Fixture
明治安田 J1リーグ 第20節
2024.6.26
川崎フロンターレ(14位/5勝6分8敗/勝ち点21/得点27/失点28)
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湘南ベルマーレ(18位/3勝6分10敗/勝ち点15/得点24/失点34)
@Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
戦績
近年の対戦成績
直近5年間の対戦で川崎の8勝、湘南の2勝、引き分けが3つ。
川崎ホームでの戦績
過去10戦で川崎の5勝、湘南の1勝、引き分けが4つ。
Head-to-head
- 直近3試合の公式戦の対戦は全て川崎が勝利。
- しかしながら、直近3試合の川崎ホームの公式戦では湘南は川崎に無敗(W1,D2)
- 勝敗のついた直近6試合の公式戦の対戦のうち、4試合は逆転勝利。それ以外の2試合は勝利チームのクリーンシート。
- 湘南は直近5試合のリーグの川崎戦で8得点。それ以前の9試合よりも多い。
スカッド情報
- 橘田健人は累積警告による出場停止から復帰。
- 名古屋戦から不在が続いているファン・ウェルメスケルケン・際は完全合流。
- 三浦颯太は欠場が続く。
- 大島僚太はフルトレーニングに再合流。
- 丸山祐市、エリソンは肉離れにより負傷離脱。
- キム・ミンテは負傷離脱中。
- 平岡太陽も9日のトレーニングで内転筋を負傷し離脱している。
予想スタメン
Match facts
- リーグ戦は直近6試合で1勝のみ(D2,L3)
- しかしながら、ホームでの公式戦は6戦無敗(W4,D2)
- 今季のリーグ戦5勝のうち、ホームでの勝利は4勝。
- 勝てば2020年以来の湘南戦ダブル達成。
- 60分以前の時間帯に限れば公式戦26得点18失点、しかしそれ以降の時間帯は9得点16失点。
- 山田新は公式戦6得点で昨季に並ぶ。
- 昨季、湘南戦ではカップ戦とリーグ戦それぞれで得点を決めている。
- リーグ戦は直近4試合勝ちがない(D1,L3)
- 今季の公式戦でクリーンシートは1試合だけ。ホームの町田戦のみ。
- リードから落とした勝ち点は14。これより多いのは横浜FM(20)と川崎(15)だけ。
- ビハインドから得た勝ち点は11。これより多いのはFC東京(12)だけ。
- ルキアンは直近6試合の公式戦で6得点。
- 池田昌生は先発した直近2試合の川崎戦でいずれも得点を決めている。
予習
第17節 G大阪戦
第18節 名古屋戦
第19節 FC東京戦
展望
3-5-2回帰の兆候が見える湘南
後半戦のスタートは開幕戦のリマッチから。今季唯一アウェイで勝利を挙げている湘南との対戦で川崎のシーズン残り半分は始まる。ちなみに湘南も今季初めてのアウェイゲームである京都戦で今季唯一のアウェイでの勝利となっている。
開幕戦の際は4-4-2へのトライが見えた湘南だが、3-5-2へ回帰する試合が徐々に増えていき、直近では完全に3-5-2に移行した様子。WBとして主力である畑が離脱し、小野瀬をコンバートすることになったとしてもこの形をキープすることにこだわっている感がある。あるいはキム・ミンテなしではCB2枚で守ることはできないという発想なのかもしれない。
3-5-2になったことで方向性としてはかつての湘南に回帰した印象だ。3バックで落ち着いてボールを持ちつつ、CFにロングボールもしくは楔を入れることでポイントを作り、IHに落とす。あるいはサイドからボールを運んで逆サイドに横断するパターンが多い。
横断もしくはポストプレーで中央に起点を作りながら逆サイドに展開するのが湘南のボールの動かし方のメインストリーム。中央にポイントを作ることで逆サイドのレシーバーに深さを作り、ここからのクロスで勝負を仕掛けることができる。あるいは大外からのクロスではなく、ハーフスペースにIHが裏抜けすることでマイナスの折り返しにトライすることもある。
横断を許さないためにサイドを早く捕まえる守備をするチームに対しては、2トップもしくはIHがサイドの裏を狙うことで奥行きを使いながら出てきた選手に対して背後をつくアクションを見せる。
出口となるのは大外からのクロス。横断やCFのポストを活用した中央のポイントにより、サイドの深さを作るなどはまさしく従来の湘南の3-5-2と同じ。システムだけでなく、中身までそれなりに以前に回帰しているというのが今の湘南の印象である。少し傾向があるとすればIHに平岡がおらず、阿部や山田のようなボールプレイヤーが増えたことで自陣の深い位置やサイドにフォローに入ることが増えたことだろうか。
