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「それぞれの地獄から逃れるために」~2024.7.14 J1 第23節 川崎フロンターレ×セレッソ大阪 プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第23節
2024.7.14
川崎フロンターレ(15位/5勝9分8敗/勝ち点21/得点31/失点32)
×
セレッソ大阪(5位/9勝9分4敗/勝ち点36/得点30/失点23)
@Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦で川崎は4勝、C大阪は5勝、引き分けが4つ。

川崎ホームでの戦績

過去10戦で川崎の4勝、C大阪の3勝、引き分けが3つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 直近7試合のC大阪との公式戦で川崎は勝利がない(D3,L4)
  • ここ3試合のC大阪とのリーグ戦で川崎は無得点を継続中。最後のゴールは2022年7月の谷口彰悟のゴール。
    • 以降リーグ戦でのこのカードでのゴールは6得点連続でC大阪側に記録されている。
  • C大阪が勝てば2年ぶりのシーズンダブル。
  • 等々力でのC大阪との公式戦で川崎は3試合勝利がない。

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • 三浦颯太、丸山祐市は欠場が続く。
  • ジェジエウはベンチ外が続く。
セレッソ大阪
  • 登里享平は太ももの負傷で進藤亮佑とともに長期離脱中。
  • 山﨑凌吾が新加入選手として登録。

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • 公式戦では6試合勝利がない。
  • 等々力開催の公式戦は8試合の無敗を継続中(W4,D4)。
  • 昨年同時期と比較して勝ち点は8少ない。
    • 得点は1多く、失点は5多い。
  • 直近4試合の等々力でのリーグ戦はいずれも1失点。
  • リードから落とした勝ち点は23でリーグ最多。
  • マルシーニョは直近2試合のホームでのリーグ戦でいずれも得点を決めている。
    • 直近4試合のリーグ戦で3得点。C大阪相手に4得点を決めており、福岡と並びキャリアで最もゴールを決めている相手。
セレッソ大阪
  • 6試合の未勝利を経て、現在はリーグ戦は8試合無敗(W4,D4)
  • しかしながら、アウェイでのリーグ戦は直近7試合で1勝のみ(D3,L3)
  • 直近7試合でクリーンシートは1つだけ。
  • 9つの引き分けは東京V、広島の10に次いで多い。
    • 川崎も同じく9試合の引き分けを記録。
  • レオ・セアラは16得点を挙げており、リーグトップのスコアラー。
    • 直近10試合のリーグ戦のうち7試合でゴール。アウェイでの5試合は全て得点を決めている。
  • ルーカス・フェルナンデスはセアラに4つアシストを決めており、特定選手から特定選手へのアシストとしてはリーグ最多。

予習

第20節 鳥栖戦

第21節 名古屋戦

第22節 東京V戦

展望

前後分断を繋ぎ止める前のタレント

 ともにミッドウィークはJ2クラブへの本拠地に赴いての敗戦。リーグ戦で再起を誓うチーム同士の一戦である。もっとも、そのリーグ戦での戦績は両チームに差がある。負けがないC大阪と勝ちがない川崎。引き分けが多いのは共通点ではあるが、リーグ戦での勢いは対照的な両チームと言っていいだろう。

 とはいえ、C大阪には苦戦の跡が見られる。前回対戦時と比べるとチームの機能性の維持に苦戦している印象だ。もっとも、上位チームはC大阪に限らずどこも再構築を迫られている感があるので、夏になってそうした課題と直面しているのはC大阪に限った問題ではないけども。

 C大阪を苦しめているのはプランを遂行する上でのキーマンの離脱。特に前半戦の躍進を支えていた両SBの不在はチームの機能性に大きな影を落としていることは否定することができない。中央に絞りながら縦パスのコースを見つけてボールを前に進める登里、後方サポートから前方への攻撃参加と高い位置からのデュエルまで現代のSBに必要な要素を高水準で備えている毎熊の離脱は明らかに影響がある。

