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「行きたかったよ沖縄キャンプ」〜川崎フロンターレ 2024 編成レビュー

 沖縄キャンプの真っ最中ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。今季は初めての試みとして編成予想の記事を書いたので、答え合わせの記事も書きましょうという企画です。参考とする記事はこれになります。振り返りもここをベースに書いていきますのでまだの方はご一読を。それでは行ってみよう。

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目次

GK

<補強事前予想>
・何かがあった場合のGK(優先度:低)

<結果>
IN→なし
OUT→なし

大枠のスタイルに起用法は左右される

 今冬は他に賄わないといけなさそうなポジションが多かったため、後回しになるだろうなという予想は当たった感がある。脳内編成会議の記事でも書いたが、GKは後方から時間を作る新スタイルにチャレンジするのであれば上福元、そうでなければソンリョンが基本線になると予想している。

 今季はシーズン序盤に重要な試合が組まれている特殊なシーズン。キャンプで漏れ聞こえてくる話を踏まえても、ACLのノックアウトラウンドにおいては昨季のプランを踏襲する形がベースになりそうである。前線の面々はある程度序盤戦から目途が立ちそうなので、蹴っ飛ばしてもOKになりそうである。

 そうなれば、少なくとも山東泰山戦はソンリョンが引き続き正守護神となるのが既定路線になるだろう。ACLが終わったタイミングでスタイルの構築に挑むかどうかを再検討することになるはずだ。

 少し気になるのはルヴァンカップの形式変更。これはどのポジションにも言えることではあるがトーナメントになり、かつ序盤のラウンドは免除になっているため、今季の川崎は天皇杯まではテスト色を強めていいポイントはかなり少なくなっている。

 よって、テストをするには能動的に人を入れ替える必要がある。GKはそうした入れ替えのハードルはどうしても高い。不調であれば入れ替えやすいが、チームがうまくいっている中でそうした変更をするのは難しい。

 その話と似通っているのであるが、昨季を踏襲したロングボールを主体としたスタイルがACLでうまくいった場合、はたしてそもそも新しいスタイルに舵を切るのかどうかも気になるところ。。必要は発明の母という言葉を割と個人的には信用しているのだけども、そうなった場合もある程度能動的に新たなチャレンジに舵を切る必要がある。

 今季の川崎はそれなりの試合数をこなす公算が強い。個人的には選手の入れ替えを能動的にやることと保持のスタイルの確立は必須のように思える。昨季はリーグ戦の重要度が相対的に下がることで週1フォーカスによる完全ターンオーバーと強度勝負での割り切りが成立したが、「とれるタイトルすべてにチャレンジ」という鬼木監督の言葉を正面から受け止めるのであれば昨季とは異なるアプローチは必要になる。GKの人選はそうしたチームの方向性に左右されるものになるのではないだろうか。

CB

<補強事前予想>
・2000分以上のプレータイムが期待できる左のCB(優先度:低~中)

<結果>
IN→丸山祐市
OUT→山村和也

不確定要素が多く見通しは難しい

 補強の優先度は低~中としたが、これはあくまで現有戦力が残留する前提。山村がいなくなるとなれば優先度は引きあがるだろう。

 このポジションはかなり不確定要素が大きい。長期離脱を経験している田邉、ジェジエウ、車屋(これを書いている最中に半月板の手術のリリースが出た)がいて、五輪メンバーの当落線上の高井もいる。枚数自体は正直十分にいるのだけども、ある程度プレータイムが計算できる働き盛りの選手は大南ただ一人である。

 というわけで彼とジェジエウがいる右は補強ポイントから除外。左がポイントとなる。展望では「高井のプレータイムを削ってでもポジションを与える価値がある選手」であることを補強の理想として述べた。

 正直なことを言えば、丸山はこの点では個人的には微妙。名古屋やFC東京でのプレースタイルを踏まえると、基本的にはボックス内を守ることに長けており、広い範囲をカバーすることはキャリアを通じてやってきていない。そのため、さらされることが多い川崎のCBとしてはあまりキャラクターがマッチしていないように思える。

