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「Catch up UEFA Champions League」~2024.3.13 UEFAチャンピオンズリーグ Round16 2nd leg アトレティコ・マドリー×インテル マッチレビュー~

目次

メトロポリターノの魔力が優勝候補を飲み込む

 1st legは1-0でホームのインテルが勝利。Round 16屈指の好カードは最小得点差でマドリードに舞台を移して乗りマッチを行う。

 より積極的な入りを見せたのは追いかける立場のアトレティコ。いつもであれば3センターの形となるメンバー構成だが、この日はジョレンテを前に押し出す形の3トップと言っていいだろう。前にかけた人数、そしてリスタートの速さ、攻め立てる左WBのリーノと先に相手のゴールに迫るアクションを見せたのはアトレティコの方だった。

 ボールを持つのもアトレティコの方。2トップの脇からCBのキャリーで前に進み、サイドからクロスを上げる形がセオリー。ただし、インテルのインサイドの跳ね返しはデ・フライを中心に高さがあって強力。28分のエルモソ→モラタへのクロスがおそらく有効打になりそうな初めてのハイクロスだった。

 よって、アトレティコがより具体的な状況でチャンスを作れたのは、インテルが跳ね返して前に出る瞬間にもう1回ボールを取り返すアクションが成功した時。カウンターのカウンターという形で相手の重心を見出せた時には少しインテルは中央に乱れが見られる。

 押し込まれるインテルはロングカウンターがベース。両WB、特に右のダンフリースの推進力は高い位置を意識するリーノの裏をつく手段としても非常に有効。オブラクはインテルの少ない攻めの機会に対しても、セービングの仕事をきっちりする必要がある立ち上がりとなった。

 先に解決策を見つけたのはインテル。左サイドのポストワークからアトレティコの守備に対して一歩先を行くパス交換を見せると、背後を取ったのはバレッラ。インテルの十八番と言ってもいいIHの奥をとるアクションで作り出されたスペースを、こちらも十八番と言っていいディマルコの内側への斜めのランで襲撃する形で先制。インテルらしいスペースメイクからゴールを手にする。

 しかしながら、アトレティコもすぐに反撃。中央へ差し込んだパスがこぼれたところをしたたかにグリーズマンが仕留めて、わずか2分でやり返しに成功。こういったボックス内での怖さを動き出しと細かいタッチで生み出せるのはいかにもグリーズマンという感じ。

 痺れるような前半はタイスコアで折り返し。互いに少ない決定機の中で1つずつゴールを決めてハーフタイムを迎える。

 後半頭、選手交代こそなかったがインテルは前半にはなかったボール保持から押し上げたがる素振りを見せる。バックラインが広がりながら、自陣からのショートパスを狙う光景はここまではあまり見られなかったもの。サイドからキャリーするアトレティコに対してもIHとWBの迎撃が早くなり、高い位置から食い止める意識が強くなる。

 無論、こうした表情は非日常ではなくインテルの普段の姿のレパートリーの範疇。欲しい局面に対して柔軟に顔を変えることができるのが今のインテルの最大の強みである。

 ただ、どの道得点が必要なアトレティコにとっては乗り越えてしまえばアタッキングサードにスペースができるインテルのスタンスはありがたいものだったように思う。特に右の大外に抜け出すスペースができたことでジョレンテの右奥へのフローが効くようになったのは大きかった。このジョレンテのサイドフローから後半の早い時間においてグリーズマンとモラタにそれぞれシュートの機会を与えることとなった。

 しかしながら、インテルは少しずつ保持で展開をフラットに戻しアトレティコはなかなか押し込めない展開に。次に動く必要があったのはアトレティコ。押し込むフェーズに備えて、3人目のアタッカーとしてよりFW色の強いコレアとWBのリケルメを投入する。

 再びアトレティコが押し込むフェーズに入ったことでインテルにもロングカウンターのチャンスが。テュラムとバレッラには最終ラインに抜け出すチャンスがあったが、特にテュラムの方は決めておきたいシチュエーションだった。

 押し込むフェーズは前半と同じだが、左右に顔を出せるフリーマンとしてコレアが入っていたのは効いていたし、インサイドの狭いスペースで正確なタッチができるデパイの登場も展開にはあっていたと言えるだろう。前半よりも明らかに1つ先の崩しのフェーズまで進めているアトレティコであった。

 すると、87分に同点ゴール。わずかなスペースを見逃さなかったコケの縦パスをきっちりコントロールしたデパイが貴重なゴールを叩き込んで、試合はトータルスコアで振り出しに。

 アウグストやアルナウトビッチが不在のインテルが逃げ切り視野の交代カードを入れたこともあり、その後もアトレティコが押し込み続ける展開に。しかし、リケルメが迎えた決定機を決めることができず、試合は延長戦に突入する。

 延長戦はインテルが押し返す立ち上がり。守備的な交代の影響で攻め上がった左サイドの重たさと、らしい持ち上がりを見せたビセックから生み出されたテュラムの決定機はどちらも選手の個性が反映されているものだった。テュラムのシュートがこれだけ枠を捉えないのはガッカリ感が大きそうだけども。

 以降の延長戦は消耗戦の色が濃い展開に。守備側が局所的に後手に回って犯すファウルによるセットプレーがチャンスの元になっていたが、どちらのチームもこれを活かすことはできず。試合はPK戦にもつれ込む。

 PK戦を制したのはアトレティコ。ハイレベルなGK対決を制したオブラクがアトレティコをベスト8に導いた。

ひとこと

 アーセナル目線で言うとどっちも試合をしたくないの一言。2nd legに限った話で言えばインテル相手に2得点を90分で決めるアトレティコのエゲツなさが際立ったかなと言う印象だった。

試合結果

2024.3.13
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 2nd leg
アトレティコ・マドリー 2-1(PK:3-2) インテル
エスタディオ・シビタス・メトロポリターノ
【得点者】
AMA:35′ グリーズマン, 87′ デパイ
INT:33′ ディマルコ
主審:シモン・マルチニャク

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