どう考えてもストライカーを補強しそうなので、候補者を視察していきましょう。なお、現状では特にアーセナルの補強候補の優先度は見えていないので、ほんのりリンクアップされていたりとか、その程度で候補をピックアップしています。取り上げられているから移籍の可能性が高い!というわけではないことは前提として頭の隅に置いておいてね。テーマの都合上、元所属クラブのファンがピックアップされたことに不快に思う場合もあるでしょうが、素人のスカウティングごっこ遊びということでご容赦ください。噂に上がった候補者がいれば随時追加。
ヴィルトル・ギェケレシュ
縦パスの逃しどころとフィニッシャーの二刀流
所属:スポルティング(ポルトガル)
視察対象試合:EL Round 16 2nd leg アタランタ戦(A)
1st legの結果は1-1。シンプルに勝った方が次のラウンドに進める。事実上リーグ戦と似たシチュエーションである。アタランタのフォーメーションは3-4-3。スポルティングとは完全に噛み合うマッチアップ。そうでなくともガスペリーニは布陣を強引に噛み合わせてハイプレスを仕掛けてくるので、この試合でハイプレスに出ていかないわけはない。
よって、バックスは同数を受け入れることになる。ギェケレシュはこの試合ではCBのヒエンと1対1のマッチアップを繰り返すこととなった。ギェケレシュはこのマッチアップでは終始優勢だったといっていいだろう。左右に流れながらの起点作りでボールを受ける前の段階できっちりと収めるスペースと体勢を確保。周りに味方がいればワンタッチで落とす場面もあるし、そうでなければ半身になりながらのドリブルからの加速でマッチアップの相手を置いていく場面もあった。
加速の早さは申し分なく、スピードに乗ることができれば対面の相手を抜き去ってPA内に迫っていくことができるスキルはある。スピードスターとは言わないが、動きの範囲は広く加速力とステップワークを活かしたドリブルからのチャンスメイクは期待できるといっていいだろう。右利きのようだが左右の利き足の差も少なく、両足を苦もなく使い分けていた印象だ。
先に少し触れたポストプレーは安定感とアイデアの両面を備えている。ゴンサウヴェスの先制点をアシストした場面などは彼のフィジカル強度とポストプレーの柔らかさが共存した場面と言えるだろう。
シュートに関してはこの試合では正直あまり目立つものはなかったが、数値的には十分。特に心配する部分はないと思う。気になるのはロングボールの的になるかは未知数ということ。スポルティングの選手が彼につける縦パスはそもそもグラウンダーのものばかりで、浮いたボールを収めるところや空中戦の強さはあまり見られなかった。数値的には空中戦の勝率は悪くはなさそうだが、ロングボールの的として陣地回復のターゲットになるかは気になるところだ。
もう一つ気になるところを挙げるとすれば、守備の点だろう。即時奪回やハイプレスへの適応力は正直どの候補者でもジェズスやハヴァーツには劣ってしまうので、どこまで追い求めるかは難しいところではあるが、その部分での印象的な活躍はほぼなかった。リーグのスタイルがやや牧歌的な部分があるので、あまりチームとしては突き詰めていない部分かもしれない。
- 左右への広い行動範囲で縦パスの収めどころになる能力。
- 柔らかいポストプレー。
- スピードとパワーとフィニッシュを高次元で兼備。
- ハイプレスへの貢献度。
- 空中戦でのターゲット能力。
グナ島メモ
オリー・ワトキンス
プレミア屈指の万能型CF
所属:アストンビラ
視察対象試合:プレミアリーグ全試合
1ヶ月前にポロッと話題に出たワトキンス。説明不要のプレミアリーグを代表する押しも押されぬストライカーだ。
プレミア屈指の万能型であり、ケインがいなくなった今のプレミアリーグにおいてはこの分野においてはリーグ随一の完成度と言っていいだろう。サイドに流れるポストプレーは正確無比であり、対面するDFの格を問わずに起点となることが期待できる。
