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「Catch up 日本代表」~2024.6.11 アメリカ・メキシコ・カナダW杯 アジア2次予選 グループB 第6節 日本×シリア

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3バックでのテストは継続

 日本の選択は前日の会見通り、アグレッシブな3-4-3の継続。メンバーを大幅に変えながらこの仕組みの中で何ができるかのテストを行おうというスタートであった。

 当然仕組みも前節を踏襲。CHは遠藤が後ろ、田中が前というパターンになる。違いがあるとすれば左サイド偏重で鎌田との入れ替わりをかなり意識してプレーしていた旗手に比べると、田中は南野との位置交換以外にも多くの仕事をしていたこと。低い位置に降りてくること、逆サイドに顔を出すこと、もちろん遅れてのボックスの突撃もである。

 この辺りは田中の適性を見てのバランス調整だろう。同じ3-4-3の中でもどこまでやるかやらないかを個人によって変えるという意味では代表で長いことプレーしているシリア戦のセットの方が、より調整がしやすそうだった。

 右サイドの堂安にも同じことが言える。シャドーからWGに位置を移した堂安にはよりスムーズに列交換ができる久保がいる。右に流れる上田も含めてかなりいつも通りのプレーをすることができたという感じだろう。単純にシャドー→WBという配置もそうだけども、堂安の場合は彼の周りに誰を置いてあげるかが重要なように思える。

 そうした中で前節と変わらない破壊力を見せたのは中村。大外から前節と同じく見事なバックドアを見せて早速チャンスメイクすると、縦に抜ききらないドリブルから左足のクロスで上田の先制ゴールをアシストを決めた。

 さらに2点目は中村が降りてプレス回避に貢献してからの加速から。降りて受けて久保につけたパスで日本のカウンター発動が確定したと言っていいだろう。堂安のスーパーゴールのお膳立ては中村の降りて受けるプレーが起点となったものであった。

 試合中にらいかーさんが指摘していたように、ハーフスペースに登場する南野、久保と堂安の列交換、大外の中村に遅れてボックスに突撃する中村は全てこれまでの森保ジャパンには既出のものばかり。では何が違うかといえば、3バックだとこれらが全部乗せになること。

 久保と堂安の列交換にハーフスペースの南野が揃えば、従来の形であれば大外に中村は登場しない。それがWBにWGを起用することで可能になる。ということで全部乗せである。

 もっとも、この形は受けに回れば怖さがある。好き勝手に2トップが追いかけ回して追い込むことができない4-4-2のプレスがベースになるこのシリアであれば問題はないけども、そうでなければ受けに回った時の脆さはあるはず。そういう意味では国際舞台でのスタンダートの布陣にするには少し怖いプランのように思える。

 この試合で言えば、シリアは日本のCH-WB間のスペースに縦パスを通しつつ、日本から見て左サイドの裏にボールを届ける形を何回か刺しかけていた。今のところ、日本の3バックは格下相手にボコボコにするもしくはビハインドの際の飛び道具という位置付けだろう。

 後半、日本はフルコンボの中村に代えて伊藤を投入し、4バック気味にシフトする。攻撃の枚数自体は減ったが出ていく姿勢は変わらず。SBは積極的なオーバーラップを行い、遠藤も後方から攻め上がってくる場面すらあった。地味に右の大外に登場する冨安は代表では珍しいようにも思える。なお、バランスが危うくなることもあしばしばあった。この辺りのリトリートは後方の選手の根性だ!という感じもあった。

 2トップの戻りが遅い4-4-2を継続しているシリアに対してはこの形でもそれなりに押し込むことはできていた。ただ、大外に誰を置くかという基準がなくなったのは確か。堂安と久保の右サイドは大外に基準を置かないことに慣れっこだし、後方からは気の利く冨安も登場する。よって、自然に大外を変わる変わる使えていたが、左サイドはシンプルに大外の基準がなくなってしまった分、困っていたように思えた。

 というわけで登場するのは相馬である。これで左の大外を誰が使うかは決まる。ただし、CHは鎌田と田中というどちらも前に出ていけるコンビという実験要素は残していたように見えた。その相馬が鎌田からのパスで裏をとってPKを獲得。このPKを相馬が自ら決めて、日本は4点目を手にする。

 残す交代枠は凱旋となる川村、そしてGKとしていまだにこのシリーズでプレーがなかった谷の2人に割り当てられた。

 最後までエネルギーを失わなかった日本は左サイドの根性のボール奪取から南野がゴールを仕留める。この5点目が最終的には得点ラッシュの締めくくりとなった。手を緩めることなく攻め切った日本は全勝で二次予選を通過。シリアは北朝鮮の結果次第ではこのラウンドで姿を消すという手痛い敗戦を喫することとなった。

ひとこと

 もっと強い相手にこの形が通用するかはわからないが、強い相手とできないことが回っている以上、現状の中で手を広げる動きを見せるしかないので、今回のシリーズにおいて「タコ殴りオプションの3バックで何ができるか見せてみろ!」というコンセプトがあったこと自体は良かったことだと思う。

試合結果

2024.6.11
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
アジア2次予選 グループB 第6節
日本 5-0 シリア
エディオンピースウイング広島
【得点者】
JPN:13′ 上田綺世, 19′ 堂安律, 21′ クロマ(OG), 73′(PK) 相馬勇紀, 85′ 南野拓実
主審:アフマド・アルアリ

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