アケとガクポが牽引するオランダのバタバタ逆転劇
立ち上がりはオールコートマンツーっぽい挙動を見せたポーランド。しかしながら、徐々に素早い撤退から自陣に5枚のDFを置く形を作っていく。前線の細かいポジションの入れ替えで簡単にフリーの選手をオランダに作られたことが影響しているのかもしれない。序盤はベトナレク周辺が怪しさ満載だった。
オランダ目線でズレを作れそうだったのはアケ。引いて受けるポジションを取ることでオールコートマンツーであればWBが出ていくところであるが、アケがオランダのCBと同じ高さに下がって受ける分、追いかけるのを躊躇してギャップができていた。
ただ、この出来たギャップをオランダの周囲の選手が上手く使えている感がなかった。オープンな状況で大外のガクポに渡ればここから勝負ができるのは間違いなかったが、そのパイプ役がいなかった。前線に人を残す観点から言えば、パイプ役はできれば中盤3枚のうちの誰かにやって欲しかった感があるが、降りるデパイか逆サイドから顔をだすシモンズのどちらかがヘルプに来ることが多かった。
スハウデンとフェールマンのCHは前半の終盤にようやく慣れてきたかなという感じではあったが、ビルドアップでの存在感やバックスが生み出したズレを使うという意味では存在感は希薄。正直に言えばフレンキーの不在は大きい感じはした。
もう1つオランダの攻撃で少し気になるのはカウンターの大雑把感。スペースを繋ぐことに急ぎすぎている感じはした。もう少し、ポーランドの陣形を動かしながらボールを繋ぐことは意識されてもいいように思った。けどもまぁ全力で前が空いていないガクポのミドルがオランダの同点ゴールにつながっているので、そこはどこに正義があるのかはわからない。
「オランダの同点ゴール」といったように先に点を取ったのはポーランドだった。少ない前進の機会ながらポーランドはギャップを使っての前進もちらほら。決まった場所で待ち構えるロングボールはほぼ完璧にオランダのCB陣に跳ね返されていたが、裏抜けを伴うスペース勝負はそれなりに機能していた。そして、押し下げる機会を得るとセットプレーから先制ゴールを手にする。
以降もポーランドはギャップ勝負に出れば押し下げる展開を作れる状況。左の大外のザレフスキを希望の光としてクロスを上げることでゴールに迫っていた。
迎えた後半、ポーランドは3センターがきっちりと自陣側のプロテクトに重きを置くスタート。自陣を固めたくなる気持ちは前半を見ればわかることはわかるが、2トップが前で孤立。味方のヘルプは期待しにくい状況でオランダのCBとバチバチはかなりしんどそうではあった。レヴァンドフスキがいればあるいは!という感じだったけども。
オランダは左のガクポを起点に多彩な攻撃を披露。右の大外のダンフリーズへのクロス、自分の外を回るアケへのパス、もしくはバイタル付近の選手たちへのパスでミドルを誘発など様々な形からゴールに迫っていく。
まずいとなったポーランドは徐々にプレスを強化して展開を前半に回帰。試合はオープンな打ち合いの流れに。オランダの前線の急ぎまくっているカウンターが再び見られるようになる。
なかなかゴールが生まれない状況を助けたのはオランダの交代選手。ワイナルドゥムのフリーランを囮に縦パスを受けたベグホルストが殊勲の決勝ゴールをゲット。クロスからの空中戦ではなく、シンプルな崩しから貴重なゴール。アケの脱力しているのに鋭いラストパスは見事の一言である。
終盤は左サイドを中心に攻め込むポーランド。やや息切れ気味のザレフスキに代わって交代で入ったピョトロフスキが左右のサイドで奮闘しながらクロスを上げる。これで押し下げたラインからミドルで二次攻撃。フェルブルッヘンの守るゴールを脅かす。
多くの枠内シュートを浴びるもなんとか1失点にポーランドを抑えたオランダ。不安定な試合運びながら逆転で初戦を勝利で飾った。
ひとこと
オランダ、中盤のもう一声感とカウンター時の急ぎすぎ感は気になるところ。負傷者絡みの中盤はどうしようもないかもしれないが、スペースがある時の攻撃はもう少し相手を動かすことを意識できるプレースピードで勝負したさがある。
試合結果
2024.6.16
EURO 2024
グループD 第1節
ポーランド 1-2 オランダ
フォルクスパルク・シュタディオン
【得点者】
POL:16′ ブクサ
NED:29′ ガクポ, 83′ ベグホルスト
主審:アルトゥール・ディアス