ファストブレイクはもちろんのこと、CBからの組み立てでのポストから遅攻を一気に完成まで持っていくことができるペースチェンジャーとしても機能性は高い。グリーリッシュという大エースの退団を経てなお躍進を続けるアストンビラのスタイルの根幹をなす存在と言って間違いない。
プレーエリアは中央とサイドは問わない。チャンスメイクはサイドに流れる形をやや好む傾向にあるが、角度のあるところからのシュートのスキルも高いし、中央に動き直してボックス内で脅威になることもできる。シュート精度に関してはロングスプリントを行っても精度が落ちにくく、相手に寄せられながらでも狭いスペースからフィニッシュを担うことができる。1on1も堅実に決める。
プレミアでの実績は折り紙つき、かつ頑丈さも十分。獲得すれば間違いなくCFの軸として計算が立つ存在である。正直に言って、プレー面だけの話をすればほぼ獲得を否定する材料が見当たらない。
あえて気になる点を挙げるとすれば、年齢だろうか。次の契約はキャリア最後の長期契約となる可能性が高く、売却益を考慮した獲得にするのは難しい。獲得が実現すれば来季チームをきっちり強くするための補強というイメージになるだろう。
他の補強候補と比べて、アストンビラの退団に現実味があるかどうかもわからない。今季のビラはCL出場圏争いの真っ只中。現状トッテナムとの一騎打ちの様相を呈している4位争いを制することができれば、恩義あるクラブで欧州最高峰の舞台にチャレンジしたいという気持ちを持っても不思議ではない。
また、仮に退団を視野に入れたとしてもクラブ側に安売りする気はないだろう。グリーリッシュほどとは行かないまでも、その領域一歩手前までの額は請求されるのではないだろうか。獲得の足枷になるのは条件面や関係各位の意思といった外的要因である。
- プレミア実績十分、フルシーズン稼働の実績十分。
- 前進からフィニッシュまで多岐にわたる貢献が期待できる万能性。
- あらゆる状況や角度からゴールを陥れられる決定力。
- 最後の大型契約となるであろう年齢。
- 本人とクラブに移籍を容認する姿勢があるのかが不透明。
イヴァン・トニー
抜群のカリスマ性と無双可能な空中戦で相棒との再タッグなるか
所属:ブレントフォード
視察対象試合:プレミアリーグ全試合
過去の賭博疑惑で今季の前半を棒に振ったブレントフォードの大エース。チームはそのダメージをもろに受けて低迷中である。
しかしながら、本人のパフォーマンスに関して言えばチームの不調などどこ吹く風。体のキレといったパフォーマンス面はもちろんのこと、復帰初戦で審判と相手の目を盗んで位置をずらしたFKを決めるといったいわゆる「試合勘」のブランクを感じさせない駆け引きの巧みさには舌を巻くばかりである。
彼の復帰でブレントフォードがハイプレスを復活させる元気を取り戻すなど影響力も十分。活気を与える存在であることは間違いない。
ストロングポイントとして挙げられるのはなんといっても空中戦である。ロングボールのターゲットとして前進の主な手段として君臨することは保証できる。速攻のルート構築は彼の存在一つで保証をすることができる。ましてや、プレミア昇格初年度にアーセナルを含めた他チームを震え上がらせたホットラインの相棒であるラヤとの再コンビ結成となれば、その保証の確度はさらに高まることになるだろう。
ボックス内でもその空中戦の脅威は健在。相手のマークを吹き飛ばすヘッドで得点を量産することができる。アーセナルにとってはなかなか活かしきれない放り込み的なハイクロスも得点に変えることができる存在だ。
イメージよりは器用でありアシスト役に回っても優秀。決してフィニッシュ特化型ではない。ただし、2列目のアタッカーをブロック守備攻略で助けることができるタイプかといえば、ちょっとイメージがつかない。そうした部分のミスマッチでジョーカーとして起用することになった際に、果たして不満を溜めないタイプなのか?というのも疑問が残る。
