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「終盤力はついたのか」~2024.8.17 J1 第27節 川崎フロンターレ×横浜F・マリノス プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第節
2024.8.17
川崎フロンターレ(10位/8勝10分8敗/勝ち点34/得点41/失点35)
×
横浜F・マリノス(9位/10勝5分11敗/勝ち点35/得点41/失点41)
@Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦で川崎は4勝、横浜FMの3勝、引き分けが3つ。

川崎ホームでの戦績

過去10戦で川崎の6勝、横浜FMの3勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 直近7試合は連勝も連敗もないカード。
  • 直近3試合ではホームチームの勝利がない。
  • 川崎ホームでの対戦は前回横浜FMが勝利し、等々力での3連敗をストップ。
  • シーズン1回目の対戦がスコアレスドローになったのは2012年以来12年ぶり。
    • 2回目の対戦も2-2のドロー。

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • 丸山祐市は欠場が続く。
  • ジェジエウは肉離れにより一時帰国。
  • 大南拓磨と瀬古樹は移籍手続きによりチームを離脱。
横浜F・マリノス
  • 渡邊泰基は脳震盪で離脱中。
  • 喜田拓也は累積警告により出場停止。

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • 直近8試合無敗で3連勝中。
  • 直近5試合での勝ち点は11でこれ以上に勝ち点を稼いでいるのは湘南(13)と広島(12)だけ。
  • リーグ戦4連勝になれば2022年最終節以来およそ1年8ヶ月ぶり。
  • 三浦颯太が出場したリーグ戦は直近5試合無敗(W4,D1)
  • 佐々木旭がCBとして先発したリーグ戦は今季9戦で1敗のみ(W5,D3)
  • 山田新は直近3試合連続で2得点を記録。
横浜F・マリノス
  • リーグ戦直近13試合引き分けがなく連勝と連敗を繰り返すラン。
    • 前節、3連勝がストップ。
  • 直近8試合でクリーンシートがない。
  • アウェイでの今季の5つの勝利は全て1点差。
  • リードから落とした勝ち点は23。これより多いのは川崎(25)だけ。
  • アンデルソン・ロペスは濃野公人に並び決勝点の得点数がリーグハイの5得点。
  • ヤン・マテウスは7アシストで名古新太郎、ルーカス・フェルナンデスと並びリーグハイ。

予習

第24節 町田戦

第25節 札幌戦

第26節 神戸戦

展望

WGへのルート開通が攻撃の軸

 連勝を重ねて順位を上げる川崎。4連勝を狙って対戦するのは順位表ですぐ上にいる横浜FM。川崎が勝てば順位の上下は入れ替わることになる。

 横浜FMは7月15日付でハリー・キューウェルが解任。ヘッドコーチだったハッチンソンが暫定的に指揮を取る体制となっている。今回予習した3試合はいずれもハッチンソンが暫定監督として指揮をした3試合である。

 自陣からの保持はゆったりとしたものが多い。GKの飯倉をCBで挟みながらボールを左右に広く動かしていく。プレス回避の能力は高く、町田や神戸などといった高い位置からのプレスにくる相手でもそこまでボールをロストする頻度は高くはない。

 ゆったりとした保持の狙いは2列目を動かして縦パスのルートを見つけることである。特にレシーバーになるのはWG。彼らへのパスコースを作るために周囲の選手が動きながらコースを作っていく。例えば、アンカーの喜田に対してよりCH色が強いIH(渡辺が務めることが多い)が平行にサポートに降りる。対面のCHがそれに出ていけば、WGが絞っていく。

 逆にSBが絞ることで外に開くWGへのルートを開くパターンもある。大外でWGが起点を作ると、今度はWGに対してSBやIHが動き回ることでズレを作っていく。基本線となるのはハーフスペースアタックであり、この辺りはいつだって横浜FMが大事にしているところなのだなと感じるところでもある。

 要は相手にズレたところからWGがボールをレシーブし、そこから攻め手を探っていく。インサイド寄りで2列目がボールを受けた時は逆サイドへの大きな展開からトライアングルアタックに移行する時もある。やはり縦パスの受け手としてエウベルが別格。内側、外側問わずにボールを受けつつ、自らがゴールに向かう姿勢と同サイドと逆サイドを使う姿勢をバランスをよく使っている。ライン間がコンパクトであるなら、マテウスが裏に抜けるなどエウベルがボールを持った時のバリエーションは増えていっていると言っていいだろう。

 この試合で横浜FMが問われるのはこうした2列目へのパスコースを空けるための動きやWGに合わせたアタッキングサードへの侵入を喜田の出場停止でも継続できるかどうか。中盤のフィルター性能も含めて、ユニットでの機能性を維持できるかが重要なポイントとなるだろう。

 ただ、あくまでゆったりとボールを動かしながら2列目を動かすことは方法論の1つ。札幌のように終始オープンに戦う相手にはあっさりと前線にパスをつけて前進もしていたので、基本的には前の3枚を活かすための方策だろう。町田もこの背後のアタッカーの威力を気にしており、前から枚数を合わせたプレッシングに出ることができず、リズムを掴むことができなかった。それだけエウベルやマテウスの威力は高いということだろう。

