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「Catch up Premier League」~Match week 28~ 2024.3.9-3.11

目次

マンチェスター・ユナイテッド【6位】×エバートン【16位】

最後まで噛み合わない精度のチューニング

 今節のプレミアはオールド・トラフォードからスタート。テン・ハーグ以外の全員がエティハドで力の差を見せつけられたと思っていそうなマンチェスター・ユナイテッドはエバートンをホームに迎えて連敗回避を狙う。

 ユナイテッドのフォーメーションはマンチェスター・ダービーを踏襲。プランを継続したというよりはシンプルにほかに前線に信頼のおける選手がいないと考える方が正しいように思う。今節も中央はブルーノとマクトミネイが縦関係を形成する。

 攻撃としては直線的な形がベースになるユナイテッド。中央の2枚のMFカラーが強いということが1つ。ラッシュフォードやガルナチョはレーンを気にせずゴールに向かってスピードに乗れる位置を取りながら前がかりのエバートンに圧をかけていく。3列目からはメイヌーも前に飛び出す意識を強く持っていた。

 もう1つの事情は後方でサリーしたカゼミーロがエバートンのハイプレスにガンガン捕まるというピンチを序盤に経験したからである。カゼミーロは迎撃の方でも不安定。同じく直線的な攻撃を志向するエバートンに対して、かなり間合いの怪しいタックルを繰り返してピンチを招いていた。25分のガーナーの侵入への対応はその一例といえるだろう。

 まるでエバートンがエバートンと戦っているようなバタバタした展開が続くオールド・トラフォード。落ち着かない流れの中でボロが出たのはエバートン。ガルナチョに対して、非常に安易につっかけたターコウスキがPKを献上。これを仕留めてユナイテッドはあっさりと先制する。

 すると前半の中盤にはまたしてもガルナチョにPKを献上するエバートン。今度は勢い任せで飛び込んだゴッドフリーがユナイテッドにPKをプレゼントする。

 しかしながら、後半は追うエバートンのペース。サイドからのボールキャリーからのクロスというシンプルながらもピッチを広く使う形にひたすらトライする。ユナイテッドはぽっかり空いたSB-CB間など中央とサイドのユニットの分断が激しく、エバートンの広げる攻撃に対しては苦しい対応が続いていた。

 だが、エバートンもパスワークの正確性を欠いており、なかなかゴールまで迫ることができず。単発ながらもガルナチョのロングカウンターという明確な手段を持っていたユナイテッドの方が展開としては有利だったといえるだろう。

 ゴメスを入れるなど交代策で精度のチューニングを図ったエバートンだったが、最後まで精度は上がらず。バタバタだったユナイテッドだったが、強引さが先行するエバートンを下し、悪い流れに歯止めをかけた。

ひとこと

 ほんと、バッタバタ。エバートンが2チームいるのかと思った。指揮官もちょっと似ているし。差がついたのは前半の安易な飛び込む守備のせい。

試合結果

2024.3.9
プレミアリーグ 第28節
マンチェスター・ユナイテッド 2-0 エバートン
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:12′(PK) ブルーノ・フェルナンデス, 36′(PK) ラッシュフォード
主審:サイモン・フーパー

クリスタル・パレス【14位】×ルートン・タウン【18位】

ラストに噛み合った右サイドがルートンの連敗を止める

 初戦は退場者を出したバーンリー相手に快勝。2戦目は粘りの戦いを続けている中でトッテナムに終盤にあっという間に飲み込まれてしまったというグラスナー政権の船出。3戦目はルートンをホームに迎えての戦いとなった。

 フォーメーションは共に3-4-3。噛み合わせはバッチリである。後方は特に同数で受けることを気にするわけではないので、両チームとも非保持側はこの噛み合わせの良さを活かしてのマンツーマンをベースで勝負を仕掛けていく。ただし、マークはそこまでタイトではなく、バックラインがすぐさまロストするかと言われればそういう感じでもないくらいの状況。どちらかといえばタイトなのはパスを受ける方。同数ではあるが、きっちりとマンツーで捕まえる意識は強かった。

