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「どこから悪循環を止めるのか」~2024.5.25 J1 第16節 川崎フロンターレ×柏レイソル プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第16節
2024.5.25
川崎フロンターレ(14位/4勝4分7敗/勝ち点16/得点22/失点23)
×
柏レイソル(10位/5勝6分3敗/勝ち点21/得点16/失点16)
@Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦で川崎は6勝、引き分けが4つ(PK戦含む)。

川崎ホームでの戦績

過去10戦で川崎の6勝、柏の3勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 川崎は直近12試合の公式戦の柏戦で無敗(W7,D5)
  • 直近22回のリーグ戦で柏が川崎より上の順位でこの対戦を迎えたのは一度だけ。
    • 2022年の等々力。3位の川崎がレアンドロ・ダミアンのゴールで2位の柏を下している。
  • 等々力でのリーグでの柏戦は川崎の6連勝中。
  • 柏は直近3回の等々力への訪問で一度も得点を奪えていない。
    • 2020年の呉屋大翔が最後。

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • 宮城天、大島僚太、三浦颯太は離脱が続く。
  • 丸山祐市、車屋紳太郎、小林悠は練習に合流との報道があるがメンバー外が続く。
  • メンバー外が続いていた山本悠樹は完全合流。
  • G大阪戦で交代した瀬川祐輔は脳震盪の回復プログラムに基づいた治療を実施中。
柏レイソル
  • ジエゴは累積警告による出場停止。
  • 高嶺朋樹は右膝内側側副靭帯損傷による長期離脱中。

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • 敗れれば今季2回目の3連敗。
  • しかしながら、ホームゲームでは3戦無敗で2連勝中。
  • ホームでの3回の勝利はいずれも過不足なく3得点を挙げている。
    • 4点を奪った磐田戦は敗戦。
  • 直近2試合で8失点を喫しており、それ以前の10試合の合計と同じ。
  • ここ6試合全てで先制点を奪っているが、4回は勝ち点を落としている。
    • 逃げ切った2つはホームゲームで、落とした4つはアウェイゲーム。
  • 柏とのリーグ戦でゴールを奪った直近3人の選手はいずれもそのゴールがシーズン2得点目だった。
    • 2023年等々力での小林悠、登里享平。日立台での橘田健人。
    • 今季リーグ戦でここまで1ゴールの選手は瀬川祐輔、佐々木旭、橘田健人、小林悠、高井幸大の5人。
柏レイソル
  • 勝てば2022年8月以来のリーグ戦3連勝。
  • 今季のリーグ戦で挙げた5勝はいずれも1点差での勝利。
  • 公式戦直近7試合でクリーンシートがない。
  • アウェイでのリーグ戦は直近4試合未勝利(D3,L1)
  • 今季ここまで2つのPKを獲得しているが、いずれも決めることができていない。
    • それぞれ細谷真大、マテウス・サヴィオがキッカー。
  • 木下康介は交代から4得点を挙げておりリーグハイ。ここまで440分の出場で5得点を挙げている。

予習

第13節 FC東京戦

第14節 湘南戦

第15節 札幌戦

展望

ブロック崩しに変化の兆しが見える右サイド

 GWを無敗で乗り越えた川崎はそこから再びつまづき今季3回目の連敗。アウェイでの成績が上向かない川崎はホームに戻って得意の柏戦からリカバリーを図りたいところである。

 柏は井原監督が昨季から続投。よって、ベースは昨シーズンと同じと言って差し支えないだろう。メンバーが入れ変わっているところもある。CHを務めていた椎橋は名古屋に移籍、高嶺は長期離脱と昨季のレギュラーがそれぞれの事情で不在。土屋、戸嶋、白井、熊澤らがこのポジションを埋めている。いずれの選手も頼もしい戦い方を見せている。ハードなタックルからプレスに加わることができる土屋や、綺麗なフィードを蹴る熊澤は予習した試合ではなかなか面白いパフォーマンスを見せていた。

 基本的には強みも弱みも昨シーズンがベースになっている。4-4-2で構えつつ、あるところでスイッチを入れてここから一気にプレスをかけていく。中盤より前でボールを奪うと、ここからショートカウンターに移行。左右に流れる細谷となんでもできるサヴィオを軸に少ない手数でゴールを陥れていく。

 自陣からのビルドアップではSHが内側に絞り、大外をSBに明け渡す形が多い。CFのポストプレーやパスワークから中央で時間を作り、大外のSBのオーバーラップがギャップを埋めるところまでは待つ。特に左サイドで効果的なオーバーラップを見せるジエゴを活用する形は相手を押し下げるのに有効である。だが、この試合ではジエゴは出場停止である。またかよ。

