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「落ち着かせる以上の手段へ昇華」~2024.8.11 J1 第26節 FC東京×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第26節
2024.8.11
FC東京(7位/10勝7分8敗/勝ち点37/得点35/失点32)
×
川崎フロンターレ(12位/7勝10分8敗/勝ち点31/得点38/失点35)
@味の素スタジアム

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦でFC東京の2勝、川崎の9勝、引き分けが1つ。

ホームでの戦績

直近10戦でFC東京の2勝、川崎の8勝。

Head-to-head

Head-to-head
  • 直近8試合のクラシコのうち、7試合は川崎が勝利している。
  • しかしながら直近のFC東京のホームでの対戦ではFC東京が2-1でリーグ戦9試合ぶりの勝利を挙げている。
  • 前回の味スタの試合での敗戦まで、川崎は味スタのリーグ戦で5連勝中だった。
    • この間の合計スコアは4-19。
  • 直近16試合のリーグ戦の対戦で逆転勝ちがないカード。先制したチームが14試合で勝利を挙げている。

スカッド情報

FC東京
  • ディエゴ・オリベイラは前節不在。
  • バングーナガンデ佳史扶は右脛腓靭帯損傷により欠場。
  • 山下敬大は7月16日に長期離脱から全体練習に復帰している。
川崎フロンターレ
  • 丸山祐市は欠場が続く。
  • ジェジエウは肉離れにより一時帰国。
  • 高井幸大は代表活動を終えて帰国済み。

予想スタメン

Match facts

FC東京
  • リーグ戦は直近5試合で1勝のみ(D1,L3)。
  • 今季ここまでボトムハーフ相手のホームでのリーグ戦は6戦無敗(W4,D2)
  • 直近の公式戦での5回の勝利はすべてクリーンシート。
  • 17人の選手がリーグで得点を決めており、浦和と新潟と並びリーグ最多タイ。
  • シュート数は290本でこれより少ないのは磐田(286)、札幌(284)、名古屋(257)だけ。
    • しかしながら、枠内シュートの内35%が得点につながっており、これよりいい数字なのは鹿島(37%)だけ。
  • 遠藤渓太は直近3試合のリーグ戦で2得点。
    • 川崎戦では2019年に等々力でゴールを決めている。
川崎フロンターレ
  • リーグ戦では7試合無敗で前節今季初めての連勝を達成。
  • 前節のクリーンシートはリーグ戦では12試合ぶり。
  • 今季勝利した2つのアウェイゲームはどちらも関東開催。
  • 佐々木旭がCBとして先発したリーグ戦は今季8戦で1敗のみ(W4,D3)
    • 複数失点も広島戦と柏戦の2回だけ。
  • マルシーニョがリーグ戦でゴールを決めた6試合は今季すべて勝てていない(D4,L2)。
  • 家長昭博はFC東京相手にキャリアで3回複数得点を決めており、特定の対戦相手としては最多。

予習

第23節 新潟戦

第24節 鹿島戦

第25節 G大阪戦

展望

迎合から再構築への移管ができるか

 対戦相手に関しては直近3試合をチェックするというのがマイルールなのだが、ここ最近のFC東京はこの3試合で少し傾向が見えてきにくいなという印象を持った。ここ3試合のFC東京の対戦相手は新潟、鹿島、G大阪。FC東京はいずれの試合も相手の強みに迎合しながらどの土俵の中でできることの対策を組んだというイメージを持った。

 新潟、G大阪は極端な保持ベースのチーム。相手にボールを渡すことで徹底的に自陣にブロックを組むことでカウンターにフォーカスしたプランを組んだ。鹿島戦も相手が得意な直線的な攻撃の土俵に乗って勝負を受けたという感じである。

 というわけでカラーとしては相手の色に染められてしまうことは受け入れる。その上でできることを探すというのがこの3試合のFC東京の流れのように思えた。川崎はG大阪や新潟に比べると保持局面を維持する持久力はないし、鹿島ほど強度で90分を圧倒できるほどの力はない。そう考えると、FC東京はこの川崎戦では自分たちのやりたいスタイルの再提示をしてくる可能性がある。

 もう1つ、スタイルを再提示する重要性は前線中央のフォーメーションが流動的だからである。従来の中央のユニットはオリベイラ&仲川でボールを収めて直線的に勝負を仕掛ける流れから、松木&荒木に入れ替えてライン間でレシーブする流れに引き継ぐというのがメインのスタイルだった。

 だが、ご存知の通り松木は移籍をしてしまい不在。オリベイラも前節の不在に加えて、今節のtotooneの予想スタメンからも外れていたことを踏まえると、今節も再び姿を見せない線も捨てきれない。3試合の中で最も極端なプランだったと言っていいG大阪戦はこうした前線の組み合わせ構築が間に合わないという算段からきっちり守ってカウンターという相手の長所を受け止める方向性に舵を切った可能性もある。

