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「Catch up FIFA World Cup Qatar 2022 Asia qualifiers」~Group B Match week 4~ 2021.10.12

第3節のハイライトはこちらから。

目次

①日本×オーストラリア

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■分が悪い勝負に出てほしい結果を得る

 レビューはこちら。

 日本は前節からスタメンを3人入れ替え。出場停止明けの伊東純也に加えて、守田と田中を先発に抜擢。システムも4-3-3に変更して背水のオーストラリア戦に臨む。

 日本の4-3-3のテーマは大きく分けて2つ。1つは守備時におけるWGの外切りプレスである。前節のサウジアラビア戦と比べて、より高い位置からのプレッシャーをかけるスタイル。押し込まれずにミドルブロックを敷いてカウンターに移行するための方策だろう。仮に頭上を越されてもIHを行動範囲が広い守田と田中に入れ替えてあるので彼らに頼む!というやり方である。

 日本にとって幸運だったのはオーストラリアの最終ラインが4-3-3外切りの弱点であるWGの頭上を越すパスを使えなかったことである。これが出来ないおかげでオーストラリアは中央での崩しに終始する必要があったため、ビルドアップのエリアが狭く限定されてしまう。

    オーストラリアはWGにムーイを起用するなど保持の仕様は色濃く出してはいた。ムーイは余剰分子としてフリーマンになることはできていたが、外を使えないオーストラリアのビルドアップでは日本のプレスがなんとか機能している状況が続いていた。

 IHは上々の仕事をしたといっていいだろう。中盤での広い範囲でスピードが要求される守備に加えて、前線に飛び出す役割をこなし、前半早々に点を獲るのだから田中碧には恐れ入る。

 保持の局面においてはゆっくり攻める!がテーマだったが、オーストラリアの守備陣は機動力勝負に弱いうえ、日本は中盤でも前線でもスピードで優位だったので早く攻める場面が多かった。このあたりは相手に合わせての部分が強いので、悪いことではないのだけど、大迫が負傷離脱してしまうとよりゆっくり攻めるのは難しくなりそうなので、そのあたりをどうするかは11月の課題になりそうだ。

 日本は守備においても前がかりの意識は高まりは目立った。特に、WGの前プレの意識が強まり、SBを背中で消すことに失敗することもしばしば。CB→SBのルートはグラウンダーでは問題なくオーストラリアも通すことが出来ていた。この部分で縦に間延びをさせられた結果、日本は同点に追いつく。

 万事休すかと思った日本。ここからはスピード系アタッカーたちにすべてを託して賭けに出る。オーストラリアの方が好機が多かっただろうが、彼らが勝ちを目指してくれたことは日本にとっては好都合。最後は浅野がオウンゴールを誘発。

 外切りを壊された分、分の悪い賭けに出ざるを得なかった日本だが、何とか最後に欲しかった結果を手にすることができた。

試合結果
2021.10.12
カタールW杯アジア最終予選 第4節
日本 2-1 オーストラリア
埼玉スタジアム2002
【得点者】
JAP:8′ 田中碧, 86′ ベヒッチ(OG)
AUS:70′ フルスティッチ
主審:アブドゥラフマン・アルジャシム

②オマーン×ベトナム

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■見せ場はあるも拙い試合運び

 オマーンはトレードマークである4-4-2ダイヤモンドを封印。4-4-2フラットという新しい形でこの試合に臨んだ。おそらくこれはベトナムの布陣に対応するためだろう。ベトナムは5バックで中央を固めて後ろ重心ということで、SBにフリーで時間を得させるためにということではないだろうか。結果的にベトナムはこの日、普段の5-4-1ではなく5-3-2だったため、いつもよりサイドに人をおいたオマーンの形はさらにハマるようになっている。

 サイドから安全にボールを進めることができているオマーン。ただ、ここから先に何か工夫があるか?と言われると特にそういうわけでもない。だけども、押し込んでおけば事故るのが今のベトナムの守備陣のレベル。ラインコントロールは怪しいし、跳ね返しにも強くない。

 そして案の定、事故ってしまうベトナム。PK判定は少し意外な形で背後の相手に振った腕が当たったことが起因になっていた。しかしながら、これはアルハルディがミス。オマーンは先制点を得るチャンスを逃す。

 ベトナムはライン間のグエン・コン・フォンやグエン・クアン・ハイに楔を入れて前を向いてもらうことでチャンスメイク。ただし、ターンまで自力でやってね!という感じ。結構な難題だけど、これができていたときは前進できていた。

