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「Catch up Premier League」~Match week 29②+α~ 2021.3.19-3.21

目次

①フルハム【18位】×リーズ【12位】

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■積極策で局面優位に

 ここまでモノトーンに突き進んできた感のあるリーズ。やっている内容としてはモノトーンの一言で片づけるのは乱暴かもしれないが、自身のメンバーや相手のスタイルによらずにぶれないという部分ではビエルサのリーズは一貫している。

 しかしながら、フルハム戦のリーズはほんのりテイストが異なった。普段は長いボールはSHに対角に飛ばすことが多いのだが、この日はこの長いボールをバンフォードに当てる機会が多かった。いつもはSHへの長いボール⇒ホルダーを後方から追い越す⇒エリアにクロスという手順で進むのだが、この日はより手早くフィニッシュまで行くイメージだ。

 守備においてもいつも以上に積極的にCBにプレスをかける。もっともこれはリーズがどうこうというよりはフルハムが対リーズの定石ともいえそうなCBの持ちあがりを立ち上がりから行ったからかもしれない。リーズはアダラバイオの持ちあがりを咎めるスタンスでフルハムの前進を妨害した。

 だがチャンスは共にセットプレーから。先制はリーズ。スローインで最終ラインを押し下げてからフルハムの苦手なクロス対応を突くいい流れだった。CKでやり返したフルハムも健闘したが、前半はリーズペースといってよさそう。

 反撃に出るフルハムはミトロビッチを投入。これが当たりでラインを下げる機会が徐々に出てくるフルハム。ただ、頼みのサイドアタッカーがこの日は不振。押し下げた後にエリア内に攻め込む機会を得るための勝負に勝てない。そうこうしているうちにビルドアップのミスからリーズが勝ち越し点。レミナのミスからショートカウンターで試合を決める。

 振り返れば最終ラインのボール保持でもリーズは優位。特にこの日はエイリングの持ちあがりを起点とする攻撃が光った。接戦を制した形だが、局面を切り分けてもリーズの勝利は妥当だった。

試合結果
フルハム 1-2 リーズ
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:38′ アンデルセン
LEE:29′ バンフォード, 58′ ラフィーニャ
主審:デビッド・クーテ

②ブライトン【16位】×ニューカッスル【17位】

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■初手から得点まで突き詰めての完勝

 レビューを書いていると「よく後出しはズルい!」という意見を目にする。おっしゃる通り、レビューはズルい部分があるのも事実である。この試合も結果を知ってから見たのだが、開始から見てもやはりこの形ではニューカッスルの勝利は難しいなと思った。

 ブライトンのこの日の並びは3バック。もちろん彼らは最終ラインが3枚だろうが、4枚だろうがビルドアップはできるのだが、3枚の方が安定感が出やすい。ブライトンとしてはまずは確実にニューカッスルのプレスを空転させるのが妥当と考えたのだろう。

 4-3-1-2気味のニューカッスルに対してWBを空けて外から攻め込むのは妥当of妥当なのだが、ブライトンは外だけでなく縦に刺すようなパスを打ち込みに行くのも好感度が高め。勝負のパスで決定機を呼び込むスタイルは、足りない決定力も呼び込むことに。トロサール、ウェルベックは左サイドに流れる形から共にミドルシュートを撃ちこむ。

 ブライトンに足りない得点まで決まってしまえば、ニューカッスルはお手上げだろう。サン=マクシマン、ウィルソン不在となれば、ニューカッスルとしては初手のプレスからの先制点を挙げられなければ詰み。ブライトンにそれを念入りにかわされてしまったため、終盤にはもう反撃する力もない状況に。

 加えてヘイデンもシーズン絶望の負傷。追うフルハムが足踏みを続けているのは救いだが、最終盤まで苦しい戦いは続きそうだ。

試合結果
ブライトン 3-0 ニューカッスル
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRI:45+3′ トロサール, 51′ ウェルベック, 68′ モペイ
主審:アンソニー・テイラー

③ウェストハム【5位】×アーセナル【10位】

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■2節連続のジェットコースターダービー

 前節のトッテナムとのノースロンドンダービーは起伏が激しいジェットコースターのような展開。今節もそれに引き続き、激しく流れが移り変わる展開になった。

 今節のダービーの相手であるウェストハムは左サイドから攻め込んでくる動きを見せる。アーセナルの右サイドのオーバメヤンとチェンバースのSH-SBの縦関係の間延びを活用し、ウェストハムは先手先手でパスを回して前進。トップのアントニオやトップ下のリンガードも含めて、左に流れる頻度を増やしてクロスを上げることを目的とし、その分のエリア内の圧力はソーチェクで担保するという形でアーセナルを脅かし続ける。

