落ち着いた保持の手段が20枠目の決め手に
レスター、イプスウィッチに続く昇格組の3枠目を決めるプレーオフもいよいよ最終決戦。リーズとサウサンプトンという昨季の降格組のうち1シーズンでのカムバックを決めることができるのは1チームだけである。
立ち上がりかららしさを見せたのはリーズ。高い圧力と2トップの脇という構造上の安全地帯をベースに前に進み、前から即時奪回を狙ったハイプレスで自陣から脱出させない。オールコートマンツーというビエルサ時代ほど尖ったものではないにせよ、高い位置から相手を人基準で捕まえるあたりのエッセンスには変化がなかった。
攻撃に移行した際には左のサマーフィルとフィルポのユニットが中心。ストロングサイドからの攻略で敵陣に進んでいく。
一方のセインツはあまり昨季のイメージを踏襲していない感じだった。5-3-2で受けるとした時は「カウンター重視の形かな？」と思ったが、幅を使いながらきっちりとプレスを回避しつつ。左サイドを軸としたスピードアップを行なっていく。
保持においては特に選手同士の距離が近く、パスの受け手がワンタッチで落とすための選択肢を作ることを優先していた感がある。その結果、中盤を引き出してフリーマンを作ってそこから一気に進撃を狙う。リーズの守備は繰り返しになるがオールコートマンツーではなく、後方に人を余らせる形。それがリーズにとって仇になった感がある。セインツのパスワークも見事だったが、抜け出したアームストロングをアンパドゥとグルエフが互いに人任せにしてしまったのは痛恨。これが貴重な先制点となる。
リーズは反撃に出るべく再び圧力をかけるが、即時奪回でのファウルを繰り返してしまい、流れはぶつ切りに。セインツが器用にライン間を繋いでいく形がより明確な主導権を握る方策になっていた。試合はセインツリードでハーフタイムを迎える。
後半頭も展開としては陸続き。前半はあまり存在感を出すことができていなかった右サイドのニョントが組み込まれたユニットも出撃し、より多くの攻め手を見せていく。左サイドではラターの飛び出しもちらほら。
しかしながら、セインツの先制点以降から続くリーズのミスの連鎖は止まらず。敵陣に侵入して壊していく過程のところでパスミスが出てしまい、セインツの守備ブロックを壊すことができない。
前半よりは攻撃の機会が減ったブレイズだが、保持に回れば落ち着いて押し返すことができるため安定。リーズの攻撃がバタバタしていくこともあり、一層きっちり押し返して攻撃を終わるセインツのしたたかさは目立った。
その傾向は勝利が目前になっても変化なし。セインツは跳ね返しと陣地回復をきっちりやることでリーズにやり直しのコストをかけさせる。
結局、リーズは反撃のきっかけを見出すことができないままタイムアップ。1シーズンでのプレミア帰還を果たしたのはセインツ。プレミア20チーム目の枠を勝ち取り、ウェンブリーで歓喜の雄叫びをあげた。
ひとこと
セインツは保持の部分できっちり落ち着かせる手段を持っていたことがこの試合の勝敗を分けた感があった。順位表を見るとそれなりに失点も多いし、この試合も序盤からカードが多かったのでバックラインをどう整えるかが来季の大きなポイントになるだろう。
試合結果
2024.5.25
EFLチャンピオンシップ
プレーオフ 決勝
リーズ 0-1 サウサンプトン
ウェンブリー・スタジアム
【得点者】
SOU:24′ アームストロング
主審:ジョン・ブルックス