プレミア実績十分、頑丈な体質、それなりに高い年齢と移籍金など外的要因のプロファイル的にはワトキンスと似ている部分があるが、異なるのは本人がCLへの憧れと移籍願望を隠していないこと。トーマス・フランクのコメントもどちらかと言えばどれだけ移籍金を引き出すことができるかにシフトしているように感じられ、この夏に新天地を求める可能性は高い。
- 組み立てとフィニッシュ両面で猛威を振るう空中戦。
- 十分なプレミア実績と頑丈さ。
- チームを牽引できるカリスマ性。
- 移籍には前向き。
- 細かいパスワークやブロック攻略における貢献度は不透明。
- ジョーカー起用における不満分子化の可能性も。
ヴィクター・オシムヘン
最も高額な「ボックス内の支配者」
所属:ナポリ
視察対象試合:12月〜3月のセリエA+CL全試合
アーセナルだけでなくこの夏の注目銘柄として移籍市場の中心になりそうなCF。有力とされているのはアーセナルに加えて、チェルシーとエムバペの退団が確実視されているパリ・サンジェルマンである。
RCはデ・ラウレンティスの言葉を借りるのであれば「非常に高額」であるが存在している。おそらくはここをめがけての争奪戦となる可能性は高い。移籍金としてはここに挙げた誰よりも高額な決着を予見することができるだろう。給与に関しても同じくこの候補者たちの中では最高水準だろうが、移籍における昇給を多少加味しても、アーセナルにおいてもトップクラス程度に落ち着きそう。給与体系を破壊するというところまではいかなさそうだ。ただし、ここまでアーセナルが高額な移籍金を投じているのはプレミアリーグ経験者ばかりであり、オシムヘンには当てはまらない。
ただし、高いだけの価値は十分あるだろう。最大の長所は恵まれたフィジカルを活かした前進とフィニッシュにおけるターゲット能力の高さである。ロングボールのターゲットとしての信頼性はトニーと双璧と言える。DFに体を当てられても大きく体幹はブレず、対空時間が長い。左右に動きながらのキープも可能で、DFと駆け引きしてスペースで勝負する駆け引きもできる。
ポジトラの局面においては彼へのロングボールから少ない手数での攻撃の完結が期待できる。ラヤのトランジッションスキルorロングキックスキルとの相性は期待できるし、攻め上がりが早い他のアーセナルのアタッカー陣を活かすためのオシムヘンを軸とした速攻の構築も想像しやすい。ただし、単独でのキャリーはギェケレシュなどには及ばない。キープして時間を作ることに特化しており、時間の消化は周りにお任せという感じである。
フィニッシュにおいてもフィジカルは存分に生かされている。パワーヘッダーであり、DFにマークされていても打点の高さで勝負することができる。シュートの正確性はもちろんのこと、多少体勢が乱れたとしても強引にシュートを枠内にねじ込むことができるのも魅力。強力なWGを活かすという点でナポリとアーセナルに相似点があるのも心強い。
今のアーセナルの前線に物足りない「ボックス内の支配者」というプロファイルに最もマッチするのはオシムヘンのように思う。 ロングボールのターゲットとフィニッシャーの両面での活躍は期待できるが、チャンスメーカーの色は薄め。
守備においては積極的に取り組む姿勢を見せており、ジェズスやハヴァーツほどではなくとも一定レベルでの貢献は期待できそう。味方とのコミュニケーションを積極的に行っていたり、試合中に壊れたゴールネットの修復を積極的に行うなど、パッと見では愛されそうな人柄なのも魅力である。
高額な移籍金以外に懸念があるとすれば負傷歴だろう。昨季と今季ともにハムストリングの負傷でまとまった期間の離脱をしている。体に負荷のかかるプレースタイルを考えれば、今後も同様の負傷を繰り返す可能性は否定できない。お金をかけたにも関わらず大事な試合にいないといったケースもあり得る。
- ロングボールのターゲットとしての高性能さ。
- ボックス内の支配者というプロファイル。
- 2年連続で繰り返されたハムストリングの負傷。
- 高額な移籍金と給料。
ジャベメモ
ベンジャミン・シェシュコ
心強いレッドブル印もタイプ的にはズレている?
