またしてもバタついた終盤のオランダ
前日のスペイン×イタリアに並び、こちらもGS屈指の好カード。連勝とGS突破をかけての大一番ということになる。
立ち上がり、右サイドの奇襲を仕掛けたのオランダ。フリンポンの抜け出しから一気にゴールに迫る。振り返ってみればおそらくこれが前半でオランダが最もゴールに迫った瞬間のように思われる。
フランスはすぐ左サイドのグリーズマンのミドルからすぐに応戦。これ以降はフランスがペースを握る。サイド攻撃で複数人からの抜け出しで押し下げてゴールに迫っていく。オランダは押し下げられるのを見てCHが最終ラインに入る形でカバーが入る。
すると、その様子を見たラビオが空いた中盤に侵入。ワンツーでのパス交換からラインブレイクに成功し、グリーズマンに決定機を供給するが、チャンスを生かし切ることができない。
オランダはこのピンチを切り抜けると2列目がインサイドに絞ることで中央を閉じることを優先。チュアメニが降りるアクションに合わせるようにラビオ、グリーズマンが中盤に動きながら撹乱するフランスと中央をどこまでこじ開けるかのマッチレースになる。間に合わずに危ういファウルを犯すシーンがちらほらデ・フライが警告を受けなかったのは幸運と言えるだろう。
オランダがより問題だったのはやはり攻撃に出るタームだろう。カウンターは直線的に急ぐケースとタメを作れてはいるが単一ルートしかないケースが多く、このような点で合わせるアプローチだとフランスのような強固なDF陣相手に穴を開けることができない。先に挙げた二択もほぼデパイのポジション次第という感じでチームとしてどう攻めるかが共有されている感じがなく、ボールを奪う形が相当良くなければ効果的な位置でシュートを打つことすらままならない状況。前半は0-0とはいえ差がある状況というのは前日のスペイン×イタリアとそっくりである。
後半もボールを握ったのはフランス。チュアメニの降りるアクションに合わせて空いたスペースに現れるカンテとラビオの厄介さは後半も健在。痺れを切らして出ていこう!と前に出たガクポの思いをへし折るようにサリバが背後のデンベレに通してたパスはなかなかにえぐかった。
ゴール前でも右のハーフスペースの手前のあたりにファン・ダイクを釣り出せるシーンが増えてきたフランス。最終局面から大ボスを退かすことでよりゴールに近づくことができていたが、後半もフィニッシュでグリーズマンは決定的な仕事を果たすことができない。
すると、徐々にオランダが反撃。左の大外のガクポを起点とした攻めで敵陣に迫ると、背負ったデパイが押し下げたところに飛び込んだシモンズがネットを揺らす。が、メニャンが横飛びするコースに立っていたダンフリースがオフサイド。オランダは貴重な先制のチャンスを逃すことに。
ガクポとデパイが互いに利用するかのようなオフザボールを見せるようになってからはフランスを押し切れそうな雰囲気になってきたオランダ。しかし、そうなった途端に早々にクーマンはベグホルストとデパイをスイッチする。さらにはその直前に投入したヘールトロイダで急にSBを絞らせるなどよくわからない工夫をスタートする。
可変性が増したバックラインと動きながら起点になるジルーによりオランダのバックスの負荷はさらに増えることに。結果的に守備で頑張れるベグホルストがプレスバックで存在感を見せていたのは面白かった。
試合はそのまま終了。今大会初めてのスコアレスドローにより、共に両軍の勝ち点は4。敗退が決まったポーランドに引き分け以上で突破が決まるフランスにとっては大きな1ポイントの上乗せだったと言えるだろう。
ひとこと
オランダ、最後の15分絶対面白いのずるい。
試合結果
2024.6.21
EURO 2024
グループD 第2節
オランダ 0-0 フランス
ツェンドラール・シュタディオン
主審:アンソニー・テイラー