ラウタロが重い扉をこじ開けメッシの涙を拭う
コパ・アメリカはついに決勝。俺も10月の代表ウィークにようやくコパ・アメリカを完走することが出来ました。長かったコパ・アメリカ。とぎれとぎれで見ているせいでマジで何も印象に残っていない。北アメリカ大陸で行われる南米勢が一切いないカードもコパ・アメリカみたいに殴りあっていたなという記憶。たぶん、パナマとアメリカの試合だ。
さて、アルゼンチンとコロンビアの決勝に話を戻そう。ボールを持つ機会が多かったのはアルゼンチン。お馴染みとなった3バック気味の組み立てからボールを動かしていく。コロンビアは中央への制限の優先度をかなり高めていた。上の図では4-3-3で記載してある並びだが、守備ではハメスがトップ下に入り、2トップがその前に並ぶという形の4-3-1-2という形が多かった。
中央を固めつつ、外は空きやすいというこの並び方に沿ってアルゼンチンは攻略に挑む。コロンビアの3センターの外側にボールを自在に動かすポイントを置き、ここからブロック攻略のきっかけを作る。最も有効だったのは大外もしくはハーフスペースから背後を取り、相手の最終ラインを下げることで中央にスペースを空けることである。メッシのミドルなどはこの形から生み出されたものであった。
もう少し、ミクロな構造の話をするのであれば、メッシという選手は当然一人の駒ではないので、盤面的にそこにある以上の引力がピッチでは発生する。その引力をマック=アリスターが非常に柔軟に使い、ブロックの中に侵入していたのが印象的だった。
コロンビアは外から押し下げられる展開をゆったりとした保持で回避。即時奪回を除けば、メッシが前にいるアルゼンチンにハイプレスの怖さは感じないので、ボールを落ち着いて持つことは特に難しいことではない。サリーから外を回すように押し上げつつ、ライン間のハメスを狙う形でゴールに向かっていく。外を撒き餌にしつつ、最後は2トップとハメスのコンビネーションで崩し切るのがコロンビアの青写真のように見えた。
一進一退のジリジリとした展開の中でアルゼンチンにアクシデント。前半の終盤にリサンドロ・マルティネス、メッシが次々と痛むこととなる。後半もなんとかプレーを続けた両者だが、メッシは負傷により涙と共に後半にピッチを退くことになった。
メッシがいなくなっても、ピッチの上での静的なジリジリとした展開には変化がない。アルゼンチンの左サイドのバックドアが唯一の有効打となっており、この役割を担っていたのがメッシの代役に入ったニコ・ゴンザレスだった。
キンテーロが入ってトリッキーさを増したコロンビアも面白かったが、最後に笑ったのはアルゼンチン。延長戦で試合を決めたのはラウタロ・マルティネス。交代での投入以降、縦横無尽に走り回ったストライカーがアルバレスの助けを借りて決勝ゴールを演出。劇的なゴールはアルゼンチンの連覇を祝う大きな一撃となった。
ひとこと
非常にジリジリした展開をメッシなしのアルゼンチンがこじ開けるというのはなかなかドラマティック。
試合結果
2024.7.14
コパ・アメリカ 2024
Final
アルゼンチン 1-0 コロンビア
ハードロック・スタジアム
【得点者】
ARG:112‘ ラウタロ・マルティネス
主審:ラファエル・クラウス