①ウォルバーハンプトン【12位】×リーズ【11位】
■継続して出来たフリから先制点
前節は後半にサウサンプトンを逆転したウルブス。逆転劇の肝になったのは両WGを近くに配置したヌーノの一手に拠るものである。今節もそのプレーの傾向は継続。両WGが同サイドに固まったり、カットインする形のドライブを仕掛けたりなど、前節の流れを踏襲した流れとなった。
前節ほど明確に効果は表れなかったが、先制点の場面では内側に寄るようなアダマ・トラオレのカットインが効いた。前節での流れで言えば、ドリブルの後、逆サイドに展開するかな?と思っても不思議ではないが、トラオレの選択はシュート。リーズの守備陣の裏をかいた選択肢だった。もっとも、一番近いストライクは体を寄せているので、それでなおほぼ枠内に強いシュートを撃てるフィジカルはさすがである。
一方のリーズは攻撃に移った時のボールのロストが目立つ。特にこの試合では中盤にロストが多く、序盤からリズムを作るのに苦戦していた。チームの核であるフィリップスを欠いていることも痛いが、前節の後半に引き続きウルブスが高い位置から勇気を持って捕まえに来たことも一因だろう。
終盤は徐々に相手陣に押し込む場面が出てきたリーズだが、エリアへのクロスの精度が足りず、ウルブスの守備陣を崩しきれない。正直、ウルブスのブロックは脆さが否めないので、リーズの精度次第じゃないかな?と思ったのだがうまくいかなかった。唯一別格だったラフィーニャからは好機は生み出されていたが、彼が最後に作ったコスタの決定機はパトリシオがストップ。後半はジリっとした展開になった試合だったが、追いすがるリーズを振り切ったウルブスが連勝を伸ばすことに成功した。
試合結果
ウォルバーハンプトン 1-0 リーズ
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:64′ メスリエ(OG)
主審:デビッド・クーテ
②サウサンプトン【13位】×チェルシー【4位】
■ズレを活かした2人の得点者
『立ち上がりのセインツは3-5-2に見えた』という人を何人かTLで見かけた。これはおそらくチェルシーのWBに対するマークマンをサウサンプトンがどう定めているかのルールに拠るものだろう。右のジェームズはSBのバートランドが、左のアロンソはSHのジェネポが対応したことで左右の非対称さが際立ったということだろう。確かに相手陣に捕まえに行くサウサンプトンはマンマーク志向が強めだった。
この日はジェネポの守備はとてもよかったように思う。アロンソに合わせて下がるだけでなく、そのマークを時には捨てるというバランスが良かった。必要がない時は4-4-2に切り替えるのがサウサンプトンのうまさ。チェルシーはずれを作らないといけない。4-4-2を縦方向に上手くゆがめることができた時はスピードアップできていたし、歪んだ1列前に顔をだせるカンテの良さも出ていた。
逆にサウサンプトンが4-4-2を維持できた時はチェルシーのボールの動かし方が不十分ということになる。前半にあったリュディガーの持ちあがりを除けば、彼が持ち運ぶことでサウサンプトンの2列目に判断を強いるような場面はほぼなかった。こういう場面をチェルシーは増やさなくてはいけなかった。
ズレが出来なくなった4-4-2のサウサンプトン相手でもなんとかやれていたのがマウント。狭いところでのターンや1stタッチで相手の逆を取り、わずかなスペースのズレを有効活用する。同点となったPKの場面は彼の良さが存分に出た場面でもある。
サウサンプトンの先制点は逆にズレをうまく作り出した場面である。レドモンドの旋回からコバチッチを中央に釣りだしたところから南野に中央を割る縦パスが通る。絞りが遅れたズマのポジショニングには甘さがあったといえそうだ。フィニッシュは見事。フェイクでアスピリクエタとメンディを手玉に取り、先に転ばせてからシュートコースをうまく作った南野であった。
快進撃を続けるトゥヘルのチェルシーに足踏みさせたのは連敗が続いていたサウサンプトン。作ったズレを得点に結び付けた南野はセインツの久々の勝ち点獲得に大いに貢献したといえるだろう。
試合結果
サウサンプトン 1-1 チェルシー
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
SOU:33′ 南野
CHE:64′(PK) マウント
主審:アンソニー・テイラー
③バーンリー【15位】×ウェストブロム【19位】
■退場は無関係?
