計6発のスーパーゴールの応酬
近年のCLの覇権争いの常連に位置する両チーム。お馴染みとなりつつあるこのカードは今年は準々決勝で実現することとなった。
立ち上がりの落ち着かない展開を制したのはシティ。グバルディオルの縦パスを意外性のある3 on lineの受け方からビタビタのコントロールを決めたグリーリッシュがスピードに乗ることに成功。そのままチュアメニのファウルを引き出し、これまた意外性のあるFKでベルナルドがあっという間にこじ開けた。
このゴール以降も以前も立ち上がりはひとまず前に蹴ろうかという展開になる両チーム。「とりあえず」とはいうものの、前のクオリティが高い分、普通にフィニッシュまで行くクオリティが恐ろしい。
8分過ぎにようやくストーンズが列を上げるアクションからのポゼッションをスタート。ここまではバタバタ先行だった試合はここで落ち着くかと思われた。だが、マドリーかブロックの外からのカマヴィンガのミドルであっさり押し込み局面を解決する。さらにはヴィニシウスの助けを借りてロングボールを抜け出したロドリゴが1on1で間合いを外したシュートを沈めて一気に逆転する。
これ以降はシティの保持でマドリーをこじ開けに行くフェーズに突入。中央はロドリを軸に、右はストーンズ、フォーデン、ベルナルドが均質的にポジションを入れ替えながらのオーバーロードが発動。一方の左は復調気配のグリーリッシュから攻撃を仕掛けていく。
ただ、マドリーは2列目の守備が絶妙。特にCHがハーフスペースに登場するシティの選手を封殺する役割を完遂したのが見事だった。ハーフスペースの裏抜けまで追いかけられるカマヴィンガも素晴らしかったが、入れ替わり立ち替わり選手が出てくるシティの右に混乱せず対応したクロースの押し引きもとても良かった。
加えて、押し下げられたとしてもロングカウンターが成立するのもマドリーの強み。まぁ、抜け出しのスピードはわかり切っていることという感じではあるけども、シンプルなロングボールも表と裏の駆け引きを入れることで対応を惑わせて、シティの守備陣に対する体格面の不利をうまく消していたのが見事。ポジトラ局面のロングボールは挟まれないことを利用して、うまく手前側にボールを隠すのも見事だった。
シティが保持での解決策を探す合間に、マドリーはカウンターからさらなるゴールを狙うという構図のまま試合はハーフタイムに。一瞬の斬り合いに見応えがある45分となった。
後半も試合の流れはシティの保持をベースに。前半と少し変化があるとしたら、やや中央に刺していくイメージが高まったt頃だろう。インサイドに起点を作ってからサイドに展開する。ハーランド、もしくは2列目の背後を狙う形のフォーデンなどから奥行きを作っていく。
マドリーはこうしたブロック攻略を受け止めながら勝負。鋭いカウンターから反撃を狙うスタンスを継続する。
この均衡で結果を出したのはシティ。サイドからの各駅停車のパスをつけることで中盤にズレを作ることに成功。クロースもカマヴィンガも外したフォーデンが信じられないミドルを突き刺して試合を振り出しに。
さらには同じくミドルでグバルディオルが逆転ゴールをゲット。こちらはグリーリッシュが作った深さを活かしてのミドル。壁を外したり、押し下げたりなどブロックの外からミドルでゴールを覗けるというのはシティの大きな武器である。
ビハインドとなったことでマドリーはハイプレスでラインを上げていく。セットされた守備だとグリーリッシュが下がってスペースを埋めることでやや停滞気味の攻撃となったが、ビハインドゆえの強気の守備からマドリーはリズムを作る。
勇気のあるカルバハルの跳ね返しから一気に押し返すと、左サイドから供給されたボールに豪快なシュートをバルベルデが叩き込む。シティの守備を整えさせないゆえにできたスペースを生かしたスーパーゴールと言えるだろう。
互いにスーパーなゴールの応酬で終わってみれば3-3。ベルナベウで行われたド派手な撃ち合いは痛み分けで幕を閉じた。
ひとこと
マドリーのロングボールの収め方、めっちゃ良かった。あれできるのすごいなぁ。
試合結果
2024.4.9
UEFAチャンピオンズリーグ
Quarter-final 1st leg
レアル・マドリー 3-3 マンチェスター・シティ
エスタディオ・サンチャゴ・ベルナベウ
【得点者】
RMA:12′ ディアス(OG), 14′ ロドリゴ, 79′ バルベルデ
Man City:2′ ベルナルド, 66′ フォーデン, 71′ グバルディオル
主審:フランソワ・ルドゥグジェ