 つまり、保持側は前線のタイトな状況をどのように解決するかというところが重要な展開となった。しかしながら、どちらのチームもはっきり言えば前線の力任せという状況。そうした中で存在感を発揮したのはパレスのマテタ。両チームの前線の中でボールを収めて相手を視線を集めて時間を作る役割を唯一務めることができていたと言えるだろう。

 しかしながら、得点はそれと関係ないところから。ダウティーの雑なパスミスからあっさりと失点を許してしまい、ルートンはビハインドを背負うこととなってしまった。

 前の時間でエバートンが敗れているということを踏まえると、なんとか勝ち点を積み上げたいという状況になっているルートン。なんとか勝負をかけたいところだが、モリスが起点になれずなかなか前にボールを送ることができない。アデバヨの不在が嘆かれるばかりである。後半も展開は大きく変わらず、状況を動かすことができない。

 むしろ、クリスタル・パレスは右サイドの連携を使うなど可能性を広げることができていた様子。トップのマテタを含めてのレーン移動も含めて、ルートンよりは工夫することができていた。

 しかしながら、ルートンがようやく迎えたラストチャンスが最後の最後で身を結ぶ。タウンゼントが入ってようやく右サイドからの攻撃が形になった96分に同点ゴール。ウッドローがシュートを決めて劇的な形でルートンが追いつく。

 攻撃においても精度と強度の両面が足りず、苦戦したルートン。最後の最後でなんとか追いつき、連敗を止めて勝ち点を積み重ねることができた。

ひとこと

 ルートンはだいぶ薄い勝ち筋だっただけに勝ち点を拾えたことは僥倖。パレスはもったいない試合運びになってしまった。

試合結果

2024.3.9
プレミアリーグ 第28節
クリスタル・パレス 1-1 ルートン・タウン
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:11′ マテタ
LUT:90+6′ ウッドロー
主審:サニー・シン=ギル

ボーンマス【13位】×シェフィールド・ユナイテッド【20位】

運が尽きたところをこじ開けて追いつく

 立ち上がりから一方的に攻めたのはボーンマス。ボールを持ちながらバックラインにプレスに来ないシェフィールド・ユナイテッドを押し込みながらのスタートとなった。

ブレアトンのロングカウンターという攻め返す道具があるブレイズだが、さすがに攻め手はこれだけだと乏しい。自陣も深い位置まで押し下げられているだけにいつもであれば波状攻撃を食らうこと待ったなしの展開である。 

 しかしながら、この日のブレイズはだいぶ幸運に助けられた感がある。まずはソランケに与えたPKがあっさりと枠外に外れたこと。自ら得たPKだったが軸足を滑らせてフイにしてしまった。

 さらには前節の流れを汲むような前線の荒いスライディング。無駄にファウルと警告を重ねており、プレーはぶつ切りに。波状攻撃を仕掛けることができず、ブレイズに圧力をかけ続けることができなかった。

 そして、最後の幸運はワンチャンスを生かした先制点。右サイドからの横断を最後はハーマーが仕留めて押し込まれているブレイズが先制する。

 先制されてもなお展開は変わらずボーンマスは押し込み続ける。左サイドに狙いを定めたボーンマスはセメンヨの出張から厚みをかけていくが、なかなかゴールを奪うところまでは至らず。なおもクリーンにボールを奪えないことがボーンマスペースを明らかに邪魔していた前半だった。

 追いかけるボーンマスは左右に揺さぶりながらブレイズを押し込みつつブロックを崩すトライを行っていく。ブレイズは相変わらずロングカウンターからブレアトンというのがメインのプランである。

 前半に述べた運の要素は後半も継続。ブレイズがセットプレーから得た追加点はこの試合の最大の幸運といっていい跳ね返りが作用したもの。ロビンソンのゴールでブレイズはリードを広げる。ソランケがネットを揺らすもハンドを取られてしまいゴールが認められなかったボーンマスとは対照的なめぐりあわせとなった。