非保持においても従来の湘南と傾向は似通っている。5-3-2で構えて2トップが川崎の中盤をケアしつつ、機を見たらプレスのスイッチを入れる。スイッチを入れるのは2トップだけでなくIHも担当。彼らが前に出ていくことに連鎖するようにWBやCBが前にプレスに行くことで勝負を仕掛けていく。常にプレスをしていくわけではなく機を見てプレスを仕掛けていくのが湘南のスタイルである。
選手として注目したいのはやはり好調のルキアン。先に紹介した公式戦での得点に加えて、2試合前の名古屋戦でもネットを揺らす(僅かにオフサイド)などフィーリングは良好。町野、大橋といったスコアラーの穴を埋めつつある。
GKのボムグンは直近の試合でビルドアップでのエラーによる失点と、キャッチからの速攻のフィードからの得点関与を両方経験している。セットプレーでボールを投げられた後は特に次のプレーに移行するイメージに早く切り替えて対応したいところである。
プラン継続で通用すると思う
陣形こそ同じではないけども、湘南は前節戦った新潟と似ている部分もある。一番似ているのはプレッシングの考え方だろう。ボールを奪いにくる意識は高く、かつ速度を上げてホルダーを刈りにくるという方向性は似ている。
湘南が3-2でプレスに来るとしたら前節川崎が見せた3バックへの移行は継続で良さそう。3バックで湘南の中盤を釣り出したいところである。
湘南のプレスの難点は遠い距離を速いレンジで追いかけてくることにより、ホルダーにかわされたり、あるいはその動きを利用して逆を取られたりすることである。新潟もそうだったし、川崎で言えば山田や山内の守備と似た難点だ。速く動けば止まれないというやつ。
湘南にとって、IHが出てくるアクションはベースのポジションから陣形を変えてのチェイシングになるので、出ていく距離が長くなりがち。すなわち、スピードアップしてボールに食いついてくる分交わしやすいということでもある。
このプレスに対する川崎の対応はホルダーがタッチを入れることで交わすか、あるいは出てきたIHが空けたスペースを使うかのどちらか。より次の手で揺さぶりやすいのはホルダーがドリブルで交わす方だが、湘南は連動が崩れてプレスの逆を取られると一気に脆さを出すケースがあるため、後者でも悪くない。いずれにしても川崎の中盤には湘南のプレスの矢印の根本を取る動きを意識したい。
個人的には上記の前節のビルドアップの全体の役割を踏襲できればこの湘南のプレスは解体できると思う。3バック+2CH+降りて枚数を増やす瀬川or遠野。重めのビルドで引きつけつつ、山本は気を見て攻め上がる枚数調整役。
先週同じ水準のビルドアップを見せて「これが川崎の標準だ!」と胸を張れるようなクオリティーを毎週お届けできるところまで持っていきたい。ちなみに前回はRCBでビルドアップに奮闘したジェジエウはコンディション的に今回はスタメン予想から外した。仮にここに大南が入ったら機能するかどうかは気になるところである。
非保持においては先に述べたように横断、ポスト、同サイドの引き出しからの裏抜けの3つの湘南の前進のルートに対応する必要がある。個人的には失敗した時に背後を取られることになる同サイドの裏抜けが川崎視点では一番マシ。少なくとも大南、ジェジエウはSBが前に出て行った時の背後のカバーには慣れているので彼らがいるサイドでは裏に蹴らせて回収が一番楽そう。
逆に他の2つは薄いサイドへの展開が終点になるパターン。いわゆるピッチを横切る攻撃の対応に関しては川崎は苦手分野。基本的には湘南のサイドに対して早めにプレスを仕掛けて、同サイドの裏へ誘導していきたい。
もっとも、サイドチェンジに関しては前節瀬古と山本はそれなりに阻害ができていたため、この形に持ち込まれても対応したいところ。神戸戦ではさっぱりだったが、新潟戦はかなりやれた横断への対応。湘南の前進の主な手段への防衛策が機能するかは守備の大きなポイントになるだろう。
勝ちきれなかったものの、新潟戦は明確に今年の川崎が担保すべきクオリティのベースラインを引けた試合だったと思う。システムは違うが、特にプレスの強度面の押し出し方が似ている湘南に対して同じクオリティを中3日で出せるのか。クオリティの出力の安定をどれだけ早く確立できるかが川崎の後半戦のキーポイントになるだろう。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)