確かにそもそも面白い展開になることを期待していたわけではないけども、それにしてももう少し面白くてもいいんじゃないか?って思うくらいにはジリジリした試合になった。
基本的には長いボールが行き来する展開。この展開はどちらかと言えばバーンリーの方が得意。中盤が間延びしてスペースがある状況から長いボールで前進が可能になる。だが、エリア内で跳ね返されてシュートまでは届かないバーンリー。頻度こそ少ないものの地道にカウンターの機会を積んでいくウェストブロムの方がむしろシュートまでたどり着いていた。
大きな出来事があったのは30分付近。カウンター対応を誤り、手にボールを当ててボールを止めてしまったアジャイが退場。高い身体能力とか積極的な持ち上がりとかポテンシャルはあるんだけど軽率なのが玉に瑕なのだよね!と常に思っていたのだが、このシーンは軽率の極みだった。
数的優位で潮目が変わるかと思った試合だったが、これがまぁ恐ろしいほど試合の展開に作用しなかった。バーンリーの攻撃は近いところでつなぐ意識が薄いため、数的優位でのパスワークという概念がほぼ皆無。パッと見ただけではウェストブロムが10人ということはわからないくらいかもしれない。10人になって逆に閉じた相手を攻めあぐねるというのは聞いたことはあるけど、後半まるまる10人なのにほぼ展開に影響しないというのは結構珍しいように思う。
エリア内を固めて少ない人数でカウンターを狙うウェストブロムの方がゴールに迫れるのは前半と同じ。どちらかと言えば前半よりも深い位置まで侵入できるようにはなった。なお、ディアーニュは地上戦のカウンターも割と行けることが判明した。
だが、結果を見れば得したといえそうなのはポイントを順調に重ねたバーンリー。展開的に奮闘したのはウェストブロムだったが、おいしい結果を得たのはバーンリーだった。
試合結果
バーンリー 0-0 ウェストブロム
ターフ・ムーア
主審:マイク・ディーン
④リバプール【6位】×エバートン【7位】
■対策、失速、巻き返し
前回のマージーサイドダービーは開幕直後。勢いのあるエバートンがその前の試合で大敗したリバプールを向こうに回して互角に戦う立ち上がりを見せた試合だった。ファン・ダイクがシーズン全休クラスの負傷を負うなど、因縁が深いダービーになった。
あれから4か月半。今回のダービーは両チームとも連敗という苦しい状況で迎えた。ここを巻き返しにしたい!と考える両チームを阻んだのはまずは強烈な風。開始直後のエバートンの先制点の原因になったリバプールの細かいヘディングでのつなぎのミスも風の影響はあったかもしれない。とはいえリシャルリソンのフィニッシュとシュートまでのメッセージをラストパスに込めたハメスのアシストは見事だった。リバプール視点で言えば失点に加えて、ヘンダーソンが負傷する踏んだり蹴ったりな立ち上がりになってしまった。
環境的にも状況的にもイレギュラーな部分にばかり目が行く展開。そんな中で盤面上の部分でもっとも目を引いたのはロバートソンにマンマークに出ていくコールマン。従来は右サイドをドゥクレに放り投げるのがお馴染みだったエバートンだが、この試合ではコールマンのマンマークをドゥクレが後方からカバーする形でいつもより入念に左サイドを塞ぐ。
何とか打開策を見つけたいリバプールだがピッチをあらゆる方向に吹き荒れる風でロングボールはほぼ無力化。環境的には同条件だが、特に正確なパスワークで敵を大きく左右に振りたいリバプールにとってこの風はとても大きなダメージとなった。
後半はロバートソンを高い位置に意識的に置くことでコールマンを相手陣に押し込む形を作るリバプール。これにより生まれた低い位置にカーティス・ジョーンズが流れることで左サイドからの攻撃がようやく開通。中央ではマネがボールを受けることでエバートンの3センターが中央に圧縮。エバートンの3センターが横へのスライドに弱いこと、2トップが守備に献身的ではないことも相まって、リバプールは徐々に前半出来なかった横への揺さぶりからゴールに迫る。