 昨季と比べて少し変化が見えるのは右サイド。枚数をかけての崩しの精度は少し上がっている感じがする。湘南戦の木下のゴールのように、複数枚かけての細かいパス交換からインサイドレーンでの抜け出しを決め手としてゴールを陥れる形はこれまでの柏にはあまり多くなかった部分。関根、島村という右サイドの縦のユニットに加えて、こちらサイドに流れる細谷も絡めつつ、外から内に入ってきての崩しは少しずつ板についているのかなという感覚はある。

 ただ、アタッキングサードにおける一呼吸の入りにくさという課題は相変わらず。テンポが急いていることは多いので、点で合わせるプレーが連続で決まらないとゴールまで辿り着きにくいという課題は依然として残っている。

 個人で目につくパフォーマンスを見せているのは木下。交代からリーグで最も多くの得点を挙げている選手。ボックス内にどっしりというよりも左右に動きながら起点になりたがる細谷にとっては、木下のようにフィニッシャーとして勝負できる相棒がいる方が自由に動き回れる部分があるのかもしれない。

お決まりの逆転負けの流れを防げるか

 鳥栖、G大阪と同じく川崎にとっては4-4-2と対峙する一戦となる。連敗という結果とは裏腹に相手の4-4-2をバラすというアプローチに関してはこの2試合で十分にできている川崎。特にG大阪戦の前半の出来は圧巻。あの出来を90分キープできるのであれば、多分4-4-2ベースのJのチームであればそれなりに攻略できるだろうという感じのクオリティであった。

 柏はスイッチを入れた時の前向きのベクトルは強めのチームではある反面、DF-MFの間のスペースは空きやすいチーム。ハイプレスを回避する手段としてはゴミスへの長いボールを使いながら前向きの選手を作りたい。まずはMFの後方を使いながら柏の中盤のプレスへの出足を鈍らせていきたい。

 中盤の出足が鈍くなると、今度はFW-MFの間のスペースが空くはず。橘田、脇坂などこのスペースの降りてくる川崎の中盤に対して大南とジェジエウで縦パスを通すことができたのは前節の収穫でもある。特別な足技はなくともきちんと角度をつけつつ相手を引き寄せることができればコースは空くことを教訓として、ソンリョンがGKに戻ったとしてもこのビルドアップは継続していきたいところである。

 アタッキングサードに押し込むことができれば、柏の左右のSHは下がる傾向にあるので、カウンターの脅威も下がる。ハーフスペースアタックを仕掛けるとCHもDFラインに吸収される。そうなった場合はバイタルのスペースを活用して、下がったブロックの外からミドルやラストパスを仕掛けていきたい。

 ゴミスをCFで固定したことでアタッキングサードの攻略のバリエーションは見えつつある。ニア側にゴミスがいる時は斜めのパスのレシーバーとして深さを作ってもらい、自身の反転or落としからのシュートもしくはラストパスの二択を突きつけたい。要は札幌戦の1点目のような形である。ニア側のCBの注意がゴミスに行っている分、周りの選手はその周辺を攻めていきたいところである。

 ゴミスがファーに構える時は自陣から遠い側のCBをピン留めする。こうなった場合はファーに遠ざかるゴミスとクロスオーバーする形でインサイドに入り込む形を作っていきたい。もちろん、G大阪戦の瀬川のゴールのイメージ。逆サイドの選手がクロスに飛び込むイメージは比較的少ないチームではあるが、この形を駆使すれば高さがないというデメリットは気にしなくていいので、積極的に活用したい。ゴミスを基準とした崩しのバリエーションは強化していきたいところである。

 逆にファーサイドに向かってくるクロスを受ける立場での対応は川崎の失点の温床でもある。クロス対応のミスが続いている上福元がファーのボールに出てこられなくなっているというのはすでに多くのチームによってバレている感があり、この形は集中的に狙ってくるはず。出ていける場面においてはきっちりパンチングでのクリアでピンチの芽を積んで欲しいところ。それができなければ、いくらスーパーセーブをしてもビルドアップで起点になれても採算は取れない。GKの対応で付け加えると、最近の柏はミドルシュートが冴えているので、弾く方向をきっちりと定めて対応したい。

 クロス対応のミスに加えて、川崎の悪循環パターンとして挙げられるのは安易な自陣でのターンやパスの選択により、逆転で勢いに乗っている相手チームの餌食になる流れ。柏はこうした流れに乗って前に圧力をかけてくることが上手いので、きっちりと前に蹴っ飛ばしていきたいところ。オープンな展開になる終盤戦にエリソンと山田の連携が成立すれば、もう少し勝手が違うのだけれども。

 総じて、ここ最近の川崎の流れは4-4-2をバラして先制点を手中に収めつつも、クロス対応とボール回しの過程でミスが出て流れを悪くし、オープンな展開で交代選手が生きずに逆転負けを喫するという流れ。2試合連続終盤のゴールで勝っている柏との対戦は巡り合わせ的にいいものではない。悪循環の原因になっているクロス対応、ボール回しでのミス、交代選手の不発のどこかを止めなければ、90分間単位での安定した試合運びを望むのは難しい。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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