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「二度おいしい」~2021.9.1 ルヴァンカップ Quarter-final 1st leg 浦和レッズ×川崎フロンターレ プレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

ルヴァンカップ
Quarter-final 1st leg
2021.9.1
浦和レッズ
×
川崎フロンターレ
@浦和駒場スタジアム

戦績

近年の対戦成績

図1

直近5年間の対戦で浦和の3勝、川崎の8勝、引き分けが1回。

浦和ホームでの戦績

図2

直近10試合で浦和の3勝、川崎の6勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

<Head-to-head>
・直近6試合の公式戦での当該カードは川崎が無敗(W5,D1)
・2レグ制でのトーナメントの対戦は2017年のACL以来。2ndレグで浦和が逆転して突破した。
・浦和ホームでの試合は川崎が3連勝中。浦和はこの間、川崎相手に無得点。
・浦和ホームの川崎戦は直近5試合、勝利チームがクリーンシートを達成している。

 直近での戦績は川崎が優勢。特にここ3年は川崎が特に圧倒的。ただし、今回の舞台においては川崎側にいいイメージはないだろう。カップ戦においては2017年のACLでの浦和の逆転劇は川崎ファンの脳裏に強く焼き付いているはずだ。

 とはいえ浦和も楽な試合にはならないと思っているはず。ホームゲームは3連敗中。しかも、この間得点がない。もっとも、直近5回の浦和ホームでの対戦は全て勝利チームがクリーンシートを達成中。苦手なイメージを覆そうと躍起になっているはずだ。

スカッド情報

【浦和レッズ】

・西大伍は前節メンバー外。
・酒井宏樹は日本代表招集により出場不可。

【川崎フロンターレ】

・谷口彰悟、大島僚太、塚川孝輝、旗手怜央は負傷により前節メンバー外。
・マルチーニョは全体練習に合流。
・山根視来は日本代表招集により出場不可。

予想スタメン

画像5

Match facts

【浦和レッズ】

<浦和のMatch facts>
・直近5試合の公式戦無敗。
・ホームゲームは4連勝中。
・リーグ戦29得点はトップハーフで名古屋に次いで少ない。
・4試合連続公式戦で無失点。
・酒井宏樹の加入後5試合で浦和は無敗。
・キャスパー・ユンカーは来日以降決めた12得点のうち、8得点をホームゲームで決めている。

 成績的には徐々に上昇気流に乗っている。公式戦は5試合無敗だし、ホームゲームの公式戦は4連勝中である。

 少ない得点数でもいい成績を上げているのは4試合連続無失点の堅い守備があってこそ。しかしながら、この4試合はいずれも酒井宏樹がSBとして出場していたことは付記しておく。酒井不在でも堅い守備を維持できるか。そして、特にホームゲームで強い大エースのユンカーにいかにボールを届けるかが鍵になってくるだろう。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・直近5試合の公式戦で2勝。この間5得点。
・カップ戦は3試合連続で前半に得点できていない。
・直近10試合のリーグ戦で勝てなかった4試合はいずれも前半に得点を挙げられていない。
・今季の25失点のうち、18失点が後半に喫したもの。
・直近3回のルヴァンカップ決勝トーナメントのアウェイゲームはいずれも引き分け。
・出場時における平均得点は橘田健人がチームトップ。90分で2.92。

 なんとか札幌戦での勝利で踏みとどまったものの、ここ数試合は勝ちきれていない部分も目立つように。特に顕著なのは得点力の低下。3得点を掲げてはいるものの、ここ数試合は強引に得点を取りにいくばかりではなく、ゲームを締めるやり方を模索するようにも見える。

 前半に得点、後半は逃げ切り!が流れとしては王道パターン。これができずに前半を無得点で終わると苦戦する傾向がある。失点数も前半に比べて後半は多い。勝ちきれずにジリジリした試合になりやすいルヴァンカップのホーム&アウェイ方式だが、先に点を取りたいところ。エネルギッシュさをチームにもたらし続けている橘田で先に当たりを引きたい。

展望

■重くならないように

 今季の途中に書いた川崎のシーズン前半戦を振り返った中間報告の記事。そこで中長期的に脅威になるとして名前を挙げたのが浦和であった。

 理由としては金を持っているチームがしっかりと保持に取り組んで、ボールを取り上げるようになると脅威になってしまうから。

 今も浦和は保持の部分を軸に黙々と自分たちのやるべき作業に取り組んでいるという印象である。その上、前回対戦から江坂、シュルツ、ユンカー、木下、酒井、平野等ガンガン補強を敢行。夏を超えてさらに目指すべきチームに向かうべく、積極的に選手の入れ替えを行なった印象だ。

 ただ、現状ではチームは爆発的な向上をしているというわけではない。というよりも地道に一つ石を積んでいこうとしている感じに見える。攻撃は自陣からショートパスで一つずつ前に進める。段階を踏んでその先に得点があるという感じのビルドアップだ。

 最前線にユンカーが入ったことでフィニッシュに向かう部分の精度、及びフィニッシュそのものは非常に向上した。しかしながら、ユンカーはスーパーだけど無からゴールを生み出せるわけではない。単独でぶち抜くパワーとスピードで勝負するのではなく、最後の仕上げの質を高める存在だ。だからこそ、後方から組み上げる土台の部分が重要になってくる。