それだけに打開策の重要な部分を担ったカーティス・ジョーンズの交代は不可解だった。フィジカル的なマネジメントの側面もあるのかもしれないが、この試合だけ見れば彼がいなくなってしまったことはリバプールにとって痛手。シグルズソンを投入し3センターの守備根性を注入し、キャルバート=ルーウィンを投入しロングボールの収まりをアップさせたエバートン。ここから巻き返す。最後はキャルバート=ルーウィンがPK奪取でとどめを刺す。
実に10年以上マージーサイドダービーで苦杯をなめ続けたエバートンがついに悲願のリバプール撃破を達成。久しぶりの勝利は両チームの順位が入れ替わる思い出深いものになった。
試合結果
リバプール 0-2 エバートン
アンフィールド
【得点者】
EVE:3′ リシャルリソン, 83′(PK) シグルズソン
主審:クリス・カバナフ
⑤フルハム【18位】×シェフィールド・ユナイテッド【20位】
■内容を結果に結び付けたルックマン
内容は良くても決めきれない!という試合を勝利に変えてみせたエバートン戦でのマジャ。あのパフォーマンスこそ、今のフルハムに必要なものである。バーンリーに引き分けて再び崖っぷちに追い込まれたフルハムはシェフィールド・ユナイテッドには何としてでも勝たないといけない。
案の定というべきか、内容はいいけど点は入らないフルハム。後方のビルドアップは徐々に良くなってきているように思う。雑なプレスに来る相手をいなすスタイルはこれまでも見られてはいたが、この試合ではプレスに来ない相手に対して互いの距離感を遠くしながらピッチを広く組み立てることで、全体をうまく押し上げるビルドアップができていた。
いつもはルックマンというストロングポイントをゴリゴリに生かすアタッキングサードなのだが、今日のフルハムが使ったのは右サイド。カバレイロ、ロフタス=チーク、アイナのトライアングルを後方からザンボ=アンギサが支えるような形で細かいパスワークからシェフィールド・ユナイテッドのサイドから抉っていく。
だが、点を取ったのはルックマン。アンデルセンのロングパス一発で抜け出したルックマンは対面を交わして右足一閃で喉から手が出るほど欲しかった先制点を後半にようやく手に入れる。
シェフィールド・ユナイテッドもフルハムの食いつきがいい2列目の性質を考えれば、もう少しつなぐ頻度を上げれば攻め込めそうなものなのだが、結構あっさり長いボールをけっ飛ばしていたのは不思議だった。マクゴールドリックというつなぐ役割ができる選手が出てきたら徐々に押し込めるようになってきていたので少しアバウトさが前に出てきたのはもったいない気がした。
終盤は危ないシーンがありながらもなんとか逃げ切ったフルハム。いい内容を勝利に結びつける役割を果たしたルックマンがチームに3ポイントをもたらした。
試合結果
フルハム 1-0 シェフィールド・ユナイテッド
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:61′ ルックマン
主審:マーティン・アトキンソン
⑥ウェストハム【5位】×トッテナム【9位】
■実らなかった総動員
このスパーズ、モウリーニョっぽくないよね!と常日頃から言っているのだが、先制点の場面はまさしくモウリーニョっぽくない守備から。ファウル風味のあるコンタクトでプレーがぶつ切りになるのもそうだし、クロスに対してCBが片側に寄って最重要人物のアントニオを空けてしまうというのも彼ららしくない。
早い時間に先制点を取ったこともあり、トッテナムが保持でウェストハムが非保持が多くなる展開に。表面上だけスコア通りなぞれば、スパーズが攻めあぐねてウェストハムがカウンターからチャンスを狙うというウェストハムペースっぽく映る。
でも、個人的には微妙にそれとはニュアンスは違う。ウェストハムはMFラインがふらふら前に出ていきがちで、DFライン前で間受けするアタッカーにパスを入れることはスパーズは難しくはなかった。だが、そこから先の手段がない。単騎ドリブルか大外レギロンのクロスばかりでシュートはほぼほぼブロックに阻まれる。