 先にも述べたが、川崎は先に挙げたチームに比べれば自分たちの持ち味を出せる時間帯は見出しやすい相手。ここで前線のユニットを再構築し、どこから攻撃を組んでくるのか?というところの提示を再び行いたいはず。当然、新加入のガウディーノ(サイドの選手っぽいけど)を攻撃の軸に組み込むことは考えられるが、どうやら週末の試合に向けての登録は間に合っておらず出場は不可能な見込みのようだ。

 直近3試合で見られた傾向にも触れておこう。守備は非保持4-4-2。相手のバックスには無理にプレスをかけずに、ある程度ボールを持たせてOKというスタンスをとる。サイドではSHが3人目の守備者としてバックスにプレスをかけると、これがプレスのスイッチになることはある。

 ボールを奪ったら縦に素早くつけるカウンターに移行。この仕組みを維持するのであれば、やはり収まるディエゴ・オリベイラの存在は重要に思えるし、「再構築」のための最短ルートは彼の復帰のように思えてしまう。SHはキャラクターがかなり異なっている。特に傾向が異なるのは左サイド。足元に収めて大外から勝負を仕掛ける俵積田は押し込んでからの仕上げのフェーズの局面で効いてくる。少ない手数でという点で言えば、オフザボールで相手のDFラインの背後を取る遠藤の抜け出しは特筆すべきものがある。同サイドのCBが低い位置からフィードをつけることができる岡に変わったため、前線の動きだしは非常に重要なファクターとなる。右は安斎が孤軍奮闘で多くの仕事をこなしている。

 プレスからイニシアチブを取る形はあまり得意そうではないので、押し込まれるフェーズに対するロングカウンターの手段は欲しいところ。そういう意味では小柏の復帰の意味合いは大きいと言えそうである。

 自陣からのショートパスではMFが大きく横に動きながらホルダーに近づき、細かく穴を開ける動きを得意としている。ボールを動かしながらズレを作り、ライン間に収まりどころを作り、左右に揺さぶることでSBのオーバーラップを促すことができれば、よりサイド攻撃は強力になるだろう。

ビルドアップでのズレ作りを先に繋げる

 川崎にアドバンテージがあるのはまずは体力面だろう。中3日とはいえ、大阪で塹壕戦という粘りが求められる試合をやってきたFC東京に比べれば、9人相手に強度を落とすことができた川崎は明らかに優位である。中3日での同じフォーメーションのリピートは従来であれば強度が大きく下がる要因になるかもしれないが、今回に関しては特に体力面で大きな問題にならない可能性もあるだろう。

 基本的には神戸戦でできたことをきっちりとFC東京相手にぶつけることは重要になる。無理なバックスへのプレスを抑制し、ライン間を潰しながら守ることはオリベイラの背負うアクションへの対抗策や荒木が使いたいスペースの封鎖という意味でも大きいファクターになる。特にオリベイラに関しては大迫を封じたようにCBが出ていく形を周りでフォローすることで漏れが出ないようにしたい。

 ビルドアップに関しても十分に成果は見込めるだろう。G大阪が非常によく使っていたのだが、SH、特に遠藤を引き出すところからSH-SB間を間延びさせてその間を使うみたいな形は前進の手段としてかなり有効だった。余裕があれば再現したい。

 また、FC東京はアンカーの管理は前節対戦した神戸に比べるとかなり甘い。バックスに対して強引にプレスをかけることはないので、基本的には中盤から守備はスタートする。だが、中盤のマークを特にはっきりと周りに受け渡さないままなので、結果的に後方から縦パスを受けた中盤の選手がフリーになる。大迫や佐々木がきっちりとプレスバックすることで川崎の中盤をチェックしてきた神戸に比べればより前を向くのは簡単である。中盤で前を向く選手を作ることに関してはより意識をして行っていきたい。

 その一方で神戸戦ではできなかったこともある。敵陣でのブロック攻略の安定感はいまだに確立することはできず、退場者によって難易度を引き下げてもらったことによりようやく成立したというイメージであった。

 個人的にはビルドアップで作ったズレからゴールに向かうアクションが少し遠いように思う。たとえば、遠藤と徳元を間延びさせてギャップを作るのに成功したのであれば、ここからサイドのズレをそのまま生かしてゴールに向かう形をイメージしたい。

 今はビルドアップとブロック攻略が分離されて、それぞれのフェーズに存在しているように思う。相手を動かしながらボールを動かすことはできているので、それをより攻撃の後ろの段階における課題解決、いわば落ち着かせる手段以上に昇華することができれば、よりチームの崩しの機能性は高まることになるかもしれない。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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