 理想的な状況としてあげられるのは広島戦の得点。スペースの間で繋ぎながら、相手にコンタクトを許さないまま得点まで。非常に綺麗な形であった。

 こういう形を目指すに当たってはまずは伊藤、平野等のCHが前を向ける状態を作るのが仕事である。下から組み上げていくスタイルにおいて、最も直面しやすい問題は後ろが重くなってしまい、前線に人数をかけにくくなること。広島は正直、相手が自分からスペースを作り出してくれる相手だったので問題はなかったが、そういう相手ではない時に前の選手が降りながらボールを受けてしまうと、後ろの人数が過剰になる。広島戦は前線が高い位置にとどまる部分を頑張れてはいたが、他の試合でもその形を維持するには苦心している感じ。

 特にトップ下に水を運べる小泉のような役割の選手をおくとこの傾向は顕著になる。ちなみにユンカーのパートナーとしてどこに(真横に?縦関係に?)、誰を置くのかという部分はまだ定まっていない。ここ数試合はパートナーを変えながら色々試している印象だ。

 後ろが重くなってしまいがちな問題を解決することができそうな選手として考えられるのは江坂である。低い位置まで降りてくることもあるが、ライン間で受ける意識が高く、相手の中盤の脇で楔を受けるのが上手い。そして、受けた後に対角へのパス等のさらなる展開を期待できる。FWが仮にサイドに流れてしまうのならば、そのスペースに入り込み前線の厚みをサポートする。前と後ろの人数の面で非常に効いている存在である。

 守備においては前からのプレッシングは現状あまり整備されていない感じ。メンバーが固定されていないというのもあるだろうけども。アンカーの受け渡しとかは余りスムーズじゃなかった。

 1列のプレス隊を越されると中盤が出てくる。が、そこも割と整理はされていない印象。中盤が出ていった際のバックスの呼応が弱く、DF-MF間にスペースを作りながらのプレッシングになってしまう。

 そういう欠点があるからこそ、浦和は非保持における自陣撤退の優先順位が高いのだと思う。人数をかけて守った時のブロックの強度はさすがで、ここは夏の補強が明確に効いている部分。特に酒井は早速効いている感じ。この試合ではいないけど。

 ただし、自陣深い位置まで戻ってしまうとその分ポジトラに転じた時のゴールまでの距離が遠ざかってしまう。浦和の課題である前進の機会不足はおそらくこの高い位置からのボール奪取が効かない部分に帰結するのだろう。

■少ないチャンスを活かし、ピンチの機会を減らす

 まず、この両チームの対戦で気になるのは両サイドバックのところである。代表活動で互いにレギュラーの右サイドバックを欠くことはすでに確実。加えて、西や旗手などそういった際にその穴を埋めることができる選手も出場が不透明ということになる。

 浦和はSB次第ではビルドアップのルートがここでつまることもよく見られるし、川崎も山根が不在時のやりくりには苦心している。西、旗手の2人が戻るのならばチームにとっては大きなプラスになる。まずは彼ら2人のコンディションが大きなポイントになる。

 展開としてはここ数試合の互いの試合を見る限りは体力勝負っぽい流れにはならないように思う。ここ数試合に川崎が対峙したような飛ばしてくる展開はあまり想像しにくい相手。結果的に少なくなっているのか、それともそれを狙っているのかはわからないが、自陣深い位置までの守備とショートパス主体のビルドアップのスタイルを主体とする浦和はトランジッションの数が少ない。そして、川崎も体力的にハイテンポで回すシーズン序盤の戦い方はできなくなっている。少ないチャンスをどう仕留めるかのシビアな試合になると予想する。

 川崎的には中盤中央。アンカー+CBのところの数的優位から丁寧に時間を前に送っていきたい。ここ数試合のレビューで言っているところだけど。シミッチに前を向いてボールを渡すこと、そして浦和の中盤を引き出して後方にスペースを作ることがポイントになる。

画像4

 スペースを空けてくれれば、そこから相手のMF-DFのライン間に侵入し、一気に攻略する。相手の人数がなるべく揃わないまま攻略する。ただし、無理に縦につけるよりはこの試合ではやり直すことは大事にしたい。繰り返すが、ジリジリしたチャンスの少ない試合と予想しているので、無理して通そうとして引っかけると、チャンスを潰すだけでなく、浦和にカウンターのチャンスまで与えてしまう。

 一方でしっかり押し込めれば浦和からは攻撃の機会の部分を奪い取ることができる。保持で攻撃を完結することは守備面でも効くというのはよくある話だが、特にこの試合では強く意識したい部分。押し込んでゴールに迫ることは相手の攻撃の負荷を高めることを踏まえれば二度おいしい。出力を解放できるタイミングはおそらく限定的なのでそこは見逃したくない。

 非保持に置いてはかみ合わせることでギャップを減らせるので、川崎はリードを奪ったら4-2-3-1への移行も視野に入れて中盤の列の人数を増やすやり方も考慮すべき。

 我慢と粘りのルヴァンカップになることは請け合いだが、自陣から丁寧にボール運びにチャレンジしている浦和に対して、丁寧さでは負けたくないところ。180分勝負のリベンジも含めて負けられない2試合が楽しみである。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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