Fixture
プレミアリーグ 第4節
2021.9.11
アーセナル(20位/0勝0分3敗/勝ち点0/得点0 失点9)
×
ノリッジ(19位/0勝0分3敗/勝ち点/得点1 失点10)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
直近10回の対戦でアーセナルの6勝、ノリッジの1勝、引き分けが3つ。
アーセナルホームでの対戦
アーセナルの7勝、引き分けが3つ。
Head-to-head from BBC sport
・アーセナルは直近7試合のノリッジとのプレミアリーグのゲームで無敗。直近18試合で2回しか負けていない(W9,D5)
・ノリッジは1992年の初めてのプレミアリーグでのアーセナルとのアウェイゲームに4-2で勝利。しかし、以降の8回のアウェイゲームは勝ちなし。この間24失点を喫している。
・ノリッジがアーセナルとのリーグ戦のアウェイゲームで2回しか勝っていない(D7,L17)
スカッド情報
【Arsenal】
・ガブリエウ・マガリャンイス、ベン・ホワイト、トーマス・パーティ、エディ・エンケティアはフルトレーニング復帰で起用可能。
・エミール・スミス・ロウは病気により出場可否は不透明。モハメド・エルネニーはハムストリングの負傷で欠場。
・出場停止のグラニト・ジャカはCovid-19の陽性反応によりスイスに滞在中。
【Norwich】
・負傷者なしでエミレーツ遠征に向かう見込み。
Match facts from BBC sport
【Arsenal】
・1954年以来、初めてのリーグ3連敗スタート。
・47年で初めて開幕3試合で最下位。
・3連敗で無得点、9失点での開幕3試合はクラブ史上ワーストのスタート。
・負ければ1923年のクラブ記録に並ぶ4連敗スタート。
・4連敗はプレミアにおけるクラブワースト記録。
・しかし、プレミアでの昇格組とのホームゲームは30試合負けていない(W25,D5)。
・先制点を取った直近15試合は13勝している(D1,L1)
・ピエール・エメリク=オーバメヤンは2回のリーグでのノリッジ戦で4得点。
【Norwich】
・4連敗スタートになれば、1938年に2部で記録したクラブワースト記録に並ぶ。
・プレミアリーグは13連敗中。この間のトータルスコアは34-2。
・ロンドンでのプレミアの試合は23戦未勝利(D6,L17)。
・先制点を奪われ直近42試合のプレミアで41敗。28連敗を記録中。
予想スタメン
展望
■ニッチな得点パターンまでの遠い道のり
残念ながら開幕は3連敗スタート。インターナショナルブレイク明けになんとか立て直しを図りたいアーセナルが対戦するのは、同じく全敗で順位表の1つ上にいるノリッジである。互いに得失点差は-9。3連敗という結果だけでなく、内容も含めて厳しいものとなっている。
ノリッジの持ち味は3トップの機動力。プッキ、ラシカ、キャントウェルの3トップはスピードが武器だ。彼らが前を向いて仕掛けるアタックは破壊力は十分プレミアレベル。彼ら3人で最終ラインの裏を強襲できるのならば、ノリッジは十分に得点のチャンスを得ることが出来る。前回のプレミア挑戦と同じように、ひとたびスイッチが入ればパンチで相手を倒せるポテンシャルはあるチームである。
しかし、今季ここまでの得点はわずか1。それも、レスター戦で得たPKによる得点。流れの中からの得点はない。ということは3トップが前を向ける状況を作る段階で躓いているということである。
ここ数試合の彼らはビルドアップで彼らにボールを届けるというところまで至っていない。もちろん、リバプール、マンチェスター・シティ、レスターと並ぶ相手を見れば、仕方ない部分はある。しかしながら、特にマンチェスター・シティとリバプールに対しては内容の面で全く歯が立たなかったことは無視できるものではない。
