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「努力の方向性」~2024.6.22 J1 第19節 アルビレックス新潟×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第19節
2024.6.22
アルビレックス新潟(15位/5勝5分8敗/勝ち点20/得点23/失点27)
×
川崎フロンターレ(14位/5勝5分8敗/勝ち点20/得点25/失点26)

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦で新潟の2勝、川崎の6勝、引き分けが2つ。

新潟ホームでの戦績

直近10戦で新潟の4勝、川崎の4勝、引き分けが2つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 昨季の対戦では12年ぶりに新潟が川崎戦でのシーズンダブルを達成。
  • それ以前の公式戦7試合では川崎が新潟に無敗(W6,D1)
  • 直近のビッグスワンでの対戦は川崎がPK戦を制して勝ち上がっている。
  • 直近3回のビッグスワンでのリーグ戦では3試合合計で3得点しか生まれておらず、少なくともどちらかのチームが必ずクリーンシートを記録している。

スカッド情報

アルビレックス新潟
  • 天皇杯で負傷した長倉幹樹と腓骨骨折をしている星雄次はウォーキングによる別メニュー調整。太田修介、長谷川巧がランニングを再開。
  • 離脱が続いていた高木善朗、小野裕二はフルメニューを消化し川崎戦で復帰の可能性がある。
川崎フロンターレ
  • 橘田健人は累積警告による出場停止。
  • 名古屋戦から不在が続いているファン・ウェルメスケルケン・際は完全合流。
  • ジェジエウは神戸戦で負傷交代。
  • 小林悠、三浦颯太は欠場が続く。
  • 大島僚太はフルトレーニングに再合流。
  • 丸山祐市、エリソンは肉離れにより負傷離脱。

予想スタメン

Match facts

アルビレックス新潟
  • 公式戦直近5試合で負けがない。
    • ただし、直近3試合はいずれも引き分け。
  • 直近10試合の公式戦のホームゲームでクリーンシートがない。
  • ホームでの勝ち点は9でこれより少ないのは札幌、京都、湘南だけ。
  • 得点の37.5%が75分以降に生まれている。
  • 長倉幹樹は直近2試合の先発した公式戦で連続得点中。
  • 早川史哉の公式戦直近3得点はいずれも90分以降のもの。
川崎フロンターレ
  • 負ければ4回目のリーグ戦連敗。
  • 前半戦のリーグ戦で連勝がないことが確定。
    • 降格した2000年以来のこと。この年は8月に連勝を達成している。
  • あと2失点で2021年の年間総失点に並ぶ。
  • アウェイでのリーグ戦は直近8戦未勝利(D3,L5)
  • 橘田健人が出場しなかった直近2試合のリーグ戦はいずれも敗戦。
    • 今年4月の町田戦、昨年7月の名古屋戦。
    • ただし、唯一のサスペンションでの欠場である22年の清水戦では勝利。
  • 公式戦において立ち上がりの15分は2得点3失点。得点は全体の6%、失点は全体の9%。

予習

第16節 福岡戦

第17節 町田戦

第18節 鹿島戦

展望

イメージ通りのパスワークとイメージと異なる強み

 勝ち点は共に20。浮上のきっかけをなかなか掴めないままここまで来てしまったなという感じである。

 新潟の大枠のスタイルは変わっていない。自陣からのショートパスを繋ぎながらボールを動かして相手のプレスを回避して敵陣に侵入する。ざっくりと言ってしまえばそんな感じである。2人のCBは大きく開き、GKを含めて3人が一番後ろを担当。CHの片方は相手の2トップに入るアンカーのようなロール、もう片方の選手は左右のサイドに流れて起点になる役割を果たす。

 新潟はショートパスをつなぐ意識は高いと思うが、自陣で悪い形でプレッシャーを受けた時はそれなりに危うさがある。CBがボールを外側に追いやられるように持たされて、パスコースを塞がれた状態になれば新潟といえどつなぐのは難しい。また、特にMFより前の選手はワンタッチでテンポよく刻むスイッチが入る時があるので、そうなるとそれなりにパスミスが出たり、あるいはスピードが出ないせいで相手のカットが間に合ったりする場面もある。

