雲行き予測のトランジッションで先行逃げ切り
バックラインにプレスをかけに行かない選択をしたのはアトレティコ。ベティスのバックラインにボールを持たせるスタンスをとる。
しかしながら、ただただアトレティコもボールを持たせていたわけではない。ベティスが左右のSBを経由してバックラインを横切るパスワークをしようとすると、アトレティコは早い段階で横断先でハイプレス。おそらく、ボールの出てくる雲行きを予測できているのだろう。
このトランジッションにおいてアトレティコの左サイドのユニットは非常に優秀。リーノは奪ったところから出ていくところまでがきっちりセットになっていたし、エルモソもボール奪取&攻め上がりまでやり切ることでオウンゴールを誘発した。
ベティスはこのシーンのように相手を広げる意識はあったが、ボールの動く先が読みやすい+パススピードが足りないことでアトレティコのプレスに使ってしまうことが多かった。ベティスが効果的に前に進めたのは強気に出てきたアトレティコをひっくり返すことができた時くらい。アトレティコの左サイドの逆を取るようにオーバーラップしたベジェリンまでボールが繋がればチャンスになるといった様子だった。
一方のアトレティコの保持も安定。ベティスは2トップ+右のSHの3枚でアトレティコの3バックにプレスをかけにいくが、アンカーのデ・パウルもこの前線ユニットが管理する役割だったのでハメきれない状況が続く。
保持でも非保持でも安定していたアトレティコが優勢。苦しいベティスは26分に横断をカットされたところからカウンターを喰らい、PKを献上。このチャンスはアトレティコが決められなかったが、前半終了間際にはセットプレーからのミドルで追加点を奪い、2点のリードでハーフタイムを迎えた。
後半のベティスは前半の立ち上がりも同じく横に揺さぶるポゼッションからスタートする。前半と異なったのはややベティスが深い位置まで侵入できていたこと。左右に動かすことでアトレティコのブロックを押し下げて、ボックス内へのクロスを放り込むところまでは持っていくことができた。
アトレティコは同じく保持からボールを動かして対抗していきたいが、ベティスのハイプレスに屈して失点。アトレティコの中盤を外したパスワークからウィリアム・カルバーリョのミドルでゴールを沈める。
テコ入れした右サイドから反撃を試みるアトレティコだが、押し下げる主導権はベティス。後半の頭と同じくボックス内への侵入を試みてチャンスを作るように。しかしながら、最後の砦であるオブラクの牙城は強固。最後までなかなか切り崩すことができない。
最後は後方の人員を増やしてシュートチャンスを締め出す布陣でベティスをシャットアウトしたアトレティコ。後半は苦しい戦いとなったが、逃げ切りに成功した。
ひとこと
後半のアトレティコは踏み込ませすぎた感もあったが、腹を括ったクローズでの堅さはさすがだった。
試合結果
2024.3.3
ラ・リーガ
第27節
アトレティコ・マドリー 2-1 レアル・ベティス
エスタディオ・シビタス・ペトロポリターノ
【得点者】
AMA:7′ ペッセッラ(OG), 44′ モラタ
BET:62′ カルバーリョ
主審:ソト・グラード