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「Catch up UEFA Champions League」~2024.5.8 UEFAチャンピオンズリーグ Semi-final 2nd leg レアル・マドリー×バイエルン レビュー~

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もはやそれはいつも通り

 1st legでは見応え十分の90分を見せた両チーム。ベルナベウに舞台を移しての90分にも非常に期待を持てる内容であった。

 立ち上がり、まずはボール保持をベースにしたのはマドリー。左に落ちるクロースを起点とした3バックへの移行、それに伴い前線から選手が降りることでクロースが引き出した切れ目に異なる選手が入っていくイメージである。ロドリゴ、ベリンガム、ヴィニシウスといった面々の入れ替わるアクションも含めてインサイドに起点を作っていく。

 一方のバイエルンも保持に回れば十分に手応えがある展開。中盤が人についてくる意識が高いマドリーに対して、CHが低い位置を取りライン間を開けていく。このライン間を狙っていくのがSBのキミッヒとムシアラの2人。CHの2人とキミッヒ、ムシアラの4人でマドリーの中盤の前後を揺さぶりながら攻撃を仕掛けていく。縦にシンプルに差し込むだけでなく、サイドからの横断も見事な敵陣侵入の手段になってきた。

 ともにミドルゾーンからアタッキングサードにかけての侵入の方策は十分に備えられている。それでも、ここはCL準決勝。明確なルートは時間とともに対応されるのが常である。どちらのチームも重心を下げてスペースを消す対応策を見せることで、少しずつライン間からの侵入のルートは消されていくように。

 そうなると、次に保持側に求められるのはボックスの外から相手を壊すための武器になる。保持側がそのための武器を模索しながらのターン制バトルに徐々に試合は推移していった感がある。

 後半も試合の展開は急に激化することはなく控えめ。どちらも保持側のアクションに対して、構えた守備陣が迎え撃つ構図に。バイエルンはムシアラの降りるアクションが前半よりも少なくなった感があった。マドリーは前半の途中からムシアラに対してはチュアメニが出ていくことで対応することで整理された感があったが、ムシアラが登場しないことにより、マドリーは逆にプレスのスイッチが入らず、低い位置で構えることを余儀なくされている感じもあった。

 マドリーはクロースとベリンガムを軸としたライン間を除くアクション以外に、左の大外にヴィニシウスを登場させることにより武器を増やした感がある。バイエルンはSBとSHを縦関係に並べるダブルチームに加えて、縦突破のニアカットにデ・リフトが登場。カットインシュートは厳しいけども、縦に進む攻撃には対応する手段を準備していた。

 それでもヴィニシウスは抜け出しからデ・リフトを外に引き出したり、クロスを入れるタイミングを工夫したりなど、バイエルンの守備対応の基準を壊そうとする。この辺りの手段の多さはさすがとしか言いようがない。

 バイエルンはケイン、ムシアラなどがサイドの裏に抜ける動きを増やすことでマドリーのDFと直接駆け引きする頻度を増やしていく。これにより、後半は試合の展開がやや速くなった感がある。

 そうした中で決め手探しに先に成功したのはバイエルン。速攻からのデイビスの右足ミドルという解決策は非常に意外性に溢れるもの。ベルナベウの重い扉をこじ開けてバイエルンが突破に向けて前進する。

 マドリーはセットプレーから直後に追いついたかと思われたが、これはナチョがキミッヒへのファウルを取られてしまってノーゴールに。難を逃れたバイエルンは5バックに移行することで1点を守り切る姿勢を明確に提示するスタンスをみせた。得点以降も少人数でのファストブレイクに手応えがあったこともまた、トゥヘルに後方を増やす決断を後押しさせた要素かもしれない。

 もっとも、交代で入ったモドリッチとカマヴィンガはこうしたトランジッションから攻撃に移行することは上等!といった様子。中盤での攻防に一歩も引かない構えを見せる。

 きっちりと守備を固めていよいよマドリーを追い込んだと思われたバイエルン。だが、考えられないところから決壊するからサンチャゴ・ベルナベウは魔境と言われるのである。ミドルシュートの処理を誤ったノイアーのミスを押し込んだホセルが同点ゴールを仕留める。交代で入ったストライカーが大仕事を見せたのは確かであるが、その一方で枠内に処理の難しいミドルを打ち込んだヴィニシウスもまた功労者。後半にゴールへの扉を叩き続けた彼が開いた道にホセルは飛び込んだ格好だろう。

 さらには追加タイムにはセットプレーから勝ち越し。ナチョのキープに抜け出すリュディガーという特異的な状況から上がったクロスにまたしてもホセルが詰めてついにリードを奪う。

 奇跡と言いたくなる展開でもベルナベウのマドリーという但し書きをつければそれはただのいつも通り。マドリードで紡いできた多くの奇跡の1ページに今夜も新たな歴史が加わることとなった。

ひとこと

 扉を強く繰り返し叩き続けたヴィニシウスもまたホセルに並ぶヒーローだと思う。

試合結果

2024..
UEFAチャンピオンズリーグ
Semi-final
2nd leg
レアル・マドリー 2-1(AGG:4-3) バイエルン
エスタディオ・サンチャゴ・ベルナベウ
【得点者】
RMA:88′ 90+1′ ホセル
BAY:68′ デイビス
主審:シモン・マルチニャク

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