 だが、運がめぐってこないなら実力で切り崩せばいいだけのこと。追い込まれたボーンマスはここから追い上げを図るように押し込みながらブレイズのブロックを殴り続ける。するとセットプレーからようやくゴールをゲット。これで1点差に迫る。

 その後も耐えることにフォーカスしたブレイズに対して左右からのクロスで一方的に押し込む状態を続けたボーンマス。同点ゴールを決めたのは冬の新加入ストライカーのウナル。文字通りこじ開けたゴールを叩き込み、土壇場で同点に追いつく。

 2点のリードを得るも最後は運が尽きてしまったブレイズ。我慢が効かずに失点を重ねてグレートエスケープに必須な勝ち点3を手にすることができなかった。

ひとこと

 運の話ばっかりしていたけど1人で何とかしようとしていたブレアトンにはずっと心を打たれていました。

試合結果

2024.3.9
プレミアリーグ 第28節
ボーンマス 2-2 シェフィールド・ユナイテッド
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:74′ ワッタラ, 90+1′ ウナル
SHU:27′ ハーマー, 64′ ロビンソン
主審:アンソニー・テイラー

ウォルバーハンプトン【10位】×フラム【12位】

腹をくくったハイプレスで好循環に突入

 ちょこちょこみられる負傷者の影響もあってか、試行錯誤の状態が続くウルブス。この日は4-2-3-1の形を採用し、フラムと似た構成のメンバーで臨むこととなった。

 フラムとウルブスで異なったのはプレッシングへの積極性である。フラムがCBにプレッシャーをかけずに2トップが中盤をケアすることを優先していたのと対照的に、ウルブスは2トップがCBにプレッシャーをかけて、中盤がアンカーにスライドする形でプレスにいく。

 アップテンポな展開を保持のリズムを奪ったウルブスは3-2-5に変形。保持時はズレを作りながら、勝負を仕掛けていく。ボールを固めるのは右サイド。ネトの周りに枚数をかけての攻略に挑む。

 一方のフラムはトランジッション勝負。プレスにプッシュしてくるウルブスの中盤を越えることができれば大きなチャンスを迎えることができる。逆サイドにスウィングすることができるかがキーである。

 この役割を担ったのはイウォビ。左のSHのスタートポジションからスペースができた中央に侵入し縦パスのレシーブ役となり攻撃を加速。さらにサイド攻撃においては味方に追い越してもらうためのタメを作るなど活躍。このオーバーラップからフラムはウルブス以上の決定機を生みだした前半となった。

 苦しいウルブスに追い打ちをかけたのは負傷者。10分にベルガルドがピッチを退くと、前半終了間際にはエースのネトが交代。2回の交代機会と前線の要人を失ってしまう。

 腹をくくったウルブスは後半にもう一度ネジを巻きなおしたハイプレスで勝負。リズムを強引につかみに行く。この勢いをフラムはうまく活かすことができなかった印象。押し込まれる状況を回避できない局面が続くと、アイト=ヌーリにセットプレーからゴールが生まれた。

 勢いに乗ったことで成果を得られたウルブスは好循環に突入。さらに押し込むフェーズを続行するべく高い位置からチェイシングを継続する。すると、左サイドからフレイザーとのパス交換を利用してインサイドに入ってきたジョアン・マリオが見事なアシストを決めてさらにリードを広げることに成功する。

 一方のフラムはウィリアン、パリーニャといった主力級を投入するが、腹をくくったウルブスを前になかなか前に進むことができない状況が続く。ハイラインで踏ん張るウルブスを何とか押し込み、最後はブロヤとムニスの2トップにひたすら放り込む流れには持っていけたが、終了間際にイウォビのゴールで一点を返すことが精いっぱい。逃げ切りに成功したウルブスが3ポイントを手にした。

