何もない1ポイントの先の歓喜
オランダ、フランスと同じく4ポイントで突破を決めたイングランド。重要なのは通過順位。2位だと厳しい山に放り込まれるだけにここはすんなりとスロベニアを下したいところだろう。
スロベニアのフォーメーションはお馴染みの4-4-2。イングランドのバックスにはプレスに行かず、守備はライスを2トップで管理しながらのスタートとなる。
確かにこの4-4-2相手にめちゃめちゃ工夫があったわけではないのだが、それにしても個人に帰属するミスが多すぎる。バック4に加えて、ライスとギャラガーは安定感がない。グエイやストーンズ、ライスは普段のクラブでは考えられないレベルのミスを連発し、攻撃を寸断していた。
良かったところといえばサカとウォーカーの縦関係はそれなりに計算できそうなところと、左のユニットがこの日は彼らなりに幅をとろうという意識が見られたところだろう。サカがネットを揺らしたシーンはフォーデンとトリッピアーが大外からライスとの関係性を使いながら抜け出すところからラストパスが出ている。
それでも全体を見れば機能性はまだまだ。ケインとベリンガムが沈黙し、フォーデンは力みのあるプレーが多く、前線もまた噛み合わない状況が続いていた。
ではスロベニアが良かったかと言われるとまた話は別。ミス待ちで前進できる攻撃はともかくとして、守備では2トップの誘導が効かずプレスバックも甘め。後方の4-4-2のブロックの網目も粗く、イングランドの焦りと強引さがなければ簡単に自陣ゴールに迫られてもおかしくない状況だった。アタッキングサードでの迫力も出せず、軽さのある2トップはイングランド相手に存在感を出すことができなかった。
後半、イングランドはギャラガーに代えてメイヌーを投入。これで中盤に動かしながら押し込む概念がようやく生まれた感じ。保持の局面はかなり整った感があり、スロベニアは前半以上に前進が苦しくなるように。
遅れて(ようやく)入ってきたパルマーとの連携も良好だったメイヌー。サカ、ウォーカーの直線的な二人称での崩しと比べると旋回とポジションチェンジが多めなまたテイストの異なるサイドの崩しを見せていた。
左サイドで入ったゴードンもファン待望の幅の取れる選手。本当に僅かな時間ながら降りたところから長いレンジのパスを使って局面を一気に前進させてみせた。
しかしながら、それ以外のポイントではなかなか言及したくなるシーンがとても少なかった試合。だけども、スロベニアにとっては大事な1ポイント。何も得点が生みだせなかった彼らが終了後に大喜びする姿を見ればわかるように、この1ポイントは決勝トーナメントへのゲートが開く大きな1ポイントだったのである。
ひとこと
割と何も解決しないままGSを終えてしまった感があるイングランド。メイヌー、パルマー、ゴードンのテストを受けてむしろ序列は不透明になった感もある。ノックアウトラウンドで入れ替えがあるのか、それともマイナーチェンジと言える改良にとどまるのかは注目である。
試合結果
2024.6.25
EURO 2024
グループC 第3節
イングランド 0-0 スロベニア
ケルン・スタジアム
主審:クレマン・トゥルパン