命運を分ける数分間をモノにしたドイツが後半を制圧
開催国のドイツは第2試合に登場。ドルトムントで迎え撃つのはデンマークである。デンマークは5-4-1の布陣を選択。まずは自陣で受けるブロック守備を敷く。
ドイツはグループステージ3試合を通して5バックとの対戦だったが、この試合でも継続。その3試合と同じようにボールを動かしながらブロック守備の攻略を狙っていく。
多少メンバーは変わっていてもドイツの仕組みは大体同じ。落ちる位置を変えながら調整するクロース、大外はSBに任せて2列目はインサイドに集結。WGタイプ寄りのサネが起用されていても、右サイドの大外を取るのはキミッヒである。
ハヴァーツのサイドに流れる攻撃など、サイドの奥を取ることでドイツが押し込む立ち上がり。特に効いていたのはセットプレー。序盤のCKはほぼドイツが先に触ることができていた。一本目のシュロッターベックがネットを揺らしたシーン(おそらくファウルで得点は無効)を皮切りに、続々とドイツの選手たちがシュートを狙っていくセットプレーの連続となった序盤戦だった。
ドイツは地上戦でも少しずつ工夫を見せる。SBを少し自陣寄りで受けさせることでデンマークのWBを手前に引き寄せつつ、CB-WBの間に選手を走らせてギャップを突く。これにより少しずつ2列目の選手が大外で働く機会が増える展開となる。
一方のデンマークも保持に回ればゆったりと。サイドからのシンプルなクロスではあったが、ファー狙いと裏へのスペースに置くようなクロスが多かったため、ドイツは対応に苦慮していた。
また、ドイツは押し込まれるところを跳ね返されるフェーズを挟むと縦に速い攻撃が増える傾向がある。この傾向により少しずつ試合はオープンに。展開としてはドイツの一方的な保持からフラットな主導権争いに移行。と言ったところで雷で試合は中断することとなる。
中盤明けは再び押し込むドイツがセットプレーからチャンスを作り出すなど、前半の焼き直し。デンマークは再び押し込まれる機会があったが、ドイツの中盤での珍しいパスミスからホイルンドが決定機を作るが、惜しくもシュートは枠を捉えることができず、試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半、デンマークはシャドーをやや前に出す5-2-3で少し前からのプレスを強める。望んだ通りに少しオープンになった展開で先にゴールを揺らしたのはデンマーク。しかし、デラネイのオフサイドでアンデルセンのゴールは認められず。
すると、今度はドイツにゴールチャンス。左サイドからのクロスがハンドを誘発し、PKを獲得。このPKをハヴァーツがきっちりと鎮めて先制する。ハンドを犯したのはゴールを取り消されてしまったアンデルセン。天国から地獄に一気に落ちる数分間になってしまった。
以降は撤退守備の時間を増やしながらきっちりとブロックを組む時間を増やしたドイツ。自陣からのロングカウンターやデンマークのプレスを引き寄せての加速など速い攻撃を効果的にかつ自在に打てるように。ムシアラのゴールはシュロッターベックの落とすようなフィードが見事。ストロークを抑えることでGKの飛び出しを防ぐ見事な軌道であった。
2点のビハインドとなったデンマークはガンガン放り込んでいきたいところであるが、なかなかギアアップができず。もう少しシンプルに放り込んで試行回数を増やしてもいいのではと思うのだが、なかなか入れられないままドイツのカウンターから更なる失点の危機に晒されることとなった。
終わってみれば完勝だったドイツ。運命を分ける数分間で先制点を奪うと一気に試合の主導権を持っていき、ベスト8進出を決めた。
ひとこと
クロースの連戦起用がどこまで持つかは気がかりではあるが、きっちりと特徴を出しながら手堅いチームを試合運びで上回ったのは見事であった。
試合結果
2024.6.29
EURO 2024
Round 16
ドイツ 2-0 デンマーク
BVBシュタディオン・ドルトムント
【得点者】
GER:53′(PK) ハヴァーツ, 68′ ムシアラ
主審:マイケル・オリバー