ひとこと

 腹をくくった後半のウルブスの生き様は見事だった。

試合結果

2024.3.9
プレミアリーグ 第28節
ウォルバーハンプトン 2-1 フラム
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:52‘ アイト=ヌーリ, 67’ ケアニー(OG)
FUL:90+8‘ イウォビ
主審:トニー・ハリントン

アーセナル【3位】×ブレントフォード【15位】

焦れずに耐えて殴り続ける

 レビューはこちら。

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 日曜にリバプール×マンチェスター・シティという大一番を控える今節のプレミアリーグ。3位のアーセナルはこの試合に勝利すれば少なくとも2位への浮上が保証される状態で迎えるのは昨年ホームで引き分けたブレントフォードとの一戦である。

 立ち上がりはハイプレスで始動したブレントフォード。バックラインへの積極的なプレスで久しぶりの先発になったラムズデールを中心にプレスをかける。アーセナルはラヤが不在な分、ロングキックの精度は割引ではあったが、SBを使いながらのプレス回避で効率的に相手を外していく。

 よって、ブレントフォードは素早く撤退のフェーズに移行。アーセナルはブロック攻略にいそしむこととなる。

 キーになるのは右サイド。IHのジャネルトとWBのルイス-ポッターの2人の視線を集めることができるサカの存在である。これにより、攻めあがるホワイトのマーカーは不在に。フリーランをするホワイトに加えて、ウーデゴール、ハヴァーツ、そして逆サイドへの出張を行うトロサールでブレントフォードの守備を攪乱する。

 ニアのポケット周辺を中心に突っつかれたブレントフォード。そのため、ポケットのケアに意識が言ったところでホワイトはファーへのクロスを選択。ライスがミスマッチとなったエアバトルを制して先制する。

 押し込みながらその後も順調にプレーするアーセナル。だが、ブレントフォードもトニーを軸としたロングボール攻勢で時折陣地回復に成功。確実にアーセナル陣内に迫る機会を作る。

 すると、前半終了間際にハイプレスが成功。ラムズデールのミスを誘ったウィサが3試合連続のゴールを決めた。

 後半も試合の展開は変わらず押し込むアーセナルと受け止めるブレントフォードの関係性は継続。互いにセットプレーからチャンスを演出するスタートだったが、どちらも守備側の素晴らしいプレーで得点には至らず。前半はミスを犯したラムズデールも2つの決定的なセービングでブレントフォードにリードを許さない。

 選手交代を行いながらサイドのテコ入れを図ったアーセナル。結果を出したのはトライを繰り返していた右サイド。ホワイトの抜き切らないクロスをニアでハヴァーツが仕留めて86分に決勝ゴールを決める。

 アウェイでの89分のゴールに続き、またしてもブレントフォードを仕留めることに成功したハヴァーツ。ブレントフォードを下し、8連勝でCLのポルト戦に向かうこととなった。

ひとこと

 焦れずに、耐えて、殴り続ける。CLでも同じことをやるだけだ。

試合結果

2024.3.9
プレミアリーグ 第28節
アーセナル 2-1 ブレントフォード
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:19‘ ライス, 86’ ハヴァーツ
BRE:45+4′ ウィサ
主審:ロベルト・ジョーンズ

アストンビラ【4位】×トッテナム【5位】

後半頭の入りで差をつけたトッテナムが4位争いを制する

 トッテナムはアストンビラに対して1試合少ない状態で勝ち点差は5。4位争いのシックスポインターとして非常に重要な一戦を迎えることになる。

 アストンビラのフォーメーションは5-3-2。いつもよりはきっちりと5バックでレーンを埋める意識を持っている布陣でトッテナムを迎え打つ。

 トッテナムの布陣はいつも通り。WGにSBを追い越す形からクリーンに抜け出し、そのまま折り返しでクロスを出してチャンスメイクする。復帰したポロは素晴らしい働き。ビルドアップでサールと共にティーレマンスの周りをちょろちょろしており、バッチリのタイミングで前線に飛び出すことも余裕でこなしてみせた。復帰戦としては上々のパフォーマンスと言っていいだろう。

