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「Catch up UEFA Champions League」~2024.2.20 UEFAチャンピオンズリーグ Round16 1st leg インテル×アトレティコ・マドリー マッチレビュー~

目次

1つのミスが違いを分けるヒリヒリした好ゲーム

 Round 16屈指の大一番。イタリアで首位を独走するインテルはマドリードの雄であるアトレティコと対戦。ソリッドな3-5-2をベースにする両チームがまずはミラノでしのぎを削る。

 普段着と比べてという観点で違いが見えたのはアトレティコ。5-3-2というよりは5-4-1のカラーが強め。単純にモラタがいないというのと、放置すると面倒なインテルのワイドのCBのバストーニとパヴァールをとっとと捕まえてしまおうという算段だろう。

 5-3-2のまま守るインテルも含めて、バックラインに立つ選手に対するマーク強度はそれなりだが、中盤のエリアに入ってくる選手に対してはかなりタイトというのが両チームの共通した方向性。シュートどころかクリーンな前進の場面すらないまま時間が過ぎていく。

 10分が経つとようやく両チームの前進の手段が見えてくる。やや一本やり感があったのはアトレティコ。右のハーフスペース付近に浮くFWが縦パスを受けて反転し、前線の裏もしくは左の大外を取るリーノに展開する形からゴールに迫っていく。

 インテルはマンツー気味に噛み合わされている中盤を外すところが初手。パヴァールがぐんぐんインサイドに入っていくのは平常運転だろうが、リーグ戦と比べるとバレッラの行動範囲がかなり広く、逆サイドまで出ていく頻度が高かったのは印象的だった。

 左サイドではバストーニが後方を押し上げながら、ディマルコが幅を取り、バレッラやラウタロに押し出される形で裏を取るムヒタリアンが少しずつ抜け出しを決める。右ではバレッラ、パヴァール、ダルミアンを組み合わせたポジションチェンジからブロックの外で浮いたバレッラがクロスを上げるのが代表的な攻撃パターンである。

 インテルの方が相手への対策を打ちつつ、左右に平時に繰り出せる攻撃を出すための下地作りを進めているという点では優勢に見えた。それでも枠内シュートに迫れるほどではない。そこにたどり着くには相手のビルドアップのミスを咎めるフェーズが絡まないと難しい様子だった。

アトレティコも悪くはないのだけども、右ハーフスペースで浮いたFWから先の手段がインテルを貫けるほど研ぎ澄まされた武器ではないようにも思えた。バックラインと中央で駆け引きできるモラタの不在は確実に効いている。もっとも、シメオネが1st legで得点を奪うことをどこまで重要視していたかはわからないが。

後半頭はインテルが決定的なチャンスを連打。セットプレーと流れの中からそれぞれチャンスメイクに成功。負傷交代して試合に入ったアルナウトビッチはすんなり試合に入ることができたと感じる立ち上がりだった。

 そのアルナウトビッチはライン際で勝負する頻度が多いテュラムよりも縦横無尽に動き回るタイプ。ボールを受けるために下がり、ボールと共に上がっていきたいタイプの選手である。その分、万能型のラウタロがややストライカータスクを濃い目にすることでバランスを図っていた。

 受けに回ったアトレティコはモラタを早々に投入することで攻撃の起点の増加を図っていく。ちなみにモラタとグリーズマンのコンビになってもFWの片側がMFタスクの5-4-1型で守備をする形は継続。右にフローするグリーズマンと中央で勝負するモラタというタスクの整理は決して出ていく術が豊富ではなかったアトレティコにとってはいいことだったように思う。

 インテルは70分に両WBを代えることで出力アップを図る。特にダンフリースの圧力はさすがであり、対面のリーノを押し下げることに大きな貢献を果たしていた。モラタの投入で引き戻された流れを再び引き寄せるのに十分な効果だったといっていいだろう。

 それでも、インテルの得点の前に最後に立ちはだかったのはオブラク。十分な速度のシュートでもキャッチングで寸断するオブラクにより、インテルは波状攻撃を仕掛けることができない。

 だが、前半と同じくミスが絡んだところからの決定機でインテルはついに先制点を得る。ヘイニウドとデ・パウルがお見合いしてしまったかのような場面からインテルがボール奪取に成功すると,弾かれたラウタロのシュートをアルナウトビッチが押し込んで先制。決定機を防がれていたインテルがようやく重い扉をこじ開ける。

 失点直後は取り返そうと躍起になっていたアトレティコだが、徐々にトーンはダウン。1-0での2nd legは悪くはないというのがシメオネの判断なのだろう。モラタに薄めのチャンスが来る以外は背伸びした攻め込みを見せずに試合は終了。前半の90分はインテルが先勝する形で幕を閉じた。

ひとこと

 1つのミスが勝負を分ける好ゲーム。インテルはアクシデントがあったことを感じさせないようなスマートさ。大枠を変えないまま戦い方にコントラストをつけるという点では今世界で一番うまいチームかもしれない。

試合結果

2024.2.20
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 1st leg
インテル 1-0 アトレティコ・マドリー
スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ
【得点者】
INT:79′ アルナウトビッチ
主審:イシュトバン・コヴァーチ

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