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「弱気は敵」~2024.9.1 J1 第29節 北海道コンサドーレ札幌×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第29節
2024.9.1
北海道コンサドーレ札幌(20位/5勝7分16敗/勝ち点22/得点32/失点55)
×
川崎フロンターレ(14位/8勝10分9敗/勝ち点34/得点42/失点38)
@大和ハウス プレミストドーム

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦で札幌の2勝、川崎の8勝(PK戦含む)、引き分けが2つ。

ホームでの戦績

直近10戦で札幌の2勝、川崎の7勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 直近7試合の対戦で川崎は1敗のみ(W5,D1)
  • 札幌は川崎に対して直近29試合でクリーンシートは1つだけ。
    • 2020年11月の等々力での0-2。
  • 直近10試合のリーグ戦での対戦で川崎は9回の複数得点を記録。
  • 直近2試合の札幌ホームでの対戦はいずれも4-3のスコア。
    • 川崎と札幌がそれぞれ1勝ずつ。

スカッド情報

北海道コンサドーレ札幌
  • 浅野雄也、長谷川竜也、キム・ゴンヒは肉離れにより離脱中。
  • 高木駿は左膝前十字靭帯断裂により長期離脱。
  • 馬場晴也は累積警告による出場停止。
  • 荒野拓馬、深井一希は練習試合による実戦復帰。
川崎フロンターレ
  • ジェジエウは肉離れにより一時帰国。
  • 瀬古樹は移籍手続きによりチームを離脱。
  • 高井幸大は累積警告による出場停止から復帰。

予想スタメン

Match facts

北海道コンサドーレ札幌
  • リーグ戦では直近6試合で1敗のみ(W3,D2)。この間に稼いだ勝ち点は11で、それ以前の22試合と同じ勝ち点。
  • 直近5試合のリーグ戦では15得点。今季のリーグ戦の得点の47%を記録している。
  • ホームの公式戦は4試合無敗。この間、14得点を挙げている。
  • 55失点は鳥栖と並んでリーグワースト。あと6失点で昨季の失点数に並ぶ。
  • ビハインドから得た勝ち点は1でリーグワースト。
  • 公式戦でのゴールは駒井善成がチームハイの5得点。直近5試合の公式戦で4得点。
    • 昨季の川崎戦で得点を決めている。
川崎フロンターレ
  • 負ければ今季4回目のリーグ戦連敗。
  • 今季のリーグ戦での3つのアウェイでの勝利はいずれも関東でのもの。
  • 直近10試合での公式戦で無得点試合はない。
  • 今季5失点での敗戦は2回。現在18位の磐田と19位の鳥栖に喫したもの。
  • 前半戦に3-0で勝利したFC東京にはダブルを達成している。
    • 札幌にも前半戦3-0で勝利。
  • 小林悠は札幌での公式戦11試合連続で15得点を決めているが、2023年以降は得点を決めることができていない。

予習

第26節 福岡戦

第27節 鳥栖戦

第28節 磐田戦

展望

前向きの圧力が出れば圧巻の攻撃力につながる

 絶望的な前半戦の勝ち点から一転、札幌は少しずつ勝ち点の上積みを始める反転攻勢に出ている。Match factsで触れた通り、直近6試合で3勝2分。それ以前の22試合で得た勝ち点11をこの6試合だけでたたき出すことに成功している。

 勝利した試合を見ると、やはり爆発的な得点力が花開いている印象だ。天皇杯の山形戦を含めた直近4試合の勝利のうち、3試合が4得点以上を記録。特に鳥栖戦では17分までに3得点を記録するなど、ツボにハマった時の猛ラッシュは目を見張るものがある。

 保持のメカニズムは大きくは変わらない。ベースとされる3-4-2-1からCHが列を下げてDFラインを横に押し広げる。中央のCBと降りたCH、そしてGKが後方を任され、ワイドのCBは横に広がってSBのような振る舞いを見せている。

 ワイドのCBで攻撃に貢献するといえば一昔前では福森だった。しかしながら、彼が退団して以降も札幌のこのポジションは攻撃的なアイデンティティを持続させている。

 冬の新加入選手となったミンギュは後方支援だけでなく左の大外を取って菅をボックス内に押し上げる役割を果たしている。右に入る選手は流動的だが、中盤に難なく溶け込める馬場は他のバックスとは違う持ち味があるし、髙尾は浦和戦で相手のDFラインを欺く裏へのパスでゴールを演出するなど、それぞれ違う形で攻撃に関与している。

 アタッキングサードで好調が目立つのは近藤である。右の大外で1on1を仕掛ける役割を請け負い、ゴールやPK奪取などスコアにつながるプレーで相手の左サイドを破壊している。後方からの対角パスからの1on1もさることながら、鳥栖戦ではシャドーポジションの駒井の降りるアクションから裏抜けでゴールを陥れるシーンもあった。