 この2人のSBはC大阪のミドルゾーンでのクオリティを担保する存在である。揃っていなくなるのは苦しいところ。加えて、前と後ろを行ったり来たりすることができる香川もチームから外れている。そのため、アンカーの田中を助ける手段は一気に減少している。

 その結果、チームとしては前後分断が進んでしまっている。元々、少し前後分断気味な状況を香川、登里、毎熊の3人が繋ぎ止めることで成立させている感があったのでそういう意味では自然なことだと言えるだろう。

 有能なSBの離脱により苦しいのはサイドの崩しである。3人目アタックが得意な毎熊と登里の離脱により、サイドの崩しの質は低下。ポケットを取るところまでは自動化されているが、ポケットを取る流れがバレており、相手に先回りして封じられてしまうというのは最近の川崎でもよく見られる悩みである。

 3人目のターゲットとしてレオ・セアラが左右に動くケースも見受けられるが、そもそも彼が中央にいることが得点パターンを考えると最重要項目になるのでサイドに流れてクロスを上げることに注力するフェーズで彼が出てきてしまうのは少しもったいない感じがする。

 ただし、サイドに流れてもレオ・セアラは怖くないという意味ではない。名古屋戦、東京V戦と角度のついたところから難しいシュートを決めており、横のシュートレンジが非常に強い選手である。特に名古屋戦でのハ・チャンレが出し抜かれたゴールのパターンは警戒をしたいところ。先日のEUROのイングランド×オランダで見られたワトキンスのゴールに通じるところがある。解説の元イタリア代表DFのキエッリーニは以下のようにこのゴールにコメントしている。

 「ワトキンスは外に向かって走っており危険ではない。この状況でDFがやるべきはファーサイドのシュートコースを消してGKの正面に打たせること。唯一ダメなのはボールに足を出すこと。デ・フライ(対峙したDF)はそれをやって足の間を抜かれた。あれは彼のミス」

https://x.com/tifosissimo_jp/status/1811152599753617493

 レオ・セアラのゴールは股を抜いてコースを作ったのではなく、ドリブルで左右に動かしてハ・チャンレとギャップを作ることでファーへのシュートルートを作っている。ただ、上のキエッリーニが示した「ニアはGK、ファーはDF」という外側のコースを取られた時の分業という基本を崩す挙動をしたのは同じである。

 川崎は2人で協力して2つの手段を消すのが苦手なチームではある。ただ、外に流れたレオ・セアラに対しては「GKはニア、DFはファー」の原則を徹底したい。

 もっとも、さらに怖いのはセアラがきっちりターゲットとしてインサイドに入ることである。動き直しが優れているセアラは単独でもマークを外すことができるし、味方の折り返しに対してのリアクションもできる。インサイドに止まられると脅威の一言である。

 外ではカピシャーバがファウル奪取からクロスなど幅広いフェーズに大車輪の活躍。結果的に前後分断となっている状況はこの2人がなんとかしている部分が大きい。

 守備でも前線の負荷は軽くない。4-4-2ベースの守備は前線にはサボることは許されず。相手とマークの噛み合わせが悪くても二度追いができる選手が揃っており、求められる強度は高い。

 C大阪の現在地をまとめると「SBと香川の不在により前後分断気味のチームをセアラを軸とした前線のクオリティが支えている」という状況。となれば次の課題は代替不在のカピシャーバとセアラが勤続疲労でクオリティを下げる前に新たなサイクルを回し始めることとなるだろう。

ミドルプレスと保持から逃げない

 普通に考えれば、ここ最近の内容では川崎は厳しいことになる。リーグ戦で直近で対戦した磐田は同じ4-4-2であるが、強度面では大きな差があると言っていい。4-4-2ブロックはよりコンパクトであり、ボールをサイドに誘導して刈り取りつつ、前線の選手は二度追いすることで枚数を合わせない状況を作ることで相手のバックスから時間を奪うことができている。