 アーセナルはトーマスやルイスを積極的にサイドに動員しているにもかかわらず、クロスを上げられてしまうことは問題。CHが流れる分アーセナルはさらにバイタルまで空けてしまっており、その部分を活用したリンガードに先制点を許す。直後にはセットプレーのリスタートから非常に間抜けな失点を喫するアーセナル。誰が悪いというか、全員愚かというほかない。逆サイドからのクロス対応にも失敗し、あっという間に3点差まで両チームの差は広がる。

 しかし、この日のアーセナルの保持は悪くなかった。特に中央のユニットが前進の大きな手助けになっており、トーマスの楔、ラカゼットのポスト、そしてレイア―を自在に移動するウーデゴールの存在が効いていた。ウェストハムはボールホルダーを捕まえることが出来ず、間延びした陣形のままズルズルと後退し、アーセナルに続々チャンスを許す。リードを奪うほど、アーセナルのボールホルダーへのケアは甘くなっていった。

 さらにこの日のアーセナルは右サイドの仕上げがさえていた。主役はSB起用今季2試合目のチェンバース。ベジェリンにもセドリックにもないライナー性のクロスは精度も良好。アーセナルに足りなかったSBのクロスという仕上げまで手にすれば、ズルズルさがるウェストハム相手にチャンスを量産するのは必然。アーセナルが3点差を詰めたことは何ら不思議ではない。

 ウェストハムはこれで今年トッテナム相手に3点を追いつき、アーセナル相手に3点を追いつかれるという経験を共にすることに。浮き沈みの激しいノースロンドン勢との一戦は、チェルシーを追走する立場のウェストハムにとってもったいない停滞となってしまった。

試合結果
ウェストハム 3-3 アーセナル
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:15′ リンガード, 17′ ボーウェン, 32′ ソーチェク
ARS:38’ ソーチェク(OG), 61‘ ドーソン(OG), 82’ ラカゼット
主審:ジョナサン・モス

④アストンビラ【9位】×トッテナム【8位】

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■新チャンスメーカーが水を運び悪い流れをストップ

 今季のリーグの勢力図の解読を難解にしている一因は消化試合の違いである。特に読み解くのが難しい4-10位の上下関係。アストンビラ×トッテナムの一戦はこの複雑さを少し解きほぐしてくれる試合。トッテナムはこれで他チームと消化試合が並ぶ。

 ソンの負傷以降、攻撃陣を中心に試行錯誤が続くトッテナム。ノースロンドンダービーでの敗戦に、ELの敗退などショッキングな1週間だったが、この試合はケインとヴィニシウスの2トップに命運を託すことになる。ロ・チェルソとルーカスのSHは絞り気味で中央に段差を作る意識。大外をSBに任せており、4-2-2-2っぽい並びになっていた。

 一方のアストンビラも大外をSBに任す形。SHでタメを作って、そこから加速し速いクロスで仕留めるというのが彼らの王道パターンであるが、タメを作れるグリーリッシュ不在でこのやり方の精度は低下している。

 それならば縦に早く攻め落とす!というのが彼らのプランBではあるのだが、いかんせんトラオレとトレゼゲの両翼では単調さがぬぐえず。SB⇒SBまでトッテナムを大きく横に揺さぶると守る側にも危うさは出てきていたが、ここまで行けるのは稀。攻撃は単発でシュートにはたどり着けなかった。

 トッテナムも拙攻続きではあったが、一種の隙から先制点をゲット。違いを作ったのはルーカスだ。段差を意識しながら前線と中央のパイプ役としてボールを運ぶ役割に集中。1か月前くらいまであった判断の遅さを感じる場面はほぼなくなっており、ソン不在の新しいチャンスメイク役として存在感を十分に発揮した。

 アストンビラにとっては失点は共に悔やまれる形。1点目はマルティネスのフィードミスから、2点目はケインがボールコントロールを失った後の安易な飛び込みでPKを与えてしまった。内容も上回る糸口が見えてこず、試合は沈黙のまま終了。トッテナムが3ポイントを積み、アストンビラを引き離す。この日の出来を見ればテーブルは力関係を反映する方向に動いたといえそうだ。

試合結果
アストンビラ 0-2 トッテナム
ヴィラ・パーク
【得点者】
TOT:29′ ヴィニシウス, 68′ ケイン
主審:マイク・ディーン

   おしまいじゃ!

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