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「射程圏内を巡る駆け引き」~2021.9.14 UEFA Champions League GS 第1節 チェルシー×ゼニト レビュー

 どうも、CLグループステージ全部見るマン、グループH担当のせこです。



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スタメンはこちら。

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目次

レビュー

■「5バック=守備的」にあらず

 ディフェンディングチャンピオンであるチェルシーの初陣の相手はゼニト・サンクトペテルブルク。ロシア王者である彼らは今年もリーグ戦は順調な滑り出し。リーグ戦は開幕7戦無敗。今年も首位を走っている。

 transfermarktによると、リーグ戦では4バックが主体だったゼニト。だが、チェルシー相手には5バックでスタート。5-4-1でチェルシーを迎え撃つ。一般的には5-4-1は守備的されるが、ゼニトの5-4-1はそこまで守備的といえる代物ではなかった。チェルシーのCBにこそ積極的なプレッシャーはかけなかったが、CHと1トップのアズムンでチェルシーのCHのコバチッチとジョルジーニョをマークする。まずはCHに自由を与えないことはチェルシー対策の一般的なものになっている。

 ゼニトのワイドの守備は強気。シャドーはナロー気味で中央の守備を固めるのに注力をしている。そのため、チェルシーのWBに対してはWBが出ていくこと。これにより大外でも高い位置で止めることを狙う。

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 中央の進撃の起点となるCHを厳しくマークし、ワイドの進撃も止める。ゼニトの守備は比較的強気だった。

 その分、時間をもらったのはチェルシーの最終ライン。SBタスクができるアスピリクエタはジェームズとの互換性も高く、右サイドでポジションを入れ替えながら進んでいくことができる。逆サイドのリュディガーは自陣から敵陣までドリブルでぐんぐん進んでミドル!なんてシーンもあったくらいである。

 中央で厳しくマークを受けていたジョルジーニョも徐々に動き出し始める。1トップの周辺まで降りてくることでゼニトの中盤と駆け引き。コバチッチとの距離を離すことで中のスペースが徐々に作れるようになる。ジョルジーニョ、コバチッチ、アスピリクエタあたりは細かいパスをつなぎながら、DFの手の届かない角度を作り出すのが本当にうまい。

 CHは低い位置でポジションを調えるパスを出すジョルジーニョと、中盤中央を中心にどこから攻めるかを決めるコバチッチの両CHで徐々にゼニト相手に押し込むチャンスを見出すように。コバチッチがそれぞれ5レーンに配置された選手たちを使う指揮者だ。

 そこから先の攻めで変化をつける役割なのはアロンソ。マウントが中盤とのパイプ役として広範囲に動き回るのはもはやおなじみの光景といえるだろうが、アロンソも攻めでは広い範囲で躍動。時にはルカクと並びたつ2トップのように、エリア内に鎮座することも。その際に大外にマウントやコバチッチが流れることで全体のバランスが調整されているのはいかにもトゥヘルらしい。

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 ただし、ゼニトのバックスもチェルシーの攻撃には十分対応。トップの位置まで流れてくるアロンソも含めて出足のよい潰しで攻撃を食い止める。全体のラインも高く保っているので、エリア内に迫られるほどに攻め込まれるシーンはあまり多くはなかった。

■保持でもルートはある

 ゼニトのボール保持は4バック気味に変形。WBのサントスは高い位置を取り、左のシャドーのクラウジーニョは内側に絞りながらプレーすることが多い。クラウジーニョは前残りすることが多かったので、ややFW気味に彼をプレーさせたいというチームの意向もあったかもしれない。

 チェルシーはこれに対して、ルカクとマウントが2トップ気味に振舞い、ツィエクは中盤の守備に参加。ゼニトに対してはチスチャコフにはボールを持たせてOKでルカクとマウントは残りの3バックの2人にプレッシャーをかけていた。

 ゼニトの攻撃で効いていたのは、WGがワイドに張ることでチェルシーのWBの動きを止め、WBの進路を確保すること。12分の手前のシーンはその一例で、マウコムがアロンソの動きを止めることでストルミンが持ちあがるスペースを確保。そのままアズムンへのクロス経由で、その外のクラウジーニョに好機を届ける形だった。

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 カウンターにおいてもトップのアズムンが体を張ったり、裏に抜けたりなど無理が効く。CHのウェンデルやクズヤエフもカウンターでは走れる選手なので厚みも十分。ゼニトは十分チェルシーにやりかえす準備ができていた。

■チェルシーのDFラインの位置が高くなると…

 しかし、時間が進むにつれて徐々にペースはチェルシーに。ゼニトは非保持においてなかなか高いラインを維持するのが難しくなっていく。WBが高い位置に出ていけなくなったし、あるいはCHが高い位置を維持することができなくなったり。大体前半の30分くらいからは持ちあがるDFラインから直接エリア内まで有効打となるパスを打ち込むことができるようになっている。

 まずいと思ったゼニトはシャドーの守備時の横移動を増やし、チェルシーの攻める方向を制限する方針にシフトする。これに対してチェルシーも応戦。非常に大きかったのは深さを維持できるルカクの存在。彼が降りずに楔を受けることで、ゼニトの最終ラインの高さを決めることができていたので、チェルシーは同サイドに攻めを限定されてからも深さを作り続けることができていた。

 こうして再び押し込んだチェルシーは60分についにアスピリクエタからルカクへのクロスでゼニトのゴールをこじ開ける。やや強引ではあったが、ゼニトのラインが下がり、ルカクへのクロスを上げられる射程圏内にチェルシーのバックラインを入れてしまったことが原因だろう。帰還したエースの一撃でチェルシーが一歩前に出る。

 これに対してゼニトはジューバを投入。5-3-2にシフトし、ロングボールでの陣地回復を狙う。早速投入されたジューバはアスピリクエタを吹っ飛ばしてチャンスを作る。トゥヘルは早々にチアゴ・シウバを投入し、最終ラインの手当てに走る羽目になった。

 しかし、5-3-2に移行したことで中盤のフィルターが効きにくくなったゼニト。時間を使うための保持と相手を壊すための保持を使い分けるチェルシーに押し込まれる機会が増えてしまう。結局試合はそのまま終了。抵抗を見せたゼニトだったが、まずはディフェンディングチャンピオンのチェルシーが先手を取って見せた。

試合結果
2021.9.14
UEFAチャンピオンズリーグ
Group H 第1節
チェルシー 1-0 ゼニト
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:69′ ルカク
主審:バルトシュ・フランコフスキ

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