内容もスコアも明暗くっきりの90分
三笘の今季絶望が明かされたブライトン。ジョアン・ペドロ、マーチといった前線の主力が続々と離脱し、非常に苦しいやりくりとなっている。ここからELも始まってしまうなど、鉄火場のような終盤戦になりそうである。
ボールを持つ立ち上がりになったのはブライトン。ファン・ヘッケを中盤に置く形でいつもの4-2-3-1をキープ。ビルドアップは2-2もしくはバックラインにフェルトマンが加わる3-2で相手のプレスの誘引を行っていく。
しかしながら、プレスを引き出して前進するという点ではブライトンよりもフラムの方がこの試合では明らかに上だった。IHがマークを外すように動き回ることで人へのチェイシングの意識が高いブライトンの守備陣を動かすことができていた。
そこにうまく入り込んできたのはイウォビ。運びに長けている彼の侵入からフラムはアタッキングサードに安心してボールを敵陣にキャリーすることができていた。
この辺りはブライトンの中盤の意識の乖離も気になる部分だった。バレバが前に前に行こうとする中でファン・ヘッケはなかなかラインを上げられずに躊躇。CBからはどんなに持ち場を離れても相手を追い回すタイプなのに、1つ列を上げてしまうとその積極性が完全に消えてしまうのだから面白い。
とはいえ、チームとしてはこのギャップはまずい。インサイドに絞るキャラクターが多いフラムの2列目はバレバとファン・ヘッケのコンビとは相性は抜群だった。
そしてフラムは先制。もう1つの前進手段であるムニスからフラムはゴールを奪いきる。彼の収めから攻めあがったウィルソンがあっという間にゴールを生み出していく。
ブライトンは逆に中央に集結する2列目がフラムの縦横のコンパクトな陣形との相性が最悪だったように思える。幅を獲れる選手がいないことをプラスに転じさせたフラムとマイナスになったブライトンで明暗が分かれる展開となった。
そして、フラムは前半の内に追加点。間延びしたブライトンの中盤を横断する形となった攻撃は右のウィルソンで完結。クロスをムニスが合わせてリードを広げる。ダンク相手に簡単に前に入り込むあたり、ムニスの調子の良さがうかがえる。
後半も流れは同じ。フラムがブライトンの中盤の間延びを利用しつつ横断、そして時々ムニスへの放り込み。この2つを駆使して主導権を握っていく。
ブライトンはそもそもコンパクトな守備に対してアタッキングサードへの侵入の手段がない。終盤にようやく少しフラムの守備にほころびが出たが、迎えた決定機をファーガソンがフイにしてしまう。この辺りはムニスと逆でなかなか苦しんでいるコンディションであることがよくわかる。
グロス、ブオナノッテが交代で入ってからは押し込むようになるブライトン。右サイドを軸にクロスからチャンスを作っていく。だが、レノやCB陣の安定感光るパフォーマンスを前にボックスで仕事をすることができず。
逆にカウンターからアダマ・トラオレが3ゴール目を決めて試合は完全決着。内容も個々人のコンディションもくっきりと明暗が分かれた一戦となった。
ひとこと
おそらく休養させたグロスやブオナノッテを使えばもう少し楽になるとは思うが、この試合のブライトンの出来は苦しかった。
試合結果
2024.3.2
プレミアリーグ 第27節
フラム 3-0 ブライトン
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:21′ ウィルソン, 32′ ムニス, 90+1′ トラオレ
主審:サイモン・フーパー