなじみのアッシャラハーニーが不在でも左サイドからSB主体の攻撃を実施。SBのアッドーサリーを軸に、左サイドから押し上げる形で前進する。

 しかし、攻撃の面でうまくいっていたのはむしろオーストラリアの方。フルスティッチの大きな展開からメイビルの縦への展開や逆サイドのボイルまでのサイドチェンジなどプレスを脱出し、攻め切る形はいい感じ。ロジカルに前進が出来ていたのはサウジアラビアの方だけど、前進が出来てからゴール前に届かせるところまではオーストラリアの方。

 どちらかといえば展開にあったのはオーストラリアの方。早い展開が刺さり、敵陣のゴール前まで運べるシーンが徐々に増えるように。サウジアラビアはゴール前まで運ぶ馬力に欠けていた印象だった。ただ、オーストラリアはクリティカルな前進を連発できるわけではないので、サウジアラビアは前半の終盤はあえてオーストラリアにボールを譲ることで攻撃の威力を抑えていたように思う。スピードがなければ怖さはやや割引である。

 後半はさらにオーストラリアに流れが傾く。クリティカルな前進が無理ならよりダイレクトに!ということで、ワイドに張ったWGの裏へのパスを増やし、速い展開から前進するように。押し込んでからはタワー型のFWにクロスを放り込んで折り返しを狙うという流れでゴールにかなり近いところまで迫る。

 サウジアラビアは苦しみながらも痛がり祭りでオーストラリアを激怒させつつ、試合の流れをぶつ切りにするなどでこの展開を耐え忍ぶ。

 オーストラリアが仕留められないまま時間が過ぎると、70分を過ぎたところで試合はようやくサウジペースに流れる。ボールを取り返しにいくオーストラリアのプレスが効かない時間帯に突入し、サウジアラビアのショートパスな前進が目立つようになった。間延びをして受けるとバックラインの機動力に難があるので、プレスが空転しながら受ける形はオーストラリアにとって恐怖。

 しかし、サウジアラビアも強引に仕留めるまでは行けず。まぁ、彼らにとっては引き分けも悪くないのだろう。勝ちを目指していなかったわけではもちろんないのだけど、終盤に意地でも相手を置いていく!というよりはここらで手打ちするか!という感じも正直あった。もちろん、その手打ちの原因は彼らより低い勝ち点で迷える日本の存在があるからこそである。

試合結果
2021.11.11
カタールW杯アジア最終予選 第5節
オーストラリア 0-0 サウジアラビア
ウェスタン・シドニー・スタジアム
主審:コ・ヒョンジン

③ベトナム×日本

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■速攻以外のギャップが…

 5-4-1と5-3-2を併用して今最終予選に臨んでいるベトナム。彼らのこの試合での選択は5-3-2だった。5-3-2の場合、日本には2トップの脇からボールを持つ時間を捻出することが出来る。日本はこの場所からボールを進める。

   左サイドは守田がこの位置に降りることで長友を同サイドの高い位置に押し上げる。SHの南野は内側に絞ることで大迫のそばに位置する形である。

    逆サイドはもう少し流動的。2トップの脇は山根か田中のどちらかが使う。山根が高い位置に入るときは伊東は内側のスペースに入り南野と左右対称のナローな3トップを形成するが、山根が低い位置に入り田中が高い位置を取るときは伊東は大外に張る。どちらかといえば後者の方が割合としては多かっただろうか。

 変則的ではあったが5トップ気味になり、ベトナムの3センターを外から回るように超えることが出来た日本。だが、苦戦したのはそこから。5バックは5レーンを埋める相手にはマッチアップがはっきりしやすい。対人で上回る選手がいればいいのだが、日本はその糸口を見つけるのが難しかった。

   左の大外を取る長友には対面したWBを交わせる力はない。大外で優位が取れない5レーン型の攻撃はなかなかにしんどい。逆サイドの伊東も連携が不完全。押し込んでからの攻撃で光る部分はなかなか見えなかった。

 こういう停滞の時に期待されるのはここ数カ月増量中の川崎成分だろう。すなわち、守田と田中である。しかし、この試合の彼らの役割は前者が左サイドの低い位置まで降りて長友を押し上げる役割をやっていたのに対して、田中は前線に留まる役割。互いの距離が遠い上、オーストラリア戦で見せた均質的な3センターによるポジションの入れ替わりは鳴りを潜め、分業型での前進となっていた。

 前進はできる。けど5レーンで詰まった先は打開できない。ベトナムからはカウンターが飛んでくるという状況。日本にとって誤算だったのは日本の守備陣のカウンターでの対応が意外と危うかったこと。特に相手に反転を許したり、スピードで置いていかれる吉田麻也のパフォーマンスはちょっと不安定。勤続疲労か加齢の影響なのかはわからないが、ここでハイラインが維持できないようだと今後の予選の見通しはいろいろ変わってくる。

 逆に日本にとって幸運だったのはベトナムが前から捕まえに来てくれる意識を持っていたこと。早い攻撃ならば日本のWG陣のスピードを生かした攻撃が可能。まさしく日本のチャンスはこの速い攻撃から。大迫のポストから南野が裏を取り、いつの間にか伊東純也が相手を追い越しているという質的優位マシマシのゴールで先制点をゲット。ちなみに2点目も伊東純也マシマシだ!!になるはずだったのだけど、残念そこはオフサイド!である。

 ただ、日本のゴールを生んだベトナムの強気な姿勢も日本にとってありがたかったばかりではない。徐々に長友をプレスやロングボールの狙い目として前に進むチャンスを見出していた。

 後半も大きな展開は変わらず。日本の攻撃で気になったのはとにかくライン間を使わないこと。確かに5-3-2は本来ならば中央を固めており、攻撃側に外から壊すことを強要する形である。だけどもベトナムの3センターはサイドに拠るときに横並びが過ぎる。アンカーの位置に入る選手はIHの斜め後方に入るべき。ベトナムの中盤はこれを怠っているので、日本はとてもライン間への縦パスが入れやすい状況だった。

 にもかかわらず、日本はとにかくライン間にパスを入れられない。そもそもライン間に人がいないのもあるし、いても受ける気も出す気もない感じ。それならば裏抜け一本!!という形で浅野、伊東、古橋の三雄揃い踏みで出し手の柴崎までセット!というところまではわからなくもないけども、そうなった途端ボールキープとか始めちゃうのはどうして!ライン間で受ける浅野が松井大輔にダメだしされるというシュールな状況になっていた。

 ベトナムのカウンターには最後まで冷や汗をかいたものの、日本は何とか逃げ切り成功。残り20分くらいから85分のサッカーをやっていた感も否めないのだが、結果が大事と本人たちが言っているので、その結果をオマーン戦でも出してくれることを信じたい。

試合結果
2021.11.11
カタールW杯アジア最終予選 第5節
ベトナム 0-1 日本
ミー・ディン・スタジアム
【得点者】
JAP:17′ 伊東純也
主審:モハメド・ハッサン

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