ゴリゴリの削り合いの結末は
立ち上がりはロングボールからスタート。この流れで優位を取ったのはブレントフォード。前線の空中戦で競り勝ち主導権を握る。インサイドで競り勝てるので左右からのクロス選択もカジュアル。ブレントフォードの攻撃のプランは非常にシンプルであった。
一方のユナイテッドはロングボールだと前線に起点を作るのは難しい。なので自陣からボールを繋ぐアクションをしていく。ブレントフォードのプレスはハイプレス一辺倒ということではなく、5-3-2のリトリートを組み合わせる形だった。よって。まずは2トップの脇に起点をとってサイドから押し下げていく。
ただし、押し込むこと=主導権を握ることではない。ゴリゴリとしたブロック崩しを求められるわけだけども、当然インサイドでの空中戦では競り勝てないので、運べたサイドからただクロスを入れるだけではアウト。だが、それ以外の手段を提示することができずに苦戦。中盤や狭い範囲でしか動かせず、全体が後ろ重心。スペースに走り込むような選手もおらず、ただただ跳ね返される時間が続いてしまう。
ゴリゴリ削るという意味では肉弾戦で優位に立てるブレントフォードが有利。さらにはユナイテッドのクロスを跳ね返したところからサイドの裏にカウンターを走らせてファストブレイクを狙うこともできており、全体的にブレントフォードが優勢だったと言えるだろう。
後半もブレントフォードがモメンタムを握るスタート。左右からのクロス、そしてそこからハイプレスで押し込むフェーズが機能してユナイテッドを押し込んでいく。
この試合のブレントフォードはボックス内でのタッチ数80という驚異的な数字を記録したけども、これはシンプルにユナイテッドのラインが下がって受けてしまっている上に、ボールを跳ね返すことができないことが起因のように思える。ユナイテッドのボックス内ではまるでラグビーのような攻防が繰り広げられており、一般的なボックス内でのボールタッチ数が生み出す優位とはちょっとテイストが違うなと思った。それでも優位なのは違いないのだけども。
ユナイテッドは前半以上に押し上げられない展開に苦戦。それであればとプレッシングにいくのだけども、今度はフレッケンのフィードを軸としたブレントフォードのポゼッションからひっくり返されてしまう。ボックス内ではトニーが強さを発揮。引きちぎるような動きだしとシンプルな競り勝ちで主導権。ネットを揺らしたシーンこそオフサイドで取り消されてしまったが、存在感は十分だった。
暗中模索のままユナイテッドは0-0で突入した後半追加タイムで劇的なゴールをゲット。カゼミーロとマクトミネイが体を張って捻り出したスペースから見事なゴールを決める。
だが、この劇的ムードを掻き消すようにブレントフォードは同点ゴール。サイドから押し下げたトニーに気を取られてしまったユナイテッドの守備陣はマイナスのアイエルをガラ空きに。あまりにもあっけない形で劇的ムードをかき消されてしまう結末となった。
ひとこと
事前に想像していたほどはブレントフォードが圧倒していたとは言わないけども、ユナイテッドはどうやって点をとったんだろうと思った展開にはなっていた。
試合結果
2024.3.30
プレミアリーグ 第30節
ブレントフォード 1-1 マンチェスター・ユナイテッド
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:90+9′ アイエル
Man Utd:90+6′ マウント
主審:サイモン・フーパー