Fixture
明治安田 J1リーグ 第18節
2024.6.16
ヴィッセル神戸(4位/9勝3分5敗/勝ち点30/得点25/失点13)
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川崎フロンターレ(14位/5勝5分7敗/勝ち点26/得点25/失点25)
@国立競技場
戦績
近年の対戦成績
直近5年間の対戦で神戸の3勝、川崎の7勝、引き分けが3つ。
神戸ホームでの戦績
直近10戦で神戸の2勝、川崎の4勝、引き分けが4つ。
Head-to-head
- 直近4試合のリーグ戦でホームチームの勝利は1回だけ。
- 直近5試合の公式戦で勝敗がついた4試合は全て1点差。
- 神戸ホームのリーグ戦で川崎が最後に負けたのは2016年。以降の7戦は無敗(W3,D4)
- 神戸の直近3回のホーム川崎戦の勝利はいずれもクリーンシート。
スカッド情報
- 齊藤未月は長期離脱中。
- 武藤嘉紀と飯野七聖は天皇杯で負傷交代。
- 佐々木旭は前節の出場停止から復帰。
- ファン・ウェルメスケルケン・際は名古屋戦から不在が続いている。
- ジェジエウは名古屋戦で負傷交代。
- 大島僚太、小林悠、三浦颯太は欠場が続く。
- 丸山祐市は肉離れにより負傷離脱。
予想スタメン
Match facts
- リーグ戦は3試合未勝利。4試合未勝利になれば開幕から11試合未勝利が続いた2022年以来のこと。
- 直近4試合のリーグ戦は得点も失点も1点以下。
- 敗れたリーグ戦5試合のうち、4試合はホームゲーム。
- 公式戦でここまで前半の失点は1つだけ。
- リードしたリーグ戦10試合では負けなし(W9,D1)
- 宮代大聖はここまでリーグ戦7得点。あと1得点を挙げれば昨季川崎で記録したゴール数に並ぶ。
- 勝てば今季初のリーグ戦連勝。
- アウェイでのリーグ戦は7試合連続で勝利がない(W3,L4)。
- 負ければ3連敗。
- リーグ戦は7試合連続で先制点を挙げている。
- 公式戦における60分以降の失点は14で全体の45%。
- 枠内シュートはここまで80本。これ以上多いのは浦和(92)と広島(98)だけ。
- 山田新は先発した公式戦直近3試合の出場でいずれも得点に関与している。
予習
第15節 鹿島戦
第16節 東京V戦
第17節 浦和戦
展望
サイドのギャップからクロスを手早く狙うスタイル
代表ウィーク明けの一戦は神戸とのアウェイゲーム。スーパーカップに続き、国立での今季2回目の神戸との対戦となる。
連覇を狙う神戸は上位にはつけているもののここにきてリーグ戦は3戦未勝利。町田や鹿島にやや置いて行かれてしまっており、一刻も早くこの停滞感から抜け出したいと考えているだろう。
攻撃の中心になるのは今年も大迫である。バックラインは躊躇なく大迫に向けたロングボールを放り込んでいく。前線では佐々木や武藤、宮代など多くの選手が長いボールのターゲットになるが、もっとも頻度が多いのは大迫。それ以外の選手はロングボールのターゲットもそこそこにセカンドボールを拾うことで攻撃の再加速を狙っていく。
長いボールで大雑把に前進すると、そこからはサイドに展開してギャップを作っていく。左右差で言うとやや右偏重寄り。武藤がゴリゴリのドリブルで剥がすか、山口や酒井が抜け出しからフリーでクロスを上げるのがパターンとしては多い。同サイドでのやり直しはなくはないが、逆サイドへの展開で広げ直すアクションは少なめであり、クロスを上げる選手以外の前線の選手は軒並みボックス内に飛び込んでいく。
大まかに言えば、最終的にサイドにギャップを作っての人数をかけたボックス内でのクロスが主な攻撃のパターン。サイドに展開する手段は大迫へのロングボールを使った形が最も多い。ただし、アンカーの扇原がサリーして最終ラインからサイドの裏に直接フィードを入れたり、サイドバックに初瀬がいる場合はロングボールの砲台として活用した入りなど、フィードの出しどころはCBとGKだけではない。バックスの人選やアンカーの動きにより長いボールの出しどころは増減するイメージである。
非保持は4-4-2がベース。IHのどちらか(井出か宮代が務めることが多い)が前に出ていき、1トップの大迫をサポートする。ハイプレスのスイッチを入れた時はSHのスライドもかなり強気で行われており、狭いスペースに閉じ込めて最低限でも蹴らせることでボールを回収するイメージである。
引く時は引くというのははっきりしており、SHは自陣低い位置まで守備を行う。以前は攻め残りすることも多かった武藤だが、最近の試合ではきっちりと自陣まで戻って守備をしているのが印象的だった。
その上、CBはボックス内での勝負は強固であり、左右への機動力もある選手が多い。前線の守備の献身性と自陣での空中戦の強さを生かしたブロック守備を固められると、こじ開けるのはなかなか難しくなってしまう。
攻守に体のぶつけ合いは上等!というスタイル。タフでファウルが多い展開になることも珍しくはない。少し気になるのは攻撃面ではやや単調さが否めないこと。前に急ぎすぎるというビルドアップ時の文脈はアタッキングサードでのバタバタにつながる。確かに枚数をかけて攻めることはできているのだが、全員がDFラインに競りかけるようなオフザボールを好みがちである。