一方のウェストハムも先制点以降はなかなかカウンターのチャンスを得ることができず。トッテナムの単騎突撃の失敗というカウンターの機会をシュートまで持っていくことができなかった。
ビハインドで迎えた後半はドハーティとベイルを入れてトッテナムは右サイドのテコ入れを行う。しかし、早々にそのサイドから裏をとられて失点する。だが、期待された攻撃面では効果を発揮。ベイル、ドハーティに加えてケインも右サイドに流れることで前半が死んでいた右サイドが復活。ウェストハムの最終ラインはだいぶバタバタしており、チャンスを得ることはできていた。
しかし、最後までフィニッシャーの判断と精度は鈍ったまま。アリを投入し、アタッカー陣総動員したトッテナムだったが、ポストまで使ったウェストハムのDF陣を最後まで打開できず。ロンドンダービーを制したウェストハムがCL出場圏内に復帰だ。
試合結果
ウェストハム 2-1 トッテナム
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU: 5′ アントニオ, 47′ リンガード
TOT:64′ ルーカス
主審:クレイグ・ポーソン
⑦アストンビラ【8位】×レスター【3位】
■新境地で凄みを見せたバーンズ
アストンビラは大エースのグリーリッシュが不在。
こんな話もあるので、もしかするとレスターはグリーリッシュの不在を知っていたかもしれない。その真偽はともかくとしてレスターのプレッシングはこの日のアストンビラにはとても効いた。ビルドアップの逃げ道を作るのがあまり得意ではないアストンビラ。ミングスやマルティネスなど長いボールの蹴り手はいるものの、ワトキンス以外に収めどころが見当たらないとなるとアストンビラは厳しい。
ボールを奪い返したレスターも早い攻めで応戦。特にこの日輝いていたのはバーンズ。負傷したキャッシュに代わっての出場になったエル・モハマディはこの日はハードなマッチアップになっただろう。早い展開からのドリブルで陣地回復に貢献。長いボールからセカンドボールを拾い、バーンズのドリブルで波状攻撃を行っていた。
得点もさることながらこの日さえていたのはアシストの部分。1点目のマディソンのシーンでの柔らかいタッチはもちろん、得点にはならなかったもののアウトサイドのラストパスも秀逸。ちょっと今までとは異なる魅力を出した感じがした。
アストンビラのゴールもバーンズに負けず劣らず素晴らしいゴールだった。アストンビラの攻撃は本来はタメの効くグリーリッシュで静の瞬間を作り、そこから最後の仕上げに向かって加速していく。このゴールシーンはグリーリッシュ不在でいつもよりもタメが効かない分、軽いタッチの連続でつないでいきトラオレのシュートまでつないでいった。
大エースの不在を補うゴールで意地を見せたアストンビラ。しかし、やはり迫力不足は否めず反撃はここまで。レスターがトップ4圏内を堅持する勝利を挙げた。
試合結果
アストンビラ 1-2 レスター
ヴィラ・パーク
【得点者】
AVL:48′ トラオレ
LEI:19′ マディソン, 23′ バーンズ
主審:マイケル・オリバー
⑧アーセナル【10位】×マンチェスター・シティ【1位】
■魔境の例外。健闘の見方が変わる先制点
11月に最後に敗れたトッテナム戦以降、マンチェスター・シティはプレミアリーグにおいて敗れるどころかビハインドの経験すらないという。どこがどこに負けてもおかしくない今のプレミアリーグにおいて、彼らは唯一の例外だ。快走を続けるシティに対して今節挑戦するのはアーセナルである。
アーセナルはこの試合でCBにマリとホールディングというスピードがない代わりにエリア内での守備に特色がある選手を起用。おそらく撤退による我慢を主体に90分を組み立てるというのがアルテタの算段だったのだろう。90分を通してみれば彼らのパフォーマンスは悪くなかった。CBはスピードがないなりにローテーションについていきながら対応をしていたし、彼らが空けたスペースはジャカやエルネニーがカバーをしていた。