最も大きな課題として挙げられるのはショートパスでの前進が効果的にできないことである。低い位置からボールを動かす勇気はあるものの、それを活かして前進できる場面を作ることが出来ない。プレッシャーのかかるCHに縦パスを入れる勇気が出ず、CBとSBのU字ポゼッションを繰り返しながら延々と前進の機会を伺う止まり。SBで詰まる様はアーセナルファンとしては同情を禁じ得ないところではあるが。
システムでかみ合わせてきたわけではない4-4-2のレスターに対しても同じということは、相手を動かすスピードと、縦に入れる部分のアクセントが足りていないということだろう。チェルシーからギルモアをレンタルしてまでアンカーに据えているのだから、保持の部分で頑張りたいのは伝わってくる。だが、それが形になっていない。
前線に預けてからの攻撃のレパートリーも正直多いとは言えない。裏抜けで奥行きを使うこと一択で、スピードに乗れなかったときの手段は乏しい。タメて全体を押し上げるということはあまりできないし、押し込んだ時も個の打開にかけるしかない感じ。レスター戦で終盤にキャントウェルが好き勝手に攻撃をやりだしたが、惜しい場面を作ることすら適わなかった。そもそも、理想とする攻撃パターンが『前線が裏抜けでスピードに乗って攻撃を完結させられたとき』と狭いのも懸念点といえるだろう。
守備は4バックがベース。悩んでいるのはハーフスペースのケアである。5枚並べて埋めてしまうのが手っ取り早い気もするが、ノリッジは4バックに加えて中盤が手助けすることでしのいでいる。マンチェスター・シティ戦ではIHに対して、IHをぶつけてマンマーク。根性でついていくことを選択する。
しかし、マンマークの要素が強いとスペースそのものを守るのは難しい。マンチェスター・シティのようにある人物にマンマークをつかれても、他の選択肢が準備できるチームには対抗できない。基本の最終ラインの枚数が4枚なのも苦しく、左右に振られてスライドが間に合わない場面も目につく。自在にサイドを変えられるチームに対しては守り切れる強度は正直ないのが現状だ。
■数を合わせる強気なチャレンジもあり
アーセナルにとってはリスタートの一戦になる。負傷者の事情もわずかながらマシになっている。エルネニーが負傷、ジャカの3試合出場停止がスタートする中盤はやや手薄だが、トーマス、ホワイト、ガブリエウなどセンターラインに主力級が続々帰ってくるのは朗報。日本人にとっては冨安の加入も大きなトピックスである。冨安についてはこちらの記事もご参照あれ。
この試合でアーセナルが試される部分は大きく分けて2つ。まずはプレッシングのところ。ノリッジのビルドアップは紹介したようにショートパス志向が強い割には距離感が遠く、パスのスピードも十分ではないため、レスターのような人が足りないプレスにも引っかかる。
アーセナルはチェルシー戦、マンチェスター・シティ戦と中盤と前線の人数が足りない状態で受け渡しをしながらのプレスにトライしてきたが、いずれも撃沈。ただ、ノリッジ戦ではそのプレスが日の目を見る可能性はある。
もっとも、人数が少ない状態でのプレスにこだわる必要はない。今季のレビューでも冨安の記事でも述べてきたが、今季のアーセナルはラインを上げながらボール奪取位置を高くする必要がある。
ガブリエウやホワイトの復帰、及び冨安の加入は高い位置から奪い取る部分に再度トライする契機である。まだ機動力に難のあるジャカがいないことでCHが高い位置からプレスをかけることにチャレンジしてもいいだろう。ハーフコートゲーム狙いの強気のプレッシングにチャレンジしてもいい試合だと思う。プレスで引っ掛けることは必須。あとはどれだけ理想に近づけるかである。
攻撃においてはやはりサイドだろう。意味のないハイクロスではなく、ラインを動かしながらのグラウンダーのクロスで今季初得点を挙げたいところ。ノリッジはハーフスペースの管理が甘いチームなので、裏抜けで抉ることで内側にクロスを入れるスペースを作るところから始めたい。
まずはここが足掛かりになる。2週間の空白と昇格組という相手を踏まえても、ここで結果を出せなければより見通しは暗くなってしまうことは必至。強豪続きのノリッジに一息つかせず、アーセナルが一気に駆け上がるための第一歩となる試合にしたい。