複雑なトライを見せたウルブス
最下位のブレイズをホームに迎えたウルブスは非常に変わった試みをした。3-4-2-1にしてはいるが、フォーメーションはかなり変則的。後方は3バック+ジョアン・ゴメスの4枚が固定。CHの相棒であるレミナは序盤は右のハーフスペース、中盤以降は左のハーフスペースから前線に飛び出す役割。おそらく、ヒチャンよりも前線に飛び出す頻度は多かったように思う。
右サイドはサラビアが降りるアクションでボールを引き取りつつ、こちらもセメドが前後関係を壊しながら前線に飛び出していく。この辺りの自由度は相当ウルブスに許されていたように思う。ジョアン・ゴメスの相棒になっていたのはアイト=ヌーリ。彼が絞る役で中盤の左ハーフスペース付近を浮遊。左の大外にはネトが立つ。
想像ではあるが、欠場したクーニャが最近担っていたのは左のハーフスペースに降りる動き。大外に張るネトにより、解放されたアイト=ヌーリからのゲームメイクという新しい視点を与えたいのかもしれない。
最も基本的には前があけば突撃する仕様になっていたウルブス。非保持のオールコートマンツーも含めて気合いは十分。シンプルではあるが十分強力な方針。ネトをはじめとした俊足たちが続々と加速してブレイズの守備網に襲いかかっていく。
だが、ポジションチェンジと猪突猛進の指針のせいか、ウルブスはカウンターには弱かった。左右からマカティー、ブリュースターなどのブレイズの最終ラインの抜け出しからのロングカウンターで決定機を迎えることも何回かあった。
それでもウルブスは先制。常に2枚はかけているボックス内に飛び込み先制したのはサラビア。不思議なシュートでブレイズ相手になんとか前に出る。その後はやや攻め筋がマイルドに。保持時の布陣も大きくは動かさず、ウルブスは少し相手にボールを持たせる時間を作るなどで試合を落ち着かせていた。
迎えた後半、ウルブスは引き続きボールを動かしながら前半と同じ形で勝負。前半にソウザとアフメドジッチがチーム内で揉めるなど不穏な空気を見せたブレイズだが、後半の頭は球際に気合を入れて臨むことができていた。
基本的には後半はウルブスがボールを動かしながら押し込みつつ、ブレイズはカウンターから反撃を狙う展開が中心となる。アイト=ヌーリ→ドイルの交代が行われるとバックラインの動きは再配分。大外をトティ・ゴメスとネトの2人で賄うスタイルで大外をシェアする。CHをCHが行う分、よりシンプルなスタイルに回帰したといえる。
ブレイズはアフメドジッチの持ち運びで押し下げつつ、ロビンソンがロングスローで勝負をかけるなど、前進の気概を見せていた。後方の裏のケアではラローチの体の張り方も特筆すべき部分があったのも確かである。
しかしながら、最後までゴールを奪うことができなかったブレイズ。ウルブスから勝ち点3を取り上げられないまま試合は幕を閉じた。
ひとこと
可変へのトライは複雑だったが、狙いは少し見えにくいウルブス。次どうするのだろう。
試合結果
2024.2.25
プレミアリーグ 第26節
ウォルバーハンプトン 1-0 シェフィールド・ユナイテッド
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:30‘ サラビア
主審:ダレン・ボンド