だが、この90分間の評価は開始直後に『マンチェスター・シティに先制点が入っている』という事実でかなり見方が変わるもの。我慢とは少なくとも勝ち点を得られる状況の上で成り立つものでもあるというのが私見。ビハインドの状況で前に出ていけない状態が続くのはアーセナルはありがたくない。後ろに重心をかけるアーセナルに対して、押し込んで攻撃を終えられさえすればシティとしては問題ない。2位との勝ち点差や後に控えるCLを考えれば、得点が再度必要な事態に追い込まれれば再度エンジンをかければいいという程度だろう。
復帰戦になったデ・ブライネはまるで感触を確かめながらプレーしているようだった。ゆっくりとしたシティのテンポの中であえて早いタイミングでキックを蹴る様子を見ると、あくまでコンディションを上げるように注力しているように見えた。
1分半の先制点で試合をコントロールし、大エースのコンディション調整も完了。アーセナルも確かに撤退守備では光るものは見せた。だが、最少失点差ながら、マンチェスター・シティが影も踏ませない勝利を挙げたと見るのが妥当だろう。
試合結果
アーセナル 0-1 マンチェスター・シティ
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
Man City:2′ スターリング
主審:ジョナサン・モス
⑨マンチェスター・ユナイテッド【2位】×ニューカッスル【17位】
■撤退には強度不足
立ち上がりはニューカッスルペース。高い位置からの積極的なプレッシングからマンチェスター・ユナイテッドを苦しめる。マンチェスター・ユナイテッド的には両SBに届けることができれば問題なくこのプレスはかわすことができる。一方で、届けられなければ詰むという簡単な話。ニューカッスルが仕掛けてきた序盤戦となった。これに屈したユナイテッドは序盤からピンチを迎える。
しかしながら、このプレスはとても体力を使う。そして中盤3センターのスライドがうまくいかなくなる。そしてプレスがうまくいかなくなり、ズルズルと後退する。これがニューカッスルのパターンである。そうなればボールの保持側は3センターの脇を突けばいい。この形から攻めることでペースを取り戻すマン・ユナイテッド。先制点は左からのカットインから強烈なシュートを撃ちこんだラッシュフォードが手にした。
マンチェスター・ユナイテッドが押し込んだ後の一工夫として今節もマグワイアの攻め上がりを解禁。2点目はそのマグワイアの攻撃参加から。ニューカッスルとしてはマティッチに狭いエリアで外されたことと、逆サイドのジェームズまでパスを通してしまったのが痛恨。加えて3失点目はウィロックが与えたPK。撤退守備に拙さを見せてしまったニューカッスルであった。
プレスが効いている時間はいいものの、ずるずる下がってしまい撤退守備でのクオリティは危うさもある。爆弾小僧のサン=マクシマンは得点を挙げるなど徐々に調子を上げているのは好材料だが、怪我人続出の台所事情と追いかけてくるフルハムを思うとあまりいろいろと試している余裕はない。ここが踏ん張りどころだ。
試合結果
マンチェスター・ユナイテッド 3-1 ニューカッスル
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:30′ ラッシュフォード, 57′ ジェームズ, 75′(PK) フェルナンデス
NEW:36′ サン=マクシマン
主審:ポール・ティアニー
⑩ブライトン【16位】×クリスタル・パレス【14位】
■25本の骨折り損
今季第2ラウンドであるM23ダービーは90分を通じてモノトーンな展開になった。ブライトンはボールを握り、クリスタル・パレスは非保持のまま耐える。パレスは4-2-3-1のブロックで受けるのだが、中盤は中央を固めるばかりで低い位置にいるブライトンの選手にはプレッシャーに行かない。したがってブライトンは左右に自由にボールを散らすことができる。