 同じアジリティに問題を抱える山村と比べても、空中戦での強みはない。左足のフィードは確かに持ち味ではあるが、一発勝負パスを通すイメージが強く、山村のようなキャリーや対角のパスで開けた場所にボールを逃がす印象もない。元来の強みであるボックス内での強度は往年の水準にはないし、怪我も増えており稼働率の部分でも不安はある。

 もちろん、こうしたことをすべてひっくり返してくれることを望んでいるのだが、現状では不安が先立つのが正直な印象。ただ、このポジションは市場を見渡せばどのクラブもかなり穴埋めに苦労しているため、多少マッチしないキャラクターであっても人員を確保できたことは前向きにとらえるべきかもしれない。

 いずれにしても時間を前に送るのにはこのポジションの保持におけるスケールアップが必要。ただ、キャンプでは負傷者やACLなどを考慮すると保持面でのフォーカスをしているとは思えないので、実際のところはシーズンを進めながらできることとできないことを切り分けながら整理する必要がある。

SB

<補強事前予想>
・登里をプレータイムで上回れるLSB(優先度:中)
・山根退団時のRSB(優先度:最高)

<結果>
IN→三浦颯太、ファン・ウェルメスケルケン・際
OUT→登里享平、山根視来、神谷凱士、松長根悠仁(レンタル)

意外性がある結末を迎えても不思議ではない

 両サイドのレギュラーを失うという意味でもっともセンセーショナルな入れ替わりとなったポジション。特にノーモーションで繰り出された登里の退団に関してはかなり衝撃が走ったことだろう。

 C大阪は畑の獲得が頓挫した流れから登里を狙うという話になっていたので、三浦の獲得と登里を放出する因果関係がどこまであるのかは外からではわからないが、いずれにしても、市場に多くの人数が出回っているわけではないポジション。三浦は争奪戦になったと聞いたが、取引を早々にまとめたのは大きい。明本を失った浦和が本気を出してくれば、条件面では優位はないだろうし。

 山根の退団は昨季の谷口に並ぶ鉄人の退団という意味で特大インパクトがある案件。こちらはフリーでファン・ウェルメスケルケンを手にした。本職不在となるRSBに実力者を迎え入れられたのは大きい。

 ただし、週に2試合を任せてもビクともしない山根の鉄人さは明らかに別格。数年前に膝の怪我をして長期離脱を経験しているファン・ウェルメスケルケンに同じことを求められるかどうかは未知数である。

 というわけで左右共に例年以上に複数の選手にチャンスがありそうな状況である。左右どちらもできる佐々木はもちろんのこと、高校時代には右でもプレーしていた田邉、人員が増えた中盤ではあまり居場所がなさそうな松井ももしかしたらこちらが主戦場になるかもしれない。

 今季最も将来図が描きにくいポジション。順当であれば三浦とファン・ウェルメスケルケンがレギュラーを取るのだろうが、意外な選手が新境地を開花して立ち位置を確立しても不思議ではない。

MF

<補強事前予想>
・現在の3センターと均質的な役割が期待できる万能型MF(優先度:中)
・サイズがありゲームメイクができる外国籍アンカー(優先度:中)
・脇坂退団時のMF(優先度:高)

<結果>
IN→山本悠樹、パトリッキ・ヴェロン、ゼ・ヒカルド、松井蓮之(レンタルバック)、山内日向汰、由井航太
OUT→ジョアン・シミッチ、原田虹輝、大関友翔(レンタル)

質量ともに充実で2チーム編成化を目指す

 入れ替わりは激しかったが、数と質が共に揃った充実の冬となった。冬の時点での人員で言えば純増だが、シーズン中に小塚とチャナティップを手放したことを踏まえれば、昨季の開幕時くらいの人数に戻ったイメージだろうか。

