CFを生かした数少ない決定機を生かしタイトル奪取
中国FA杯の決勝はシーズン終了後に行われるらしい。11月25日の開催。先に取り上げた上海海港からおよそ1ヵ月後の試合。ACLの川崎戦直前の山東泰山の公式戦はこの試合ということになる。
立ち上がりから落ち着きのないロングキックの応酬。流れの中からチャンスを作ることができず両チームとも攻めあぐねる展開に。「これでは予習も何もないやないか!」と思ったが、山東泰山のサポーターが川崎の予習という名目で天皇杯の決勝を見たらきっと同じ感想を持つだろうなと思ったので、何も言える立場ではないのかもしれない。
2トップにボールをひたすら当て続けるといういつもの振る舞いから前進の機会を探る山東。上海申花のシャドーはかなり絞り目で守備をしていたため、山東のSBは比較的自由にボールを持つことができていたが、あまり何かをする様子はなかった。保持で相手を動かすという発想はそこまでもっていないチームなのだろう。
しかしながら、武漢戦あたりと比べるとフェライニとクリサンの2トップの機能性は低く、ボールを収めてもなかなかそこから前進のきっかけをつかむことができない。武漢戦と違うところを挙げると、フェライニも動き過ぎていた点が挙げられる。そういう意味ではクリサンはボックス内に常駐して勝負するタイプではないのかもしれない。
前線の連携という意味では上海申花の方がまだうまくいっていた。1トップのマレレを囮にシャドーの20番と17番があえて重なりながら抜け出す形を作ることでフリーになる場面もしばしば。追い越す動きやクロスへの飛び込みなどから山東泰山の選手のマークを外していく。
後半もひたすら同じ展開が続く両チーム。サイドから押し下げてクロスを上げていた山東の方が上海申花よりは攻めの機会は多いように見えた。
だが、先制点を手にしたのは上海申花。攻め手であるマレレを囮にしてシャドーが仕留める作戦がハマり、20番の于漢超が先制ゴールを決める。
直後に山東はビッグチャンス。フェライニのヘディングから抜け出す形で決定機を迎えるが、これを仕留めることはできなかった。
結果的には互いにCFを生かした形から得点を奪うことができるか否かで試合は決した感がある。以降もフェライニを軸に放り込みを続けた山東だったが、最後まで同点ゴールを決めることができず。ワンチャンスを決めた上海申花が決勝戦を制し、中国FA杯の王者に輝いた。
ひとこと
試合を見ている時には天皇杯は勝てばよかろう!と思っていたのだけども、勝ったとなるともうちょいいい勝ち方ができなかったかなと思う贅沢病。
試合結果
2023.11.25
中国FAカップ
決勝
上海申花 1-0 山東泰山
蘇州オリンピック・スポーツセンター
【得点者】
上海申花:64‘ 于汉超
主審:麦麦提江·艾合麦提