初戦にして2年前の悪夢がよぎる
互いに積極的にプレスに出ていくスタート。好感触だったのはベルギー。トロサールが1つ前に出る形でオールコートマンツーのような形でプレッシャーをかけてロングボールが乱れたところを回収する。
後方は同数で受けるという不安もあった。ファエスの立ち上がりなど綱渡りの部分もあったが、後方の同数を受けることで確かに高い位置から奪い切れる場面もあったので、この辺りはリスクを取る意義はあったと言えるだろう。
スロバキアのプレスはWGの外切り+IHの外スライド。オレたちの川崎フロンターレスタイルである。この設計自体はまぁそういう形もあるかという感じではあるが問題は後方。CBのライン設定がガタガタでルカクの裏抜けをことごとくオンサイドに。ずれが起きやすいプレスの仕組みだからこそ、簡単に預けて決定機がある状態は全然よろしくない!という感じである。
しかしながら、先にプレッシングに対してミスが出たのはベルギー。「あれ?ここは敵陣だっけ?」と思うようなドクの大胆な仕掛けからのロストがスロバキアの先制点の源であった。
以降はベルギーのバラバラ感が目立つ展開に。CHは互いの位置関係を見ずにそれぞれが別個でプレーしているかのような状況。いつまで経ってもパスは出てこないのでデ・ブライネが降りるアクションをするように。SBのカラスコはWGの背後で受ける機会を作りたさがあったが地面に根が生えたように手前で受けるアクションに終始。バックスのユニットはビルドアップのところで互いを見なかったり、相手との位置関係に変化をつけたりなどができず。ボールを動かして勝負するという観点でベルギーはなかなかにしんどさがあった。
前線は単調さが目立つ。ドクは愚直に縦に行くことしかできず、トロサールはカットインから相手にひっかけまくるまずい出来の日、ルカクは抜け出した後のボールコントロールがバタバタ。1回目のシュートミスでW杯の悪夢を思い出してしまったかのようなフィニッシュワークだった。
そんなベルギーに対してスロバキアは効果的に前進。サイドもバイタルも埋める気力が欠けているベルギーのCHを手玉に取りながらゴールに迫っていく。攻守に覇気がないままベルギーの前半は終わることとなった。
後半、ベルギーは左右のWGを入れ替える。これでドクには多くの選択肢ができていたが、後方から攻め上がるカラスコとの連携はなかなかしんどいものがあり、左サイドの活性化とまではいかなかった。
さらにはスロバキアの機を見たハイプレスにも苦戦。大きく動かすことはできていてもSBがなかなか高い位置を取れずに後ろに重くなってしまえば繋ぐことは難しい。スロバキアのプレスに屈する怪しさはただよっていた。
引っかけてはスロバキアにカウンターを撃たれることとなったベルギー。中盤主体でボールを奪うと、そこから相手を見ながらボールを動かすスロバキアが着実に陣地回復をこなす。
バカヨコの登場によりデ・ブライネはCHに移動。カラスコやファエスにブチギレながら立ち位置の指導を絶えず行っていた。だが、ベルギーのバックラインは一向に開く動きも上がる動きもしないので、ヤケクソ気味に縦パスを刺そうとしてはロボツカを中心とした守備ブロックに回収されてしまいカウンターから陣地回復を狙うという流れになってしまう。
やぶれかぶれで前線の個人にかけるしかないベルギー。オペンダの抜け出しからルカクがゴールを決めたかと思われたが、これはハンドによって取り消し。ルカクは直前のオフサイドと合わせてこの日2回目のゴール取り消し。あらゆる決定機逸も含めてW杯の悪夢が蘇るかのようだった。
初戦にて悲壮感漂う敗戦を喫してしまったベルギー。残り2試合での立て直しは間に合うだろうか。
ひとこと
決定機を決められなかったルカクとか、自陣で意味不明なプレー選択で失点を招いたドクが悪目立ちした試合だけども、ベルギーがよりヤバそうなのは中盤より後ろ。保持でパートナーを見ず、ネガトラでダラダラとしかポジションを埋めないCH、保持での爆弾パスに終始し、非保持でも軽率な対応が目立つCBとカラスコなど課題は山積み。メンバーの大幅入れ替えなどを伴う解決策探しに着手しても不思議ではない。
試合結果
2024.6.17
EURO 2024
グループE 第1節
ベルギー 0-1 スロバキア
フランクフルト・アレナ
【得点者】
SVK:7′ シュランツ
主審:ウムト・メレル