 トッテナムは王道パターンであるSBのラインブレイク→速いクロスで折り返しというチャンスメイクの他に、速い段階でソンや逆サイドのアタッカーがラインの裏に抜ける動きからより直線的にゴールを狙うシーンもしばしば。王道の崩しに対してこうした少しアクセントになるパターンも持っているのがこの試合のトッテナムの面白い部分だった。

 アストンビラはロングカウンターからワトキンスを狙う形がメイン。結局収まるし、後方からの縦に早い攻撃へのキャッチアップも十分なので、特にこの形は悪くはなかった。いざとなればバックラインで繋ぐことができる保持の耐久性もあるし、押し込んだ後の定点攻撃ではベイリーが右に流れてサイドでトライアングルを形成することも。ワトキンスが左に流れて収めた後に、逆サイドでキャッシュが走り込みながら攻撃の幅を広げることができていた。

 どちらのチームもらしさを見せた前半。途中から中盤のボールの奪い合いが激しさを増し、なかなかバックラインの攻略まで辿り着くことはできず。均衡した見応えのある前半となった。

 後半の頭はどちらのチームもバタバタした保持の引っ掛けた形からのチャンスを作るという立ち上がり。守備陣の踏ん張りでなんとかすることで互いにピンチを凌ぐ。すると、トッテナムはファン・デ・フェンが負傷してしまう。またしても右の腿裏を押さえるという悲しい状況に。

 だが、トッテナムはこの状況に臆することがなく先制点をゲット。右サイドのサールのらしい抜け方からクロスでゲット。マディソンにラストパスを出すことはバレていても微妙に間に合わないというところがトッテナムらしいサイドの崩しである。

 さらにトッテナムはショートパスから追加点。前半からちょっと自信過剰気味だったコンサのパスミスからジョンソンが仕留めてリードを広げる。

 少し、アストンビラにペースが流れてきたと思われた矢先にマッギンが退場。個人的には少し厳しい判定だと思うが、これが試合の展開を大きく変えることに。これで一気に主導権を握ったトッテナムはさらに2点を追加。4点目を決めたヴェルナーには嬉しいゴールとなっただろう。

 緩慢な後半の入りから一気に差をつけられたアストンビラ。これで両チームの勝ち点差は暫定で2となった。

ひとこと

 退場の判定はともかく、はじめの2つの失点は決められてしまうとしんどいなという感じだった。

試合結果

2024.3.10
プレミアリーグ 第28節
アストンビラ 0-4 トッテナム
ビラ・パーク
【得点者】
TOT:50′ マディソン, 53′ ジョンソン, 90+1′ ソン, 90+4′ ヴェルナー
主審:クリス・カバナフ

ウェストハム【7位】×バーンリー【19位】

5バックでの逃げ切りは今日も実らず

 ボールを持つこととなったのはアウェイのバーンリー。ウェストハムはバーンリーの中盤を守備の起点に設定したミドルブロックを構築する。

 配置的にはインサイドを固めることをベースとして組まれているであろうウェストハム。しかしながら、きっちりインサイドを閉めることができていないのが実情。この日はトップ下に入ったオドベールがライン間で受けて反転を決めるなど、バーンリーは簡単に縦パスを入れてそこから先を見通すことができていた。

 ここはひとえにウェストハムのCHの責任だろう。フォファナの先制点のゴールはシュート自体はスーパーで彼を褒めるべきだが、簡単に前を向かせてしまうフィリップスの対応があまりにもひどい。形だけは中央を閉めながらも実情ではインサイドを使われまくると言う状況を生み出していた責任が先制点にも紐づいていると言える。

 ウェストハムは保持に転じるとカウンターにフォーカス。だが、トップにタッパのないボーウェンを起用しているにも関わらず、雑なロングボールをただ前に入れるだけのウェストハムはなかなかペースを握り返すことができず。

 風向きが少し変わったのは20分過ぎからウェストハムのバックラインがかなり高い位置からCHのフォローに出ていくようになってから。ライン間を圧縮する形で後方からの押し上げを決めることで流れを引き寄せてくる。

