先制点以降、抵抗できなかったウルブス
立ち上がりにボールを持ったのはウルブス。3-4-3でビラの4-4-2とは異なる噛み合わせを生かしながら、サイドからボールを前に運んでいく。
特に安定してこの役割を果たしていたのは右サイド。セメドはもちろんのこと、ワイトのCBであるサンチャゴ・ブエノの持ち上がりからアストンビラを押し込んでいく。
一方のビラはカウンターを重視するスタート。サイドに引き付けてのインサイドへのパスでネットを揺らしたり(オフサイド)、ティーレマンスらしい楔から縦に早く進んで行ったりなど少ない機会ながらも有効な前進を繰り返していく。
20分が過ぎたところからビラは少しずつボールを持つように。3-2-5に変形しての定点攻撃を増やしながらウルブスのゴールに迫っていく。
前線にカウンターの名手がいないウルブスはこうなると苦しい。ポゼッションと主導権は一致しないとよく言ったりはするが、ビラの保持はきっちりと主導権をセットで引き寄せたものとなった。
ウルブスにとって救いだったのはブロック守備がきっちりしていたこと。堅い展開でなんとかスコアレスに持ち込み、試合は得点がないままハーフタイムを迎えるのが青写真だっただろうが、それを打ち砕いたのはディアビ。36分のゴールでリードを奪い、前半のうちに試合を動かしてみせた。
後半、互いにプレッシングから主導権を握りにいく展開でスタートする両チーム。ウルブスからすれば敵陣にボールを持ちながら近づくための手段構築が必要で、それが高い位置からのプレッシングだったということだろう。
しかしながら、マルティネスやパウ・トーレスのいるビラのバックラインに対して高い位置からのプレスを安定して引っ掛けるのは至難の業。せいぜいボールを奪えるのは中盤であり、そこから先のゴールに近づく手段をなかなか持ち合わせていない。
ジョアン・ゴメスなどは独力のドリブルでファウルをもぎ取るなど強引な形から自分たちの時間を作れてはいたが、それができる選手は稀。ウルブスは徐々に苦しい時間をが増えていく展開に。
そんなウルブスにとどめを刺したのが追加点。右サイドからのコンサのクロスがアクシデンタルにそのままゴールにすっぽり。多少ズレていてもデュランが押し込んでいただろうが、いずれにしてもこのゴールでビラは試合の行方を決定づける。
最後までゴールを奪うことができなかったウルブス。先制点を奪われて以降はチャンスらしいチャンスを作ることができずに完封負けを喫した。
ひとこと
やはり前線のパンチ力のなさは苦しいものがあるウルブス。ビラもハーフタイムに下がったワトキンスの状態が気がかりである。
試合結果
2024.3.30
プレミアリーグ 第30節
アストンビラ 2-0 ウォルバーハンプトン
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:36′ ディアビ, 65′ コンサ
主審:ポール・ティアニー