ブライトンは左右の薄いサイドにボールを入れた後は斜め方向のフリーランを駆使して、ニアサイドのDF陣をコントロール。スペースを見つけながらゴールへの道を探る。だが、徐々パレスは撤退。走りこむスペースがなくなってくる。それでも撤退守備での怪しさがあるクリスタル・パレスにブライトンは雨あられのシュートを浴びせる。
いつものようにシュートが決まらないブライトンに対して、カウンターに打って出たいクリスタルパレス。だが、ザハがいないパレスはカウンターで前を向かせてもらえず。ボールをつなぐに機会すらままならない。ただし、ブライトンの守備陣はスピードがあるわけではないので、DF陣を背走する機会があればチャンスはある。それを証明したのが得点シーン。アイェウがバーンを振り切って独走し、マテタのトリッキーなシュートをアシスト。ワンチャンスでワンゴールを手にする。
思わぬビハインドに陥ったブライトンはHTにアタッカーを増員。ファーのケアが甘いパレスにデフォルトで幅広い位置にアタッカーを多く配置することでより圧力を高める。前半にもまして数多くのシュートを浴びせるブライトンがようやくこじ開けたのは55分。パレスはついに穴を塞ぎきれなかった。
ここでおわらないのがダービーマッチ。最終的なシュートの本数は3対25でブライトンが圧倒している。だが、試合を決めたのはクリスタル・パレスの3本目のシュート。ファーにたった1人だけ構えていたベンテケへのクロスをブライトンは咎めることができなかった。
手を変え品を変え機会を作ってもシュートは枠をそれていくブライトン。2本の枠内シュートで試合を決めたパレスにあまりにも悔しい敗北を喫することになった。
試合結果
ブライトン 1-2 クリスタル・パレス
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRI:55′ フェルトマン
CRY:28′ マテタ, 90+5′ ベンテケ
主審:ケビン・フレンド
⑪リーズ【11位】×サウサンプトン【14位】
■打ち合い『風味』の推進力勝負
確かにプレミアリーグは非常に早い展開を売りにするリーグではある。ただ、ここまでのボールの行きかい方が延々と続く試合もなかなかに珍しいだろう。1つの要因はサウサンプトンがリーズのこの日の対戦相手だったこと。リーズに相対するチームが早いテンポのスタイルが至上の彼らだったことで試合のテンポは当然上がる。
いつもは間で受けてポストして飛び出してという工程を踏むのがセインツのやり方なのだが、この日のリーズはマンマーク主体のため、いつものセインツよりもさらに忙しい。レドモンドやアダムスのような個人で背負える選手が独力で輝きを放つ展開になっていた。
一方のリーズのフォーメーションも試合を加速した要因の1つ。3-5-1-1のような形の採用は今季2回目。数字にどれだけ意味があるかはわからないけど。前回の採用時の相手はバーンリーなので、4-4-2対策用なのかもしれない。スタート時に間と外にデフォルトでポジションが決まっているこの形はリーズの縦への進撃を加速する。リーズの先制点はリプレイを流している間にいつの間にか決まっていた。つなげるならとっとと縦へという彼らの哲学らしい先制点はカメラのスイッチャーも振り切ってしまったようだ。
セットプレー時はカウンター時の後方のリスク管理がガバガバだったり、打ち合いっぽい展開なのになぜかシュート数が少ないというとても不思議な展開の90分。ただ、コンビネーションに乏しく個人個人の打開頼みで持ち味が出なかったセインツに比べて、連携はそのままに縦への速さだけ尖らせたリーズの勝利は妥当といえるだろう。
試合結果
リーズ 3-0 サウサンプトン
エランド・ロード
【得点者】
LEE:47′ バンフォード, 78′ ダラス, 84′ ラフィーニャ
主審:アンドレ・マリナー
おしまいじゃ!!