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「Catch up J1 League」~2024.3.9 J1 第3節 FC東京×ヴィッセル神戸 ハイライト

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大迫の引力を利用して本領発揮の宮代

 全体的に前半を優位に進めたのは神戸の方だろう。攻守にFC東京にうまくプレッシャーをかけていたと思う。左のHSに流れる大迫へのロングボールを使った前進もそうだし、押し込むフェーズから生まれるセットプレーもそう。立ち上がり早々に敵陣に押し込む流れから宮代のシュートからハンドを誘発。PKを獲得する。だが、これは大迫が豪快に軸足を滑らせて先制の絶好機を逃すこととなる。

 FC東京はCBが広がりながら、自陣からショートパスを繋ぐトライをしていくがここも神戸の圧力が立ちはだかる展開に。FC東京の中盤と前線に対して神戸は徹底的にマンツーで捕まえ続ける。武藤がスイッチを入れれば前から捕まえにいく合図である。

 受け手が前を向けないFC東京はスムーズな前進ができず。荒木が前を向く形を一瞬でも作れれば可能性を感じることができたが、そうした機会はあまり多くはなかった。

 一方の神戸の保持に対してはFC東京はそこまでプレスをかけることができず。GKとCB、アンカーのひし形を捕まえきれない。FC東京のSHの守備は神戸のSBを基準になっていた。右のSBである酒井はビルドアップに関与しないだけで対面の遠藤を押し下げることができていた。

 神戸はプレッシャーの低い右から対角のパスで左の大外や前線を狙っていく。この前進のスキームはFC東京よりは安定しており、敵陣に押し込む機会が多かった。が、アタッキングサードの決め手に欠き得点に結びつけることができず。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。

 後半もペースは神戸。荒木はSBの位置に降りるなど縦横無尽にピッチを動いていたが、神戸のハイプレス継続に苦戦。バックラインからのプッシュアップは相変わらず効いており、FC東京から保持の自由を奪う。FC東京のチャンスはむしろトランジッション。バングーナガンデのボール奪取のような形での攻守の切り替えを生かす形の方が得点の可能性があった。

 先制したのはFC東京。数少ないチャンスを活かす。セットプレーからファーで構えていた小泉が前川のパンチングのボールを拾い、見事なシュートを決めた。前川はスーパーカップを想起させるような弾き方で失点をしてしまった感があった。

 だが、神戸は失点にも動じずに左右からのクロスで勝負をかけていく。同点ゴールを決めたのは宮代。大迫の背後に忍んだ形でクロスに飛び込んで追いつく。

 このチームは武藤とか宮代のように大迫の引力を使うのが上手いストライカーが多い。前進のロングボールは大迫に集まるが、クロスのターゲットは大迫を囮にしてスペースに飛び込む他の選手になることが多い。宮代は川崎ではブラジル人選手と組み合わせるといい感じで存在感があったので、それが神戸では大迫に変わったイメージだろう。

 その宮代はさらに決定的な働きを見せる。大迫の背後からの抜け出しに成功すると、トレヴィザンの一発退場を誘発。相手を10人に減らして見せる。このFKを大迫が仕留めて試合は神戸がリードを奪う。大迫は前半のリベンジ達成だ。

 神戸は小柏やシルバといった少ない人数でも攻撃を完結させることができる選手を投入する。だが、神戸は井手口を入れてトランジッションには備え十分。そのため、FC東京は反撃には至らず。前半も後半も試合を優位に進めていた神戸が順当な逆転勝ちを果たした。

ひとこと

 宮代の神戸での起用法をうまく提示した試合だったと思う。

試合結果

2024.3.9
J1リーグ
第3節
FC東京 1-2 ヴィッセル神戸
味の素スタジアム
【得点者】
FC東京:50′ 小泉慶
神戸:57′ 宮代大聖, 74′ 大迫勇也
主審:清水勇人

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