Fixture
明治安田 J1リーグ 第節
2024.7.6
ジュビロ磐田(16位/6勝5分10敗/勝ち点23/得点27/失点31)
×
川崎フロンターレ(15位/5勝8分8敗/勝ち点23/得点29/失点30)
@ヤマハスタジアム
戦績
近年の対戦成績
直近10試合の対戦で磐田の2勝、川崎の5勝、引き分けが3つ。
磐田ホームでの戦績
直近10戦で磐田の2勝、川崎の5勝、引き分けが3つ。
Head-to-head
- 直近3試合の磐田戦で川崎は勝利がない(D2,L1)。
- 磐田が勝てば2000年以来のシーズンダブル。
- しかしながら、磐田のホームで川崎は直近7試合負けがない(W4,D3)
- 最後の敗戦は2011年の最終節。
- 直近3回の対戦で85分以降に4つの得点が生まれている。
- 川崎、磐田共に2得点ずつ。
スカッド情報
- 伊藤槙人、三浦龍輝、中村駿はベンチ外が続く。
- 三浦颯太、丸山祐市、エリソン、車屋紳太郎は欠場が続く。
- マルシーニョは前節負傷起因での交代。家長昭博もベンチ外が続く。
予想スタメン
Match facts
- 敗れれば5月以来の連敗。
- ここ7試合、リーグ戦では連勝も連敗もない。
- 直近4試合のホームゲームでは負けがない(W2,D2)
- リーグ戦でリードを得た9試合では逆転負けがない。
- C大阪(38%)に次いでリーグ戦のヘディングでの得点占有率が高い(37%)
- 今季勝利している6試合はいずれも日本出身の指揮官から挙げている。
- ジャーメイン良は負傷からの復帰後4試合でいまだに得点がない。
- それ以前の12試合では11得点。
- リーグ戦直近4試合で未勝利。直近8試合で1勝。
- アウェイゲームでは今年初戦である湘南戦以来勝ちがない(D4,L5)
- 勝ち点7は札幌に次いで少ない。
- 昇格組との対戦は直近11試合で2勝(D3,L6)
- アウェイでは4試合未勝利中で最後の勝利は2021年の徳島戦。
- リードから落とした勝ち点は21でリーグ最多。
- 直近の3試合はいずれもマルシーニョが先制ゴールを挙げた後に追いつかれている。
- 直近11試合のリーグ戦で得点を途中交代から得点を決めたのは新潟戦の山田新の1人だけ。
予習
第19節 C大阪戦
第20節 東京V戦
第21節 浦和戦
展望
磐田がリスクを負う展開を避けたい理由
共に勝ち点は23。一刻も早く残留を確実にしたい両チームによる一戦である。磐田は東京Vに大勝したかと思えば、浦和に大敗するなど中位勢に波がある試合を経験。手ごたえにバラつきがある流れでこの川崎戦を迎えることとなる。
少し気になるのは東京V戦がミッドウィークであったこと。川崎もそうだったが、磐田もここの連戦はメンバーを入れ替えている。東京V戦ではSHを松本、平川からジョゼ、金子にスイッチ。いずれも今季ここまでは試合に絡めていないメンバーであるが、特にウィリアン・ジョゼはいい動きを見せていた。松本と平川に戻した浦和戦で完敗を喫したとなると、ここは少し序列の変化があってもいい部分かもしれない。
加えて、C大阪戦と浦和戦で共にハーフタイムに交代をしてしまったリカルド・グラサの状態も気がかり。直近の試合でメンバーの入れ替えが見られるのはCBとSHではあるが、この川崎戦でもう少し大幅なリフレッシュを挟む可能性も充分にあるだろう。
もっとも、誰が出てきても大枠には変化はないと考えていい。直近3試合の磐田の組織構造はメンバーが入れ替わってもそこまで大きな変化ではなかった。
基本的なフォーメーションは4-4-2。保持でも非保持でもここから大きく形を崩すことはない。ビルドアップはGK+2CB+2CHの5枚が基本。ボールサイドのSBが下がって受けに来ることもあるのでさらに+1が上乗せされるイメージである。
大外はSBが攻めあがるスペースを出すようにSHは絞るアクションを見せる。磐田の攻撃のメインはジャーメインとペイショットという2トップへのロングボールなので、SBが攻めあがるスペースを作る以外にも、ロングボールのセカンド回収という意味合いがあるかもしれない。
2トップへのロングボールは磐田の攻撃の生命線。ペイショットとジャーメインはどちらもきっちりボールを収めることができるし、スペースに走りながらボールを収めることができる。より押し込まれる展開の時はやはり機動力のあるジャーメインに前を向かせることが一番効果がある。ペイショットはよりボックス内で怖さを見せるタイプである。東京V戦ではセットプレーからゴールを決めている。
磐田はこの2トップにボールを当てて前進のルートを模索。拾って受けた選手から一気に抜け出す形を作るか、あるいはここからサイドに展開してクロスの体勢を整えるのが鉄板である。
