Fixture
天皇杯 3回戦
2021.7.21
ジェフユナイテッド千葉(J2/10位/8勝8分7敗)
×
川崎フロンターレ(J1/1位/18勝4分0敗)
@フクダ電子アリーナ
戦績
近年の対戦成績
直近10回の対戦で千葉の3勝、川崎の5勝、引き分けが2回。
千葉ホームでの戦績
直近10試合で千葉の5勝、川崎の3勝、引き分けが2つ。
Head-to-head
<Head-to-head>
・公式戦での通算成績は10勝4分9敗で千葉が優勢。
・直近4試合の対戦では川崎が3勝1分で無敗。
・ただし、カップ戦での対戦に限れば直近5試合で川崎は1勝のみ。
・天皇杯の3回戦での対戦は5年前以来。この時は延長戦で川崎が千葉を下している。
2009年を最後にリーグ戦での対戦はない両チーム。この10年間でこの試合が2回目の公式戦での激突になる。通算成績では千葉が優勢。この試合で勝てば川崎が戦績を五分に戻すことになる。
直近の対戦では川崎が優勢。ただし、カップ戦に限れば直近5試合で川崎が勝ったのは1回だけと相性は逆転する。天皇杯での対戦は2016年以来で同じく3回戦での激突。延長戦の末に川崎が千葉に勝っている。
ということは川崎にとって千葉相手の直近5試合のカップ戦での唯一の勝利は延長戦までもつれたこの試合ということになる。したがって、川崎が千葉をカップ戦で90分で下したのは1999年の天皇杯が最後。千葉にとっては相性的には悪くない相手だ。
スカッド情報
【ジェフユナイテッド千葉】
・米倉恒貴は左内転筋のケガで欠場の可能性。
【川崎フロンターレ】
・三笘薫、旗手怜央は代表活動で離脱中。
・小林悠は左膝内側側副靭帯損傷で6週間の離脱。
予想スタメン
Match facts
【ジェフユナイテッド千葉】
<千葉のMatch facts>
・直近4試合のリーグ戦で無敗。
・直近10試合で複数失点なし。
・ホームゲームは直近6戦で1敗のみ。
・現在のテーブルで9位以上のチームにリーグ戦で未勝利。
・見木友哉は得点すれば今季2回目の3試合連続得点。
・ユン・ジョンファン監督は川崎相手に4連勝中。通算10勝でキャリア史上最も勝利が多い対戦相手。
直近の成績は好調。リーグ戦は今季2回目の4試合無敗である。ベースとなっているのは少ない失点。直近10試合は複数失点なしとロースコアの試合で、勝ち点を手堅く積み重ねている。
ホームゲームでの成績も好調で、この流れに乗って強敵撃破と行きたいところ。ただ、今の順位表において9位以上のチームにはリーグ戦で未勝利。格上相手に結果を出せているシーズンではないのが気がかりではある。
好調を維持する見木、川崎を大のお得意様としている指揮官、そして最終ラインに立ちはだかるかつての川崎の守護神の新井などの武器で特大のインパクトを残すことを狙っていきたいところだ。
【川崎フロンターレ】
<川崎のMatch facts>
・2021年の公式戦30戦無敗。
・国内のアウェイゲームは2試合連続無失点勝利。
・天皇杯3回戦で敗れたのは2014年が最後。
・天皇杯3回戦は直近4回中3回は延長戦にもつれている。
・天皇杯直近3試合においては大卒ルーキーが得点を決めている。
・知念慶は川崎所属で先発した国内でのアウェイゲームにおいて11戦無敗(W8,D3)
公式戦無敗はついに30の大台に乗った。今年に入って無敗は継続。昨年の11月の大分戦以来、9か月ほど無敗の日々は続いている。国内でのアウェイゲームはここ2試合はクリーンシートで勝利。ただし、0-2といずれもやや苦しんだ印象ではある。
天皇杯での3回戦での敗退は2014年以来。この年も今年と同じくACLで決勝トーナメントに進出している。例年突破はしているものの、3回戦は苦戦傾向。直近4回のうち、3回は延長戦に持ち込まれている。その中の1つは先に示した2016年の千葉戦である。
ここ3試合の天皇杯はいずれも大卒ルーキーの活躍が目立つ。昨年の2試合は三笘薫が先制点を奪っているし、今年の2回戦では橘田健人がチームを救う同点弾を決めた。
先発が予想される知念には面白いデータが。川崎所属にて先発した国内でのアウェイゲームはここまで11戦無敗。4得点を決めており舞台装置としては相性は悪くない。小林不在の苦境において存在感を示したいところだが。
展望
■速攻と遅攻の使い分け
千葉の基本的なフォーメーションは5-4-1。ここ数試合は堅い守備で結果を出しているということではあるが、自陣深い位置にブロック守備を引いて受けるというスタイルとは異なっている。