 だが、次のゴールを手にしたのはバーンリー。左サイドのラーセンとカレンのコンビネーションからのハーフスペースアタックからマヴロパノスのオウンゴールを誘発。リードを広げてハーフタイムを迎える。

 しかし、後半の立ち上がりにウェストハムは一瞬で反撃。バックラインの拙いボール処理の隙を見逃さなかったパケタがボールをかっさらい、冷静に1on1を沈める。

 このゴールから徐々にウェストハムが保持の時間を増やしていく。前線の裏抜けを活用するなどロングボールの風味を変えることで前半とは異なる有効打に変換していけるように。

 押し込まれているバーンリーは5バックに変更。ウェストハムはサイドからクドゥスを軸に切り崩しを図っていく。アントニオとイングスのシンプルなポスト&裏抜けという形から追いついたかと思われたが、これはオフサイドで取り消し。だが、直後に左サイドから粘ったクドゥスのボールをイングスが豪快に叩き込みようやく追いつく。

 同点に追いついてからもゴール前の局面があった両チームだが、さらにネットを揺らすことはできず。試合は2-2の痛み分けで幕をとじた。

ひとこと

 2-1になってからの粘り方が5バックになってしまうとやはりあんまり長くは時間を稼げないだろうなと言う感じはする。

試合結果

2024.3.10
プレミアリーグ 第28節
ウェストハム 2-2 バーンリー
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:46′ パケタ, 90+1′ イングス
BUR:11′ フォファナ, 45+1′ マヴロパノス(OG)
主審:ダレン・イングランド

ブライトン【9位】×ノッティンガム・フォレスト【17位】

最後のひと押しが効かないフォレストがブライトンに逃げ切りを許す

 ボール保持をベースとしたのはホームのブライトン。非保持では4-2-3-1がベースとなった布陣だったが、保持に回るとモデルとグロスがIHになる4-3-3のような変形を見せる。時にはIHにエストゥピニャンが入るなど、人を入れ替えながらもこの形を維持するイメージを持っていたようである。

 いつも通りきっちり構えるフォレスト。前線の4枚がチャレンジアンドカバーを繰り返すことでブライトンのポゼッションを咎めにかかる。これに対して、ブライトンは両サイドの幅を使いながら攻略を狙っていく。バックスからのビルドアップで左右の揺さぶりを図っていたブライトンは丁寧にフォレストの守備を剥がしていく。

 より進んだフェーズではブライトンにとっては右サイドが攻略の糸口。IHのドミンゲスのところを超えることができればチャンスになりそうな感はあった。

 一方のフォレストも保持に回ればチャンスがありそうな展開。トランジッションから右の大外に立つオリギがカウンターを先導すると、ここから一気にゴールに迫る形を作っていく。

 セットプレーから先制したのは押し込む機会が多かったブライトン。セルスとの連携に怪しいところを見せたオモバミデレがオウンゴールを誘発してしまい、ブライトンがリードを奪う。以降はプレスにCHが出ていくなどで前から追いかける枚数を増やしたフォレストだったが、リードを奪い返すことができずにハーフタイムを迎える。

 後半、立ち上がりは外切りプレスを外して大外のファティで勝負するブライトンと、トランジッションからのオリギで勝負するフォレスト。それぞれが前半と同じスタンスが見えるスタートとなった。

 しかしながら、徐々に左右の奥をとるフォレストがポゼッションから押し込むフェーズを作り出すように。試合の展開が少しずつ変わり出していく。ブライトンはモデルがあわや退場しかけるなど危うい場面を作られ出していく。

 フォレストはサイドにエランガとハドソン=オドイを投入。さらにトップにアウォニイを追加投入することで2トップに移行するなど、ヌーノにしては珍しくかなり尖った交代策を講じる。

