MENU
カテゴリー

「Catch up FIFA World Cup Qatar 2022 European qualifiers」~Group B Match week 7~ 2021.10.9

 さぁさぁ、欧州予選も佳境ですね。

目次

①スウェーデン×コソボ

画像1

■ダイナミックな選択はわからなくもないが…

 9月シリーズでは検討を見せたコソボだが、3連戦の後ろ2つはあえなく連敗。スウェーデンとのアウェイゲームは上位進出を賭けるラストチャンス。敗れてしまえば、2位争いからは数字上で弾き出されてしまうことになる。

 4-4-2に迎え撃つことが容易に想像できるスウェーデンに対して、コソボがどう立ち向かうのか?と言うのがこの試合の最も注目のポイントだった。コソボが選択したのは4-4-2。スウェーデンと噛み合わせる形だった。

 コソボの視点からいえば一見ロジカルに見えるこの選択。だが、個人的にはちょっと色々悪手だったかなと思った。まず、スウェーデンはここ最近の列強国と同じくとりあえず3-2-5への変形を行うチーム。4-4-2で迎え撃ってもコソボは単に目の前の相手を捕まえればいいわけではない。

 加えて、スウェーデンはEUROの段階で特にこの3-2-5の移行をスムーズに行っていたチームの1つ。ひとりひとりが決まったポジションを取るのではなく、それぞれが周りの動きに合わせて上下動し、バランスを維持することができる。

 スウェーデンの保持が誰がどこに入るか決まっておらず、移動が多いとなるとコソボにとっては判断の負荷がかかる感じ。それならば5バックにしてとりあえずレーンを埋めてしまうやり方もありだったかなと思ってしまった。

 スウェーデンはサイドから安全にボールを運搬。左サイドのフォルスベリを軸に、内外を使い分けながらコソボ陣内に迫っていく。先制点こそVARサポートによって導かれたPK判定など苦戦はしたが、主導権を握っていたのはスウェーデンだった。

 コソボは保持においても正直いえば残念だった。こちらも変形しながら相手の4-4-2の穴を開けるやり方が輝いているチーム。だが、今回の試合ではその持ち味がほぼ出ず。直線的なロングボールから進んでいこうとすることを優先していた。

 確かにスウェーデンのバックスは機動力が足りていないので、早めに攻め落としてしまえば!というのもわからなくはないのだが、如何せん前線の空中戦の勝利が悪すぎる。全体の押し上げもままならないままに、蹴るのでセカンドボールもスウェーデンに。

 56分のシーンなど、長いボールでサイドに展開できた時はチャンスになったものの、コソボはそこに至るまでの状況を作り出すことができなかった。一方、そんなコソボを尻目にスウェーデンは得点を積み重ねていく。後半に生まれたイサクとクアイソンの得点はいずれもダイナミックでスーパーな得点。この試合のコソボのFWにやって欲しかった働きをスウェーデン側のストライカーがやって見せた。

 3-0で完敗となったコソボ。突破の可能性は完全に消滅。どうせ散るならロングボール主体ではなく、保持での変幻自在さの部分でスウェーデンに通用するかを見てみたかったところ。どうみても不利なフィジカル勝負に突っ込んで行ったのは、この予選でコソボを見守っている身としては少し勿体無いように思えた。

Pick up player:アレクサンデル・イサク(SWE)
 FWの個でワンチャンスを狙っていたコソボをワンチャンスで仕留めることで返り討ち。チームの核となるFWであることを示した。

試合結果
2021.10.9
カタールW杯欧州予選 第7節
スウェーデン 3-0 コソボ
フレンズ・アレナ
【得点者】
SWE:29′(PK) フォルスベリ, 62′ イサク, 79′ クアイソン
主審:マルコ・ディ・ベッロ

②ジョージア×ギリシャ

画像2

■機会の差がもたらすご褒美

 9月シリーズでスウェーデンを下し、W杯出場に一縷の望みを繋いだギリシャ。迎えるスウェーデンとのリマッチに向けて、ジョージアとの一戦は是が非でも落とすわけにはいかないという状況である。

 試合は非常に慎重な立ち上がりになった。ギリシャは時折前からプレスに行くこともあったが、WBが極端に前に出ていくシーンは限定的。WBが前に出ていく際は最終ラインがきっちりスライドして4バックを形成。4-4-2っぽく変形して全体の陣形の秩序が整っている状況へのスライドがセットである。

 ジョージアもギリシャに積極的にプレッシングを行わなかったため、試合は攻守の切り替えが少ない展開に。ジョージアは4-1-4-1気味のブロックで、1トップを明確に前に残しての守備をする。

 そのため、ギリシャは1トップの脇でボールを受けるポイントを作り、ジョージアのIHを吊り出すような動きで陣形を縦に広げにかかる。縦に引き伸ばして作ったスペースにギリシャはライン間にボールを入れることで前進していく。

 だが、ジョージアは守備における撤退が非常に早い。ギリシャが運ぶまでの時間ですでにMFも含めてPAを固める形で人海守備を完成させる。そのため、得点の機会として最も多かったのはセットプレー。FK、CKのシーンがジョージアのGKであるロリアを最も脅かした場面と言ってもいいだろう。

 ギリシャもなかなかチャンスは作れなかったが、ジョージアの拙攻はそれ以上。ギリシャがバックスにプレスをかける機会が少なかった分、後方は安定して保持することはできていたけど、そこから先に進む手段を見つけられず。シュートまで持ち運べるシーンとしてはギリシャのパスを中盤で引っ掛けてのショートカウンター。だが、ミタウカゼ1人ではうまく中盤の守備を限定するのは難しく、なかなかこちらも多くの機会を得ることができない。

 敵陣に運ぶ機会が多かったギリシャは後半には対角パスを駆使しながら陣形を横に広げる。前半と比べればさらに攻撃の機会と敵陣まで迫る頻度でジョージアに差をつけていった印象である。

 PAに運ぶ機会が結局この試合の勝敗を分けた印象だ。試合を決めたのはPA内でのジョージアのハンド。後半追加タイムにかかるところでようやく先制点を決めたギリシャ。優位に進めながらもスコアレスドローというシナリオも現実的だっただけにギリシャの面々には安堵の表情が見られる。

 ダメ押しの2点目を決めたのが途中交代のペルカス。ジョージアのミスを見逃さずに抜け出して、決定的な2点目を決める。粘るジョージアに冷や汗をかいたギリシャだったが、最後はPAに迫る頻度の差でご褒美をゲット。逆転での出場権獲得に望みをつなぐ勝利となった。

Pick up player:コスタス・ツィミカス
 割とここまでは味方に怒られるシーンが多かったけど、この試合ではビルドアップの立ち位置で味方に指示を出しながら相手を引き出す工夫を行っていた印象。審判にはスローインの時に前に出てきすぎで怒られていたけど。

試合結果
2021.10.9
カタールW杯欧州予選 第7節
ジョージア 0-2 ギリシャ
アジャラベット・アレナ
【得点者】
GRE:90′(PK) バカセタス, 90+5′ ペルカス
主審:ドナタス・ラムサス

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次