 それだけにWGが井上、宮市に交代するとやや出力が下がるのは仕方ないところ。相手を引きつける引力と旋回成分に低下により、相手が対応しやすくなる場面が増える。そこを補っているのが帰還を果たした西村。前線の4枚目の縦パスのレシーバーとなることで、オープンで前線のキープ力が問われる終盤戦でも勝負する形を作れている。

 一方で非保持においては課題が目につく。基本的には4-4-2がベースになるのだが、特に前線のボールホルダーへのチェックが甘く、コンパクトな守備を敷くのは難しい。札幌戦では前の選手と中盤が間延びし、サイドから裏に自由にボールを放り込まれる時間が続き、反撃の隙を与えてしまっていた。

 晒された時のバックラインの耐性に不安があるのは今季の川崎と同じであり、CBやSBが釣り出された時のカバーリングが甘いため、個々のマッチアップでも劣勢になると一気にゴール前まで運ばれてしまうという難点がある。よって、より手前のところで隙を作らないのが大事なのだが、先に述べた通り前線と中盤の守備が間延びしやすいので、バックラインが晒されないようにする予防措置をとることもできないという形である。町田戦は悪くはなかったが、この試合はそもそも保持の時間を増やして撤退守備の機会を減らしていたことがミソだったように思える。

 横浜FMと川崎の課題は似ているように思う。従来のインテンシティの高いスタイルを前方が非保持で遂行できなくなった上、選手の入れ替えを強いられた後方が支えきれないというのが両チームの失点を繰り返す時のパターンだ。この収支が合えば勝利はできるが、その機会は戦力の入れ替えとともに減ってきている。両チームの順位が何よりの証拠と言えるだろう。

ゆったりとしたテンポを継続できるか

 神戸の4-4-2は非常に参考になる。ライン間をコンパクトに保ちながらインサイドで2列目がボールを持つ機会を減らし、横浜FMの攻撃の起点を潰したい。外で持たれるよりも多様な選択肢に対応しながら、相手のポジションチェンジに手を打たなければいけなくなるインサイドへの旋回の方が厄介なので、優先順位はまず内側を閉めることになる。

 外にボールをつけられた時は当然ポケットをどのように埋めるかが重要になる。オーソドックスなのは下の図のようにCHがバックラインに入る形だろう。

 しかしながら、FC東京が川崎の左サイドを必要に狙っていたように、稼働範囲の限られた大島のサイドでは川崎はポケット攻撃を潰し切ることができないことが多い。ポケットからの裏抜け→ファーへの速いクロスというフィニッシュの形一辺倒だったFC東京とは異なり、横浜FMは分岐を作りながら最適な攻め手を吟味できるチームなので、FC東京戦のようにCHを2人ともこちらサイドに集結する守り方をしてしまえば、バイタルへのマイナスの折り返しからミドルシュートを狙われることになるだろう。

 よって、特に大島サイドのアタックをどのように封じるかは大きなポイントになる。DFラインからのチャレンジとカバーリングの関係性の構築においては直近の川崎は横浜FMよりもよくできていると思う。ポジションをこまめに動かしながら、横浜FMのポジション入れ替えに対応していきたいところである。

 保持では自陣からボールを動かしながらズレを作っていく直近2試合のビルドアップを継続していきたい。FC東京戦と同じく、相手のバックラインに対して個の優位を作れれば非常に楽。まずはゆったりと人数をかけながら、右サイドの家長をはじめとして序盤からどこで優位を取れるかを探るスタートにしたい。

 川崎は直近の試合では相手をプレスに引き付けたところからひっくり返して得点を決める形を見せることができていない。中盤が縦に間延びしやすい横浜FMは展開によってはこうした擬似カウンターに向かう動きは効くと思う。前線んで簡単に優位が取れないのであれば、バックラインからの縦パスからスイッチを入れてゴールを陥れる形を狙っていくことになるだろう。

 基本的には横浜FMは自陣でのブロック守備でも怪しさがあるので、まずは押し込むことを念頭に置くことは悪くはない。ロストの仕方を間違ってしまうと、カウンターで泣きを見ることになるが、守備にWGを忙殺して体力を削っていければ、エウベルやマテウスの脅威は速い時間に減ることになる。オープンな展開を呼び込んでしまうと、前線ユニットの火力は横浜FMに軍配が上がると思うので、序盤は少なくとも開けた流れの連発は避けたいように思える。よって、先制点を取られてプレスでギアを上げていかなければいけない流れは川崎にとっては最悪。先制点を取られてしまえば、一気に流れを持っていかれるリスクもある。

 連勝で問われていない部分も気がかり。どうしても1点が欲しい場面での火力やオープンな展開で交代選手がトドメを刺すというような試合運びはこの連勝の中では見られていない。試合を静的に進めることで連勝をしてきた川崎が出力を上げることが問われた時にどのような抵抗の手段があるかは重要な要素。終盤まで持つれる展開が多い横浜FMとの一戦ではその終盤力が問われる試合になる可能性は高いだろう。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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