 だが、ブライトンはランプティのキャリーやグロスを中心としたポゼッションの再構築から徐々にペースを緩和。モデルの退場回避あたりから少しずつリズムを取り戻していく。

 サイドのテコ入れはともかく、スペースを活かすこと前提のアウォニイとウッドの2トップ化はあまり攻撃力の増強につながらなかった感があるフォレスト。ブライトンに逃げ切りを許し、今節も勝ち点を積み上げることができなかった。

ひとこと

 80分過ぎからの押し返しにはブライトンの矜持を感じた。

試合結果

2024.3.10
プレミアリーグ 第28節
ブライトン 1-0 ノッティンガム・フォレスト
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:29′ オモバミデレ(OG)
主審:マイケル・サリスベリー

リバプール【2位】×マンチェスター・シティ【1位】

名将2人の最後のリーグ戦

 天下分け目の首位攻防戦。勝てば首位、負ければアーセナルにかわされて3位で代表ウィークを挟むことになる。アンフィールドでクロップとグアルディオラは最後のリーグ戦の対戦を迎える。

 立ち上がりから強度十分の展開だったが、優勢だったのはシティか。リバプールのプレスに対してCBを上げるいつものスタイルを採用。ここからサイドにボールを預けてポケットを狙う形で一気に攻勢をかける。無理そうであればロドリを経由してもう一度展開を作り直す。リバプールはロドリの管理がやや甘かったため、サイド攻撃の繰り返し構築することにおいてロドリは存分に力を発揮することができた。右サイドでSBの裏から顔を出すデ・ブライネは立ち上がりからクロスでボックス内を襲撃する。

 リバプールの保持は3-2型。遠藤に寄り添うのは右に入ったマック=アリスターではなく、左のショボスライであることが多かった。IHとして高い位置をとるマック=アリスターは右サイドの崩しに参加。ブラッドリー、エリオット、そしてトップながらこちらのサイドに流れてくるヌニェスからチャンスを作っていく。

 インサイドにも差し込むプレーを見せるリバプールだが、中央への強引なパスはカウンターで反撃。遠藤がつっかけてしまい、すれ違ったピンチはハーランドをファン・ダイクが食い止めてことなきを得たが、サイドの裏も織り交ぜてトランジッションで狙ってくるシティはかなりポジトラに自信を持っているようだった。

 そうした中で試合を動かしたのはセットプレー。デザインされたCKが見事に突き刺さってシティが先制。アケがストーン役のマック=アリスターを退かすことでできたニアのコースにデ・ブライネが完璧なパスを通してストーンズが押し込んだ。

 その後は一進一退の攻防が続くが、トランジッションの鋭さのところとゴールに向かうバリエーションのところでシティはやや優勢か。リバプールも右サイドを軸にチャンスを作るが、シティほど色濃い決定機は少なかったように思える。

 後半早々にシティはPKを献上。アケのバックパスが少し弱くなり、これを引き取りに行ったエデルソンがヌニェスを倒してPKに。ヌニェスにはきっちり追いかけたご褒美が、シティにはリードとエデルソンを失うしっぺ返しが与えられることとなった。

 このミスは後半のシティを象徴するものになってしまった感がある。エデルソンがいない影響からか全体のラインは下がってしまい、リバプールの勢いをもろに受ける格好に。押し込み続けるのには中央でひたすらボールを刈り続けた遠藤の存在が大きい。特に後半は圧巻のパフォーマンスで立ち上がりから圧力をかけ続けるのに貢献した。

 それ以降は試合のテンションが10分おきに入れ替わるような展開。60分台はオープンになると、70分台はトーンダウンという感じ。この辺りは怪我人が出たスカッドで少し出力が安定しない部分を残した状態だったのかなと思う。リバプールには過密日程のダメージもさらに上乗せという感じだろう。サラーは本当にギリギリ間に合わせてきたのだろうなという状態だった。

 それでも終盤のドクのポストへのシュートから始まった一連は見応え十分。前半と同じくサイドの裏を取り合う形からのクロスからチャンスを作るが、試合はどちらのネットも揺れないままに決着。