所属:ライプツィヒ
視察対象試合:12月〜3月のブンデス+CL全試合
最もわかりやすいストロングポイントはこの中で言えば安価に収まる公算が強い移籍金だ。€50m程と噂される契約解除条項の存在がすでに報じられている。若さを加味しても非常にお買い得な価格帯であるし、場合によってはアーセナルを出ていく時の方が高額の移籍金になる可能性もあるだろう。
ブンデスの中でも攻守の切り替えが早いライプツィヒ所属というのも心強い点だ。速い展開へのアレルギーは少なく、プレミアリーグへの適応のスタイル的な不安は他リーグ組の中では相対的には低い。アーセナルの前線からのハードな守備においても大きな穴を開けることを想像するのは難しい。
特徴的なのはまずはポストプレー。動きながらボールを収めつつ、少ないタッチで味方に落とす能力に長けており、早い攻撃のスピードを落とさないままさらなる加速を促すことができる。落としは柔らかく正確であり、味方との連携を十分に感じさせる成熟度を見せている。プレスを食らった時にとにかくシェシュコにボールを当てて逃すという形はイメージしやすい。
サイズの割には機動力もあるのも心強い。ポストプレーでの行動範囲は広く前後だけでなく左右にも動くことができる。ただし、空中戦を活かしたボールを収めるアクションが少ないのは押さえておきたいところである。
フィニッシュに関しては、正直あまり評判はよろしくはない。ただ、自分は巷で評されているほどはマイナスのイメージは持っていない。見た試合ではきっちりと難しいシュートを沈めており、スコアリングの能力も低くはないと思っている。ただ、2トップの相棒のオペンダにチャンスを供給することの方が多いため、よりスコアリングが期待できる相棒と組ませた方が生きるのかもしれないのは確かである。
今のアーセナルが求めているのはどちらかといえば、フィニッシャータイプ。この点では少し求めるタイプとズレが生じる可能性はあるだろう。プレミアで2桁ゴールを確約できる存在かと言われれば疑問符がつく。フィニッシャーとしての存在感はここに挙げたメンバーの中では少し劣る印象は否めない。
- 安価な移籍金と若い年齢。
- 柔らかいポストプレーで速攻の軸に。
- 他リーグ組の中ではスタイル的な適応の不安が少ない。
- フィニッシャーとしてはパンチ力不足。
- 空中戦のターゲットとしては未知数。
グナ島メモ
ジョシュア・ザークツィー
異色の司令塔型ストライカー
所属:ボローニャ
視察対象試合:第27節 アタランタ戦(A)
ボローニャの特徴として挙げられるのは中央レーンにおけるCB、CH、CFの位置交換。ザークツィーのプレースタイルもこの影響を多分に受けている。主にCBの列上げとアンカーの列下げにより中央にできたギャップに顔を出して縦パスの引き出し役となる。
役割の都合上、ボールをレシーブするエリアは中盤になりやすく、今回取り上げた選手の中では最もプレーエリアが低い印象が強い。ちなみにボローニャにおいてはIHの片側の選手が前に残る仕組みになっており、他にストライカーとして振る舞える選手と掛け合わせることが前提の使い方となっている。
降りてくる動きをするFWはたくさんいるが、ザークツィーの特色は相手を背負ったままの体勢でのポストをするのではなく、ボールを持つ方向に体を向けながらパスをつけること。これにより、一般的なポストワーク型のFWよりも広い範囲に速く精度の高いパスをつけることができる。ターンも速く、相手と僅かな距離を取るだけで自由にプレーの方向を変えることができる。
受ける前にある程度盤面を把握しているのか、ボローニャのシステマティックな部分がそこをサポートしているのかはわからないが、判断に迷いはなく無理なキープでボールを失うことは少ない。ポストでのチャンスメイクというよりは司令塔型のFWと言った方が適切かもしれない。
プレーエリアが低い影響からかシュートのレンジはやや遠目。それを補うパンチ力を持ってはいるが、ボックス内を征服するイメージとは少し違う。左右への裏抜けという引いたアクションとは異なる部分もあったので、ボローニャのプレースタイルと切り離せばこうした方向性にプレーが開花する可能性もあるのだろうか。裏抜けのスピードも十分に武器とカウントできるように思う。