少しもったいないなと感じるのはこの2トップの関係性が現状では1+1にとどまっている感じ。もちろん、それぞれが単体でも無理が効く選手ではあるのだけども、1人の動きをもう1人が利用できるようになれば、直線的な攻撃の威力はさらに増すように思える。
非保持では4-4-2の2トップが中盤をケア。相手のバックラインにはそれなりに余裕を与えていく形となる。中盤がどこまで出ていくことを許されているかはスコア次第。追いかける展開であれば上原やゴメスには敵陣まで相手の中盤を追いかける裁量が与えられている。
正直なことを言うと磐田の4-4-2の網目は粗く、同じ4-4ブロックベースで戦うJ1のチームに比べるとライン間のスペースは空きやすいし、縦パスのコースも閉じることができていない。よって、非保持ではシンプルに後手に回ることが多い。
ここに追いかける展開が上乗せされて中盤の可動範囲が広がるとそこかしこに穴が空き始めるので一気に苦しくなる。浦和戦はこの典型で、自由に前プレスに行く中盤が背中を取られ続けてDFが晒される形を延々と作られることとなった。
きっちり埋めて跳ね返すことはできるバックスなので、なるべくリスクを負う展開は避けたいところ。先制点が多い川崎にリードを許してしまうと、更なる侵攻の危険性を負いながらプレスに行かなければいけなくなってしまう。
対策を制圧し、穴を開けながら前進する
まず、前半戦を振り返った時に磐田は川崎を最もよく研究して攻撃を組んできた相手であるということは抑えておく必要がある。シーズン序盤、4-3-3で磐田戦に臨んだ川崎はジャーメインで両CBをピン留めし、アンカーの脇にSHの松本を絞らせることによりロングボールの的を作成。CHの上原と山田でセカンド回収を行い、ここから敵陣に侵入する形で陣地回復を行っていた。
このロングボール設計と再三に渡って行われたポケット突撃により、川崎相手に5得点を達成した磐田。山本、脇坂、橘田の3センターが全く機能せず、CBが前も背後も気にしなければいけなくなった試合である。
というわけでまずは同じ攻撃が効かないことを証明する必要があるだろう。川崎が直近の非保持で使っている4-4-2は4-3-3に比べると絞るSHへのロングボールの対応もハーフスペースへの突撃に対しても整理はしやすい。2人のCHが分担しながら勝負することができるだろう。
ジャーメイン、ペイショットに対するシンプルなロングボールに対しては、CBでのマッチアップから抑えていきたいところ。純粋なデュエルであれば大南とジェジエウのコンビが優先であるが、今回は後述の保持局面の理由から高井をスターターに推したい。表裏両面で駆け引きしながら長いボールを出してくる相手なので、苦手な出ていく判断の押し引きをどこまでできるかがカギになるだろう。
逆に長いボールを制圧することができれば磐田は一気に押し上げが効かなくなる。まずは前回対策された陣地回復を制圧し、主導権を握りたい。
保持においてはより明確に成果が求められる相手だと思う。ジャーメインとペイショットの2トップは動きが重く、常時CBにプレスにでていくのはしんどそう。よって、川崎のCBが時間を貰える可能性はかなり高く、ここから2列目を引き出したいところ。2列目のどこが出ていくかで、次のレシーバーは誰が適任か変わってくる。SHが前に出てくればWGが出口になるし、CHが前に出てくれば中盤が空く。やり直しをしながら粘り強く穴を開けていきたい。
穴を開ける作業はシンプルにCBが持ち上がるアクションをみせるのもいいし、前節の浦和のやり方を踏襲するのであれば、2トップの脇に中盤を置く形を作ってもいい。2列目がトップの可動範囲の狭さを埋めるという磐田の前プレの仕組みは横幅を広く動かしてくるビルドアップにとにかく弱い。ここは手数をかけていいので、磐田の2列目をクリーンに通過し、バックスをさらして望まない形での交代を強いたい。
湘南、新潟戦でのクオリティを維持できればここは問題なくできるはず。等々力での磐田戦では意味のないサリーでの渋滞で後ろにただ重くなるだけで何の収穫も得られないままのミスを続けるなど、攻撃面でも何一つ実りのない試合だった。個人的に今季一番ひどかったと位置づけている試合である。
特に保持はやることをやれば道は開ける相手である。アウェイでの勝利から長らく遠ざかってはいるが、ホームで見せてしまった「今季最悪」を塗り替えるためにもここは3ポイントを何としても持ち帰りたい。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)