 予習をした3試合の中でもっともプレスに嵌められていたな感があったのは福岡戦。GKも含めて枚数が合わされてしまい、バックスは自在にボールを蹴ることができないまま福岡に好き放題ボールを拾われてしまっていた。

 解決策になったのはCFのロングボールである。川崎サポにとってロングボールというとゴミスやダミアンのように相手のCBを抱えながら体をぶつけて勝負を仕掛けていくイメージが先行するかもしれないが、鈴木や奥村といった新潟の前の選手たちはMFが降りて相手の中盤を釣ったところに侵入するイメージである。あくまで繋ぎ目を利用しようとするスタンスは新潟らしいと言えるだろう。

 レシーバーとなるCFの人選は気になるところ。鈴木はスタメンが堅いとして、今季躍進を見せていた長倉は負傷欠場が確実。不在時には奥村が列を上げて前線に入っていたが、ここに来てフルトレーニングに小野が復帰。さらにはテイストは異なるが高木もフルトレーニングを消化している。鈴木の相棒としてどのような選手を使うかは注目だ。

 新潟はCFへのボールをどれだけ能動的に使えるかがポイント。CFに辿り着くまでが苦し紛れになってしまうと相手にボールを回収されてしまう。しかしながら、切れ目に入り込んだCFにボールを預けてポストから加速することができれば、一気にチャンスは広がっていく。縦に進むもよし、横断するもよしである。

 中でも、横断で完結した鹿島戦のゴールは見事。知念を手前に引き付け、佐野をポケット攻略に忙殺させて鹿島のCHを前後に完全に分断し、中盤をぽっかり開けるというアプローチは今季の鹿島攻略のスタンダートとして教科書に載せたいくらいの素晴らしい出来だった。

 トランジッションで注意したいのは右のSBの藤原。後方から素早くギャップにリーチできる駆け上がりは完全に違いになっている。町田戦でのゴールは天晴れであった。

 まとめると引き付けてスペースを紡いで加速するというのが新潟の狙いとなる。逆に停滞するパターンはどうなるか。2列目が中央に入り込み、ペナ幅でボールを繋ぎながら相手の動かない守備網に対してひたすら引っ掛け続けるパターンである。狭いスペースになると三戸とか伊藤のように魔法のようにこじ開けることができる選手はいないように思うので、少し苦しさはある。

 よって、幅を使えるかどうかは重要なポイントであり、きちんと機能すれば大外を抉るところからの素早いマイナスのクロスに中盤が飛び込む形を作ることができている。昨季はCFでの起用が多かった谷口がサイドでだんだんフィットしていっているのが印象的である。

 守備は4-4-2。2トップは相手の中盤を気にしつつも相手のバックラインに気を見てプレスに出ていく。中盤は1枚までなら前線のプレスに接続するが、バックラインのプロテクトの役割も彼らには与えられているので、何がなんでも前から捕まえてやる!という感じではない。プレスの積極性は試合の流れとか展開の中で変わってくる。乗せれば怖いというのは川崎ファンは身に沁みているだろう。

 予習の試合を見る中で意外だったのはボックス内での空中戦できっちり体を寄せるのをサボらなかったこと。鹿島、町田というポンポン放り込んで来るという点ではJ屈指の2チームと戦っていたのだけども、競り合いからは一度も失点に繋がらなかったというのはなかなか。クラブカラーと毛色は違うけどもここは押さえておきたいポイントである。

エネルギーは正しく出力したい

 神戸戦がいいところがない敗北。それだけに、川崎からすればあまりいい試合運びをすることができていない新潟戦をこのタイミングで迎えるというのはなかなか頭の痛い話のように思う。