守備のタスクは軽め。ボローニャでは4-1-4-1の1でがっつり前残りをしており、特筆すべきポイントはあまり見当たらなかったように見える。
アーセナルに照らし合わせるとハヴァーツと組み合わせれば従来の枠組みの中で生きる可能性は十分にあるが、そもそも司令塔的な役割をFWに求める必要があるか?というところだろう。どちらかといえば、ボックス内で存在感を発揮するスコアラー特化型が求められるFW像であり、その点で彼の獲得が今のアーセナルのニーズに合致するかは少し怪しい部分がある。価格としてはシェシュコより少し高額になるくらいであり、この候補者リストの中では安価な部類になる。
- 降りるアクションからの展開力。
- 広い視野とビジョンを持ったプレーでミスが少ない。
- 比較的安価な移籍金。
- ボックス内の支配力という点で補強候補の方向性に合致するかどうか。
- ハードな前からのプレッシングに適応できるか。
イヴァン・ファーガソン
上振れ期待の大型FWの3つの懸念
所属:ブライトン
視察対象試合:プレミアリーグ全試合
「この夏には手が届かなくてもいつかは」という夢を昨夏のファーガソンに抱いていたアーセナルファンは少なくはないのではないのだろうか。ホワイト、カイセド、マック=アリスターなどすでにブライトン出身の有望株はアーセナル、チェルシー、リバプールなどといった上位チームに売られていき、いずれも主力として君臨している。近年で最も当たりの可能性が高い獲得ルートと言ってもいいだろう。次はファーガソン!と多くのクラブが考えるのは自然なことだ。
最も得意なプレーパターンはCHの背後のスペースをとって縦パスを引き出し、味方に落としながら自らが再びゴールに向かう動き。2トップの一角として、縦パスの収め役と柔らかいポスト、そしてフィニッシュという流れまで関与できることである。
CFがきっちりとボールを収めること、そして縦パスのコースを見つけるための位置取りを逃さないことはブライトンの縦パスのトライアンドエラーを繰り返すスタイルを構築する上では欠かせないもの。ファーガソンはさらに豊かなフィニッシュのバリエーションで質をさらに上乗せすることができる。オフザボールも含めて、ボックス内での質の高さには目を見張るものがある。
すでにこうした高い完成度を見せながら年齢的にはまだまだ若いのも魅力的。ブライトン産のタレントの中でも最もスケールの大きさを感じる存在である。
懸念として挙げられるのは3つ。1つ目はブライトンが移籍交渉の相手として非常にタフであること。本人の意思が揺らぎまくっていたとはいえ、昨夏のカイセド狂想曲は記憶に新しい。出さないと決めた選手にはオファーを聞く耳すら持たないし、万が一放出を容認したとしてもトロサールやマック=アリスターといった素行や契約条項といった事情がない限りは安売りは不可避。ポーカーのような心理戦で価格を釣り上げる策を最後の最後まで講じてくる。
2つ目は負傷癖。怪我による離脱が多く、シーズンを通して活躍した実績がないのは気がかりである。3つ目はそれに伴うことなのだと思うが、今の今のコンディションが非常によろしくない。パフォーマンスとして上にあげた長所はここ数ヶ月ほぼ見られていないし、あとは沈めるだけというシュートも枠を捉えない。完全に悪い流れに入ってしまっている。今の状態でチームに来てもらったとしても戦力の上積みとして計算するのは難しい。
今回取り上げた選手の中で最も市場価値の振れが大きそうな銘柄。ギャンブル性はあるが、仮に獲得することができれば、結果的に数年後のポジションの第一人者を手にすることになっても不思議ではない。
- 抜群の将来性。
- 縦パスを収める能力とパスコースを作る位置取り。
- 滑らかなボックス内での質の高い動きと多彩なフィニッシュ。
- 移籍金の交渉が明らかにタフ。
- 負傷癖がある。
- 現状、スランプ気味。
ドゥジャン・ヴラホヴィッチ
フィニッシュを始めとして完成度の高さは随一
所属:ユベントス
視察対象試合:第15節 ナポリ戦(H)
かつて、アーセナルとリンクされた経験もあるヴラホヴィッチ。フィオレンティーナ時代から評されていた能力の高さは折り紙つき。チェックした試合においても非常に能力の高さが表れていた。
