後半ATにひとやま、ふたやま
逆転残留を目指し、過去一といっていいレベルで夏にチーム強化の投資を行った札幌。ここから続く8月の連戦でどこまで勝ち点を積むことができるかが秋以降の残留の現実味に大きくかかわっていることは間違いない。
立ち上がりのロングキックの応酬を終え、ボールを持つ機会を得たのは札幌。お馴染みとなるCHがラインを降りるところを起点とする後方の変形からサイドにボールをつけていく。
まず札幌がこの日、狙いをつけていたのは右サイド。近藤、馬場、浅野のコンビネーションから背後を取ることでアクションを作っていく。しかしながら、ファイナルサードでの雑さは気になるところ。仕上げの甘さがある分脅威になり切れていない要素はあった。
ホルダーへの対応は少し後手に回っている感じがあった福岡だが、ポジトラから少しずつチャンスを作り出す展開に。福岡は札幌と比べても長いボールを使う意識は高め。ザヘディへのロングボールで前がかりな札幌をひっくり返すことを狙う流れとなった。ボックス内での札幌の対応が緩いこともあり、直線的な攻撃は札幌のゴールを脅かす。リスク回避のプランではあったが、その中でも十分に対応はできているといっていいだろう。
シャープさに勝る福岡はハイプレスから宮澤のミスを誘発。ショートカウンターからPKを得て、これを先制ゴールにつなげる。
以降はゆったりと自陣でブロックを組む福岡。32分に青木の抜け出しから浅野が決定機を迎えるが、これを仕留めることができず。リトリートして試合を落ち着かせた福岡がリードを守ってハーフタイムを迎える。
後半も札幌はボールを持ちながら解決策を探る展開に。福岡はザヘディだけでなく、対角の岩崎も織り交ぜながら前半よりも広く敵陣に迫る手段を作っていく。
サンチェスを投入して攻勢を強めたい札幌。対角フィードから裏抜け気味の近藤へのフィードからPKを獲得。これを鈴木が仕留めてタイスコアに引き戻す。
福岡はカウンターベースでさらなるゴールを狙いにいく。だが、サイドからのクロス主体の攻撃は菅野のファインセーブやウェリントンの決定機逸でチャンスをモノにできない。それでも後半追加タイムに右サイドからのクロスを亀川が仕留めて再びリードを奪う。
これで決着がついたかと思われたが、試合はもう一山。うまく敵陣で時間を使いきれなかった福岡に対して、田中克幸がボックスの外から衝撃のミドルで打ち抜きに成功。
シーソーゲームとなった試合はドロー決着。両チームは最後の最後で天国と地獄を両方味わう結果となった。
ひとこと
鈴木のPKは見ているこちらにも緊張感がとても伝わってくる一本であった。
試合結果
2024.8.10
J1リーグ
第26節
北海道コンサドーレ札幌 2-2 アビスパ福岡
大和ハウス プレミストドーム
【得点者】
札幌:14‘(PK) シャバフ・ザヘディ, 90+9’ 田中克幸
福岡:65‘(PK) 鈴木武蔵, 90+6‘ 亀川諒史
主審:山本雄大