 右の大外の近藤やトップに入る鈴木を使った押し下げは副次的な効果も生み出している。菅や青木といったボックス内に飛び込んでくる選手の特性を生かすことができるからである。前に起点ができた時の後方からの菅、青木、駒井らの圧力はやはり圧巻。なだれ込んでくる状況を作られてしまうと、防ぐのは難しくなる。

 短い時間でのプレーが中心なので、正直まだ特性を掴み切れていないのだが、バカヨコやサンチェスといった目を引くことができるFWが終盤に投入できるのも、先に名前を挙げた2列目からの刺客が活躍する後押しになっている。

 守備に関してもいつも通りである。マンツーがベースで一つ目を捕まえられた場合は一気に圧力を上げてボールを奪い取る。勢いがついている時にこのプレスにハマると大量失点の可能性も出てくるので警戒は必要である。

 しかしながら、この一つ目を捕まえられるかというところには少し今の札幌には難がある。前線が1stプレスを仕掛けるのがやや鈍重であり、GKまで戻された時の二度追いをする機会は多くない。

後方を同数で受けるというよりはボックスでは枚数を余らせることもあり、ボールサイドと逆側においては高い位置にいる相手選手を離して自陣にリトリートすることも珍しくはない。ということで大きな展開を伴うビルドアップにはあまり強くはない。こうした場合も前から相手を捕まえに行く圧力は下がっており、ボールを捕まえるのは遅れやすい。

 逆に中央は枚数をかけているので、何も考えずに縦パスを入れてくる相手に対しては簡単にカットしてカウンターを打つこともできる。マンツー成分は札幌比較ではやや減って、守るべきエリアが少し明確になったのかなと思う。それでも基本はマンツーなんだけど。

自軍のウィークと相手のストロングが重なるエリア

 直近の試合を見る限り、札幌がもっとも得意としている相手が「弱腰な4-4-2」のように思える。前からのプレスに来ず、札幌のバックラインにボールを持たせる。大きな展開に対してサイドへのチェックが遅れる。これが自在にできていたのが鳥栖戦。バックスから大外→ハーフスペースの裏で一気にボックス内に侵入し、慌てて後退する相手のバックスの混乱の内に得点を陥れる。これが最短ルートである。

 ということで川崎も当然背中を見せて逃げるような4-4-2を組めば、鳥栖のように無抵抗で大量失点を重ねる可能性も充分にある相手である。そのことは頭に入れないといけない。

 まず、先に挙げた最短ルートは確実に消すこと。大外へのスライド→ハーフスペースの裏はまずやってくるだろうし、それが有効だとなったら間違いなく連打してくるだろう。川崎は言うまでもなく、大島サイドがこの対応に遅れるケースが散見されている。

 ただし、外循環に気を払いすぎると中央に降りてくる駒井にスペースを与えることとなる。内と外の両面をどのように抑えるかは重要なポイントになるだろう。浅野の離脱や馬場の負傷など欠員はいるが、川崎のウィークポイントと重なるエリアとなる近藤のいる右サイドをどのように抑えるかがポイントになるだろう。クロスを入れられるところまで進まれてしまうと苦しいので、なるべく早い段階で相手を止めるアクションを見せたい。

 保持に関してはトップに当てて解決策を見つけることができるのが一番手っ取り早い。中盤とバックスが連携して相手を挟むようなことはしてこないチームだし、終盤にかけて試合はオープンになること請け合いなので、山田にせよエリソンにせよ、あるいは行方不明のゴミスにせよCFで輝くことができる余地は十分にあると考えられる。彼らの奮闘でWGを解放できればそれが一番のゴールの近道であることは言うまでもない。

 それ以外のルートであれば、先に述べた札幌のマンツー成分の低いところにボールを届けて陣形をスライドさせることだろう。GKを絡めて攻めるサイドを後方から変えることで、相手のプレスのカバーが間に合わないところにボールを届けることができれば、そこから一気に進撃することができる。

 川崎がボールを自陣で奪ったケースにおいてはかなりの確率でWBの背後は空いている。三浦のようなワイドのレーンへのランができる選手はなるべく引っ張っておきたい。

 押し込んだ際には強引に縦にパスを差し込んでカウンターを誘発するケースが一番怖い。しかしながら、一度中央への楔をフリにするのはありだろう。リターン前提で真ん中の選手にボールを預けて、札幌のバックスの目線を中央に向けつつ、サイドにパスをつけなおす。そうなれば、高確率でサイドから札幌のラインを押し下げることができる。

 ここからマイナスを使うもよし、あるいはそのままクロスを上げるもよし。札幌のDFは枚数が揃っている状態でも相手のラインの上下動に対するポジションの取り直しの感度が低いため、サイドからラインを押し下げる形は普通のチーム以上に効く。

 リスクの大きい中央へのパスをフリに出来れば、違うところからのチャンスが広がる。弱気にならず、相手を揺さぶる余裕があれば、札幌攻略のルートは自然と見えてくるはずだ。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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