この候補者の中ではイメージとしてはフィニッシャー特化寄りなタイプの選手ではあると思うが、味方とのリンクからの前進への寄与への貢献も十分に期待できる。チェックしたナポリ戦はかなり自陣の深い位置まで押し下げられる試合であったが、ヴラホヴィッチのポストからキエーザをうまく解放し、ロングカウンター気味の攻撃を成立する手助けをしていた。
機動力も十分。左右に流れながらボールを収めることもできるし、組み立てに顔を出してからフィニッシュまで顔を出すこともできる。スピードスターではないが、水準の能力は有していると考えていいだろう。
フィニッシュに関してはいうことはない。決定力は十分だし、ボックスの外からですらパンチ力のあるフィニッシュでゴールを脅かすことができるスキルを持っている。シュートスキルにおいてはここに挙げた候補者の中でもトップクラスである。
プレー面で懸念があるとすれば、速い展開における守備の貢献度が未知数であることか。ブロック守備をきっちり行うことを大事にするユベントスのカラーと強気にプレッシングに出ていくアーセナルのカラーがかなり異なるため、この点はあまりユベントスのFWに求められていないだけの可能性はある。だが、リトリートにしてもちょっと浮いている?と思える守備をしていることがあり、そこは気になった。
また、単純にここにいる選手の中でも今夏の移籍が現実的でないといった側面はある。もちろん0ではないだろうが、他の選手の噂に比べると活発ではなく、チームを離れる可能性を報じているのはゴシップの域を出ない(あくまでイングランドのソースを中心にチェックしただけだけど)印象だ。
- リンクアップとフィニッシュの両立。
- 折り紙つきのスコアリング能力。
- 移籍の可能性低い?
- 速い展開における守備の貢献度。
グナ島メモ
サンティアゴ・ヒメネス
能力のバランスは良好も尖った部分は少なさがどう響くか
所属:フェイエノールト
視察対象試合:ELプレーオフ 2nd leg ローマ戦+CL全試合
フェイエノールトのメキシコ人ストライカー。基本的には非常に欠点が少なく、FWに必要なあらゆる能力を併せ持っている選手というイメージである。
CLでは初めの2試合を出場停止で棒に振ったが、第3節のラツィオ戦で2得点。勝利に導く働きを見せた。ELのプレーオフのローマ戦の2nd legでも先制点を奪うなど、得点自体はコンスタントに記録している印象だ。
カウンターからの抜け出しにおいてはスピードも十分で相手のDFを置き去りにすることもしばしば。組み立てにおいては相手を背負って受けながらグラウンダー、ハイボール問わず受ける姿勢を見せている。
ただし、背負ってボールを受ける点に関しては長所と言えるかは微妙。サボらずに競り合う意識があること自体は悪くないのだけども、ロングボールを収める体の強さがあるわけではなさそう。ローマ戦ではマンチーニにかなりボコボコにされており、ここが強みというわけではない。
ポストプレーもシェシュコやのような受ける前の段階で次のビジョンが見えているプレーはあまり多くないし、自ら前を向くスキルが高いわけではない。結果的にボールを収めたとしても手数がかかってしまい、チームのスムーズな前進に貢献できていたかと言われると怪しいところがある。
このポストプレーにおける評価はヒメネスの評価全般に通ずるところがある。決定力も悪くないし、前進への寄与もする、スピード豊かでカウンターでも勝負をかけられるし、守備にも熱心に顔を出している。その一方で他の候補者と比べると明確に押し出される強みのインパクトが少ない。そういう意味では器用貧乏な感じも否めず、全体的なスケールが物足りているかどうかは怪しいところがある。
他の候補者がチームのスタイルと密接に関与しているプレースタイルであることを踏まえると、チームに対する影響力も限定的な感じもする。チーム単位での相手との力関係もあるとは思うが、少なくともCLレベルでは強みを全面に押し出して暴れているという印象はあまり受けなかったことは直感として書き記しておきたい。
- 欠点の少ないスキル。
- 守備も含めて献身性は高め。
- 無理が効く部分があまりない感じで器用貧乏な可能性も。
以上!この中でアーセナルに来る選手はいるでしょうか!!