守備のスタイルはどちらかと言えば積極的にボールを狩りに行く形。バックラインを上げながら中盤のプレスも強気でデュエルを厭わない。特に最終ラインはフィジカルの強さには自信を持っているよう。特に球際の競り合いについては。
攻撃は前線のスピードを活かした形が主。サウダーニャ、見木、船山の3トップは機動力を生かしながらのカウンターが生命線。サウダーニャのキープから、右サイドの船山の飛び出しで相手の高いラインの裏側を取ることが主なパターン。速い攻撃からサイドで裏を取ってクロスを入れる、もしくは斜め方向にゴールに迫る形を手早く狙う。
遅攻は4バック化することが基本。5バックのうち、WBを押し上げて後方を4枚にする変形を行う。ボールサイドのWBが押し上げるのが基本なので、当然右の安田が高い位置を取る頻度が多い。時にはCHが最終ラインに落ちることで、両サイドのWBが上がることもある。両サイドのWBが高い位置を取る時は逆サイドのWBはクロスに飛び込んでいく。
遅攻はサイドアタックが主で同サイドのCBの高い位置を取ることも多い。同サイドの裏を抜けていくこともあり、遅攻の際は攻撃的な役割を担うことが許されているようである。薄いサイドを作るのは後方のCBのサイドチェンジ。特に鈴木大輔の大きな展開から右サイドに振るパターンが多かった。まとめると速攻は縦に早く、遅攻はワイドに振りながらという区別をつけている。
苦手な局面は狭く圧縮した状況においてのブロックの攻略である。特に前線は細かいプレーができる選手はいない。特にサウダーニャや船山は広いスペースで加速したり、抜け出してナンボの選手。細かいコンビネーションでの攻略は苦手である。金沢戦にてヒールで得点を決めた見木のスキルは要警戒だが、基本的には前線はスペースがある状態で受け渡したいところである。スペースに抜けられないのだとしたら、得点のパターンはぐっと減ってしまう。その点は千葉の課題といえそうだ。
■CBのコンビで優先度が決まる
川崎がどう戦うかの話に移る。まずはサウダーニャとのマッチアップの部分だろう。山村、車屋、谷口、ジェジエウのうち、誰が先発するかはわからないが、サウダーニャが広いスペースで活きるという選択肢がなければ、千葉の得点の可能性が大きく下がる。スピードもパワーもあるサウダーニャがまずは川崎守備陣とどういった力関係に落ち着くかがポイントになる。川崎としては速攻の局面でサウダーニャを抑え込めれば、大きく勝利に近づくはずだ。
気を付けなければいけないのは中盤の田口の存在。大きな展開の出所である田口に前を向かせる部分には川崎のIHが積極的にチェックをかけなければいけない。大きな展開は後方の鈴木からも出てくるが、スピードと精度を考えればより怖いのは田口の方である。
仮に千葉の速攻を抑えるのが難しいとなれば、撤退すれば問題ない。撤退してスペースを消すことで千葉の攻撃は抑え込めるはずだ。ただ、あまり川崎がそのプランを遂行するイメージはわかないけども。
千葉の守備の狙いどころは食いつきの良さが見える中盤より後ろ側。千葉は保持側へのCBへのプレスをあまり行ってこないので、まずはCBがボールを運びながら中盤を引き出すというタスクを担えるかどうかがポイントとなる。
したがって、川崎はCBの人選が注目点。サウダーニャに対するカウンター対応を重視するのならば谷口とジェジエウ、ボールを運びながら相手を引き出すのならば車屋と山村。優先度をどこに置くかでCBのスタメンの組み合わせは決まってきそうだ。
どちらにしても中盤より後ろは積極的にボールハントをしてくる。あまりスペースを守るような形で受けることは川崎相手でもないと見る。そうなった場合に狙いたいのは千葉の選手の守備の癖。彼らはボールに食いつくが、方向に制限をかけながら追い込むというよりは、いきなり飛び込んでしまうことが多い。
したがって、中盤の細かいボディコントロールでそのプレスを一発で回避したいところ。出てきた中盤の選手をいなすことができれば、広大なスペースに攻略することは難しくはないはず。清水戦で大島が華麗なステップで相手を交わしたように、フィジカルに自信がある相手をいなすような形で穴をあけることができるはず。個人のデュエルにおいて強さを巧さでいなせるかが、毎年手を焼く3回戦突破のカギになりそうだ。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)