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「Catch up UEFA Champions League」~2022.10.25 UEFAチャンピオンズリーグ グループE 第5節 ザルツブルク×チェルシー~

■芸術的なミドルの連打で首位通過を決める

 どちらのチームも自陣の深い位置からのビルドアップを行う際は、GKを使いながらCBが開きつつ繋いでいく意識が強買った。だが、ザルツブルクの方にはそもそもそうした機会が回ってこず。試合はチェルシーのポゼッションを軸に進んでいくことになる。

 チェルシーのボール保持はややアシンメトリー。3バックの左であるククレジャがSB風情で左の大外に張り、他の2枚のCBはGKを挟むように立つ。基本的にはサイドでショートパスを繰り返しながら、フリーの選手を作り前進のきっかけを作る。

 チェルシーにとってベストなのはジョルジーニョが前を向くこと。右サイドのハーフスペースの裏抜けと重なるとクリティカルで、この動きを繰り返すギャラガーとの相性は良さそうだった。

 逆サイドへのクリーンに運ぶことができればなお良い。左のWBのスターリングには大きな展開から1on1ができる形までお膳立てができれば理想的。ザルツブルクはマンマーク志向のプレッシングで1枚ずつマーカーをずらしながら逆サイドに到達できれば、31分のようなオーバメヤンの決定機を生み出すことができる。

 だが、ザルツブルクは試合の進行とともに人を捕まえるというよりは外に押し出す意識が強い守り方をするようになる。ジョルジーニョのような要人を締め出せばチェルシーの前進が厳しくなることに気づいたからだろう。実際、右サイドはそれで手詰まりになっていたし、左サイドはビルドアップでWBまでボールを渡してはスターリングがバックパスで戻すことの繰り返しで前進のきっかけを掴むことができなかった。

 そんな中でもチェルシーの攻勢として効いていたのは、敵陣深く進んだ際の即時奪回。敵陣でどちらのものでもないボールを奪い取り、コバチッチのミドルで先制点を奪う。

 追いかけるザルツブルクはカウンターの精度が物足りない。前半の終わりにかけてカウンターの頻度自体は上がってきたが、完結の仕方がどこか淡白。もう一歩を踏み込む前に相手を楽にするシュートを打ってしまうことになる。

 後半、ザルツブルクはようやくテンポを握る。相手陣に攻め込むとあわやコバチッチのハンドらしき場面を誘発。これは判定に恵まれなかったが、直後にカウンターを完結させて同点に。左サイドのウーバーからのボールは決して簡単ではなかったが、アダムが難しいシュートを決めて見せた。

 後半は前半よりも明らかに両チームとも攻撃の機会が増加することになった。チェルシーは前半も含めて、オーバメヤンに得点を決めるチャンスが何回かあったものの、いずれもシュートはネットを揺らすことはできない。アーセナルファンとしてはどこか既視感がある光景だった。

 それでもわずかな隙からミドルを放ち、勝ち越しゴールを奪ったのはハフェルツ。ザルツブルクの守備網の切れ目をついたミドルでオーストリアのファンを完全に黙らせる。

 2本の芸術的なミドルでやや膠着気味のボール保持を打開したチェルシー。敵地で貫禄の首位通過を決める勝利を掴むことに成功。監督交代の年のCLでのチェルシーは買い!という法則を今年も継続することができるか。

試合結果
2022.10.25
UEFAチャンピオンズリーグ
Group E 第5節
ザルツブルク 1-2 チェルシー
スタディオン・ザルツブルク
【得点者】
SAL:49′ アダム
CHE:23′ コバチッチ, 64′ ハフェルツ
主審: サンドロ・シェーラー

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