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「Catch up J1 League」~2024.3.29 J1 第5節 東京ヴェルディ×京都サンガF.C. ハイライト

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システム変更と交代選手の奮起で後半に盛り返した東京V

 別にACLがあるわけでもないのになぜか代表明けの金曜開催となったこの試合。プロ野球の開幕戦にもぶつけられるというわけで世間的な注目度が上がるわけでもない上に、五輪組がいる両軍にとっては負荷が高いだけでは?と思ってしまうのだけども。

 もっとも、そんな背景を感じさせないエネルギッシュな立ち上がりとなったこの試合。ロングボールの応酬となる序盤戦は落ち着かない展開になっていた。

 そうした中で主導権は徐々に京都に傾いていく。試合開始直後にトゥーリオ→豊川のラインで一発でネットを揺らしたように、東京Vにとって京都のロングボールを跳ね返すのは簡単ではない。このシーンではオフサイドで難を逃れたが、直線的に進んでいく3トップとセカンドを狙う3センターのコンボは東京Vに4-4-2を整えて構える時間を作らせず、守備からリズムを整えるのが難しい状況に。

 4-4-2で構えられる状況になったとしても、プレッシャーの少ないバックラインからサイドにフィードを振ることで幅を使いながら攻め手を創出。特にSHの背後を取る形でフィードを引き取る佐藤の動き出しは見事。左サイドをトゥーリオと二人称で崩す形を作ることに貢献した。

 東京Vの組み立てに対しても、京都はIHがWGの背後をサイドに出ていくハイプレスで封殺。蹴らせて回収のメカニズムから主導権を握る。CB起用となった宮本は普通に染野とタイマンを張れていた。東京Vもマテウスの素早いリスタートやCFではなく高さで勝負できそうな左右のSHを狙うが、京都のプレスに屈する場面も多かった。

 すると、22分にロングボールを収めた豊川が豪快なスーパーミドルで先制点をゲット。少し手前に引くポジショニングが巧みだったとはいえ、対面の林はノープレッシャーでプレーさせてしまった後悔が残るシーンだった。

 勢いに乗る京都はCB-SB間に入り込んだ原が二次攻撃を完結。4分後に追加点を奪ってリードを広げる。

 対する東京Vは潰してくる意識の高い京都相手にセットプレー経由でしかチャンスを作れない。2得点以降は少しボールを持てる時間は作れるが、流れの中からの攻撃構築は難しい。少ない手数でゴールまで迫れる京都の攻撃にも苦しめられ、解決策が見つからないままハーフタイムを迎えてしまった印象だ。

 後半も立ち上がりに主導権を握ったのは京都。セカンドボールの回収からあわやオウンゴールのシーンを作り出すなど、右サイドを中心に東京Vを攻め立てていく。

 一方の東京Vは選手交代によるフォーメーション変更を生かした格好。前半の立ち上がりほどのプレスの勢いは京都にはないのでボールは持てる。森田、見木、稲見の3センターにすることでポゼッションは安定する。ロングボールを収めるところからのファウル誘発から直接FKであわやというシーンを作り出した染野は根性で反撃の機会を生み出しており、1トップとしてやってやるんだという矜持を感じるプレーだった。

 後半途中からSBに移動した松橋が絞ってこのパスワークに参加するようになってから、東京Vの勢いは増したように見えた。見木と山見がカットインから出口になれる左サイドは特に脅威。60分付近から東京Vが押し込む時間帯が長くなっていく。

 即時奪回でファウルを犯してしまうなどで流れを掴みきれなかった分、少し時間がかかってしまったが、東京Vは80分に追撃弾。稲見のサポートを受けた山見がPKを獲得。これを染野が仕留めて1点差に迫る。

 しかし、このゴール以降は少し焦り気味な東京V。縦パスを急いでしまったり、プレスが空転してしまったせいで京都に押し返されるシーンも作られることに。試合はオープンな状態で終盤戦に突入する。一方の京都は89分に5バックにシフト。ただ、依然として前からのプレスの意識は捨てておらず、5-3-2になりながらもGKにまでプレスをかけていた。

 だが、京都は自陣で構えるところで5バックにエラーが。綱島へのロングボールに佐藤と三竿が共に競りかけたしまったせいで大外の齋藤が空くことに。この折り返しを染野が沈めて後半追加タイムに追いつく。

 またしても終盤に展開が動く試合を経験した東京V。ただし、PKで失点を喫していた今季これまでの結末とは異なり、2点ビハインドから勝ち点をもぎ取るポジティブな後半追加タイムとなった。

ひとこと

 京都の圧力が効いている間に2点を奪った時点で試合は決まりかなと思ったのだけども、東京Vの後半の抵抗は見事。システム変更と交代選手のパフォーマンスの両面で会心の巻き返しを見せた。京都、5バック移行がエラーに繋がったことに含めて後半は後手後手に回ってしまった。

試合結果

2024.3.29
J1リーグ
第5節
東京ヴェルディ 2-2 京都サンガF.C.
味の素スタジアム
【得点者】
東京V:80′(PK) 93′ 染野唯月
京都:22‘ 豊川雄太, 26’ 原大智
主審:山本雄大

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