 首位攻防戦の勝者はなし。アンフィールドでの天王山は引き分けに終わり、両軍はアーセナルに首位を明け渡すこととなった。

ひとこと

 小細工なしの高強度の真っ向勝負を堪能した。プレミアリーグの優勝を占うのにふさわしい贅沢な90分だった。

試合結果

2024.3.10
プレミアリーグ 第28節
リバプール 1-1 マンチェスター・シティ
アンフィールド
【得点者】
LIV:50′(PK) マック=アリスター
Man City:23′ ストーンズ
主審:マイケル・オリバー

チェルシー【11位】×ニューカッスル【8位】

抱える課題が露呈する勝利に

 ハイプレスに出て行ったのはアウェイのニューカッスル。高い位置から相手を積極的に捕まえにいく入りでチェルシーのバックラインにプレスをかけていく。チェルシーはこのハイプレスに真っ向から組み合う形になった。CBが広がり、ペドロヴィッチをパスワークに組み込みながら横幅を使って脱出口を探る。

 最終的にはチェルシーはニューカッスルのプレスを解決したと言えるだろう。スターリングが受けてターンして前を向く形が初手だった。チェルシーは二手目であるグストを壁に使ったパルマーの脱出で一気にゴールシーンまで辿り着く。

 ニューカッスルは引き続き積極的にプレスに出て行っていたが、前に起点を作るチェルシーに苦戦。この辺りはシティ戦から本当に上手。前線の縦関係を作りつつ、ロングキックで脱出しつつニューカッスルのプレスを空転させる。

 ニューカッスルは頼みの綱だったゴードンが負傷してしまうなど踏んだり蹴ったり。しかしながら、一気に畳み掛けられそうな状況なのにも関わらず不思議と流れを手放してしまうのがチェルシー。蹴りつつブロックを組み、試合を落ち着かせる方向に舵を切ったのかな?と思いきや、いつの間にかニューカッスル相手に自陣から脱出する術を失ってしまい、一方的に押し込まれる展開に。

 すると、エンソの雑な縦パスから自陣での脱出に失敗する流れから失点。イサクらしい抜き切らないにも関わらず長いレンジから仕留められるという特殊技能のフィニッシュに仕留められて、試合は1-1でハーフタイムを迎える。

 後半、ニューカッスルのプレスに対してチェルシーはバックラインからロングボールで前線に当てながら回避を狙う。この形はそこそこにうまくいっていたが、ニューカッスルの攻撃に対してのプレスはぎりぎり。試合の展開としてはオープンな立ち上がりとなった。

 スコアを先に動かしたのはチェルシー。ジャクソンでピン止めしたDFラインの手前でパルマーがボールを受けてカットインからシュート。スリーオンラインの異形のような形からスペースメイクで間合いを作ってのシュートは見事だった。

 しかしながら、再び雲行きが怪しくなるチェルシー。トリガーが何かはわからないが、再び押し込まれるフェーズに突入する。何がきっかけかわからなくてもリードするとばたばたするチェルシーというのはあるあるである。だが、これも左サイドで起点を作ったジャクソンから解決。後方からやってきてギャラガーからボールをかっさらったムドリクが相手をかわしてゴールイン。さらに突き放す。

 ニューカッスルの選手交代が白旗ムードだったこともあり、これで試合は落ち着くかと思われたが、最後までばたばたは止まらず。緩慢な中盤の守備とククレジャの飛び込みから失点を許してしまう。

 それでも何とか逃げ切りに成功したチェルシー。リーグでは3試合ぶりとなる勝利を手にして10位との勝ち点差を縮めた。

ひとこと

 ニューカッスルの手札の少なさに助けられた感のあるチェルシー。リード時の試合運びの拙さはチームの成績が安定しない大きな要因といえるだろう。

試合結果

2024.3.11
プレミアリーグ 第28節
チェルシー 3-2 ニューカッスル
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:6‘ ジャクソン, 57′ パルマー, 76′ ムドリク
NEW:43‘ イサク, 90′ マーフィー
主審:ジョン・ブルックス

今節のベストイレブン

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