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「究極状態下で何ができますか?」~2024.2.13 AFC Champions League Round 16 1st leg 山東泰山×川崎フロンターレ マッチレビュー

目次

両軍の外国籍選手が流れを決める1st leg

 川崎の今季の開幕戦はまさかの中国から。飛行機で4時間、バスで4時間というハードな地から2024年の川崎は開幕である。

 立ち上がりは川崎のボール保持に対して山東がプレッシングをかけていく形。4-4-2で川崎のCB2人にカザイシュヴィリとクリサンが追いかけていくスタートだった。

 大南とジェジエウというビルドアップ期待値低めなCBセットの川崎は立ち上がりこそ前線に蹴る安全策を見せていたが、時間の経過と共にビルドアップで色気を見せるように。やや管理が甘めなアンカーにボールをつけたい様子を見せ始める。

 だが、この方向性はやや裏目に出た感がある。山東の中盤は後方を開けるリスクを気にせず、高い位置からのプレッシングで川崎を高い位置から潰すことを優先。佐々木のインサイドへのパスミス、橘田のコントロールミス、そして大南のパスミスなど、ボールの転がらない芝では少し不適切と言っていいプレーが続く川崎のビルドアップだった。

 高い位置でボールを奪った山東はプレッシングから直線的に進む、もしくは左サイドの奥を取る形で攻撃を進める。シュートが枠を捉えるケースもまぁまぁあり、ニアをきっちり締めてセービングするソンリョンの頼もしさが光るシーンが続く。

 しかしながら、プレビューに書いた通り別に山東はプレッシングに持ち味があるチームではないし、クリサンとカザイシュヴィリの2トップも特別運動量があるわけではない選手。15分を過ぎると少しずつ前線が追えなくなり、中盤が間延びするケースが出てくるように。

 川崎は逆に時間の経過とともに中盤のパスワークのチューニングがあってきた様子。マルシーニョの裏抜け、そして右の大外の家長にボールを預けながらサイドを軸に陣地回復していくシーンが増えていく。

 自陣に押し下げられるケースの増えた山東はロングキックから起点作りを狙う。中央のクリサンよりも途中から両サイドを狙うようになったのはジェジエウと大南よりも瀬川や佐々木を狙う方が得策と考えたのかもしれない。

 山東の前進がロングボール主体となり、川崎が落ち着いて押し返せるようになったことで少しずつ川崎は敵陣でのプレーが増えていく。そして、先制も川崎。ラッキーな形で転がり込んできたCKからハンドを獲得。エリソンが加入後初ゴールを決めて先行する。

 直後に川崎は追加点。ようやくフィーリングがあってきたパスワークを生かして右サイドから進撃。佐々木の相手を交わすプレーから右の家長への展開は見事。マイナスで受けた脇坂からのクロスは完璧に抜け出したマルシーニョにあってゴールに。

 前半に2点のリードを取れた川崎。以降はファウルやらなんやらで止まる時間が長くなるという難しい展開にはなったが、ソンリョンを中心とした守備でなんとか凌ぎ、試合は川崎の2点リードでハーフタイムを迎える。

 後半は一方的に山東が押し込む展開に。左右のサイドの奥を取りながらのクロスでゴールに迫る。クリサンが左に開きがちな状況はインサイドに高さがなくなるという点でそこまで怖さはないのだが、パトとフェルナンジーニョという2人の外国籍選手を山東が追加投入したことで、怖さは積み増しされた感がある。

 特にフェルナンジーニョは細かいタッチのドリブルで相手が飛び込むのを狙って交わす、もしくはファウルを奪うという点で厄介。左のカザイシュヴィリとセットで両サイドから突っつける個人が配置されたのは川崎にとって面倒だった。

 左右から押し下げられてのセカンド拾えないミドルでどんどん苦しくなっていく川崎。マルシーニョとエリソンがいる間はひっくり返す準備ができていた感じがあったが、彼らが下がってからはほぼほぼ無抵抗で押し込まれる時間が続く。

 そしてゴールを決めたのはフェルナンジーニョ。去年、腐るほど見た3センターが片側サイドに集結した結果、全部簡単に逆を取られてしまう形で逆サイドが晒されてしまうという川崎の切ない守備は今年も健在である。

 それでも川崎は山田と家長のワンチャンスから3点目をどうにか捻り出す。この2人はこれだけで褒められるくらいの大仕事。丸山を投入しての5バック移行という「2人で点をとってこい」というメッセージに見事応えてみせた。

 しかし、山東も食い下がる。左右から無限に放たれるクロスに攻め残ったジャジソンが競り勝つ。正直もう少しクロッサーには制限をかけたかったところ。田邉とファン・ウェルメスケルケンの投入はワンテンポ遅かったかもしれない。

 押し込まれる展開から2点を失ったものの、トータルでは勝利をした川崎。アドバンテージを抱える状態で等々力でのリターンレグに臨むことになった。

ひとこと

 押し込まれる時間が長かった分、2点取られるのは仕方ないかなという感じ。2人のブラジル人が下がった後に単純に出ていく手段がないのも問題だし、左右のWBの人選も含めた跳ね返し耐性の怪しさも気になる。逆に言えば、究極状態の時に何ができるかをこの試合では一足先に問われている気がするので、この内容から今季やりたいことを推し量るのはあんまり意味がないだろうなと思う。

試合結果

2024.2.13
AFC Champions League
Round 16 1st leg
山東泰山 2-3 川崎フロンターレ
済南オリンピックセンター
【得点者】
山東泰山:67′ フェルナンジーニョ, 85′ ジャジソン
川崎:28′(PK) エリソン, 33′ マルシーニョ, 79′ 家長昭博
主審:ムハンマド・タキ

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