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「いいところのつまみ食い」~2024.5.19 J1 第15節 ガンバ大阪×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第15節
2024.5.19
ガンバ大阪(6位/6勝4分4敗/勝ち点22/得点11/失点10)
×
川崎フロンターレ(13位/4勝4分6敗/勝ち点26/得点21/失点20)
@パナソニックスタジアム吹田

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦でG大阪の3勝、川崎の7勝、引き分けが2つ。

ホームでの戦績

直近10戦でG大阪の3勝、川崎の3勝、引き分けが4つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • G大阪は9試合連続の川崎戦の未勝利を止めてから連勝中。2023年はシーズンダブル。
  • G大阪のホームでの川崎戦の直近3試合の勝利はいずれもクリーンシート。
  • 日曜日の対戦では直近6試合G大阪が無敗を記録(W4,D2)
    • 川崎は日曜のG大阪ホームでの試合で勝利したことがない。
  • 直近3回の対戦で2人の退場者が出ているカード。退場した選手はいずれもアウェイチーム側。

スカッド情報

ガンバ大阪
  • 内転筋の疲労で欠場が続いているウェルトンにはメンバー復帰の可能性がある。
  • 山田康太は臀部の違和感による欠場が続いている。
  • 三浦弦太は右膝前十字靭帯断裂と半月板の損傷で長期離脱。
  • ファン・アラーノは左ハムストリングの肉離れで欠場中。
  • 岸本武流は前節の東京V戦で負傷交代。
  • 松田陸、石川慧、中村仁郎、福田湧矢も欠場中。
川崎フロンターレ
  • 宮城天、大島僚太、三浦颯太は離脱が続く。
  • 丸山祐市、車屋紳太郎は完全合流。
  • 広島戦で負傷した小林悠は練習に合流。

予想スタメン

Match facts

ガンバ大阪
  • リーグ戦、直近3試合負けなし。
  • 直近3試合のリーグ戦では失点がない。
  • 首位の神戸に並びリーグ最小失点であり、最下位の京都に並びリーグ最小得点。
  • 勝利した6試合はいずれも1点差。
    • 敗北でも複数失点差がついたのは2-0で敗れた横浜FM戦1試合のみ。
  • 立ち上がり15分に失点がないチーム。
  • 宇佐美貴史はここまで4得点を挙げており、あと1得点で昨季のリーグ戦のゴール数に並ぶ。
川崎フロンターレ
  • 敗れれば4月以来の連敗。
  • アウェイゲームは直近6試合未勝利(D3,L3)
  • 大阪を本拠地とするチームとの公式戦では7試合勝ちがない(D3,L4)
  • 直近5試合のリーグ戦ではいずれも得点を決めており、うち4試合では先制点を決めている。
  • 山田新は直近3試合のアウェイゲームで2得点を挙げている。
  • 家長昭博はこのカードで8得点を決めており、中村憲剛に並んで最多。
    • うち2得点はG大阪所属として決めているゴール。

予習

第12節 C大阪戦

第13節 名古屋戦

第14節 東京V戦

展望

攻守に耐久度が高いハイクオリティなチーム

 内容の改善が見えていたかはさておいて、未勝利で手堅く勝ち点を積み上げているところに冷や水をぶっかけられた形となった鳥栖戦の川崎。今季は得点も失点も多いという出入りの多い不安定な状況が続いている。

 このタイミングで迎えるのは苦手な関西遠征。川崎とは現状では対角のスタッツである、リーグ最小得点と最小失点をコンボで達成しているG大阪との試合である。

 G大阪の戦いぶりはその手堅いスタッツととてもリンクしていると言っていいだろう。直近3試合は無失点で負けなし。特に固い守備は目立っている。

 ビルドアップはショートパスを使うことが多い。バックラインでは福岡、中谷、一森、鈴木、半田の5枚は必ずビルドアップに関与する。鈴木じゃない方のCHはネタラヴィであれば低い位置で受けたがるし、ダワンであれば前に上がったりサイドに流れたりする頻度が多く、ビルドアップは時々顔を出す。

 試合によって役割が異なっていたのは黒川。名古屋戦ではほぼビルドアップに関与せずに右のSHの岸本と左右対称の立ち位置を取っていた。ただし、よりハイプレスで向かってきた東京V戦では低い位置でビルドアップに参加。試合によって出てくる枚数を変えているのかもしれない。

 基本的にはGKを除いて3-2もしくは4-2のような形で保持を組むG大阪の後方ブロック。ここから流動性を持たせているのは半田と鈴木。インサイドに入り込む半田はここからさらにサリーでCBの間に入るなど、非常に幅広く動く裁量を与えられていく。低い位置でボールを動かすことだけでなく、前線にも飛び出すアクションを見せている。ややビルドアップ成分が強めの毎熊っぽい役割を与えられているように思える。

 鈴木はより素直にサリーでバックラインに下がっていく。この動きによって相手の中盤を手前に引き出すと、これによって生まれたギャップに倉田や宇佐美、坂本が入り込む。

 手前に降りる役割が決まっていないのが非常にG大阪の厄介なポイント。坂本であればターンしてのドリブル、宇佐美と倉田であればポストからのパスワークでの更なる前進などここからの手数が豊富。このサイドでタメを作ることができれば、左サイドの攻撃におけるストロングの1つである黒川のオーバーラップも促すこともできるので、守備側はここで後手に回ると厳しい。

 同サイドが封じられているのであれば、鈴木は対角パスで逆サイドへのフィードを飛ばすこともできる。味方のオーバーラップでの連携の中から攻略方法を使える岸本と独力でマークを剥がせるウェルトンはそれぞれの持ち味が異なる選手であるが、ここ2試合でウェルトンが欠場した試合はアタッキングサードの迫力に欠けた感もある。基本的にはビルドアップに人数をかけることを厭わないからだろう。手早く少ない人数で攻略するには岸本よりもウェルトンの方が向いている感がある。