もちろん、それは大事なことなのだが、裏を取る動きを利用するアクションが乏しく、攻撃としてはあまりに素直。その点で痒い所に手が届く役割を果たしているのは宮代。DFラインに対して平行に動くことで他のアタッカーが作り出したスペースに侵入する動きをすることができている。
強度の高い非保持といい宮代が神戸で果たしている役割は多い。川崎時代から難なくこなしていたエースのスペースを使う役割は神戸でさらに磨きがかかっている。大駒に素直にボールを上げることが多い神戸において、宮代の存在は目先を変える攻撃として重要性の高い武器となっている。
トランジッションで違いを作れる前半が勝負
川崎からするとハイプレスに出ていってしまっても蹴られることは請け合い。安全策を取る神戸から高い位置からボールを奪うのは難しいかもしれない。川崎にとってもっとも避けたいケースは左のSBに初瀬が先発で出てきて、家長の背後から運ばれるアクションを再現性を持って行われること。ただでさえキックに覚えがある選手に運ぶことを許容してしまうと苦しくなる。
それであるならばむしろWGはハイプレスに出ていくのではなく、きっちりとSBをケアしてほしいところ。ここはソニー仙台との天皇杯でもできていなかった部分。ソニー仙台と違い、神戸に対してここを開けてしまうのは大きなダメージを負う可能性がある。
同時に下がる扇原もギャップを作られてしまうと鋭いフィードが飛んでくる。降りる扇原とSBのケアははっきりさせたいところである。
アタッキングサードにおいてはきっちり抜け出すことでクロスまで持っていくことを大事にしているため、4バックの川崎はハーフスペースのケアの仕方は整理したい。2センター気味にしてCHが降りるのか、あるいは同サイドのWGが下がるのか。個人的には前者の方がいいと思うが。
上の図でも述べたがボックス内の選手がケアしたいのはDF-GK間に上がってくる速いクロス。東京Vはここを徹底的に塞ぐことでクロスを延々と跳ね返すことに成功していた。ハーフスペースからの抜け出しを許してしまうとDF-GKの間のクロスを防ぐのは難しくなるので、そういう意味でもハーフスペース裏のケアの整理は重要となる。もちろん、先に述べたように矢印の根元を狙ってくる宮代に対しては異なるベクトルの警戒を行う必要がある。
そして、守備面で勝敗にダイレクトにかかってくるのは当然大迫とのエアバトルの優劣。引き分けに持ち込まれても少ないタッチから正確な落としで攻撃を加速できる大迫は非常にめんどくさい。大迫の落としからの展開で退場に追い込まれた大南はその厄介さは痛感していることだろう。ただ、ここ数試合は収めてからの展開もフィニッシュの精度もやや落ち気味。代表ウィークを挟んでリフレッシュできているかもポイントになるだろう。
神戸の守備を攻略すると考えた時にまず押さえておきたいのは引かれると厄介な相手であること。山川、トゥーレルのCBコンビは空中戦と機動力のバランスが良く、ボックス内を守らせると面倒なことこの上ない。
なので、この相手であればDFラインが整う前に攻め切れるファストブレイクからの手段確立は欲しい。相手のCBと張れるゴミスが川崎にはいる。ゴミスの降りるアクションの背後をとるようにマルシーニョや遠野が抜ける動きを見せることで神戸のDFラインを乱したい。
もちろん、抜けきっての1on1が理想なのだが、シュートまで行けなくても神戸のDFラインが混乱したままゴール付近まで運べれば意義はある。シュートが無理なら味方の攻め上がりを待ちながら二次攻撃を仕掛けたい。逆に言えば、スローダウンした際に後方からのフォローがなければ、ただ単に神戸のバックラインに戻る時間を与えるだけになる。中盤のフリーランの量が担保できる前半のうちにスコアに結実させたいところである。
その前段となるインサイドのゴミスへのパスが通るかは重要なポイントである。トランジッション時にはまずはここを見ることを意識したい。アンカーが扇原という運動量的には無理が効かないタイプなので、相棒の山口を釣ることができれば理想。左のSBが少しインサイドに入り込むポジションをとって、山口を手前に釣り出す駆け引きをして中盤のスペース創出にトライしても面白い。
また前線が降りてきて後方の選手が追い越すという関係性は家長と瀬川という右サイドの縦関係でも活用可能。ビルドアップに関与すると怪しさが出てしまうのは瀬川のSB起用時の特徴になりつつあるので、ここはむしろ自陣でのボールの奪いどころをなくすためにもある程度家長には右の外の低い位置で降りるアクションを意識的に増やしてもらった方がいいように思う。
そのためにはCBとGKのビルドアップでの貢献が必要。大迫対策としてジェジエウと大南を並べてみたが、高井や佐々木のスライドも視野に入れてもいいだろう。活用しきれないソンリョンにもボールを渡しながら、前進のルートを模索したい。
前段のようにWGが低い位置まで戻るのであれば、ボール奪取からカウンターまでの流れで出ていく距離は長くなってしまうかもしれない。だが、ここはなんとかトランジッションで差をつけたいところである。いずれにしても神戸のDFが整わない状況で敵陣に入る頻度を特に前半は作り出したいところ。失点は川崎のおよそ半分しかない相手なので90分間点を取れそうな時間帯が続くことはないだろう。優位を取った時間はきっちりスコアに結びつけたい。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)