 前線は中央もサイドも強力でありできることの幅の広さも磐田と比べると優秀。横内監督ほど嫌がらせ感はないけども、素のままでも面倒なのであまり影響はなさそう。得意なパターンが決まっているジャーメインで手を焼くのに、より万能型なレオ・セアラに対して苦戦するのは目に見えている。

 強いて、川崎にとってポジティブな点をいうのであれば、直近のポゼッションで苦しんでいるのはどちらかといえば動かないCFに対してCBが動かす努力をせずに前にボールを送っていることが元凶である。時間を奪いにきてくれるプレス隊ならそれを回避するだけで必然的に相手が動いた状態に持ち込めるので、自陣から繋ぐことと相手を動かすことが比較的等価というのは光かもしれない。

 実際のところ、新潟や湘南に対してはそういう部分を活かした前進ができていた。が、そういう展開で輝いたのはゼ・ヒカルドや山本であり、天皇杯からのローテ的に少なくともどちらかの先発が予想される大島と瀬古のコンビ(大島と橘田のコンビはサイズの面で忌避されている可能性がある)がここで実績があるわけではないので、普通に捕まって終了という展開もあり得る。

 仮にゼ・ヒカルドと山本が先発したとしても、大分戦ではフィルター面で苦しいことを露呈したのは確か。相手を動かす観点では明らかにこちらのセットの方が良かったと思うが、結果を踏まえるとローテを無視してまでおそらくここのリピートはないだろうなと思う。いずれにしても2列目を引き出すアクションなしで敵陣に入り込めば、ここ2試合のような内容を繰り返すことは火を見るよりも明らか。C大阪のバックスが広い範囲を守ることに強いわけではないので、中盤やバックラインをきっちり晒しながら新潟戦のようにクリーンな前進を目指したい。

 非保持はまずは無闇なプレスをやめることである。大分戦は「5-3-2に突っ込んでいってカウンターに沈んだ」というまとめをしている有識者も見かけはしたが、それは印象論に引っ張られすぎ。3つの失点はいずれも敵陣からのチェイシングがうまくいっていないところからだ。

もちろん、ブロック守備に突っ込んでいってカウンターを受けたというのは間違いではない。だが、ズレたままかける高い位置からのプレスが傷口が広がることを助長したのは間違いないだろう。

 新潟戦で手応えを掴んだ理由の一つは前線が手綱を握りながらコンパクトな保持を実現したことにあるが、その試合で先発した小林が同じく磐田戦でむやみやたらなプレスに舵を切って以降、この方向性へのアプローチはチャレンジの跡すら見られず、復旧の目処は立っていない。前線に押し引きの我慢が強いられるようなプランを実装するには難しいチーム状況になっているのだろうか。

 いずれにしてもC大阪戦に勝つことにフォーカスするのであれば、ミドルブロック構築への再トライは必須だ。C大阪相手に守る時に避けなければいけないのは「レオ・セアラにボックス内での仕事にフォーカスさせること」と「少ない人数(=SHとSBのみ)でサイドからクリーンな状態でクロスを上げさせること」の2つ。川崎の無闇なハイプレスが生み出す、サイドの守備のズレはこの2つの状況は簡単に作り出してしまう。

 自陣から時間を作り、中盤と前に時間を与えること。ミドルブロックを組んで我慢すること。保持でも非保持でも逃げずに我慢をすることはC大阪でなくとも、どこが相手でも川崎が上に行くために避けては通れない普遍的なスキルである。

 C大阪は川崎よりもチーム状況はいいが、長年リーグタイトルに届かない勝ちきれないというジレンマを抱え続けているというのも事実。彼らには彼らなりの地獄がある。悲願達成のためにこの課題を解決するために、全力を尽くすだろう。

川崎サポから見れば川崎が主人公なのは当たり前だが、実際のところは自分たちだけでなく相手にもそれぞれの地獄があって、その地獄から脱するために死に物狂いでやっている。試合に求められる要素を改善するというアプローチにきっちり向き合うことで川崎には自分たちの地獄から脱してほしい。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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