 ただし、後方のビルドアップ隊のプレス耐性は非常に高く、ハイプレスからボールを奪い取ることをイメージするのがリーグの中でも最も難しい部類に入るチームと言えるだろう。直近3試合を見ても、ハイプレスに対して蹴らされて回収される場面はあっても、ハイプレスに完全に屈してしまう場面はほぼなかった。この辺りの耐久性はさすがである。

 守備に関しては基本的にはミドルブロックが軸であり、縦にコンパクトな陣形を敷くのが特徴。バックラインの設定は極端に低くはないが、中央のスペースはほぼほぼない。相手のバックラインにボールを持たせることは多いので、CBを起点にサイドと裏にギャップを作ることを狙いたいところである。

 ボックス内での対応も非常に安定感が高い。特に中谷は昨年に比べても対人戦は安定しており、ビルドアップでも思ったほど足枷になっていない。単純なクロスであれば多くのチームは無効化できるだろう。

 前線でプレスのスイッチを入れるケースはサイドに追い込むことができた時、もしくは即時奪回。全員がコミットしているが、その中でも目を引くのは宇佐美の献身性である。即時奪回における出足は良好で、大阪ダービーでは敵のキーマンである登里を追いかけ回して潰していた。攻撃センスを据え置きに守備からもリズムを作れるのが今の宇佐美。従来とは異なるキャラクターの選手として考えなくては行けないパフォーマンスを見せている。

 基本的には力があるチームであり、特に相手が突きつけてくる局面に対する対応力が高い。少し物足りないところをあえて挙げるとすれば、自分たちが持ってきたい局面を強引に引き寄せるパワーはあまりなさそうなのと、ウェルトン不在時のサイドアタックの威力くらいだろうか。川崎にとっては厳しい戦いになるだろう。

どの局面でも困難は伴う

 まずはビルドアップ隊に対する対応が難しいところ。この試合でゴミスと遠野のコンビを復活させるのであれば、鈴木や半田といった中盤の選手をどのように管理するのかが難しいところ。札幌戦のようにアンカーに自由にボールを持たせてしまった時のダメージはおそらくその試合の比にならない。

 ゴミスは昨年の試合を見る限り、強引にプレスに行かない我慢の仕方もできる選手だし、遠野も鳥栖戦の序盤の河原の受け渡しは悪くなかった。コンパクトな4-4-2の旗頭として我慢のプレスを行ってほしいところである。

 ただし、仮にプレスに行かないとなるとG大阪は黒川をビルドアップ隊からリリースして大外を任せる形になるだろう。黒川はエンド側から抉るようなドリブルを見せてマイナスのクロスを見せることができる選手であり、初手の対応の遅れが致命的になる。家長が下がるのか、それとも、中盤が下がって受けるのかなど川崎は守備の対応をはっきりとさせたいところである。

 ただし、この左サイドは2列目よりも前の選手の降りるアクションが多く、CHの意識が後ろにいってしまうと今度は手前が空いてしまうという難点がある。宇佐美も倉田も坂本も放っておくとめんどくさい以外の何者でもない。先に挙げたプランを使うのであれば、出ていくSBのカバーと降りる2列目を捕まえるアクションのコンボというかなりハードな守備のタスクを背負うことになる。個人的にはこれができそうなコンビは川崎では橘田と瀬古しか思い浮かばない。

 逆サイドではウェルトンの1on1にも対応しなければいけないなど、引いたら引いたで困難は待ち受けている。だが、出ていくよりはまだきっちり受ける方が可能性はあるかなという感じ。手堅い展開での我慢比べに早い時間で音を上げると一気に試合は苦しくなる。

 攻撃の手段を探すのはとても難しい。G大阪はプレスに関する執着はそこまでないため、前線に蹴るアクションを織り交ぜることができれば十分に撤退させることはできるだろう。ただ、一発でDF陣が置いていかれる形でのピンチはあまりないので、マルシーニョを使ったロングカウンターが刺さるかは怪しいところではある。

 G大阪の守備は明確なターゲットをきっちり潰すことは得意な反面、初手でのプレスが遅れると芋づる式にピンチが広がり背後を取られるシーンはある。繋いで食いつかせて背後をとる、もしくはボールがある位置と遠いところから裏を取るアクション。例えば、ファーサイドで背後を取る形でボックスに入り込むアタッカーへのアーリークロスとかは面白いかもしれない。直近の失点である鹿島の2ゴールはいずれもサイドチェンジとラインブレイクのミックスのような大きな展開が大きな鍵を握っている。

 そうした細かな動き方であれば、もしかするとマルシーニョよりは瀬川の方が向いているかもしれない。守備のタスクの重さは伴う展開が想定できるので、その点でも瀬川の方が適しているとはいえそう。

 マルシーニョを生かしたファストブレイクを使うにしても、まずは手前に食いつかせてから背後を取らないとチャンスを作るのは難しい。前線への飛び出しに関しては彼だけでなく山田や遠野、瀬古などいろんな選手が飛び出していく鳥栖戦の前半がとても良かったので、ここと同じクオリティを出せればまずはG大阪の守備を縦に間伸びさせる事はできるかもしれない。

 守備は多摩川クラシコのようなコンパクトさ、攻撃では鳥栖戦の序盤の裏抜けでの間延び誘発。いい時間帯のいいところをつまみ食いするような形にならなければ対抗できないのはしんどいところであるが、なんとか難敵とのアウェイゲームで勝利を持ち帰りたいところだ。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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