 中でもJ1でバリバリの実績がある山本の獲得は大きい。強度の面では今の川崎のレギュラー格と比べて落ちるかもしれないが、ゲームメイクの部分で遜色なく瀬古、橘田、脇坂と張れる人員は貴重である。

 昨季、一昨季の手ごたえとして的には川崎は重要な試合を中盤の強度で何とかしてきた感がある。週1であれば先に挙げた3人で何とかなるが、週2でとなったらここをターンオーバーする必要が出てくる。

 ゼ・ヒカルドはシミッチと異なり、日本は初めてになるので少し時間がかかる可能性はあるが、ひとまず山本、瀬古、橘田、脇坂にゼ・ヒカルドと山内がどこまで食い込んでくるかの構図になるだろう。この青写真が完成すれば十分なターンオーバーは可能。6人で回せれば単純に2チーム分。無理のない構造になる。

 外国籍の枠数を考えても、おそらくパトリッキはチャレンジ枠。怪我人次第ではあるが、遠野や松井といった異なるポジションもこなせる選手は他で勝負する可能性もあるだろう。

WG

<補強事前予想>
・大外で勝負できるWG(優先度:低)
・家長退団が起きた場合の右WG(優先度:高)

<結果>
IN→宮城天(復帰)
OUT→名願斗哉(レンタル)、永長鷹虎(レンタル継続)

マルチの選手によって役割を変えられるか

 マルシーニョ、家長といったレギュラー格の退団がない限りは後回しになることは想定内のポジションだろう。GKの項でも書いたが、ほかのポジションに手当てが必要だった分、ここは後回しにしやすい。

 両サイドにおいては瀬川がバックアッパーの一番手になるだろうし、遠野もここで勝負となる可能性は十分にある。1トップでは厳しくなってきた小林もこのポジションで起用される頻度は増えるはず。出遅れもあるが宮城のレンタルバックも含めれば頭数は揃った感がある。

 あとはクオリティのところ。家長は明らかに好調な試合が減ってきているし、マルシーニョは細かい負傷離脱が増えてきている。瀬川だけでなくほかの選手にも例年以上にチャンスがありそうな予感はする。

 他ポジションからのスライドが多いマルチの選手が多い分、人選によって大きくカラーを変えられるかどうかは重要なポイントになるだろう。特に左サイドは大外を駆け上がれる三浦が加入した分、インサイドでプレーできるキャラクターがていちゃくする可能性があるだろう。場合によってはマルシーニョではない選手が第一人者になることもあり得るように思える。

CF

<補強事前予想>
・26~30歳の外国籍CF(優先度:高)

<結果>
IN→エリソン、神田奏真
OUT→レアンドロ・ダミアン、宮代大聖、五十嵐太陽(レンタル継続)

何はともあれエリソンがどこまでやれるか

 昨季はいずれの選手も稼働率がイマイチであり、年齢的にも妥当だなという感じ。ダミアンが退団し、代わりに入ってきたのはエリソン。やや想定よりは若いが、スピードとパワーを兼ね備えた選手としてキャンプから評判は上々である。

 とにもかくにも今季はエリソンにかかっているだろう。金銭的にもこの冬の目玉。エリソンがフィニッシャーと前進の基準点の役として機能するかどうかはポイントになるだろう。すでに鳥栖相手に2得点を決めたようでフィニッシュは順調な滑り出し。後はポストワークとしてマルシーニョやIHが前を向く手助けをどこまでできるか。

 本来であればフィットする時間を与えたいところだが、今季の川崎はそうもいっていられない状況。求められるのは開幕即スタメンでゴミスとシェアしながら90分間前線の起点を作ること。山田はこの2人を基準にスペースを受け取る役としておいしいところを持っていきたい。

スカッドまとめ

 基本的には後出しはズルいと思っている。レビューという後出しの極みのようなことをしておきながらお前なんやねん!といわれるかもしれないけども、プレビューはそうならないために出している感がある。