 しかし、先制点はややジリ貧気味のベトナムから。しかもほぼ奇襲と言っていいハイプレスから。ホー・タン・タイのボール奪取からショートカウンターが発動し、グエン・ティン・リンのゴールで先手をとる。

 だが、オマーンもすぐに追いつく。終始優勢だったセットプレーからのアクロバティックなゴール。CKからのこぼれ球をアル・サブヒが叩き込み前半のうちに同点に追いつく。

 オマーンは後半にもセットプレーからの追加点。ゴリゴリの力技で前に出る。試合の決定づけるオマーンの3点目は再びPKから。しかも、またしても同じく振った腕を顔に当てるファウルから。ベトナム、オフザボールにおける2回の顔面叩きで2つのPK献上ということになる。背中側にいる選手に対してなので、未必の故意って感じだけどとりあえず背負う時に腕振るのが癖になってるんだろうか。この試合の主審はオフザボールの競り合いにナーバスだったから1つ目のPKでアジャストしないとダメである。

 健闘するもオマーンのパワーに屈し、試合運びにも拙さを見せたベトナム。最終予選の経験の浅さを痛感させられる敗戦となった。

試合結果
2021.10.12
カタールW杯アジア最終予選 第4節
オマーン 3-1 ベトナム
スルタン・カーブース・スポーツコンプレックス
【得点者】
OMA:45+1′ アル・サブヒ, 49′ アルハルディ, 63′(PK) アルヤハヤエイ
VIE:39′ グエン・ティン・リン
主審:アドハム・マハドメ

③サウジアラビア×中国

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■安全第一でも崩し切れる

 日本を倒しての3連勝。グループ突破のライバルに早くも勝ち点差6をつけ、上々の序盤戦を過ごしているサウジアラビア。今節の対戦相手は前節辛くもベトナムをふりきることが出来た中国だ。

 試合は予想通りサウジアラビアの保持の時間中心で始まった。普段だったら3-2-5の変形から中央にパスを入れて、そこから左右に展開。クロスを上げるというのがサウジアラビアの攻撃の一連の流れなのだが、この日はサイドにボールを流す機会が多かった。

 その理由は中国の5-3-2の布陣にあるように思う。中央偏重のこの形に対して、サウジアラビアの面々は中央を避けたボール回しを行っていた。ナチュラルに配置をすれば、サウジアラビアの4-2-3-1は中央に2CH、トップ下がいるはずなのだが、この日は多くの状況でトップ下のアル=ファラジュのみが中央にいることが多かった。CHの2人はサイドに流れてブロックの外で受ける形である。

 そうなると、サウジアラビアは前に人がいないんじゃない?という状況になる。確かにこれまでのサウジに比べると攻撃の迫力は薄れている感もあった。だけども、その分サイドにおいて丁寧にラインを下げさせてしまえば十分にペースは握れる。

    中国の攻撃は明らかに2トップに渡してからのスピード勝負の様相だったので、進んでその機会を与えるようなショートカウンターをどうしてもサウジアラビアは避けたかったのだろう。ブロックにひっかけないように、外を回しながら押し下げるサウジアラビアだった。

 先制点はサウジアラビア。押し込んだ流れからのセットプレー。外循環がクリティカルに崩しに効いた感じはしなかったが、サイドからきっちり押し込んだゆえの結果だったとは言えるだろう。

 2点目は中国の手薄な大外を突っついたところから。中央を割れなくても問題なく外から叩き割って見せた。失点を重ねる中国は徐々に中盤より前の中央封鎖の意識が低くなってきたため、サウジアラビアはだんだんと外循環にこだわらなくても十分に崩せる展開になっていった。

 後半、中国は帰化組を一気に投入。すると、効果はすぐに。ゴンサアウヴェスのスーパーゴールであっという間に1点差に追いつく。しかし、日本戦でも述べたように中国の帰化組一挙投入は諸刃の剣。攻撃力が上がる一方で、展開をソリッドに維持するのは不可能で無秩序状態になる。

 中国の後半の動きが輝いたのはその一瞬だけ。それ以外の局面では前半よりもさらにのびのびとプレーするサウジアラビアの選手たちを前になす術がなかった。

試合結果
2021.10.12
カタールW杯アジア最終予選 第4節
サウジアラビア 3-2 中国
キング・アブドゥッラー・スポーツシティ
【得点者】
KSA:15′ 38′ アルナージー, 72′ アルブライカーン
CHI:46′ ゴンサウヴェス, 87′ ウー・シー
主審:タンタシェフ・イルギス

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