 新潟戦でもっとも苦しいと思われるのはやはりハイプレスを交わされてしまう展開である。高い位置から追い回しても全くハマらずあっさりと前進されてしまうというのはこれまでの新潟戦で何度も見てきたシーンだ。

 自陣からボールを動かすということに関しては神戸よりも新潟の方がよりこだわってくるはず。ハイプレスに出ていくのであれば、気をつけなければいけないポイントはいくつかある。まずは降りてくるCFに誰が対応するか。大迫や鈴木など基準点のように動くFWは川崎は得意ではない。フィジカル的な優位をこの2人ほど押し出せるタイプではないとはいえ、鈴木も動きながらボールを収めるタイプ。幅広く動き回るアクションを誰が咎めるかは整理しておきたいところ。中盤に競り勝てそうな選手がいないことを踏まえるとCBが出ていくしかないだろう。CHは挟む形で対応したい。

 もう1つは外に開くSB。ここを安全地帯として活用されるとめんどくさい。外切りのハイプレスに出ていく際には要注意ポイントとなる。正直、今の川崎のクオリティで言えば、頭を越されるキックを蹴られてしまうのはまだマシである。神戸戦の川崎は外を切ったのに内側をケアできていなかったり、そもそも外のコースを切らないままWGがCBにプレスをかけたりしていた。

 まずはWGが外を切り、IHが内側で捕まえる。この狙いをきっちり具現化できれば最低限のノルマはクリアでいいかなと思う。新潟には抜けられてしまうかもしれないが、それでも前から捕まえる運動量を正しくプレスの強度として出力するのは重要である。今の川崎は山内、山田、遠野など動ける選手を使っても一向に強度が上がらない状況が続いている。元気よくやるだけでなく、エネルギーは正しく出力したいところである。

 新潟に狙えそうな場所がないわけではない。左のCBにデンが起用されたらここはプレスの狙い目に設定できる。CFが右足を切る形で対角のパスを防ぎ、縦に進むように誘導して詰まらせればボールを回収できる可能性がグッと上がる。デンがミスパスをするようにプレッシャーをかけて川崎はミドルゾーンからのカウンターを狙いたいところだ。

 保持面においてはやはりスペースを紡ぎ出す意識が欲しいところ。脇坂の神戸戦での試合後コメントを摘むと、チームは受け手に余裕がない状況でも勇気を持ってパスをつけよう!みたいな方向性に舵を切っているようにも思える。この方向になると個人的には短期的な改善はまず見込めないように思う。狭いスペースにひたすら通す練習をするよりも、どうすれば前の受け手が余裕がある状況で受けられるかにフォーカスをしてほしいところである。

 そのためには相手の目が集まる周辺のスペースを使うことが大事になってくる。今であればゴミスだろう。例えば、家長がゴミスの手前でロングボールの的になるなどはお手軽に思いつく前進手段となる。

 あとはボックス内での攻撃もニアではゴミスの引力を生かして手前のスペースに侵入したりなど、アタッキングサードの攻略の基準として機能するという点でゴミスは唯一無二。押し込んで主導権を握る時間帯をゴミスがフレッシュなうちに迎えるのはどこが相手だろうと川崎の勝利のための最低条件と言ってもいいくらいだ。

 脇坂のコメントだけを聞いていらぬ心配をしているだけかもしれないが、引力を生かしてスペースを広げるためのアプローチをしないまま、止めて蹴るというスローガンへの回帰となれば、個人的には今季の川崎の底はもう一段抜けると踏んでいる。ここもプレスと同じく努力の方向性が重要なポイントになるだろう。

 新潟対策という意味では2人のCHの意図をばらけさせるのが理想。片方のCHをビルドアップで手前に引き出し、もう片方のCHをバックラインのケアに忙殺させたいところだ。CHを手前に引き出すためには1列目の通過をクリーンに行うこと。バックラインのケアに忙殺させるにはボールを追い越して背後を取るアクションをすること。ここの運動量を増やして相手のバックスを動かしながら、タメの効くゴミスや家長から攻略ルートを見つけたいところである。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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