 「後からあーだこーだ文句をつけて不満をつけることがサポーターだ!」とあなたが考えるのであれば別にそれで問題はないし、それを止めるつもりもない。自分はそれをしたくないし、それをしないことが現場へのリスペクトだと思っている。

 経験上、特にスカッドへの評価というのは後からの成績に大いに引っ張られやすい要素の一つである。アーセナルで自分はこれをいやというほど経験している。なので、今の空気感をきっちりと伝えることは大事だし、今の段階での自分の意見を述べておくことが大事である。

 TLの雰囲気を見ていると今は編成をポジティブに評価している向きが多い。SBを始めとして既存戦力の流失は痛手ではあるが、彼らが退団するという出発点に立った時にはできることを全てやったという感覚がメジャーである。

 一部WGの層の部分に不満がある人もいるみたいだけども、個人的には最終ラインが気になるところ。後方からのボール保持で試合を落ち着かせるスキル取得は必須だと思っているのだが、山村、登里の退団により昨季よりも後方のスカッドはハードになっているという見立てを出さざるを得ない。

 車屋が離脱していなかったとしても後方の迎撃性能は昨季以上の上積みはない状況。特に山根の離脱が落とす影は大きい。バックスの被カウンター耐性とビルドアップ整備はどちらも川崎の躍進には欠かせない要素ではあるが、スカッドを見る限りここの部分は不安が先立つ。ほかのポジションでなるべく負荷を和らげたいところだが。

【おまけ】移籍ソースの信憑性

 おまけコーナー。今季の移籍市場のソースについても振り返って行こう。1つ1つの情報ソースのまとめ記事はこちら。

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国内スポーツ紙

 基本的には国内メディアの信頼度は高い。数年間遡ってみても「決定的」以上の見出しから破談になったのは東京中日スポーツと報知のシミッチのFC東京行きくらい。今季はファン・ウェルメスケルケンの加入が「大詰め」とやや曖昧な表現になったが、これも問題なく成立。

 現状であればスポニチ、報知、ニッカンのいずれかが決定的と報じたら決まりとなる。一応大本営のローカルメディアとしてはカナロコがあるのだろうが、今冬の存在感は限定的。

 実質的な大本営と位置付けていいのはスポニチ。三浦、山本、丸山、ヴェロン、ゼ・ヒカルド、ファン・ウェルメスケルケン、山根、山村、宮代、登里に関してはいずれも公式前に方向性を事前に予期する記事を出しており、情報の量と質の両面でとびぬけた存在と位置付けていい。

海外メディア

 こちらも精度は高め。ブラジル方面のパトリッキ、エリソンとオランダ方面のファン・ウェルメスケルケンのいずれも獲得濃厚の報道が正しいものとなった。

山根(第一報はニッカン)と脇坂はそれぞれアメリカとクロアチアのメディアが獲得を報じたし、山根は移籍を実現した。脇坂の記事に関しても日本では信憑性が低いと切り捨てられていたが、ほかのソースや脇坂本人の残留時のコメントからしてもオファー自体はあったと考えるのが自然だろう。全くの誤報ではないと判断することとする。

レオナnote

 情報の精度の分類を以下のように定義する。

第一報:国内大手3紙もしくは公式前に情報を出した。
後押し:他のソースで報じられた件に対しての決着の先出しをした。
ミスリード:「濃厚」以上の表現で公式と異なる結論を出した。
ノータッチ:何も触れないまま国内大手3紙もしくは公式が情報を出した。
空振り:「獲得に動く」などの表現があったが、動きが表面化しないまま終わった

上の分類に従えば
第一報→6件
後押し→3件
ミスリード→0件
ノータッチ→14件
空振り→4件

 ほかのクラブもまとめも見たけども、それよりは精度は高め。元番記者の影響なのだろうか。現状では川崎においては大手3紙以下、噂アカウントよりは上という位置づけのソースといえるだろう。

 それではまたシーズン開幕の際にお会いしましょう。

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